「全てのひとに固有の権利を尊重する」モーリタニアン 黒塗りの記録 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
全てのひとに固有の権利を尊重する
憲法には但し書きはない。憲法が人権を保証するのに、terms and conditions はない。
人権は優しさとか思いやりとかじゃないって100万回言っても日本の人には理解されない。このような激烈な人権侵害、それに対する戦い法廷闘争を見ればわかること。グアンタナモに拘留されていた911関連の収容者については断片的に知っていたが今も多くの謎がありその一端を行き詰まるようなこの事実、本そして映画として強く告発されていることに敬意を表したい。、ブッシュとラムズフェルドは論外だがオバマ政権になってもさらに7年拘留延長されていたことへの驚きだと残念さ。文書のシステマティックで厳格な管理、、これも日本にはなさそう。
小さな隙間から見える景色、情報、漏れ聞こえる音を丁寧に時に苦しい中でも逃さず自分の中に取り込んでいたモー。看守ともやがて少しばかりの体温レベルのつながりができる。冒頭のモーリタニア砂浜、テントの中の結婚式、車で連行される夜の街灯に佇む母親、キューバの眩しい空、取り調べ室の冷たい蛍光灯、窓のない独房、房から出た時の眩しさ、ラムズフェルド案件として異常な拷問が始まった時の点滅する蛍光灯、運動場から仰ぐ青空、隙間から漏れる光、、眩しい光の中で思う故郷モーリタニアの海、家族たち。エンドロールで出てくるご本人の映像や写真、明るくて諦めないユーモアも信仰心も忘れない素敵な人自分の人生を切り開きみずからを救った人となりがよくわかる。
助手のテリは最初は思いやり、優しさ、憐憫という感情からモーを信じ支援しようとする。ジョディフォスターえんじる人権一筋な弁護士はその人が有罪かどうか罪を置かしたかどうかに関わらず人権はいかなる場合にも如何なる個人にも等しく例外なく尊重されなければならないないと。
その人を死刑にすること、テロに勝つことを命題に担当するも法律が人権が守らめないことに驚き行動する軍人。
テロとか、人権とか、多分に気分、いや集団的怠慢と狂気により偏った世論や気分が形成される。最初感情に流されがちなテリも、911で友を亡くした軍人も。
それにしてもこのような作品、書籍を映画化し、それをジョディやカンバーバッチのようなスターが堂々とやってくれることがすごくて、日本もこうなってほしい。
そして全く人を人と思わないような酷いことが世界中でアアメリカでも日本でもどこでも連綿と続いていること、なんか映画見ながら、あまりにもダメな社会に好すぎるから死にたくなる。
ジョディフォスターが良い。とても良い。