劇場公開日 2021年10月22日

「超絶無敵の女子高生」ひらいて 古元素さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0超絶無敵の女子高生

2021年10月31日
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相手に対する気持ちが膨らめば膨らむほど、おかしくなっていく。狂っていく。社会人になった今でも常に私も感じている。承認欲求から引き起こされる、自分を自分の思うままに動かせない、何か惹き付けられるものを持った異性に魅了される気持ちは大いに納得できる。ただ、それを行動に移してしまうところが、女子高生という若さの頂のような存在の為せる技だと痛感した。

原作は綿矢りさ。彼女の生々しくも淡々とした文体で綴られたこの作品が、映画になるとどう化けるのか。そんな好奇心とともに鑑賞。結果、後者が欠けてはいたけれど、映画ならではの演出を駆使し素敵な作品となっていた。

原作よりも残酷さを感じた部分は1点。原作では儚げな美少女のように描かれていた美雪が、映画では愛より劣っているように描かれていた点だ。美雪が美しいからこそ、愛もどこか腑に落ちるところがあったはず。だが、映画ではルックスや勉強、女子高生ならではのヒエラルキーも何もかも愛が勝っている。それでもたとえは美雪を選ぶ。これほど悔しいことは、彼女にはないだろう。

散々傷つき傷つけられた無敵の女子高生、果たしてどのような人生を歩むのだろう。こんな経験忘れてしまいたいと思う気持ちも強かろうが、丁寧に仕舞う方法を学び、次に活かせたらいい。愛も私も。

古元素