ベル・エポックでもう一度のレビュー・感想・評価
全31件中、21~31件目を表示
現実と仮想の世界が交錯する。
自分の行きたい時代と場所を映画のように再現し、追体験できるというサービスを使って、妻との出会いの時を再現したヴィクトルの様子を、コミカルに、時にシリアスに描くユニークな作品。
ヴィクトルは再現された過去の世界に浸るうちに、妻を演じた女優マルゴに想いを寄せ、マルゴを追いかけ始める。
ヴィクトルはその現実ではない世界が忘れられず、別荘を売ることでお金をつくり、続きの世界を再現していく。
マルゴを女優として働かせるアントワーヌは、マルゴを愛しており、ヴィクトルとマルゴの関係を疑いはじる。
ヴィクトルの妻マリアンヌは、仕事を失い冴えないヴィクトルを家から追い出し、ヴィクトルの知人である不倫相手と新しい生活を始める。
各人がそれぞれの思いで感情的に行動し、最後は現実の世界へと戻って行くが、結末はいかに…。
映像は美しく、ストーリーはテンポよく進んていく。ぜひ、映画館で観てほしい。
ありそうでなかった仕掛けが実験的だった。
セラピーって、フランス人(パリ在住のスノブな人たち限定)の伝統芸という印象。それを糧として稼いでいるらしい妻が、私生活ではテスラの自動運転とVRにハマり、アナログ派の夫に文句タラタラってなんだかなあ、と思った。夫を追い出したドアに貼り付いて泣いていた妻。自己嫌悪の涙だ。、、、というわけでそこからも復縁への道のり物語であることは冒頭からわかっていたはずなのだが、、、主人公と一緒に暫しいい夢見せてもらいました。
時代は違うわけだけど、タイムマシン物として見ると、ついついウディ・アレンの「ミッドナイト・イン・パリ」の出来と比べてしまいやや消化不良。じゃあ自分だったらどの時代に戻りたいかなあ、と思案してみたけれど、なんかうまく思いつけなかった。
主人公の描くイラストがすごくキュートだった。「退屈な」息子の会社で多分「金」になると思う。
フランス映画は詩的。
個人的にフランス映画、ちょっと苦手だったんだけど、この映画も理解の及ばない表現が沢山あって、ストーリーを深く追いかけられなかった。自分の感覚の鈍さに落ち込むと言うか、やっぱりフランス映画は難しい…。
解説を読むと、年配の元イラストレーターが、倦怠期な妻との関係を取り戻すまでのハートフルなドラマかと思ってたけど、やに図らんや、確かにそれもあるのだけれど、もう一組の男女、主人公の過去を再現している脚本家と、若かりし頃の妻を演じている女優との恋の行方も同時進行に描かれています。
こっちがメイン?と思うほどちゃんと描かれていて、言うなれば、二組の男女の恋の行方は如何に、のお話しでした。
なかなかユニークで夢のある映画です。
良かった頃の思い出と
仕事も失い、妻からも追い出されたおじさんが、過去を見事に再現するタイムトラベルサービスを利用し、変わっていく物語。
主人公のおじさんは、どうしようもない現状にウンザリし、運命の人と出逢ったあの日をもう一度・・・と、このサービスを利用するが・・・。
オシャレで愉しく、少し切ないフランスムービー。
懐古主義だなんだと言われそうなサービスだけど、思い出は宝物とは言ったモノで、良かった頃を思い出せば良い今を作りだせる、ってのはあるかもしれませんよね。
登場人物は控えめに言っても問題児が多い。突然喧嘩したかと思えば、何故そこで仲直り!?みたいな展開は数多し。でも結局バカンスは終了??
それでも、大切な人の言葉は自分を変えてくれるんですねぇ~。話すのは借り物の言葉でも、流れる涙は本物・・・ですか。グッときましたね。
最後は名シーンでした!
ちゃんと覚えていたんですね。それでも、ただの懐古だけではなく、しっかりと「今」を描いているのが素晴らしい!
そして一瞬映る切なさがまたどうしようもなく美しく、それでいて男臭くてグッドでした。ホロ苦い笑みがプロの業!
