「MCUスパイダーマン終焉、SONYスパイダーマンリスタート」スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム それもどうかなあ。さんの映画レビュー(感想・評価)
MCUスパイダーマン終焉、SONYスパイダーマンリスタート
ネタバレを含む為、未鑑賞の方はご注意を。
歴代SONY印のトビー版・アンドリュー版スパイダーマンを観てきた者としては、興奮必至のシーンの連続で、W・デフォー、A・モリーナ、J・フォックスの名演もあり、各ヴィランの描き方も最高でした。(やっぱヒーロー映画とは言え、この手の名優がヴィランを演じる事で迫力と説得力が全然違いますね。)
スパイダーマンが「シビル・ウォー」でMCUに初参戦した際には、映画化権を持っていたSONYとマーベルがかなり交渉した結果、実現したらしく、その後もトム版スパイダーマンはMCUメンバーとして活躍しまくった訳ですが、本作製作段階の映画関連ニュース記事によると、本作製作に当たってはSONYが製作に難色を示し、一時製作が危ぶまれたのを主演のトム・ホランドも積極的にSONYに働きかけて製作が実現したとありました。
そんな経緯もあって製作された為、予告編でSONY版スパイダーマンのヴィラン登場は明らかにはなっていたものの、チラ見せ程度の登場では?いくらマルチバースと言ってもトビー、アンドリュー版スパイダーマンの登場なんて絶対SONYが許さないだろうし、製作中のトビー、アンドリューに対するインタビューでも2人とも「出演依頼はない」等と出演を否定していたし、色々な大人の事情で実現しないだろうとタカを括って諦めていましたが、まさかの登場!そしてフルに大活躍!と過去のハリウッド映画ではあり得ないコラボを実現してくれました。(凄い情報統制があったんでしょうね、公開までバレないのがスゴい。)
スパイダーマン映画ファンなら感涙間違いない激アツ展開ですが、ラストにはトム版ピーター・パーカーの存在を全ての人が忘れるというプロットを持って来ています。
これによって、劇中の通りハッピー、トム版MJ(トビー版MJも存在する為ややこしい)ら仲間のほか、ニック・フューリー、アベンジャーズメンバーら全てがピーターを忘れる為(スターク社との関係性もなくなる為、スターク社ハイテクスパイダースーツもなくなる。)今後の物語的にはトム版スパイダーマンはMCUからは完全に切り離され、トム版スパイダーが完全SONY印のスパイダーマンの存在になり得た訳です。
ある意味、トム版スパイダーマンがMCUを総括するケビン・ファイギの手腕で大成功し、それを映画化権利を持つSONYがベストな形であらためて手に入れたという構図が見えます。
今後は本作エンドロールでT・ハーディ版ヴェノムが登場した通り、現在進行中のSONY版スパイダーユニバースのヴェノム、モービウスとのコラボによる収益をSONYが見込んでいる事は間違いないでしょう。
本作を製作するに当たって、物語を完全にMCUから切り離す事がSONY側からの製作許可条件だったのではとも勘繰ってしまいます。(トビー版スパイダーマンのヴェノムは本作に登場していない理由も辻褄が合う。)
スパイダーマンもマーベルが産んだヒーローである以上、マーベルの一員として今後も活躍して欲しいところですが、この辺りの権利関係を読み解くとなんとなく興醒めしてしてしまうのが悲しいところ。
ただ本作はこれまでのハリウッドの常識を破るファン大喜びの大作である事は間違いなく、今後もこれを超えるコラボの実現はないでしょうから、是非劇場の大スクリーンで観て欲しいです。