偶然と想像のレビュー・感想・評価
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偶然から始まる想像、あるいは偶然を想像すること
面白かった。非常に良くできた脚本だと感じた。
長いワンカットの会話でずっと見続けられるシーンを撮れているのも凄いし、その先にさらなる展開が待ち受けているのが、見応えがあった。
コントと言われれば確かにそう感じる設定や展開ではあるが、コントというジャンルでは括られない、人間と人間のグシャグシャな感情のぶつかり合いを見ているような感じがした。
きっとこの映画では、このシーンのこのセリフで観客を笑わせようという意図を持たずに、誰もが真正面からぶっ飛んだ登場人物たちを演出し演じていたのだと思うし、だからこそ笑えてしまうような作品になったのだと思う。日常でたまに起きる、ありえないような笑えてしまうことを体験するような感覚である。真面目だから面白い。
ただ笑えてしまうだけではなく、悲喜交々を感じることが出来て、最後は曖昧ではなくちゃんと物語がひとつの結末を迎える構成が秀逸だった。
そして「偶然と想像」というタイトル通りの一貫したテーマ性も感じた。やはり何を主題としているか伝わってくることって凄いことなのだなと再認識した。
各短編に共通して存在する、登場人物がカメラ目線で発言するカットなども効いていた。
ただ、絶対に日常では言わないようなクサイセリフがポンポン出てくるのでむず痒く感じる部分も多々あった。
淡々とした口調が、そのクサイセリフのクサミを取り除いているのか、あるいは増長させているのかは分からない。
素晴らしい映画〝体験〟
ドライブ・マイ・カーでは少し退屈な時間を強いられたのだけど、今作は逆噴射も逆噴射で、謳い文句通りの素晴らしい映画〝体験〟だった!
九条の古びた小さな劇場で、その日ラストの興行に席を満席にした、映画好きの方達と、素晴らしい時間を共有できた!繋がれた!と正に実感できたと、忘れられない体験でした!
「会話にリズムがあるでしょ?」
全編食らった!
1話目
ちょっとダラダラ感のあるタクシー会話はそのダラダラ感が布石でした。まさかそういう話とは。そして、古川琴音ちゃんが可愛い!好き勝手喋りまくって、途中「なんか楽しくなってきた、会話にリズムがあるでしょ?」ときたか!そういう女性に弱いんだよな男は笑
2話目
1話目の終盤に、想像のシーンがあってグゥイネスパルトロウのスライディングドアを彷彿させる未来2つパターン手法だったから、それを踏襲と思いきや、それもなく。ただただ悲しい結末でしたが、研究室での二人の会話は救われる内容で感動。
3話目
これはもう戯曲!笑って笑って、最後に泣きました!最高の終わり方!
総括
日本に生まれて、日本語の会話劇ほんといいなぁ、と思いました!!
クスクスとゾクゾク
三つの短編、会話が中心に進んでいく。
会話ばかりだが、予測不能な展開と、登場人物の人間味に引き込まれる。
時折笑わせられ、観客と一体化している感覚はまるで舞台を見ているよう。
全編通じて、言語化できない、人間の心情を表現しているそんな映画が好き。ゾクゾクする。
そして、カメラ目線が、ドキッとする。話している内容は頭に入ってこないがアクセントになる。
ただ、3話でお腹いっぱい感はあり、最後の方まで集中力が持たなかったところはある。
人との出会い
偶然が生み出した、素敵な出会い、魅力的な出会い、導かれるような出会いに、偶然立ち合わせていただいた、そんな気持にさせてくれる作品でした。
舞台を観るような感覚で、出演者の方々の絶妙なやり取り、対話が楽しかったです。
思えば、人との出会いは全て偶然から始まるんだってことを改めて気付かせてももらいました。
もっと早く会えていたら、と思うような人との出会いも、今会えたからこそ大事な時間をシェアできてるってこともあるよなーと想像してみたり、今楽しい時間をくれている人たちに感謝の気持がわいたり、そんなきっかけをくれる映画でした。
明日も自分をやっていくしかない
偶然の積み重ねで今の自分がある。あきらめも後悔もあるけれど、それでも死ぬまで自分でいるしかない。そんな自分を心から理解してくれる人に出会うのは稀有なことだろう。大事な人と出会えうのも偶然。むしろ偶然でないことなどあるんだろうか。
大事な人と向き合い、自分と向き合う。セリフを読んでいるようでもある言葉のやりとりに集中した。
3話のいろいろな場面を思い返してしみじみ落ち着いた気分になる。明日も自分をやっていくしかない。
演劇というか朗読劇のよう
本当にタイミングが合わず、諦めかけていたけど、奇跡的にタイミングがあって見られました。
柏のキネマ旬報シアター。
千葉県では有名なミニシアターです。
未だに、ひとつ空きの席は良い。空調とかの都合もあるので、公開からだいぶ経つのに満席状態。
周りに袋菓子バリバリうるさくて嫌だったけど、売店でも売ってるし。まあ、こういうものなのだろうと。
映画はとても独特。
たんたんと棒読みさせるのは何故だろう。
会話劇であり、朗読劇のよう。
行間を読む力が試されている感じがする。
最後、どうしてあんなことしたのか?
