ひらいてのレビュー・感想・評価
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ひりひり
二人乗り、深夜の学校に侵入、もう戻ることのない高校時代。
みていてなんだか、ふわふわ、時にひやひやした。
日常に溶け込んでいるようなカメラワークがエモくてとてもいい
山田安奈ちゃん演じる予想外な行動を起こす気の強い破天荒な女の子が魅力的。
相手の気持ちをコントロールしてたとえ君を自分のものにしようとする、手段を選ばない、木村は怖い女すぎる。
好きな人の好きな人は(美雪)木村とは対照的で、おとなしくて気が弱そう。その時点で、もう、たとえ君のタイプではないということがわかる。
カラオケの木村のこなれ感、と、家族以外とカラオケに来たことがないそわそわ慣れていない感じの美雪の対比がすごくてふたりの演技力の高さを感じた。
ふたりの間に首を突っ込んできてわかったことは、相手を思い通りに動かそうとする自分と違って、お互い相手のために行動している、相手の気持ちを尊重しすぎているくらいにしている、ふたり。ふたりの邪魔ばかりしていた木村だったけど、あの場にいたからふたりは木村の破天荒さに救われたし、見てるこちら側もスカッとした
最後の手紙。美雪人生何周してるんだレベルにいい子すぎて、自分勝手な自分を心から受け止めて、ひどいことをされてとしても
「一瞬でも心を開いてくれたんだとしたら、私はそれを忘れることができません」
この言葉で、木村は心が突き動かされて居ても立っても居られず教室を飛び出す。それが恋心か人間としての好きなのかはわからないけど、心を開いてくれた、こと自体が素敵なことだと思った。
木村は、どこか人を見下していて、プライドが高い、だからかっこつけの殻で自分を守って、人に心を開けないんだと思う。そんな木村は友達には囲まれてはいたけど、どこか人と人の間に、壁みたいなものを感じた。
木村の奥底の部分は共感ができる、大切な人を作るためには心を開くことだ。
誰と出会うかで、人の感性や価値観は変わることもあるし、誰か一人でも自分の心を開ける人に出会えたらいいなと思える映画だった。
ちょっとよくわからない。 プラトニックな恋愛を汚してやろうとかそん...
ちょっとよくわからない。
プラトニックな恋愛を汚してやろうとかそんな感じ?
最後のは何?
急に教室飛び出していって周りの注目浴びながらわざわざ言うようなこと?
ただの恋敵だった美雪に対して何らかの感情が芽生えていくのはわかるんだけど、うーん、なんだろう。
誰かを好きとか嫌いとかでこんなにメンタル揺れることがそもそも理解できない。
無数にある邦画の恋愛・青春ものの中で、薄暗く光り続ける映画!!
山田杏奈さんが可愛く撮れていました。役柄も黒髪清楚な見た目に合っていました。二人を陥れてやろうと思ったら、二人とも自分より思慮深い人間だったのが良かったです。「ひらいて」は股の事かと思ったのですが、私も現在より進学校にいた頃の方が思慮深い人間に囲まれていたので懐かしく思い、記憶を「ひらいて」いく部分があり、貴重な体験でした。無数にある邦画の恋愛・青春ものの中で、いつまでも薄暗く光り続ける、貴重な映画だと思います。中盤、凄い手を洗うシーンは共感しました。たとえ君のお父さん怖いです。携帯のアラーム音、うるさくないですか笑。一組のカップルを俯瞰で見て関わっていくのは、小池真理子の「恋」を思わせるものがありました。
サイコスリラーのような青春ロマンス
勉強も出来て人気者の主人公愛。彼女は今まで望むものほとんどを手にすることができる人生を生きてきたのだろう。
自分のワガママで、自分のことだけを考えて。
そんな彼女がつまずく物語がこの作品だ。
ある日突然、想い人が誰かと付き合っていることを知る。そして、当人からはただただ拒否される。
君の笑顔は嘘だと。誰かのために向けられたものではないと見透かされる。
自分に告白してきた男はいつの間にか他の子と付き合っている。
学祭でのダンスで、愛はセンターだったはずなのに、リハーサルをすっぽかしても残ったメンバーは愛がいないまま踊り始める。
どんな人であっても、その人を中心に世界が回ることはない。自分勝手なワガママが通るわけはない。