変わることと変わらないことの大切さを、オシャレでユーモアに教えてくれる作品でした♪
疲れてウトウトしてた状態で観てしまったので、またしっかり観たい。。
歳は自分で決める。私は、18歳だ。
フランスのブルジョアが、金にものをいわせて、"オーダーメイドの時間旅行"を楽しむ。クライアント側も、雇われた役者陣も、再現性の高い映画セットさながらの"空間"と"時間"を、配役になりきって忠実に演じる。
はじめ、悪趣味だと思った。金持ちの"プレイ"にしか見えなかったからだ。そこには、嘘しかない。過去の美化された思い出をやり直す、いやらしい自己満足にしか思えなかった。
それが、どうだ。ヴィクトルは、どんどん活き活きとしていくじゃないか。それは、そこに喜びがあるからだ。嘘を本物に変えようとする情熱があるからだ。ところがある時に、自分のとってかけがえのないものに気づく。ノスタルジックな感情がそれを思い出させる。長年当たり前に手にしてて忘れてしまったものに。
ああ、なんて若さ溢れる老人なんだろう。ヴィクトルの気分は、まさに今18歳なのだ。ネガティブな事実なんて、かるく吹き飛んでいく。妻の情事なんて些細な事にしか思えないのだ。そしてその強い思いは相手をも動かす。だって、もともとヴィクトルはイラストレーターとして才能に恵まれ、人を魅了してきた男なのだから。見直して当然なのだ。
時間旅行をすることになったきっかけも、思いやりを感じた。その結末にも、愛があった。
萎びて、しょぼくれた男女にとって、もし捨てるほどの金があるのなら、こんなビジネスが実在しててもいいかもしれない。ただ、みんなこんな結果を手にするとは限らないが。
伴侶を見つめなおす時
やっぱり若いほうがいいわけね。
この映画はマルゴを魅力的だと感じられるかどうかにかかっているかと思われます。
男性向け、というか女性が好きな人向けの作品。
とても愉快な作品で、楽しく鑑賞できる
本作品のタイトルと同じ「ベル・エポック」というシャンパンがある。日本語で言えば「いい時代」となるのだろうか。花柄の洒落たボトルに入った大変に美味しいシャンパンで、癖のないスッキリした味わいは忘れられない。
本作品も同名のシャンパンと同じように洒落ている。この世は舞台で人はみな役者だという言葉はシェイクスピアだっただろうか。人生はいつ何が起きるかわからない。いつも絵を描いている店で、初めて逢った女に求婚されないとも限らないのだ。それは楽しいことだろう。
個人にとってのいい時代とは、輝いていた時代、最近の言葉で言えばピークということになるのだろう。我が身を思い返せば人生のピークは子供の頃か、または高校生の一時期くらいかもしれない。本作品のヴィクトルのように社会人になってからの一時期が人生のピークというのは羨ましい。
前半は微笑ましい本作品だが、後半になるとどこからが芝居でどこからが現実なのかの境界がわかりにくくなる。ほぼドタバタ喜劇だ。これはフランス人らしい洒落だろう。この世は舞台で人はみな役者なのだ。
とても愉快な作品で、楽しく鑑賞できる。鑑賞後には、どこかの粋なビストロでベル・エポックが飲みたくなった。しかし世界はコロナ禍の真っ最中だ。銀座といえども飲める場所はどこにもない。しょうがないから酒屋で買って家で飲むか。結構高いんだよな。給料は減るし、シャンパンも飲めない。この世はコロナ禍で人はみなトホホなのだ。
【ウイットに富んだストーリー】
ウイットなんて言うと、枕詞に「フランスらしい」ってつくケースが多いように思う。
僕の勝手なイメージだ。
そう考えて、もっと上手い表現がないものか思案しても、それに代わるものは思い付かず、やっぱり、「フランスらしいウイットに富んだ作品」と言うところに落ち着いてしまう。
作品は、ストーリー全体を通して、「分かる」ような気にさせられる。
失いそうになって、いつかの、そして何処からかやり直したいと思う瞬間。
でも、分かっている筈だ。
そんなことでは結果は変わらないことを。
仮に相手の気持ちが再び戻っても、実は自分自身の気持ちが冷めてしまうことだってある。
過去の良い瞬間を呼び起こしても、今を知ってしまっているのだから当たり前だ。
どんなに年齢を重ねようと、人は新しい何かを求めるのだ。
だからこそ、人生はやめられないのだ。
だから、マフラーを拾いにいかないのだ。
それが答えだからだ。
Suzeは今でも現役ですよ!
