「ネタバレを覚悟」スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレを覚悟
ネタバレを覚悟して書きますが、この映画を象徴するとても印象的なシーンがあります。
ピーターとガールフレンドのMJことミシェル。そしてピーターの親友のネッド。この3人が大学の合否通知を同じテーブルで見せあうシーンです。結果は書きませんが、ピーターは自分がスパイダーマンであることが世界中にバレてしまい、MJとネッドはその親友であることが原因で「炎上」してしまいます。そのことが大学の合否にまで影響してしまいつつも、3人は変わらず友情を持ち続けます。
世界を危機から救い出しながらも、親愛なる隣人を地で行くピーターは、家族と友人を大切にし、手の届く範囲でのボランティア的ヒーローを続けているのです。
でも、それが出来なくなってしまった。
前作のラストで正体をばらされたことで、大切な家族にまで普通の生活が出来なくなる事態になり、また大人の助けを頼ります。
そう。この映画はピーターの成長物語であり、どんなにシリアスな状況になっても、どこかに笑える要素を残してあります。その集大成ともいえるのが本作『ノーウェイホーム』です。その中でも、この3人がテーブルで合否通知を見せ合うという何気ないシーンが、実は映画全体を象徴する核になるシーンなのです。
とにかく細かなところまでサービスにあふれ、これでもかと畳みかけてくるアクションに、オリジナルに忠実なヴィランたちの復活それどころか、隠し玉的にとんでもないサプライズ復活も起きて、そのことをきっかけにマルチバースをも引き受けてしまうという離れ業をやってのけたこの映画。
サム・ライミ版が大好きだった私としては、大、大満足。泣いて、笑って、大興奮でした。
そう。シリーズでも屈指の哀しい別れがありつつも、手を付けられなかった「宿題」にも触れてあり、ピーターたちは確実に成長していきます。
スパイダーマンを好きで、本当によかった。
2022.1.7