誰かと一緒にいることを望むならば、相手に寄り添わなければならない。相手にも人間らしい心はあるのだから。
たとえの父親はたとえを束縛しようとする大人だ。ただ自分のワガママだけで縛り付けようとする。それは主人公愛の姿と重なる。
たとえの父親を殴る行為は、愛が自分を殴ったことと同義だ。そして、本作の中で初めて、自分のためではなく愛が行動した瞬間だった。
カテゴリとしては青春恋愛ものといえると思うが、中盤辺りでたとえに告白し、しかも振られてしまって、このあとどうすんだ?と驚いた。
前半も中々アグレッシブなストーリーテリングであったが、後半はもっとアグレッシブで本当に驚いた。見ようによってはサイコスリラーのようだった。
しかしそんな苛烈さが面白かった。
Sign、Cosine、Tangentを使っても関数の答えは出ない。
アイドルを使ってのギリギリの性的な表現だろうが、主旨がはっきりしない事が致命的な欠点。
要するに成人映画なのだろう。しかし、66歳のジジイには全く興味のないお話。また、現代の若者の実態とも思えない。
アイドルを使って、美少女と美少女と美少年の三角関係と言いたいのだろうが、Sign、Cosine、Tangentを使っても関数の答えは出ない。
具体的な事で言えば、美少年も美少女も至って普通の子供達で、同じ様に見えて、個性の区別が付かず、理解するのに時間がかかってしまう。
原作者が芥川賞を取るような作者なのだから、きちんとした脚本を書いてもらいたい。具体的に言えば、狂言回しの語り部がコロコロ変わり、誰の語りか分からず、個々の個性が全く見えて来ない。
つまり、強制的に結論を導くとすれば、駄目な男には付いて行くな!!
って事かなぁ。こんな煮えきらない馬鹿男に翻弄される普通の女の子のお話。って事。相手の病気如きに共感するなんて、こんな小説や映画見て、やっと分かると行った内容ではないだろうが。
『たとえ君』が思っても見ない程『ブ男』だったらどうするのだろう?
我が高校か!って思う程、学校が似ていた。足利市のようだ。残念ながら縁もゆかりも無い。
最後の台詞。なんと言っているのでしょう?字幕を入れて下さい。
たとえ側の視点を考えてみると
原作未読で、映画だけの情報を拾った感想です。
木村愛の恋は終わったといえるのでしょうか。
(原作では、たとえは振り向くことなく終わっている、とのことですが…)
暗い教室で下着姿でたとえの前に「あたしのモノになって!」と体当たりで挑んだものの、
「服着ろよ」
「暴力的でなんでも奪い取って人の気持ちなんか考えない」(父親に重ねてるのか
「離して」
しかも告白された相手に苗字にさん付け!
私なら再起不能になるかもしれない。
そして、たとえの冷酷さはこれだけじゃない。
表面的なキスと抱擁のあとに
「嬉しい?嬉しいなら態度でみせろよ」
超難題をぶつける。震えながらも口角上げる愛ちゃんに放った言葉。
「貧しい笑顔だね」
「瞳が薄暗い」
「自分のことしか好きじゃない人間の笑顔だよ」
と散々なことをぶつける。
「俺に向かって微笑みかけてみろよ」
けんもほろろにフッておきながら、
それを言うか!ここまで言われて笑えるはずないだろう!!なんと残酷!!
その時は何も返せなかった愛だが、
その後、話の展開で確実にたとえの心を動かしたポイントがある。
・毒父親を殴った
・賞もらえるハイレベルな桜の木のオブジェをつくるクリエイティブさ
・自分へのまっすぐな愛、純真さ
一度は愛の暴力さを否定したが、父親の一件で相手に立ち向かう強さが時には必要だったのだと気付かされたはずだ。
「自分に無いもの」で美雪を選んだのであれば、愛の強さや純真さも十分心を開く武器になったのではないか?
確かにボロボロの恋愛だったかも知れない。
でも、確かにたとえの心に刻まれたはず。
桜オブジェを蹴り倒した後の二人のシーン。
あのトラウマレベルの教室シーンからは対照的。
たとえの綺麗な手に包まれる愛は、メインビジュアルにもなっているが、すごく可愛くて可憐で、女の私が見てもドキッとさせられる。
たとえも、愛を見つめる瞳が素敵だった。
暗い教室でたとえが愛に放った超難題。
「俺に向かって微笑みかけてみろよ」
愛ちゃんクリアしてるし!!!
