プロミシング・ヤング・ウーマンのレビュー・感想・評価
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スーパーウーマンではない主人公の復讐
復讐の鬼となったスーパーウーマンがメチャクチャに復讐する話かと思いきや、さにあらず。
主人公はエロ目的のダメな男たちに軽いお仕置きでトラウマを与えていくだけ。
そしてなぜ彼女がそんな事を繰り返しているのか…
その謎がだんだん明かされていく。
スーパーウーマンではない主人公の復讐方法とは…。
元カレに向けた最後のメッセージがステキ。
いっぱいメジャーな作品が上映されてんだけど、ついつい打ち切りになりそうな映画から先に観ちゃうのよね。
復讐だけでなく回復の物語
人の痛みってものはその当人でなければ本当の共感はできない気がする。ましてや立場が違う人であればなおさら。だから女性がつらい目にあう話は、男の自分には真の共感はできないと思っている。共感できると思い込むことの危うさの方が怖い。でも、できる限り共感の努力はしたい。
本作の主人公キャスは1人バーでへべれけになって、誘ってくる男性を説教?する日々を過ごしている。なんでそんなことしているのか?が序盤の引きとなっている。アメリカらしい状況とも言えるが、日本でも後に事件として発覚しているケースもたくさんあるから全くないわけではなさそうだ。無理矢理ことに及ぼうとしなかったヤツには少し優しめのお叱りだったのがちょっと面白い。
やはり観ていて感じたのは、加害者と被害者の事件の受け取り方の違いや、記憶の違いだ。痛めつけた方は、悪気はなかった、ただのお遊びだ、若かったからと言い張り事件そのものの記憶もあいまいになっていくが、傷ついた方はそんな簡単な言葉ですませられることではないし簡単に忘れられるものではなかったということ。これ、すべての加害と被害でありがちで決定的な違いだ。
正直、キャスは傷つきながらも復讐を果たしてスッキリさせてもらえるのかと期待していた。期待通りのスッキリはなかったが、なるほど!と心の中で唸ってしまった。そしていろいろと考えさせられた。最後、ライアンにあてたテキストが切ない。
ちなみに英語圏の顔文字は横になっている顔が多く意味がわからないので、観終わって最初に調べたのが「;)」の意味。汗を流している顔ではなくウインクしている笑顔の意味だった。その前の言葉と合わせると余計に切ないじゃないか!
ライアンと再会しなかった方がよかったかも⁇
怒りで涙
カサンドラという名前からしてもうpromissingでないだろうと嫌な予感がした。
交差点どころか車一台走っていない真っ直ぐ田舎道、運転席に女一人というだけで強気に難癖つける男のシーンで私の怒りは最高潮に達した。バックにはワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」が流れていた。
甘くて可愛い色彩(母親からの誕生日プレゼントの色にも衝撃を受けた)を身に纏いつつ低い声で冷静な頭と眼差しのキャシー。彼女にとってニーナは、トリスタンとイゾルデのように自分であり自分の一部なんだ。
絵にかいたような「エリート」達:男は高身長・金髪・白人・ハンサムで筋肉あり。小柄な女を押さえ込むことなんか簡単にできるだろう。女はそういう男側にいてぬくぬくと傍観者で荷担者で男と一緒にすぐ「忘れる」。このテーマ全然古くないから!
脚本は勿論、映像、色彩、音楽、ヘアメイク、衣装、セット、キャスティング全てが良かった。
メッチャ、ビシバシやられてペシャンコにのされた気分を心底味わえる哀しき大傑作なのだ
相変わらずキャリー・マリガンは可愛い
刮目して鑑賞することをおすすめする
映画やドラマをたくさん観たり、小説をたくさん読んだりすると、物語に慣れてくる。そしてストーリーがある程度読めるようになる。すると次はこうなるのかなと、展開を予測しながら観たり読んだりする。それが割とよく当たる。水戸黄門みたいな予定調和のストーリーはほぼ100パーセント当たる。当たると気分がいい。水戸黄門やドクターXが根強い人気なのはそのためだ。行きつけの店の定番メニューみたいに期待を裏切らない。
ところが本作品のストーリーは、当方の予測が悉く外れた。違和感がいっぱいで胸がモヤモヤする。それはとてもいいことだと思う。水戸黄門を観ても、あとに何も残らないが、本作品は鑑賞後に引きずるものがある。疑問はたくさん残るし、細部がよくわからなかったシーンも結構ある。すべて製作側の意図だと思う。なかなか凝った作品だ。
しかし主人公キャシーの動機が少し弱い気がした。そこまでやるほどの友情がこの世にあるのかと疑ってしまう。ただ、同じ疑問を登場人物も持っていて、キャシーに忠告したりするところが面白い。どこまでも人を食った作品なのだ。
そしてキャシー自身も医大中退以降の10年間に別れを告げて新しい一歩を踏み出すかに見えたのだが、本作品は主人公に冷たい作品で、キャシーを苦悩に追いやる。そこから先の展開が破天荒で、当方には予測どころか、想像すらできなかった。
