クーリエ 最高機密の運び屋のレビュー・感想・評価
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スパイ映画の醍醐味満載
何でもないセールスマンが、冷戦時代に核戦争を回避する重要情報を運んでいたという逸話の映画化。スパイ映画の醍醐味が色々詰まっていて見ごたえたっぷりのサスペンスドラマだった。
普通のセールスマンがモスクワで商談を装い情報源に接触。その情報源の男と親密な関係となり友情が芽生えてくるが、ソ連当局にバレそうになると、西側は男を見捨てようとする。主人公は、嫌々やっていたスパイ仕事にもかかわらず、最後の任務は友情のために自ら志願する。秘密の任務ゆえに家族にも話せない。任務を取るか(この映画の場合、友情も混じる)、家族を取るかの板挟みの展開は、スパイ映画の定番だ。
スパイは陰で働くため、その功績が公に称えられることがない。家族にすら話せないぐらいなので、誰からも認められることがない、だからこそ、己の信念のために行動する姿が胸を打つ。そんな感情を描けるのがスパイ映画だ。これが実話であるということも感動を倍増させる。ベネディクト・カンバーバッチは素晴らしいパフォーマンス。後半の変りように驚く。
いわゆる"巻き込まれ型映画"プラスαの味わい
東西冷戦時代、ソ連の機密情報を西側にリークする見返りに亡命を希望する情報提供者に接触を試みたのは、商売で頻繁に東欧諸国に出入りするイギリス人セールスマンだった!?このトンデモなミッションを発案したMI6とCIAは、プロのスパイを一般人に仕立てるよりも、一般人にスパイをやらせた方が、より自然に見えると踏んだのだ。これ、スパイ映画としてかなり捻ったストーリーのように感じるが、ナント実話の映画化なのだそう。この分野にはまだまだ掘り起こされてない鉱脈が眠っていそうである。
その結果、まかり間違えば即、捕らえられて拷問&出国禁止になるかも知れない危険なミッションを、観客は傍観者よりもやや近距離で、主人公と一緒に体験することになる。そのスリルとサスペンス、そして少しのユーモアは、何も知らされていない人物が訪れる危機をスレスレで回避していく、いわゆる"巻き込まれ型映画"独特の味わい。最大の見せ場は、対極的な立場にあるセールスマンと情報提供者の間に芽生える友情と、その行方。演じるベネディクト・カンバーバッチと旧ソ連・グルジア(現ジョージア)出身のオレグ・ペンコフスキーが醸し出すケミストリーが、過去に起きた事実を身近なところまでグッと引き寄せてくれる。
歴史の裏には必ず人間のドラマがある。それを再認識させる上出来の実録スパイ映画だ。
ル・カレ的な人間味あふれるスパイ物語
007のような武闘派とは違い、実際のリアルなスパイは無闇に戦わないし、輝かないし、むしろ人の印象に残らないような外見の持ち主でなければならないことは、例えばル・カレを代表とするスパイ小説からも明らかだ。本作は実話ベースなだけあって、伝統的なリアルスパイの佇まいや雰囲気、さらにはキューバ危機を背景とする国際情勢までもが緊迫した手触りを作り出す。だが、肝となるのはカンバーバッチ演じる主人公の人となりだろう。軍や諜報部上がりの生粋スパイではなく、元々は単なるビジネスマン。それゆえプロフェッショナルに徹しきれない”ブレ”が彼を窮地に陥れ、なおかつ、そこで際立つなけなしの人間性こそが本作の味わいに深みを与える。決して派手ではないものの、二国間の往復や、時に家庭内の風景なども織り交ぜながら上質な人間模様を紡ぐ手腕は高く評価したい。カンバーバッチの演技の底知れなさにも思わず感嘆のため息がこぼれる作品だ。
知られざる「第3次世界大戦」の回避の舞台裏。こういう実話を知らせるのに映画は有効だと改めて実感。
1960年代の初頭は、アメリカとソ連が核武装競争を繰り広げ、いつ「第3次世界大戦」が起こってもおかしくない雰囲気でした。特にソ連が、アメリカを射程においたキューバに核ミサイル基地を作った際、その緊張がピークとなります。
1962年10月16日にアメリカの偵察機がキューバ上空から核ミサイル基地の撮影を行い、「人類史上最も危険な13日」とも呼ばれる「キューバ危機」が起こります。
アメリカはソ連と交渉するも不調に終わり、10月22日にケネディ大統領がテレビ演説をする有名な映像があり、その後も一触即発の事態が起こります。
そして、10月28日にソ連側がミサイル撤去を決め、第1書記がモスクワ放送で発表、という流れになるわけですが、そもそも、なぜアメリカはキューバの核ミサイル基地の存在を知ることができたのでしょうか?