これだけの素晴らしい記憶は、愛とたとえに永遠に刻まれるはず。
それだけで、愛ちゃんは敗北じゃないと思います。
このまま美雪と仲良く東京で暮らす流れになっても、たとえと愛は特別な関係であることは変わらず、一生の思い出になるはず。
30代女。女子校で過ごしたので、このような青春記憶が私にはありません。
作間龍斗さんのことが気になったきっかけで鑑賞しましたが、それ抜きにしても、愛ちゃんを羨ましく思ってしまう程、私の記憶にも残った作品になりました。
3人と監督、今後のご活躍が楽しみです。
ねじれ!!
幸福度のあるなし、愛(LOVE)の達成感を、求めているのだろうか?
中村杏奈(木村愛)の詰まらなそうに満たされない表情。
「愛してる」と告げ、「うん、僕も君が好きだ」
そう言ってほしかったのか?
この世界に「愛し方を知っている人間がどの位いるだろう?」
愛はそれで満足しただろうか?
対照的に芋生遥(いもうはるか=美雪)の日常肯定的な幸福度感溢れる表情をしている。
この映画は現実を肯定的に受け止める美雪の幸せな表情と、
愛がたとえ(作間龍斗)への思いが受け止められずに、拒絶されることで、
鬱屈し不満を肥大して行く様が、実にリアルに描かれる。
「ひらいて」
この題名を作者(綿矢りさ)の意図は内心は、どうなのか?
私には愛が美雪の秘密の部分に指を挿入したシーンで、
美雪を指で犯したい・・・そう思った筈である。
美雪を壊すこと。
美雪を汚すこと。
処女膜を指で突き破ること・・・
しかし美雪は愛よりある意味で上手(うわて=強者)であるのだった。
愛の愛撫を喜んで受け止め快感さえ隠さない。
愛イコール《あばずれ》
美雪イコール《聖処女》
こう見える構図。
多分《たとえ》にも、美雪を清純で優しい女・・・そう思う価値観に落ちているが、
美雪は果たして愛より清純な女だろうか?
美雪は男が女に抱く幻想・・・女らしく、優しく、か弱い・・・
実際に美雪はそう言う少女なのか?
私には、そう思えないのだ。
現実の美雪は、愛の指の愛撫を快く受け止める、愛のキスを快く思い。
オネダリしたくなるほど正直である。
そう美雪は快楽にも《たとえ》にも素直にありのままの自分で通用する得な性格=屈折しないことで
《たとえ》の愛を素直に享受している。
美幸は愛の屈折した愛撫さえ愉しむゆとり・・・さえあるのだ。
そしてその愛の愛撫の事実をほぼ隠さずに、たとえに告げてすらいる。
愛は美幸に敗北感を覚えた。
しかしくじけない。
そこで負けを素直に認める愛ではない。
この映画の突き抜けない中途半端な復讐心。
こここそ綿矢りさの綿矢りさたる所以。
男(愛の好きな《たとえ》さえ、愛の本当の姿を認める知性は欠けている)
男は図式的なものに惹かれる・・・
分かりやすい優しさ、分かりやすい母性、分かりやすい素直さ。
それは美幸が持つ美点。
木村愛の《たとえ》への積極的アプローチは、《たとえ》に
「嘘吐いてるでしょ!!」と却下されてしまう。
愛の《たとえ》への渇望は永遠に満たされない。
木村愛の飢えを満たす男など、この世に存在しない・・・のではないか?
男女が魂の深い交換。
男女が性的接触を好まなくなって来ている世相。
女が男によって満たされる、
男が女にとって《真に結ばれることの困難》を嫌と言うほど味合う映画だったが、
この事実は実は21世紀だからではなくて、500年も前から、
《真実の愛》
そんなものは思い込みと幻想に過ぎないことを、改めて知る・・・
《男女の心のボタンの掛け違い》をテーマにしているが、実は
《男女の愛の不在》を常に描きかつ、渇望はしているのではないか?
人間は本来、
他者に自己を肯定して貰いたい。
そう思う。
3回観ました!!
