「スパイダーマンシリーズの「つまみ食い」でも十分に感動できる一作。」スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5スパイダーマンシリーズの「つまみ食い」でも十分に感動できる一作。

2022年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『スパイダーマン』シリーズは、トビー・マグワイア版と『エンドゲーム』(2019)などアベンジャーズの流れで観た経験が全て、といった程度の「つまみ食い」観客であるにもかかわらず、本作は十分に感動的でした。もちろん過去作を観ていれば細部の描写まで意味が分かるんだろうけど、もし過去作の復習をしようとすると、『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』(2018)、『エンドゲーム』まで含めると少なくとも9作品にもなってしまいます。制作陣もシリーズ完結編の興行的なリスクを承知してか、過去作全て追っかけてきたファンに対する気遣い(ごほうび)も欠かさないけど、新規顧客の獲得にも余念がなく、初見でも十分楽しめる作りになっています。

初見(つまみ食い)の観客でも楽しめた要因としては、丁寧な人物描写、特に主人公ピーター・パーカー(トム・ホランド)の、絶対誰も犠牲にしない、という明確な使命感が物語全体を貫いていたことで、たとえ性格な状況の把握は難しくても、少なくとも登場人物の感情に寄り添える、と観客が感じ取ることができた点が大きいのではないかと感じました。

148分という上映時間は決して短いものではありませんが、鑑賞中はその長さをほとんど感じないほど練られた構成でした。一回目にして十分に心を掴まれた作品でしたが、やはり全体を理解するには本作の再見と過去作の復習は必須。しかしそれも楽しい作業となりそうです。

yui