この世界の命運を決めた現実の背景には、1人のイギリスのセールスマンの存在が大きくあったのでした。
アメリカにGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)の大佐から「核戦争の危機を回避する手助けをしたい」という申し出があり、その機密情報のやり取りをするためにCIAがイギリスのMI6に出向きます。
そして「イギリスのセールスマンが、何も知らない状態でソ連にセールスをしに行き、ソ連の高官とやり取りをすれば、ソ連のKGBの注意もそらせるはず」というアイデアを提案します。
果たしてアメリカとソ連の両陣営にスパイが多くいる中で、本当にこのようなミッションが上手くいくのでしょうか?
そこには、意外な過程と現実があったのでした。
そもそも「クーリエ」とは「外交伝書使」の事ですが、この最高機密を運び出す過程で何が起こったのかは、本編を見るのが一番早いと思います。
もちろん、CIA諜報員は複数の人物を一人の女性にして分かりやすくするなどの工夫(脚色)もあります。そして、決して派手な作品ではありませんが、製作総指揮も務めたベネディクト・カンバーバッチのもと丹念に史実を伝えている良質な作品だと思います。
カンバーバッチの豊かな表現力と肉体改造に驚嘆
1960年代に米ソ対立が激化していた裏で、英国の一介のセールスマンが“機密情報の運び屋”としてリクルートされた実話に基づく。一部で「007」シリーズへの目配せもあるが、基調はジョン・ル・カレ原作のスパイ映画のように現実の諜報活動に寄せたリアルかつソリッドな演出でストーリーを展開する(ちなみにベネディクト・カンバーバッチはル・カレ原作の「裏切りのサーカス」にも出演していた)。
ソ連の最高権力者フルシチョフが米国への核攻撃も辞さない姿勢を強めていることを危惧した軍高官ペンコフスキーが、西側に接触してきた。ソ連側に疑われない運び屋としてMI6とCIAが目をつけたのは、当時共産圏の東欧諸国に工業製品を売るため出張していた英国人セールスマンのウィン。もちろんスパイの経験などないウィンは最初断るが、結局は引き受けることになり、ソ連を訪れてペンコフスキーから情報を預かったり、彼をロンドンに招いたりして英米の諜報活動に貢献していく。
カンバーバッチは、ソ連側の監視の目を意識する緊迫した状況から、ペンコフスキーに次第に心を寄せていく人間味あふれる場面、さりげなくユーモアをにじませる言動まで、実に幅の広い演技でウィンを体現している。終盤ではポストプロのCGで顔を加工したかと見紛うほどの激ヤセぶりで驚かせるが、役作りで実際に9.5kgも減量したのだとか。役者としての覚悟をうかがわせる逸話だ。
信念を貫くペンコフスキーを演じたメラーブ・ニニッゼの渋く重厚な存在感も味わい深い。ウィンの妻を演じたジェシー・バックリー(歌手役で主演した「ワイルド・ローズ」が記憶に新しい)、CIA職員役のレイチェル・ブロズナハンの女優2人も、出番こそ少なめだがそれぞれに魅力を発揮し、ストイックなストーリーに柔らかな情感を加味している。
Smart Thriller Set in the Backstage of History
Cumberbatch is a small fry international businessman who finds himself caught up in the unfolding of the Cuban Missile Crisis in this well-played period piece. It's a spy film led by a non-spy, but the rhythm of the story is far from your typical fish-out-of-water screenplay. Along with the Imitation Game, Cumberbatch shows a knack for tuning the underdogs of history to international recognition.
あなたのとなりにもスパイが
米ソの冷戦にイギリス、MI6が
絡んでいることに驚いた。
まあ、アメリカじゃ機密情報取れんわなあ。
一般のセールスマンにスパイ工作を
させる無茶ぶりもすごいが
生きて帰れたのが奇跡。
スパイを見つけ出したソビエトの
情報網も恐ろしい。
お互い、争いを望まない立場、志が
見ていて心が痛い。両指導者に
爪の垢を煎じて飲ませたいね。
アメリカはイギリスに頭が上がらんね。
イギリスも貸しができたしwinwin。
第二次世界大戦後の世界のイデオロギーを巡って起こった冷戦終結のきっ...