原作ファンでも出演者のファンでも主題歌歌っている方のファンでもなかったのに宣伝で見てからずっと気になってて、最初は原作を読まずに観たんですけど思わず引き込まれました。メインの3人の演技力が凄いのもあって周りの空気感まで変えてしまってるのが圧巻でした。
2度目は原作を読んでから観たんですけど愛に感情移入しても、たとえに感情移入しても、みゆきに感情移入しても苦しくて、人間誰しもが持ち合わせてる弱さやずるさを感じて共感しました。
3度目は映画と原作の答え合わせと最後のオチはもしかしたらこういうことだったのかなぁ?とか考えながら見てました。よくある幸せハッピーなありきたりな恋愛映画ではないので何度見ても飽きません。
少女漫画でも恋愛ドラマでも結局はハッピーエンドになることが多いのでどこか現実味がなくて恋愛系のもので今まで楽しめたことがなかったんですけどこの作品は本当に共感するポイントが多いので私は大好きです。ただ、その反面ありきたりの展開ではないため共感できない人には全く刺さらないし理解できないんだろうなって思いました。
現役JK共感できず
主人公の愛(演:山田杏奈さん)がカースト上位っていうのが現実味が無さすぎて、、
実際は愛みたいなわがままな子は人気者にはならないですよ?
ファンタジーとしてなら面白いと思いますが、今の高校生(女子高生)のリアル!みたいな評価をされているのは納得いかないですね。
この映画を高評価しているのは意外と男性が多いような気がします
腐女子がbl読んで「男の子ってこんな感じなんだー」って楽しんでる感じで
現実は違うんだけど、、っていう
ありきたりな青春恋愛モノの皮を被った……
事前知識は全くない状態で鑑賞。ポスターを見て「青春ラブストーリーかな」と思っていましたが、「予想外にハードな内容だった」と多くの映画レビュアーから阿鼻叫喚が聞こえてきたので興味を持って鑑賞です。評価が高かったこともあり、結構期待しての鑑賞でした。
結論ですが、正直私にはあんまり刺さらなかったんですけど、かなりクオリティーの高い映画でした。ところどころ表現や演出や台詞が詩的なシーンがあって、「もしかして原作は小説かな」と思っていたら案の定綿矢りささんの小説が原作とのこと。やはり芥川賞作家、表現が凄い。台詞での場面や状況説明がかなり少なかったため、結構真剣に観ていないと理解できないシーンもありましたね。特にラストシーンは一瞬どういうことか分からなかったんですが、ちょっと考えて「なるほど」と納得しました。変に後日談とか差し込まないで綺麗にスッパリとエンディングに突入する映画は良い映画です。
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明るくて可愛いクラスの人気ものの木村愛(山田杏奈)は、クラスメイトで物静かな秀才である西村たとえ(作間龍斗)に好意を寄せていた。愛はたとえが人目に付かないところで誰かからの手紙を見ていることに気付く。ある日、友人グループと悪ふざけで夜の学校に忍び込んだ愛は、たとえのロッカーから手紙を回収し、手紙の差出人が糖尿病を患った陰気な女子生徒である新藤美雪(芋生悠)であり、二人が恋人関係であることを知る。嫉妬を抱いた愛は美雪に近づき、友人のふりをすることにする。
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流石、原作は芥川賞作家でもある綿矢さんの小説だけあって、登場人物の心情や言動が複雑で、尚且つ台詞での心情や状況の説明少ないため、ポスターなどから感じられる「青春恋愛映画」みたいな雰囲気とは明らかに一線を画す文学的な映画になっていました。
愛はたとえに対して恋愛感情を抱いていますが、たとえは愛の誘惑には一切なびかずに彼女である美雪を裏切るようなことは決してしない。まるで聖人のような描かれ方をしています。可愛い女子が目の前で服を脱ぎ出して、冷静に「服着て」と言える高校生男子がこの世の中にいるだろうか。いや、いない(反語)。
愛は「好きじゃなくていい」と関係を迫るシーンがありましたね。その後に、クラスメイトで友人のミカと健がラブホテルに入っていくシーンがあり、愛はそれに対して嫌悪感を抱く。ミカは健が好きだが健はミカに対して恋愛感情は無いのに、そういう行為に及んでいることに対する嫌悪感です。しかしながらそれって、たとえに彼女がいるのを知っていながら服を脱いで関係を迫った愛が言えたことじゃないんですよね。ネットスラングでいうところの「おまゆう」ってやつです。
また、ラストシーンで美雪が愛に送った手紙を読むシーンも素晴らしい。映画冒頭のシーンと繋がる演出になっていて、最後に美雪に「また一緒に寝よう」と言ったのは、美雪と友人でいたいというのを暗に示しているんですよね。
全編を通してこういう繊細な描写が多く、表現がとにかく上手い。小説的というか、文学的というか。観終わった後も頭の中で咀嚼することでどんどん味わい深くなってくるスルメみたいな映画でした。面白かったです!オススメです!!
