劇場公開日 2021年10月22日

「「私をくいとめて」「勝手にふるえてろ」に比べると小粒感」ひらいて 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「私をくいとめて」「勝手にふるえてろ」に比べると小粒感

2021年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

綿矢りさの小説の映画化といえば、近年では大九明子監督による松岡茉優主演作「勝手にふるえてろ」(17)、のん主演作「私をくいとめて」(20)が記憶に新しい。一方この「ひらいて」は、監督が長編商業映画デビューとなる首藤凜、主演が現在20歳の山田杏奈。単純比較するのは気の毒にも思うが、作品のスケール感(製作費の差ももちろんあるだろう)、演出力、演技のインパクトなどで、先述の2作より小粒な印象だった。

話の筋は、積極的なタイプの女子高生・愛がおとなしい男子の“たとえ”に恋心を抱くが、たとえが手紙のやり取りで病弱な美雪とプラトニックな交際をしていることを知り、美雪に同性愛的なアプローチを仕掛けていく、というもの。片想いをこじらせた挙句の変則的な三角関係の行方はそれなりに興味をそそるものの、そもそも現実味の薄い話であり、演技も演出もそれを丁寧にトレースしたレベルにとどまっていて、作品世界に力づくで引き込むような強度を獲得するには至らなかった。

山田杏奈については、スプラッターホラーの「ミスミソウ」で映画初主演を飾り、本作でも下着姿になるなど、若手女優の中でもかなり意欲的に多様なジャンルや思い切った演技に取り組んできたと評価している。今年公開の映画には5作に出演(うち2作で主演)する売れっ子でもあり、さらなる飛躍を期待したいところだ。

高森 郁哉
琥珀糖さんのコメント
2023年6月22日

コメントありがとうございます。

レントさんのレビューは、とても読みやすいですし、バランスの取れた
理性的ないいレビューですね。

褒めてくださり嬉しいです。
でも変質狂の変態レビューみたいで、よく削除されなかったもんだと・・・
(政治でないと、いいのですかね、ちょっと恥ずかしいです)

「私をくいとめて」と「勝手にふるえてろ」も観たのですが、
綿矢りさの「こじらせ女子」
山田杏奈のこの役は「こじらせ」というよりもっと暗くて陰湿な感じが
しますよね。
のんや松岡茉優には共感出来ますけれど、この山田杏奈には共感出来ない。
私は、ファンではないし、本も「ひらいて」しか読んでませんが、
綿矢りさには興味があります。
普通に奥さんをして、男の子の母親で・・・って、
「書く」部分とどうやってお折り合いをつけているのでしょうね。
私小説っぽくないのも謎ですね。
娯楽的には「食いとめて、と、「勝手にふるえてろ」の方が
ずっと面白いと、私も思います。
長文でごめんなさい。
山田杏奈は今年5作品も公開ですか?
好きな女優です。
拙いレビュー読んで頂き嬉し恥ずかしです(笑)

琥珀糖