「本当の意味で「補助輪」が外れたのかな」スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム アイダホさんの映画レビュー(感想・評価)
本当の意味で「補助輪」が外れたのかな
正直に言うと、MCUのスパイダーマンシリーズにはどこか「緩さ」「温さ」を感じていたところはある
マーベル映画よろしく、ヒーロー活動というよりはこう、自分たちのやらかしの後始末をする作品で、他のヒーローからのサポートも手厚い
ただ今回は、やらかしの後始末ではあるんだけど、ピーターが代償を払い、手痛いしっぺ返しを食らうことになる
本当の意味で補助輪が外れて、独り立ちするまでの最後の試練といった感じなんだろうか
懐かしのスパイダーマンのヴィランたちが登場するのは結構嬉しかった
マルチバースを越えてグリーン・ゴブリンにドック・オクにサンドマンにリザードにエレクトロに……
彼らを殺さず普通の人間に戻すために色々と策を練るわけだが、悉く失敗しピーターもボッコボコにされる
そこに来た援軍は、まさかのピーター
ライミ版、アメジング版……と3人のスパイダーマンが勢ぞろいするわけ
これはもうテンション爆上がり
もちろんアベンジャーズエンドゲームのアッセンブルもよかったけれど、またそれとは違う感動があった……
まさかまたトビーのスパイダーマンがみられるとは
何気にウェブシューターの有無がネタになっていたり、クロスオーバーならではの小ネタも拾ってくれている
で、協力してなんとかヴィランズを救うわけだけれど、結局最初のピーターのやらかしでつながってしまったマルチバースを閉じるために、全ての人間からピーターに関する記憶を消すことになる
恋人も友人も、トニーの遺したものも、文字通りすべて失って、たった一人になってしまう
ここで思い出すのがライミ版スパイダーマン2のメイおばさんのセリフ
「ヒーローは常に他人のことを考え、一番欲しいものをあきらめなくちゃならないこともある」
MCU版のピーターも、欲しいものを諦めて、他人のためのヒーローになるんだなと…
手作りのスーツを着て無線を傍受して、ボロアパートの窓から飛びだっていく
そうだよこれこれ……いやでもそこまで全部失わなくてもよかったんじゃないか?とか色々思いつつ、一人のヒーローになったスパイダーマンを見て感慨深くもあり寂しくもあり……応援したいなと思えた
続編はやるらしいけれど、この余韻を壊さないものであってほしいなと願う次第