素晴らしい以上の出来映え
綿矢りさの原作の熱狂的なファンです。ネタバレあります。
ファンゆえに当初は映画に対して少し懐疑的でしたが、度肝を抜かれるくらい良かったです。
結局は11回も映画館で見ることになりました。見れば見るほど愛着が湧く素敵な映画です。
山田杏奈さんが愛ちゃんの役で本当に良かったです。他の人なら多分文句を言ってます。
愛ちゃんは「瞳がぼんやりすすけて、薄暗い」、「刺してくる瞳」、「目が野良猫のように光る」、「目つきがすさむ」など瞳の描写が多いので、どう演じ切るのかと思っていたら、ほぼ完璧でした。
美雪に「愛ちゃんこわい」と言われるシーンでは、本当に瞳が暗くなっていて、びっくりしました。
愛ちゃんの変化の表現が秀逸です。
序盤はヘアアイロンで熱心に髪を整えて、マニキュアも塗っていた愛ちゃんですが、だんだん髪がバサバサになり、爪もボロボロになります。
愛ちゃんは心がパタパタしてしまうんですね。ずっと開いていたり、ずっと閉じていたら楽なのに。
心と体がちぐはぐで、自分で自分の人生の展開に追いつけていない様子が愛しくなります。
愛ちゃんはたとえからも美雪からも「ウソをついているから瞳が暗い」みたいなことを言われてフラれるわけですが、ふたりはちゃんとその後に愛ちゃんに対して心をひらいてあげるんですね。
たとえは愛ちゃんの顔を両手で包んであげて、美雪は愛ちゃんに手紙を書いてあげます。
愛ちゃんがその後どういう人生を歩むのかは分かりませんが、心をひらいてもらえた愛ちゃんなら大丈夫だと思わせる感じもいいですね。
たとえと美雪にしても、いつまでもふたりだけの美しい世界に引きこもり続けられたはずはないし、愛ちゃんに無理やりこじ開けられて結果的には良かったのだと思います。
私は今まで1000本以上の映画を見ましたが、個人的ベスト・ワンの地位に躍り出ました。
以下は細かい点です。ストーリーの大筋には関係ありません。
教室で制服を脱ぐときに愛ちゃんの右手が一瞬だけ躊躇する。胸のリボンに機械的に手を伸ばさない。意図的かどうかは分からないが、良い感じ。
愛ちゃんの飲むジュース。ぶどうジュース(美雪に飲ませる)、トマトジュース(家)、フルーツジュース(学校)、オレンジジュース(カラオケ)、最後が炭酸飲料。フラれて美容を気にしなくなった感じが出ていて良い。ちなみに映画館で飲んだジュースは何か分からない。
たとえに数学の問題を教えてもらうときに、さりげなく髪を耳にかきあげる愛ちゃんがかわいい。ただし原作ではピアスをしているが、映画ではしていない。優等生キャラなのでしていなくて良いと思う。
文化祭のダンスが良い。坂道シリーズの真似をしている。原作にはないが、綿矢りさはアイドル好きなので良い感じ。
愛ちゃんの瞬きが少ない。あまり目線も動かない。愛ちゃんらしくて良いと思う。
愛ちゃんの部屋に「LGBTの現状と課題」という本があった気がする。愛ちゃんが元から性的マイノリティに興味があった感じになりかねないので、これはない方がいいかと。
愛ちゃんが盗んだ手紙の枚数と美雪に返す手紙の枚数が違うような。全部返してあげてね。
橋の上で美雪に呼び止められる前と後で愛ちゃんが帰って行く方角が逆になるような気が?