あるシーンでは、昨年5月に警官に膝で首を圧迫されて死んだジョージ・フロイドの事件を思い出してしまった。理不尽な死だ。本作品でも理不尽な死がテーマのひとつになっている。無法者に対する怒りと、理不尽な死を遂げる悲しみ。怒りと悲しみの両輪がキャシーの行動の源になっている。
必要なシーンが上手にバランスよく鏤められているから、すべてのシーンを見逃さないように刮目して鑑賞することをおすすめする。それぞれのシーンが無意識の中に残って、いつかそれらが昇華されて新しい物の見方をひとつ増やせるかもしれない。
ふむふむ、おもしろい
まあまあな作品
アカデミー賞いろいろノミネート、納得。
男の描写がこれでもかってぐらい露骨
生温く無い本気の甘辛映画
"いまひとつカタルシスを感じない"映画
ポスタービジュアルからもっとポップなイメージ満載の作品かと思ってました…スーサイド・スクワッドのような…けど、違った。
あらすじからもっとスプラッターな猟奇的な作品かと思ってました…けど、違った。
男に復讐しまくりの凄惨な作品かと思ってました…けど、違った。
→この作品にこんなイメージをお持ちの貴方…スルーしても良いかと…笑
*ストーリーは意外にシリアス…けど、主人公にいまひとつ感情移入が出来ないのは、その復讐の理由が結構もったいぶらせる割には、よくありがちな物語で驚きがない…ちょこちょこ入るアメリカン・ジョークも、なんか今ひとつよく笑えない(アメリカでは爆笑してそう)。
*エンディングへ向けて、物語に色々と伏線を敷いてあるんだけど、別に感動もカタルシスも感じないラスト…。
*ロッテントマトの評価は高いので、気になる方はどうぞ!笑
これが脚本賞?わからんなー。
僕は満足できなかったな。王道の展開にもかかわらず、味付けがイマイチ。どっちつかず、ツッコミ切らないし、詰め甘いし、とにかく作品の色が最後まで見えなかったです。
脚本賞って、どのあたりが評価ポイントだったのかな?わからん。人間関係と途中で立つフラグで、結末の展開わかってしまいますし、一番大事なキャシーの心情の描き方と、問題の出来事の描写が弱いので、彼女の行動の結末にいまいち納得いかないんですね。
え?何したいの?
それでいいの?
は?許すの?
じゃ、それ、やる意味ある?って。
結局のところ、ラストありきの途中展開だったなーって、クライマックスでガッカリしてしまった僕がいたのです。
本作の題材って、架空ではなくキャンパスナントカって言葉を聞くくらいに、明らかに問題になっているモノだと思いますから、僕としてはあくまで個人的には、ファンタジーっぽい味付けよりは、肝を冷やすくらいに仕上げて欲しかったな。
螺旋のように絡み合う要素
たしかにすごい脚本。
ポスター等に「復讐エンターテインメント」とキャッチコピーがあるが、「復讐スリラー」とか「フェミニズム・サイコサスペンス」とかが適切かと。
前半は少々ダラダラ進むのですが。
中盤、将来を嘱望された元天才医学生が、何故大学中退して、チンケなコーヒーショップのバイトをしているのかが分かってからの、怒涛の展開に圧倒された。
ともすれば暗くなりがちなテーマなのに、軽妙。
単なる復讐ものでなく、社会的な問題を指摘し、さらに恋愛ものの要素が螺旋のように絡み合い、物語を重奏的に深めていた。
そして、シーンごとの効果的音楽の使い方。
主演のキャリー・マリガンのころころ変わる瞳にも魅了された。
憂いと悲しみと、恋の悦びと、烈火の怒りとが次々に入れ替わる。
ノミネートだけで終わったが、これがアカデミー賞作品賞だったと言われても不思議じゃない。
脚本賞なのは納得。
オチはネタバレ絶対禁止!
(ただ、自分には何作か似た終わり方の旧作から推測はついてしまったのですが、そのタイトルも挙げるのはやめておきます)
女優として以上に、監督・脚本家としてのエメラルド・フェネルに注目していきたい。
テーマは重いが展開が小気味よい復讐劇、で結局
「こういう落としドコロなわけね!」と舌を巻くラストに向けての展開でした。ある程度は予測がつくものの、やっぱり負け(?)ました。悲しみと悔しさと痛快の共存。
キャシーのヘアメイク、自宅のインテリア、ボーイフレンド候補の雰囲気、全て時が止まったかのような、というよりずっと時を遡ったかのようなオーラを放っていました。全ては、ある出来事に魂を奪われてしまったキャシーの心象風景のメタファーなのかな、と思いました。
ネタバレになるのでこれ以上書けませんが、小道具の使い方も色々スパイスが効いててよかったです!
途中、「30歳にもなる娘がいつまでも実家に居続けるなんて(変)」、みたいな親のセリフがありました。が、一般的に日本のみならず、最近では家賃も高くて職にもつけずパラサイトしているアメリカの若者も多いと聞きます。(全くの余談ですみません)
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