Arc アークのレビュー・感想・評価
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不老不死を選択出来たら
テーマは「不老不死」。予想以上に深く考えさせられる映画でした。前半は不老不死に繋がる技術で、死んだ人を保存するお話し。これが、やたら長いし意味不明なところが多い。仕上げに紐を使う儀式や、死んだ人を生前のまま残しておきたい需要ってそんなにあるのかなあ?とか。後半はようやく生きた人間への不老不死のお話し。第1号がリナ(芳根京子)。ほとんど白黒で雰囲気出していて良かったです。年齢の関係をよく考えて観ていないと、戸惑います。リナの娘が成長しないのが、おかしいと思いました。ラストは矢継ぎ早でしたが、リナは最後を迎える事を選んだのでしょう。「死があるから生がある」「始まりがあれば終わりがある」というセリフが印象的でした。芳根京子さんの演技は鉄板で素晴らしかったし、脇を固めた小林薫さんと風吹ジュンさんの演技もいぶし銀で良かったです。
握手
かなり前に情報が出てなんとなく興味が湧き、茶一郎さんのレビューにて簡単な前情報を仕込んで鑑賞。かなり座席が空いており、興行収入も振るわずでしたが、良い作品だと思います。
遺体を紐でフラストレーションする映画的な映像がとても映えていて見応えがありました。原作では文章で済ませれるものを、映像にうまいこと落とし込むのは、さすが石川慶監督だなと思いました。
作中で描かれる不老不死が鑑賞中に頭に巡っていました。自分の親や、友人、好きな芸能人の年齢を追い越したり、共に同じ年齢を生きてきた人たちがいなくなったら怖いなとゾクゾクしました。
カラーで描かれていた若い時代から一気に時代が飛び、89歳と驚きの年齢まで進みます。不老不死の処置をしたリナが89歳で自分の娘を育てるという漫画やアニメならありうる展開を、違和感なく実写化しているのでお見事です。ただ、その年齢まで辿り着く前に旦那の天音が、不老不死の処置が遺伝子の関係で、あっという間に老化が訪れ、死ぬという中々怖い展開が待ち受けていました。現実にこの処置が行われた場合も実際に起こり得るんだろうなと。絵空事では済まされないなと思いました。
利仁というおじいさんが、実際はリナの息子だったという展開も少し驚きました。あぁその展開は全然予想していなくて、お口ポカーン状態でした。利仁が母さんと呼ぶ瞬間は鳥肌が立ちました。もう少し丁寧に描いて欲しかったなとは思いましたが、十分物語に意味を持たせてくれて良かったです。
リナは最終的に「死」を選ぶ事にします。自分の息子の年齢を追い抜くってことに恐怖を覚えた結果だと思います。自分でもそっちを選ぶと思います。
「死」という単純明快な恐怖を、127分の尺を使い見事に表現していたと思います。これからも石川慶監督をリアルタイムで追っていきたいです。
鑑賞日 6/26
鑑賞時間 18:40〜21:00
座席 K-5
生と死の壮大なものがたりー
死を留めること、生を留めることー
とても壮大なテーマの映画でした。
どちらにしても人はどこに向かって生きているのかー、死ぬことの意味は何なのかー。
深いテーマでありながら、役者さんの衣装や、舞台美術・映像が、鮮やかだったりモノクロームだったりと、その場面場面の意味を見事に持たせていました。
天音の「もう急がなくていいんだ」という言葉に、生命には必ず時間の限りがある、という現実を改めて突きつけられます。もしも不老不死が実現したら、今の年齢のまましばらく生きてみたい、と思います。
しかしアンチェインジングルや不老不死に憧れを抱きながらも、何故か死を選んだ人の表情に、安堵感が湧いてしまうー。とても、不思議な感覚に陥りました。
死を慈しむ永真、死を留める天音、天音の意思を継ぎながらも最終的に生を留めたリナ…それぞれの葛藤が美しく刹那く響き、見終わった後に、生きることへの光を感じられる朱玉の作品でした。
石川慶
「生きてるだけで、愛」でも思ったけど、映画を見て1番最後に見るのがエンディングだから、めちゃくちゃ大事。世武裕子ってすごいなーって思った。西川美和の映画がどれも音楽があんまり好きじゃなくて、それに比べて石川慶の映画は全部音楽が良い。良いってゆうか、好き。北野武の映画も音楽が違ったらまた違うだろうし、自分の中で映画における音楽ってかなり重要なんだと気づいた。