まぁどうでもいい細かい点が気になるくらい何度も繰り返し見たということです。
本当に素晴らしい以上の出来映えです。この映画に出会えて良かったです。
ただの恋愛映画
ある程度覚悟はしていましたが、あまりにも原作とは別物です。一般受けするために、わざと恋愛モノに見えるようにしたのでしょうか?多くの原作にない言葉や描写が、チープな恋愛モノを駆り立てに駆り立て、興醒めせざるを得ませんでした。
単なる恋愛映画としては良いかもしれませんが、原作ありきで見る作品ではありません。
「ひらいて」
このタイトルである意味が全くないと感じてしまいました。
内面は時に他人からも見える
開始10分程度までの感想として、表現の堅実さに引き込まれた。これはいい作品だと思った。結局、最後までほぼその通りだった。
主人公の身勝手さからのトラブルや、逆に身勝手故にトラブルに足を突っ込んで多少流れを整えるさまは、賛否どちらで評すればよいか分からない。
本心は他人には見えないしバレないだろう、という考えを目を見てバッサリと斬り捨てるシーンが爽快だった。
孤独の隙間に入ってくるなんやらかんやらを突っついてるのも面白い。
所々「そこまで必要か?」と思う表現があるが、見た目としての退屈さをなくすためには必要か。
愛を愛さずにはいられなかった。
この映画ほどラストに衝撃を受け、終わった途端放心状態になったのは初めてだ。
一度初見で映画を鑑賞し、原作を読み、もう一度映画を鑑賞するという方法を私は力強くオススメしたい。
私が好きなシーンは、愛がたとえの父親に向かって「こっち向け!」と怒鳴り頬を殴るシーンだ。愛がわがままかつ、気の強い女の子で、衝動的な部分があることがハッキリとわかるシーンだと思う。その後に美雪と手を繋いで走るシーンも、(原作とは異なるが)好きな人を傷付けていたという人物を殴ったことに対する快感や興奮で逃げる気力が湧かず、美雪の勢いにつられて飛び出てきたことが分かる。
また、最後に卒業式の説明を受けているときに走り出し、美雪に近付いて「また一緒に寝ようね」、と呟くラストは映画を鑑賞しているみんなの心をグッと掴み、「え?」と声を漏らすであろう。エンドロールが流れた途端、その言葉の意味を考え出し、余韻に浸りながらも放心へと導かれる。
ちなみにこのシーン、原作だと「美雪、貴方を愛してる。また一緒に寝ようね」と完全に愛が美雪に心を「ひらいて」いることがわかる。しかし映画は原作と違い、たとえは最後まで愛に心を開かなかった。原作は卒業式の説明をしているところでもたとえが愛に心を開いているとわかるシーンがあり、三人が完全に心を開きあっていることがわかる。私はどちらも違う良さがあり、何度でも繰り返し読み、見たいくらいこの作品達が大好きだ。私は愛のような女の子になりたい。わがままで何でも思い通りにしてしまう。暴力的で、不器用だ。
しかし、私は愛を愛さずにはいられなかった。それは仕方のないことなのである。
「ひらいて」の解釈
芋生悠さんの出演と綿矢りささん原作ということで鑑賞しましたが、期待以上の作品でした。
山田杏奈さんの愛、芋生悠さんの美雪の演技が対照的で自分がたとえならどういう態度を取るか考えてしまいました。
タイトル「ひらいて」は愛だけでなく、美雪とたとえの3人全員に秘められた言葉かなあと鑑賞後に思いました。愛の歪んだ感情は確かに痛いなぁと最初は思いましたが、逆に自分の感情に正直とも言えます。美雪とたとえは自分の置かれた立場を誤魔化すために一緒にいるとも考えられるのでは?そういう意味では「ひらいて」は高校生から大人になっていく3人へのエールとも理解できるかなあと考えました。最後の愛の台詞はひらいたのだと思います。
山田杏奈さんの目と芋生悠さんの目がとても印象的でした。芋生悠さんの幸の薄い演技には男性はどこか引かれてしまう魅力があります。今後が楽しみな女優さんです。
すばらしかった
綿矢りささんが一貫して描く「誰も愛せない、自分本位がすぎるから」という主人公の名前が「愛」で皮肉がきつい。その彼女が「あなたのためなら両目を突ける、でも一生そばにいてね」と、相手が望んでもいないことを突き付けて自分をささげているようで結局自分のことしか考えていないのがとても厚かましくて、彼女の本質を表す。謝っている直後に、謝っている相手を批判し始めるところも非常に厚かましい。そういう人いるし、綿矢りさは見逃さない。やたらと「目が暗い」と言われて、口では何でも言えても目は嘘をつけない。恐ろしいことだ。