時代の流れについていけないイラストレーターのおっさんが、運命の人との出会いを再現した世界にのめり込む話。
様々な時代の様々な場所を再現し、その場所に行った様な疑似体験を提供する時の旅人社に、息子はとっくに独り立ちし嫁と二人暮らしだが、若返りに執着する浮気妻に見限られ家を追い出されたオッサンが運命の人と出会った1974年5月16日リヨンのカフェ、LA BELLE EPOQUEの思い出を再体験するべく依頼をし巻き起こって行くストーリー。
文字にすると面倒臭いけど、日本で言えば、役者とセットを完璧に作り込んだ栃木の某江戸村体験。但し、時代と場所は客のリクエストによる。という感じかなw
当然ながら登場人物は知らない訳で、自分の思い出を再体験となると、雰囲気だけで似て非なるものでは?と思ったけれど、そこはイラストレーターという想像と創造のお仕事をしていた主人公だけあって、簡単に受け入れたみたいですね。
そして、もちろん現実ではないと判りつつのめり込む主人公。
延長料金は高いけど、人件費考えたらpayできますか?なんて中盤までは考えも過ったんだけどね…その世界の主演女優や実の嫁がノッてきてからはドンドン世界観に引き込まれる。
そう、疑似体験にのめり込む主人公と一緒ですね。
主人公も迷子になりかけたけど、終わってみたら想いを吐露し、現実世界に繫がる物語になっていて、ほんわり温かく切なく優しくてとても面白かった。
それにしても、Por una Cabezaは名曲だ。
不思議な映画
入りがすごくもたつくんだよね。1974年を再現したセットにいく映画だから、早く1974年にいってほしいんだけど、事情説明が長い。そこをもたせるためもあると思うんだけど、時系列をいじってくるのね。これについてくのが少し大変。
ようやく1974年の状況になってからは、普通に流れてくのね。1974年あるあるなんかもあるんだろうと思うけど、フランスのそのときの状況知らないから、そこは解らないけど。
主人公は奥さんとの出会いの場面を再現すんのね。そこから、奥さんを演じる女優と主人公の恋愛模様と、女優と社長の恋愛模様のダブルドラマになってて面白い。
主人公も、若い頃の奥さんが好きなのか、目の前の女優が好きなのかが、二重写しになってて面白いのね。
そして、ラストは、現実では主人公を追い出して、不倫中の男との再婚を考えてた奥さんが、「やっぱり主人公がいいわ」ってなって1974年に来るの。
ここで主人公の顔が浮かないのがいいね。主人公が好きなのは、1974年の奥さんなのか、それを演じた女優なのか、いまの奥さんなのか。そこを描ききらずオープンエンディング。
仕掛けが多くて、そこが面白いとも言えるし、だから観づらいとも言えるし、良い作品なのか解らない不思議な映画だったよ。
あの頃の思い出に恋をして
主人公のヴィクトルは時代においていかれここ数年まともな職にも就けず。妻のアントワーヌにも愛想つかれしまいには家を追い出され浮気もされる。
そんな居場所をなくしたヴィクトルが映画の撮影セットで自分望む場所を体験できるサービスに没頭するストーリーである。まぁ予告で映る通りの内容である。
もちろんヴィクトルが選んだ時代は妻のアントワーヌと初めて出会った時代場所である。当初はその時の思い出に浸りその思い出に恋をしていたのだが没入していくうちに段々とアントワーヌを演じる役者に恋をしてしまう。そこで役者から現実を突きつけられて再度悲しみに暮れるところに最後は妻もこの体験サービスの場に登場し2人であの頃の思い出に恋をし二人の仲を取り戻す事となる。
最後の妻もこのサービスを利用して2人であの頃の思い出を共有するシーンは素敵なんだがそれまでの過程が個人的にはピンと来ず面白さを感じない。
あまり過去にこだわったり振り返ったりする性格ではない事やこういう擬似体験にどこか不好みなところがあるのが原因かもしれない。
このサービスにハマり別荘まで売ってとにかくお金を注ぎ込むヴィクトルの姿が途中からキャバクラの様な場所にハマってしまうおじさんに見えてしまった。
決して悪い作品ではないけどまだまだ人生が未熟な自分には早かったのかもしれない。
ヴィクトル夫妻の様に人生を重ね、大切な思い出時代を持っているとより作品に没入し楽しめるのかな。
個人的にはこういうサービスが現実にあってもおそらく興味はないと思う。
全31件中、21~31件目を表示