ラジオから自殺が増加してるって聞こえてきたシーンは、清水くるみがいないってなった時点で、あー自殺したのかなって思ったら誕生日のサプライズで、ある種裏切られたような感じで良かった。この感じは「蜜蜂と遠雷」でも「愚行録」でもあったしすごい好き。肝心の誕生日サプライズもなんだか不気味で哀しくて、すごいシーンだった。
もしかしたら、白黒になってからは、不気味というより哀しい感じに寄せてるのかも。不老不死の不気味さと哀しさ。音楽とかも、明るい音楽が逆に哀しく感じられたりとか。
白黒に切り替わった時点で、「ピンクとグレー」を思い出して嫌な予感がしたけど、こっちはめちゃくちゃ良かった。
ほくろに役割を与えたのは、「点」とのつながりを持たせたかったからと感じた。時間ってゆうつながりがある。始まりと終わりがあるのは点じゃなくて、線。つまり、不老不死の人生はあくまで1つの点である。生まれ、成長し、老い、死ぬ。この時間の流れの中にあって初めて、線となる。
最後のシーンで女優を変えたのは、老化というものに変化というものを内包させたかったからかなと感じた。
ずっと、変化を拒むか受け入れるかという話だったから、芳根京子じゃなくなったことでより、老化というものを実感できる。
生まれ変わったら、、、のくだりで、芳根京子が死ぬことの意味を感じたのかなーと思った。
映画は、生涯忘れられないであろうシーンが1つでもあれば、見て良かったなーと思える。この映画は間違いなく、見て良かった。それも、劇場で。
かなり違和感を感じる死生観の物語
最初からかなりの違和感を。
主人公がどうして産んだばかりの子を見捨てることになったのか?
途中そのことが語られるんだけどその言葉がすごく薄く感じられました。なぜの十月十日なのか?なんかおもちゃを扱う様な言葉なので違和感を感じてしまいました。
そして意味不明なダンサーからの会社に就職するって何?
その上で仕事内容が死者をオブジェの様に保存する?
そのことに関して、社会が普通に認めているってことにどうしても違和感が抜けないままでした。
もし保存する(映画の内)社会であるなら、その社会であることを前もって説明しとかないとって感じです。
制作側はモノトーンからの死生観について語りたかったのかもしれませんが、どうしても起承転結の「起」「承」の部分にかなり違和感を覚え、作品として共感を感じませんでした。
ひどいw
冒頭からびっくり作品wまず芳根京子さんが家なし最下層レベルの人間を演じているのですが、服は割と古めかしく着せてるのに、髪の毛ツヤツヤっすwそんなとこから興醒めw話のもっていきかたがめためたで、よくバンダイナムコさんが出資したレベルw監督、脚本家がこれで給料もらうなんて信じられないですw終わりに小林薫さんや風吹ジュンさん出して余ったお金を豪華キャストに割り振った形wまず題材が不老不死の先進の世界を見てるのに、原付とか車、記者会見とか普通に今の時代のまんまw世界観にこだわりを持っていただきたいwあ、あと登場人物のバックグラウンドが弱すぎて相当な駄作だと思いますw
掲げたテーマはどこいった
夏への扉と合わせて今週は邦画SFざんまいか
という感じで観賞
ただ予告からは??????という印象
小説が原作だそうですが未見です
当初は生きているかのような剥製に
留まっていたものの
不老不死の技術を手にした人々が
生と死をどう捉えるかという話
感想としては
序盤から実験映画のような展開で
興味を離してしまい
扱おうとしている生と死と言うテーマに
あんまり届かず
利己的な登場人物達に共感も出来ず
後出し設定の展開でキツかったです
とにかく妙にアート志向な作風なのですが
正直かなり置いてけぼりです
血液等を樹脂に置き換えて剥製にする
プラスティネーション自体は実在しますが
操り人形のようにポーズを色々変えて
樹脂を流し込む演出はポカーンです
また主人公のリナは放浪していたところを
その剥製の会社の女社長に拾われて
働きだすのですが動機はハッキリしておらず
また産んだ子供を置いて失踪したとか
クズエピソードも言い出し共感性がサッパリ
上がらない困った展開
で知らない間に女社長の弟の不老不死の研究に
協力していきますがリナはそういう事に
興味を持っていく動機が全く判らないまま
その弟と結ばれ不老不死を実現する特殊な