一方、糖尿病を抱えながらひそやかな恋愛をしている彼女は、顔が南国系でキャラに合ってないように思ったのだけど、見ているうちにそんないびつなところがリアルに思える。真に人を愛することができる感じがとてもする。
テーマのえぐいところもいいし、もうちょっと起伏があってもいいような気もするけどやりすぎもよくないので、過不足ない感じのストーリーが面白い。
生々しい
たとえと美雪は、愛のことを怖いとか目がどうのとか言うシーンがありますが、客観的に見ればそうかもしれないけど、実際に自分が誰か好きになったら、愛のようになる人は多いと思う。
どこまで行動に移せるかというのはあるけど、心の中では、そう思ってるって人は私を含め沢山いると思いした。
そういう意味では愛は特別じゃなく、愛が普通なんじゃないって思ってしまいました。
鶴を沢山織ってるような、時折り見せる、普通の女の子の姿が余計にそう思わせます。
そう言った意味でも色々な目線で見れる映画なんだろうなぁって思いました。
青春の危うさ
この作品に出てきたような青春を送ったという人はほとんどいないだろう。
しかし、青春とはこんな物だったなというような妙な懐かしさを感じる。
ひどく自己中で5年後幸せであることよりも今この一瞬の快楽を求める感覚なんかまさに通ってきた道なので愛の行動や人間性にも謎に納得してしまう。
山田杏奈さんもすごい。
山田さんがどんな青春を過ごしていたのかはわからないが、まぁこんな青春は送っていないだろうし、普通の人なら共感できないような愛の行動や心情をよく咀嚼して極めてリアルに演じていらっしゃって名演。
山田さん等々主人公3人の演技がこの映画のストーリーに説得力を持たせていたことも成功の要因かも。
そして美雪。
人並みにはHやそういう性的なことに興味を感じる年頃ながら彼氏からは満たされず、そんな隙間を埋めるように愛との情事に及ぶ姿なんかを丁寧に表現されていて凄かった。
この作品に出てくる登場人物の中では一番素直でわかりやすかった。
たとえはいまいち釈然としない。
しかし、この釈然としなさが愛をさらに狂わせていく要因でもあるのだなと見ていて感じた。
この中途半端な感じを作間さんが見事に表現していた。
愛がたとえに「私、美雪とやったの。2回も」と告白してからのシーンは必見。
愛の少し歪な愛情を山田さんが素晴らしい台詞回しで表現していた。
高校生の頃が懐かしく感じる映画。
劇中曲の夕立ダダダダダッも素晴らしい。
一般の方が歌っているとはとても思えない。
何か凄かった
•主人公の木村が強引に好きになってもらおうとして、全く好かれないのが凄かった。会話のきっかけのためにゴミ箱放ったり、問題の解き方や名前の由来とか聞いてるシーンがああ、こういう接し方の人いるかもなぁーって思った。好意を持っているけど、どうして良いのかわからないからそうせざるを得ない行動が暴力的で主人公の横暴さがよく伝わってきて良かった。常にたとえ君のけんもほろろな感じなのにへたらずいくのが好きになるってこういう事だなぁと思った。告白後は狂ったように意気消沈してしまっていたのも良かった。自分だったら耐えがたい状況だけど。
•告白して嘘っぽいみたいな返事をした、たとえ君に驚いた。主人公の感じだと上辺で人と接してる感じだからなのだろうけど、本音に対して嘘でしょ?って返しはあんたの言う事は何も信じてないと言われてるのと同じできついなぁと思った。言われたら耐え難い…。
・たとえ君の家の汚さが暮らしの凄惨さが生々しかった。
・ラストに手紙をもらって美雪にまたしよう(だったか)っていうセリフは何で出てきたのかぁと思ったけど、木村はそういう苦しい状況だったんだろうなと思った。理解できなかったけど、興味深くて印象深い。
・美雪がジャンプを愛読してるのが何か面白かった。
・3月生まれは変わった人、本当に多いのかなぁと思った。
・好きな人に自分なりに好かれようとして絶対に好かれない感じが切なかった。
成長物語なのかな
原作未読です。
鑑賞直後はですね、ラストシーンは、その勢いで行ったのなら連れ出しちゃえよって、思ったんです。
だけど考えてみたら、それだと対象が代わっただけで、自分の欲望を優先する愛の本質が変わっていない事になっちゃうんですよね。
そう考えると、あの最後で良かったのかな。
この映画、恋愛映画と言うよりは、思い通りにならずに打ちのめされて醜くなった時にでも、気にかけてくれる人がいる事に気付いて変化を見せる、成長物語なのかな。
全28件中、1~20件目を表示