第二次世界大戦後の世界のイデオロギーを巡って起こった冷戦終結のきっかけを作ったのは実在する1人のセールスマン。ケネディ大統領はこの難しい時代に外交をした人で、キューバ危機ってこれで発覚したんだってめちゃめちゃ勉強になりました。
ウィルとアレックス(ペンコフスキー)
スパイは人を魅了する人柄がなくてはならない。でも親密になりすぎてはいけない。いざという時には冷酷にならなければならない。
ウィルはイギリスに戻れたものの、スパイの難しさをあらためて認識させられた。
どのカットも痺れる、王道冷戦スパイ映画
邦題、いつもこういう方式でタイトルを付けてほしい
ベネディクト・カンバーバッチ主演
ペンコフスキー役のメラーブ・ニニッゼはこの手の役のベテラン
冷戦時のスパイという古典的な作品
アクションはないのでスカッとする作品ではないし、
王道で予想通りの展開、意外性というものが欠けているが
それはそれで良いものがある
本作は当時の雰囲気作りという観点ではピカイチ
ロケーション、カメラ技法が抜群にいい
「これをこういうふうに撮りたい!」を感じる映像になっている。
・印象的に使われる俯瞰撮影
・演者の表情がよく見える撮影
・え?わざわざこの短いカットのためにこの大道具を?
・さり気なく通り過ぎる飛行機
・シャワー室の十字に見えるような撮影
などなど巧みな映像に見える。
適当に早送りして止めたカットもバッチリ決まっている
なんとなく撮ったようなぼやけた構図がない、意図して撮影されたシーンばかり
問題はストーリー面、実話だから仕方がない、というところでもあるが
もう少し切り出し方や演出にはやりようがあったのではないだろうか
個人的にグッと来る展開(というより演出)があまりないのが残念だった
映像は良い
良作
キューバ危機にこんな事実があったなんて初めて知った。世界を救った男...
キューバ危機にこんな事実があったなんて初めて知った。世界を救った男じゃないか、もっと有名になってても不思議じゃない。
前半から中盤はなんとも重たい。画も暗い。実は苦手系、だって睡魔が…
意を決してちょっと昼寝💤(笑)
後半は緊迫、そしてスリリング。なるほど面白い。
今も世界中で暗躍してるんでしょうね。スパイなんていらない世の中になって欲しいですね。
これは~
思っていたより良作でした。
カンバーバッチさんの体を張った演技が素晴らしかったです。
上映時、観に行くか悩んだ作品です。
観たい邦画が重なり、結局観に行きませんでした。
007でもなく、トム様でもない、アクションもないですが、スパイ映画を堪能できました。
1990年まで存命と最後にあり、良かったと思いましたが、アレックは処刑とは悲しいですね。
関係ないけど、MI6と言ったら
パタリロのバンコラン少佐ですね。
平凡な人が世界を救うのかも
テーマとしては見たことがある感じは否めなかったが、「平凡な人が世界を救うのかも」のフラッシュバック部分のところがすごく良かった。
キューバ危機というのも歴史の教科書でしか知らなかったことも映画を絡めるとより深く理解できた。こうしてみると、表現としての映画と、伝える側面の映画、大きく2つあるんだろうなと思った
想いを同じにする二人の男
キューバ危機を回避するためのスパイもの作品だったわけだけど、単なるサスペンスではなくて敵と味方の「心」が通じ合うドラマだ。
その敵とは内通者なので厳密な敵とは言えないけれど、想いを同じにすれば争いは回避できるのだというメッセージのようでもあった。
本作の二人は、家族を守りたい気持ちが危険な行動の後押しをする。もしバレたら、もし捕まれば、自らの命を危険に晒すことになることを充分に理解していた。
互いが互いを見て、家族を見て、同じ想いを抱えていると感覚的に知ったとき、友情という言葉が軽く感じるような深い繋がりを生む。
グレヴィルとアレックスが顔を合わせる最後のシーンはそれが露わになるクライマックスで、涙なくして観られなかった。
序盤は普通のスパイサスペンスだと思っていたので、やけに何度も出てくる家族のシーンに、テンポ悪いななどと考えたりもした。
しかし守りたい家族の描写なしにグレヴィルとアレックスの関係は語れない。
過度な改変が出来ないので、実話ベースの作品の多くは盛り上がりに欠けることが多いけれど、本作は起こった出来事以外のところに焦点を当てて実に見事に物語を組み立て、ドラマチックさを生み出した。
