「前半段階ではレビューの3.5は低くないか?と思ったが全部見終わると妥当だった」明け方の若者たち you takaさんの映画レビュー(感想・評価)
前半段階ではレビューの3.5は低くないか?と思ったが全部見終わると妥当だった
前半の青春の淡く脆い感じや甘酸っぱい感じの雰囲気作りが上手いなと思い、この系統の作品の中では良作ではという感想だった
初っ端のウェイ系大学生の内定祝い?の中で冷めた見方をした主人公とその場の中では大人に見えた彼女、そんな彼女が携帯を失くしたというありがちなそれで電話番号をゲットして主人公にショートメッセージで「私と飲んだ方が、楽しいかもよ?笑」と送信。
よっぽど眼中にない以外は多分大半の男はこれをされたらのこのこ出ていくだろうなと思う。
主人公と同世代なのでRADWIMPSやヴィレヴァンあたりは結構刺さった。
少し世代が離れていて知らなかったが本作からキリンジさんのエイリアンズにどっぷりハマってしまった。この曲で起きれるのかはさておき、好きな人の好きな曲をアラーム音で聴くというのはエロさと秘密を知れた感があっていい。
最近の10代は着信音で自分の好きな音楽を他人に聞かれるのは恥ずかしいという感性を持っているらしく、1つ文化が死んだなと正直思った。
ゆとり世代が個性を大切にしていたのに対して、Z世代は人からどう見られるかを気にする昭和的感性の没個性に逆戻りしている。
着メロを浜崎あゆみやEXILEや倖田來未などに設定して、ちょっとやんちゃですよ?とイキっていた2000年一桁台が一番面白い時代だった。
申し訳ないが黒島結菜はヒロインに丁度あっていたと思う。大半のシーンがおぼこかったり芋っぽいけれどふとした表情や横顔など要所要所で美人かもと惹きつけられて、作品を邪魔しない程度に惹きつけられる良いヒロインだった。
仲が深まっていくと段々とこのヒロインの子供っぽさが出てきて、初登場時のちょっと大人かもという印象が私の中では崩れてきました。
中盤あたりになると彼女の言動の節々にこいつやばい奴なんじゃないのか?ってのが出てきて、一番気になったのは、主人公がフジロックに行きたいと言ったときに、「やだ、暑いし怖いもん、ナンパとか多そうだし」と答えた彼女、私は「ナンパとか多そうだし?」と正直に思ってしまった。なぜお前がナンパされる前提なのかという。冗談として「ナンパとか怖い」「俺が守ってやるよ」みたいなやり取りだったのならのろけということで良かったがそんな雰囲気のシーンではなかったのでただただこいつの自己評価何?という感じ。
その埋め合わせのように西の海の綺麗なホテルに泊まるが途中から彼女の様子がおかしい。ヒロインの「私が死んでも」というあたりから二人のやりとりもおかしかった。「ダメだよちゃんと生きてね」というヒロインのセリフに対して、主人公が「死んだように生きる」と返した。ここが不気味で彼女に主人公が「君も死なないでね」というのを明確に言っていなかったのがなんか気持ち悪いなと感じてしまった。彼女は死ぬこと前提なのか?
海辺のホテルシーンが終わって連絡が来なくなったあとは彼女が死ぬのかと思ったがそうではなかった。正直序盤の演劇のシーンなんだったんだろうという感じがする。彼女が死ぬのであれば伏線回収になるがブラフかミスリードか全然意味を成していない気がする。
あとは海辺のホテルのベッドシーン無駄に長すぎる。最後は出したのか?それで連絡来なくなったのか?と思ったがそれも違った。
後半部に入った直後、彼女は人妻だということが私たちに明かされる。前半部主人公は彼女が人妻だと分かった状態で逢瀬を重ね情事を行っていた。
この瞬間からどっちもやべぇ奴じゃんという、火遊びに手を出したのに彼女がいなくなったと真剣に落ち込んでるあたりうーんという感じ、こういうキャラに限って献身的に助けてくれる同性の友人がいるのが何とも人生って感じ。
私ならこんなやばい奴と関わりたくないし、人妻と付き合ってて人妻に逃げられることぐらい起こりうるやろって分かるもんやと思うけど。
ここを超えたらほとんど山場もなし、良い友人が気にかけてくれていろんな意味で大人になっていく風な雰囲気で最後失った彼女との思い出を重ねて終了。
正直前半部のアンチ風潮みたいな主人公の態度とか、ベタベタな恋愛の初期みたいな描写は良かったけど尻すぼみが否めない、いろんな経験をして結局丸まった大人になるんだなというのを改めて感じさせてくれる。
この作品で別の意味で面白いと思ったところは実体験と似ている所が何点かあった所、
今回の主人公とヒロインの関係、私が新人研修を受けた際、他社と合同だったがその時26歳人妻が25歳の男と出来たということがあった、26歳人妻曰く「若い時の旦那の横顔と似ていたから」と本作と同じことを言っており、最終的にはその人妻は不倫していることを黙って円満に離婚したらしい。事実は小説より奇なりというのを思い知った。
また、学生時代の友人がねずみ講を誘ってくるシーンがあるが、絶賛弟夫婦がネットワークビジネスに陶酔しており、案の定、「ネットワークビジネスとは違って、この商品めちゃくちゃいいんだよ」とか言ってて、これテンプレすか?言わないと死ぬの?っていう感じ、本作に関しては主人公がねずみ講誘ってきてやべぇってまともなことを言ってたのだけは後半部での評価ポイント。