劇場公開日 2021年12月31日

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「特にダメでも無いし、特に良くも無いのに、こぢんまりして低いところで完成しちゃってるのでもう伸びしろが無い、ベテラン選手みたいな駄作」明け方の若者たち 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0特にダメでも無いし、特に良くも無いのに、こぢんまりして低いところで完成しちゃってるのでもう伸びしろが無い、ベテラン選手みたいな駄作

2022年1月5日
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花束みたいな恋をした、との類似性は色んな人が言及していると思うので、もうどうでもいいです
パクりでも、パクられでも、偶然の一致でも、2匹目のドジョウ狙いでも、何でも好きにしてください

ただ、花束~という定規、分かりやすい比較対象があるせいで、今作は明確に駄作だと分かってしまうのが頂けないなと思いました
花束~がそもそも個人的には決して傑作だと思ってないんですが、これと比較すると脚本や構成やセリフやキャラクターや演技や美術や衣装や演出やアングルやカット割りや劇伴などなど、すべての項目で数段優れているのが明確に分かって逆にそれが面白かったです

今作は中でも脚本が酷いんですが、特に餃子の王将シーンは面白くも無くてその後の伏線にも成っていないダラダラした会話がずっと続いて酷かったです
あと後半の喫茶店で黒島結菜のセリフ「いきなり出張から帰ってきたんだよね」のあと
北村匠海のセリフ「確認だけど旦那さんのことだよね?」
まぁ酷いセリフです
分かりきっているから主語を飛ばしたのかと思いきや、改めて主役に主語を説明させるという……
何の必要性があってこんな冗長で酷いセリフを書くんだろう?
脚本家はちゃんと脚本の勉強しました?
原作そのまま?
とにかく、この程度のセリフは切れる、脚本を作る能力を有するプロデューサーすらスタッフにいないようです

あと、開始15分ぐらいで帰る客がいました
クジラの公園シーンです
恋愛物でオープニングからすぐなのに期待感もないダラッとしたシーンで、黒島結菜の顔も逆光で見えんし、帰りたくなる気持ちも分かりますが、マジで途中で帰る客を久しぶりに見ましたよ

まぁ酷い箇所は数多いんですけど、とはいえリテラシーの低い客にも分かるような明らかな欠点は無いし、その一方で明らかなストロングポイントも無いという
監督や脚本家は若手っぽいのに、すでにこじんまりと完成しているんですよね
もう伸びしろが無いベテランスポーツ選手みたいな人たちだな、と思ったら泣けてきました
若手なのにね……
一カ所だけ、主人公が知ってる情報を観客には編集で強引に伏せる、って手法は欠点なんですけど、反則レベルに卑怯で小賢しい技なので二度としないほうがいいと思います
リテラシー低い客はこれも何にも思わないかもしれないですけどね

上映前に他の映画の予告編と一緒にパルコのCMが流れていたんですが、後で気付いたんですがこの監督さんご本人が出演されていたんですよね
まぁ、若くてお綺麗な女性でしてきっと女優さんだろうと勘違いしていたら監督でしかも元女優さんなんですね
「人より喜怒哀楽の感度は高いと思ってます」
この監督さんが、なんかすごく恥ずかしい自分語りをしてるから笑いましたが
自己評価が高いわりに監督としてはすごく低いところで無難にまとまっていて、若手なのにもう伸びしろないが無いなんてすごい事だと思いました
でも、若くて綺麗な女性だから監督業のオファーはこれからもひっきりなしに来るんでしょうね

東鳩