「キューバしのぎ」モーリタニアン 黒塗りの記録 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
キューバしのぎ
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中国やロシアの言論弾圧、不当逮捕などが問題になっているが、“民主主義”同盟を標榜している国がこんなことをやっていては、何をか言わんやである。そもそもアメリカの司法が及ばないグアンタナモ収容所というのは、一体全体何なのか。友好国でもない他国にそんな基地を置いていること自体がおかしな話だ。
同時多発テロは唾棄すべき暴虐だが、その復讐のためにアメリカが引き起こした行動の結果はその何十倍もの犠牲者を出している。そのあたりはアメリカンインディアンに対する騎兵隊のやり方と変わらない気がする。
映画としては、ようやく裁判にこぎつけたところで、検察と弁護側の攻防が描かれなかったのが物足りなかった。交替した検察官がどのような主張をし、弁護人がどう論駁をしたのか。そのあたりがミソのはずなのだが。
この映画を見た範囲で言うと、理不尽な拘禁と拷問は当然非難されるべきだが、テロ実行犯のリクルーターという容疑については不透明にも思えた(むろん疑わしきは罰せずなので、釈放は正当だが)。最後のシーンは「真実の行方」のエドワード・ノートンがちょっと脳裏をよぎった。
それにしても、収監中の容疑者に提供する推理小説の最後の方のページだけ切り取っておくとか、やることが大人気ないし性根が腐っている。
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