映画見てから話し合えたら幸せですね。
ストーリーはまさに偶然ですね。
言葉にすれば、結構単純だけど、有り得なそうで有り得そうな偶然。
たんたんと話されると、本を読んでいるようで、逆に想像力が湧く。
そういうことかな?
オムニバス映画なのでひとつの話はとても短い。でも、キャラクターに不思議と感情移入が出来る。切なく、愛らしい。
満腹時に観ると辛いかも。あと、ある程度強制的に集中する環境で見るべきなので、スマホでながら見とかでも辛い。
まさに映画です。単館系の。
朗読劇的会話劇に穏やかに
「スパイ…」「ドライブ…」で濱口監督の映画に遭遇したが、巧みなセリフの言葉選びに、シナリオを買ってしまうほどハマりたい。
所謂紋切り型とされる台詞は、現代を映し出すこういった映画の特徴だよねぇ…ではない、日本人古来の歌詞言葉の、無駄の無い、研ぎ出した台詞達がここにはある。しかも、ずっと笑える。
また、占部房子さん河井青葉さんがキャスティングされた3話は、観終わった私の脳内で、二人で入念に仕込んだ朗読劇にも会話劇にも、コントにも変換され、久しぶりに穏やかに興奮した。
丁寧な言葉と丁寧な会話
最小限のシチュエーションの構成で、カメラアングルやカット割りに余計な演出がない作品。
自ずと会話に集中することができる。
癖のある知的な言い回しの会話は、そんな周りの整えられた環境によって、深い魅力になっていく。
三作品の登場人物は、それぞれに自分の思想がはっきりとある人物だった。
誰が言ってそうで、この人が言わなくても良い事、ということがなく、彼らオリジナルの言葉になっている。
そんな丁寧な言葉による丁寧な会話に浸れる作品。
良質な会話劇に感情が上下左右に揺さぶられます。
いやーはやー。
個人的には「ドライブ〜」がいまひとつで
不完全燃焼だったから、本作でたまりきってた
何かが流れ落ちました。
ハッピーアワーが、大好きな僕としては
本作はどストライク。
一貫して流れるテーマ。
兎にも角にも巧みな会話劇の
練られたであろう脚本
見事な演者
カメラワークの妙
コントみたいに軽快に笑いながら
(人間関係なんて滑稽ですよね)
観ていると心があっちこっちにいったり
感情が上下左右に揺さぶられ
何気に気持ち良い疲労感。
結構、えぐい人間のちょい裏を
描いてるにも関わらず、後味が爽やかなのは
なぜなんだろ?
決して暗くない明日が見えるのはなぜ?
それが人間の逞しさだというのでしょうかね?
最高級スルメ映画。
何度も観て、何度でも噛み締めたくなる。
きっとさまざまな味が滲み出るはず。
全部味わいたいなぁ。
傑作短編集でした。
もっと観たい。おかわり!