事前の想像とはかなり違って、面白く感動的なのである。
面白くてあっという間
ペンコフスキーに待望の男の子ができた時点でフラグたってた
ウィンとペンコフスキーの友情、ウィンと奥さんの獄中での会話に涙
1年半はきつすぎ
ふたりのおかげでキューバ危機乗り越えたと
カンバーバッチの役作りすごい
女優さん美人
友情
ロシアのスパイと機密情報の運び屋の友情にかなり熱く感動しました。
ラストの尋問室での対峙は静かな迫力に圧倒されました。
実話に基づくストーリーだけに、重みがあり凄みを感じました。
また、平和のためのメッセージ性もあり、ものすごく好感の持てる映画だったと思います。
主演のカンバーバッチ以外は、あまり知らなかった俳優さんですが、少人数ながら各個人に個性とそれぞれの役どころの信念が垣間見れて楽しめました。
え?ワタシただの商い人でっせ
とことんリアルにこだわった演出で
最後はお上に捨てられ一応助かるけど
そんな一般人がおおごとに巻き込まれていく
カンバーバッチを絶賛したい。
この人はやはりスーパーマンではなく
等身大の人間性がにじみ出る演技がいいね。
70点
TOHOシネマズ二条 20210928
❇️スパイ活動はメンタルやられる‼️
クーリエ 最高機密の運び屋
1962年🇺🇸アメリカ、🇷🇺ソ連のモスクワ
🇬🇧イギリスのロンドン
実話に基づく
1960年代にソ連とアメリカの核兵器保有戦争が水面化で駆引していた。冷戦時代。
第三次世界大戦?核戦争勃発寸前でアメリカはソ連の情報を知りたく、一般の会社のイギリス人男にG RU(ソ連軍参謀本部情報総局)高官で戦争を中止にしたい亡命希望者との橋渡しをさせるCIA(アメリカ中央情報局)とMI6(英国秘密情報部)
家族を大切にしていた主人公はスパイ活動の重大さに重たいプレッシャーを感じていく!
◉82D点。
❇️スパイ活動はメンタルやられるね。
★彡家族の為?お金の為?戦争阻止の為?
キューバ危機を裏で防いだと思われる勇気ある妻子ある男の友情実話ストーリーでした。
🟢感想。
1️⃣ソ連の雰囲気を、存分に味わえる。
★彡ソ連の底知れぬ怖さと、冷戦の雰囲気を味わえた。
2️⃣こんな大役携わる事が怖すぎる。
★彡🤮リバース覚悟で任務遂行⁉️
3️⃣主人公(カンバーバッチさん)の行動がメッチャカッコいい❗️
★彡時間を費やした地味に見える前半がここで生きてくるのが良かったです。
4️⃣家族と仕事の狭間でもがく主人公に共感しかない。
★彡『俺はあなたの苦悩がわかるよ〜』と言いたくなる辛いストーリーでした。
5️⃣第三次世界大戦始まる直前!!!!
★彡最悪の事態に突入!ひみつです。🤫
💮ラストに映る主人公ウィンの実際の映像がカンバーバッチさんと似ている事に驚いた。
★彡本人に近い外観に役者魂を感じました。
こんなことが本当にあったとは。 実話ベースのため、控えめな演出。 ...
こんなことが本当にあったとは。
実話ベースのため、控えめな演出。
映画としての面白さは少々物足りないが、そこは実話としてエンタメに走りすぎず誠実に作られたのかもしれない。実話として、すごい話。
ラスト30分の恐怖
本来、スパイって銃を撃ち合ったりカーチェイスしたりすることなんてほとんどないものです。インテリジェンスなんてマスコミ報道、政府広報などの公開情報を丹念に読み解いて分析していくものです。 この作品は、そういう、本来のインテリジェンス、泥臭くて地味で静かで細かい情報をやりとりすることに終始する流れで、キューバ危機を巡る米英ソの諜報を静かに表現して行く流れで物語は進みます。 しかし、タイトルにしましたが、ラスト30分は恐怖というか自分じゃ無理だという思いでみつめていました。そういうところも含めて、主役のグレヴィルを演じたカンバーバッチの演技、体型含む役作りそして尋問等の演出はやや薄めかもという思いはありますが、素晴らしいものでした。 ともかく、カンバーバッチの演技、グレイヴィルの戸惑いから使命感、そして友となった者を命をかけて守ろうとする心情、行動に引き込まれます。
観られるうちに是非、多少の覚悟をもって鑑賞下さい。
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