「設定」鳩の撃退法 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
設定
かなり入り組んだ構造であった。
面白いなぁと思うのは、その過去がリアルタイムに近づいていく様子だろうか。
創作なのか?回想なのか?そんな疑問を冒頭に抱く。
物語は3年前から始まり、その回想と現在の間隔がどんどん縮まっていき、やがて現在を追い越していく。
結末、つまりは未来を予測し筆を置く。のだろうな、たぶん。あの段階で結末を書いていたとしても書き換える時間はありそうだもんな。
どうやら彼は実体験を元に描く小説家であり「事実は小説より奇なり」を地でいくタイプらしい、そして彼が知らない空白を推理で埋めていくのだとか。
物語は3年前が始まり、その過去から連なる現在が小説の元ネタ。
時系列が行ったり来たりし、尚且つ彼の目線ではないものまで映像化されるのでややこしくはあるのだが、筋を組み立てる楽しさもあった。
映画で観ても面白いなぁとは思うのだけど、小説の方が面白いのだろうなぁと思う。
小説を好む人が「新しい」と思う側面があるのではないかと。2本の時間軸が近づく様子とか、ワクワクするんではないかと。
ただ映画となると…小説ならば、活字ではあるので手記や日記というように映像よりは作者に近い分、臨場感も増すような気がする。映像になってしまうと、演出を介して体験する事になるので、その辺りが歯痒い印象かもしれない。
脚本や世界観は楽しかったものの、映画としては起伏に乏しい感じは否めなかった。
どうしても「過去の羅列」からは逃れられず…特性上、未来を描きにくく、不確定要素への期待感が薄い。それらを推察や推理で広げはするものの…やはり脳内で収まってしまう事象では食い足りなかった。
役者陣は皆様、安定の好演であり、藤原氏のクズ男っぷりが光る。彼としては「異端の天才作家」なのだろうなぁと推察する。
ともあれ、異色であろう原作に果敢に挑んだ作品であると思われる。
なんか映画的には「日付」の提示があっても良かったのかなぁと。創作と現在のタイムラグが短くなっていくとスピード感や緊張感も足せるのかもしれない。
U~3153さん
コメントへの返信を有難うございます。
私もです (^^)
一語一句聞き逃さないように神経を張り巡らせて観ていました 👀
藤原竜也さんの表情豊かな演技も絶妙でした。