「二人の浮き沈みは世相の反映か。」さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
二人の浮き沈みは世相の反映か。
作中で時折はさみ込まれるモノクロの映像が、1930年代当時のベルリンの風情なのだと思いますが、先の大戦が終わってから、そう時間(年)の経っていない頃ですから、戦時中の興奮が冷めて、戦勝国から押しつけられた戦後処理の不合理さが、段々と実感されるようになった頃なのでしょうか。
社会全体に押し詰められたような頽廃感が漂う中で、作家・女優という人気によって左右される、ある意味では不安定な立場が、本作の時代背景の不安定さを象徴しているようにも思われました。評論子には。
「人生の浮き沈み」という言葉がありますが、女優として浮き上がることのできたコルネリアと、もがきつつも、文字どおりに沈んでしまったファビアン…その浮沈という厳然たる(当時のドイツ社会に漂っていた?)社会の落差を反映しているかのようで、なんとも胸に痛い一本でもありました。評論子には。
佳作であったと思います。
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talkieさんのコメント
2023年7月8日
マサシさん、コメントありがとうございました。
昨今のコロナ流行で、ずいぶんと閉塞感・行き詰まり感を味わわされましたが、作中のドイツの閉塞感は、どんなだったのでしょうか。そんなことにも思いが至った一本になりました。
これからもよろしくお願いします。