まるで小説を読んでいるかのような映画
じんわり心に染み渡る言葉に溢れている。長回しも効果的に使い、濃密な会話の応酬で目が離せられない。
セリフの棒読み、カメラ目線、ズームイン、妄想シーンと、リアリティを追求しがちな昨今の映画業界に一石を投じ、フィクションの可能性にチャレンジしている作品。
まさに観客の想像力で試そうとしている。
ストレートなタイトルで観客の鑑賞体勢を巧みに操作し、偶然を期待させ人間関係を想像させる展開。
各話のタイトルも秀逸。
三作品三様で、それぞれ面白く映画館で声を出して笑わされ、最後ハッピーになれる。
その順番と構成の妙だ。
古川琴音の悪もまた良い。
「すいません、いま来た道引き返してもらっていいですか?」 「そんなに読んでません。」「それはそれで羨ましい。」 「本当のこと言うと、私、あなたの名前思い出せなくて。」
"運命"という言葉が脳裏をうろつきまわる、三編オムニバス。三編各々単独で関連はないが、偶然の重なり合うストーリーを目の前にして、こちらはいろいろと想像を掻き立てる。その予測が裏切られる冷や汗と、快感。
「魔法(よりもっと不確か)」は、古川琴音と中島歩の会話劇の妙。相手のセリフを受けながら、探りをいれつつ発する言葉の応酬。そう、これはLINEではなく、面と向かった会話でなければ成り立たない丁々発止。相手がこう来たらこう返す、まさに対決。相手をまだ好きだからこその攻防戦。言葉で相手を打ちのめし、自分のものにする欲望がはじけて発する、「私と会うための魔法」というパワーワード。古川琴音、侮れない。
「扉は開けたままで」の渋川清彦の存在感の異様さ。あえて平坦なセリフ回しは、キャラを消そうとしているのか、読めない変人を装っているのか。ラストは、バカバカしいミスなのか、天罰なのか。そして女は思うのだろう、こいつも、と。
「もう一度」、抜群にしびれた。たいてい、終盤に予想をひっくる返されるパターンが多いのだが、これはけっこう早めに来る。だから、こっちは身構えていないので結構驚く。で、どうするの?と心配してしまうのだけど、いい感じでこっちの想像がどんどん裏切られる。それは快感だった。時折、涙も流れた。自分の人生を無駄にしたくないけど相手の人生を壊したくない葛藤には共感だったし、「穴」「心の燃え立つものがない」は多くの寂しがりやのもっている感情だし、「時間にゆっくり殺されていく」にはグサリときた。ふたりの偶然の出会いが、まるで天の配剤とまで言っても過言ではない出来事だった。そして依存すぎない、程よい距離感の心地よさ。この二人の会話劇もまた、秀逸だった。これ、この二人のダブルキャストで劇場上演してもいいんじゃないかなあ。
3話とも面白かった。長い掛け合い台詞で良く暗記できるなと思った。脚...
3話とも面白かった。長い掛け合い台詞で良く暗記できるなと思った。脚本・演出すばらしい。まさに偶然の物語。短編集はテンポが心地よい。
渋谷区桜丘
内容がまさに題名通り
一幕目のラスト、渋谷の桜丘からのショットは上京当時住んでいた場所で(渋谷の開発工事で街の一部はなくなってしまったが)懐かしい
二幕目は緊張からの緩和で館内大爆笑
渋川清彦と森郁月の棒読みコントが最高
三幕目もコントなのだが、ロケ地の仙台も二十歳のとき一年間住んでいたので、駅前の歩道橋は想い出がいっぱい
哲学的なタイトルに惑わされずお気軽に楽しんで。
「偶然」をキーワードにした3つの短編オムニバス。
どこかで繋がっているのかなと思ったのですが、全く繋がりのない独立した3つのストーリーで気楽に観れます。
作品にはガッツリ浸かりたい派なのでオムニバスはあまり好きでは無いのですが、どれも会話劇としてとても面白かったです。
その会話のテンポが非常に良くて古川琴音さんの魅力が光る「魔法」。
エロチックでドキドキしてると(えーっ!)っていうコント的展開に仰天した「扉は開けたままで」。
エスカレーターですれ違った高校の同級生の二人、ラストの“芝居”が優しい「もう一度」。
