「憎しみの連鎖の果て」モーリタニアン 黒塗りの記録 哲也さんの映画レビュー(感想・評価)
憎しみの連鎖の果て
9.11はやはり憎しみの連鎖の帰結だったのだろう。複雑に絡んだ国際社会の欲望と思惑と過ちが、数々の悲劇と、憎しみを産み続けた。
信仰は人を強くするのだろうか。信仰は平穏をもたらすのだろうか?
現代に溢れる紛争や殺戮が、宗教の違いに根ざしていることを考えると、疑問に思わざるを得なかったし、今でもちょっと疑念がある。
しかし、この物語の主人公モハメドゥは絶望的な環境を乗り越えた。それは弁護士ナンシーとの出会いなど様々な要因はあるが、やはり彼の心の中にある信仰の力に依るものが大きいだろう。考えさせられた。
ナンシーが疑念を抱かなければ、この国家の犯罪は世に知られなかったかもしれない。しかし、一旦明るみに出れば、真実を追及するシステムが機能する国なのかもしれない。
当時ネオコンと呼ばれた米国の政治家達は、歴史に断罪されなければならない。そして、憎しみの増幅と分断を好むかのような米国前大統領は(未だ影響力を持っているようだから)警戒しなければならないと感じた。
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