「ドライブ・マイ・カー」の濱口監督らしく演劇っぽくて独特の演出をされています。
平板な台詞回しなどは好みがはっきり分かれるでしょうね。
私はもっと感情的な芝居になってもいいのに、と感じました(扉は開けたままで)。
ドライブマイカーの方が好きかな。
3作品とも悪くなかった
3作品の短編集。
魔法
親友が、いま気になっている、と話題にした男が、2年前に別れた元カレだったと気づきその元彼に接触する話。
2通りのラストを見せてくれるが、自分だったらどっちの行動をするだろうかと、ちょっと考えさせられた。
古川琴音と玄理が良かった。
扉は開けたままで
50代にして芥川賞を受賞した大学教授に単位をもらえなかった男子学生が逆恨みから女子学生を彼の研究室を訪ねさせる話。
会話を楽しむ作品かな。
森郁月が美しかった
もう一度
仙台で20年ぶりに再会した2人の女性が、高校時代の思い出を語る中で、会話が次第にすれ違ってくる不思議な話。
こんな事あるかなぁ、と思いながら観てたが、ちょっと現実的では無い感じがした。
河合青葉がしっとりして良かった。
3作とも悪くなかった。
タイトルなし
新年早々めちゃくちゃいい映画を見てしまった。。
第1話「魔法(よりもっと不確か)」
3つの作品の中でも特に好きだった。
理由は恐らく古川琴音ちゃんのお芝居が好きって言うのもあるし、めいこのなにか分かんないけど感じた感情そのままブレーキかけずに動いちゃうところの人間的衝動も好き。
実際彼からしたらこれ以上傷つけんなよってのといい迷惑なんだろうけど。
でも彼も彼で好きと言う言葉を発した罪はある。
オフィスでの本心と嘘と入り交じる言葉遊びなのか、戦いなのか、好きでした。
カフェでの1テイクあった部分の一回目の想像は棒読みにしてるのかな?
たしかに、かーとつーはエロい。
第2話「扉は開けたままで」
佐々木がしっかり気持ち悪かった。
教授の文章はたしかにエロい。でも頑固だなあ、きっとずっと一人を好むんだろうなと思う。
あの女性は、教授の部屋に入ってから棒読みになったきがしたけれど、なぜかまだよく分からない。でも違和感を感じたってとこに意味があるのかも?でもよく分からない。
バスで佐々木と再会したときキスをしたけど、まあたしかに幸せになんてなって欲しくないよね
第3話「もう一度」
2人の女性どちらも素敵だった。
ちょっと続きを明日かきます
2人の役者が繰り広げる会話劇の緊張感が面白い
偶然とはなんと恐ろしいものだろう。そんなことを考えてしまう短編オムニバス。
基本的に2人の会話劇で話が進む。タクシー、オフィス、研究室、自宅…。2人の会話で話を進めるのは映画的になかなか難しい。カメラの位置や角度、アングル等を工夫しながら構成していることが伝わった。
でも、それよりも脚本と役者陣の演技がいい。3話それぞれの雰囲気は若干違うが、緊張感のある言葉のやり取りを楽しみ、その緊張感ゆえに起こるおかしさに笑ってしまった。ものすごく舞台で繰り広げられる演劇的な鑑賞だった。2人の会話劇中心だったことにも納得。
どんでん返しほどではなかったが、少し意外な展開が待っていたことも演劇的。「ドライブ・マイ・カー」を観た印象だと濱口監督は雰囲気づくりのうまい監督と思っていたが、どうやら自分で話を作った脚本で撮るのが相性いいのかもしれない。
脚本としては、同級生と再会する女性の話、役者としては身勝手で嫌な女の役を演じた古川琴音がよかった。観た後に印象に残ったシーンやセリフを語り合いたい欲求に襲われた。誰かと一緒に観に行くことをオススメする。
風景の切り取りが良い
偶然という状況で発する言葉が人間を描写する。
元カレへの身勝手な心情!
セクハラに身構えながらも真摯に応じる教授、そして制御できない自分!
想いを寄せた高校の同級生との再会!が別々にそれぞれの感情を呼び戻す。
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