細胞液を体内に注入し夫婦で不老不死に
なります
なんかこの作品いかにも不老不死になることが
素晴らしいに決まっているかにのように
描写するのですが後付けでお金を出して
不老不死になる施術を行う関係で
カネが無い貧乏人は出来ないと言った
問題を取り上げますが別にカネがあるから
やるといったものかと言うと首をかしげるところ
人間って昔は50-60代で亡くなる事もざらだった
時代ならもっと生きたい永遠に生きていたい
という欲求が今より多かったかもしれませんが
現実の現代のような社会的な役割もとっくに
過ぎて80-90代までやることもなく生きて
認知症になっていく現実を見るに不老不死に
皆そうあこがれがあるだろうかという疑問が
観てる側に拭えない部分があると思います
ちょっと前に「人間失格HUMANLOST」って
同じようなテーマのアニメ映画がありましたが
あれも生と死を扱うテーマを掲げて
全然表現出来ておらずひどい作品でしたが
この映画も同様でした
誰もが何らかの意識を持っている
普遍的なテーマを独善的に扱うと駄作になります
生への執着
人の死と死んだ人への思いと不老不死の話。
17歳で子供を産んだが手放して、19歳で遺体を生きたままの姿で残すボディーワークスという仕事にスカウトされたやさぐれダンサーが、30歳で不老不死を手に入れるストーリー。
ボディーワークスってロザリア・ランバルド的なもの?と思っていたら、ArcならぬArtですか?と始まり、死んだ人の家族の思いについて考えさせていく前半戦。
そして、今度は不老不死。
個人的には生きることに意味なんか考えないし求めないけれど、終わりのない人生は辛いと思うけど…。
そんな中で、不老不死の施術を受けない選択をしなかった人を奇異に感じる世界観が展開していくことに違和感を覚えたけれど、背後で流れるニュースの音声ではやっぱり…。
そして、やけに夫婦をフィーチャーするもんだから、多分どちらかが…やっぱりね。
それはまあ良かったけど、施術を受けなかったのはそんな理由?
そしてラスト、えっ!?そういう選択も出来るの!?最初の人って…自殺者は除く?
死生観についてモヤモヤと色々と考えさせられる展開はとても面白かったんだけど、終盤急にエンタメ感が強くなってしまって、イマイチ締まらなかった印象。
ケン・リュウ原作の映画化
歳をとらず死ななくなった人間の物語
死を保存する仕事をしていたが
生を保存する技術を手にする事になる
原作読んでないのでわからないが
なかなか着眼点はいいのに深掘りできてない気がしたかな
例えば死ななくなったら働き方も変わりそうだし
子供ができるのなら人口爆発につながりそうだし
絶対貧しい人は恩恵受けられないだろうし
そこら辺をもっと掘り下げて欲しかった
あとご都合主義で息子が突然出てくるのは無しでしょう
子供に関する具体的な説明が不足しすぎてるしちょっとねぇって感じ
時間の経過を表すのに使いたかったんだと思うけど
ネマワシができてない感じがした
芳根京子が綺麗だから結構話がもった印象だけど
そうゆう魅力を感じない女性とかが観た場合
ちょっと退屈なのでは?
って思ってしまった
まぁテーマについて深く考えさせられたから
SFとしては成功してるのかもね
でも面白味がちょっと足りない感じだった
不老不死の薬を使った人と使わなかった人
「老後をどう生きるか、親しい人の死をどう受け止めるか」というテーマをまた新しい切り口で見せた映画でした。
ただ、前半の「遺体にプラスチック加工などを施してボディーだけを永久的に残しておく方法」と、
後半の「不老不死の薬を開発したので、薬使用時の若いまま寿命を長くする」
という2つの手法を1つの映画の上映時間にまとめてしまったため、どちらかだけにスポットを充ててじっくり見せても良かったのでは?と少し思いました。
前半は、要するに遺体処置会社なので主人公は身寄りが無い?のか社内で寝泊まりさせてもらいますが、よく考えるとポーズを取らされてる遺体に囲まれて過ごすって。。慣れてきてもちょっとあり得ないような。。合法な社会の設定だとは思いますが、若い女子社員達、遺体から血液を抜くとかまたプラスチック注入するとか綺麗に洗うとか、そんなにテキパキ仕事出来るものなのかな。。となんだか不気味でした。
後半は、主人公が不老不死の薬を使って90歳だけど見た目は30歳のまま、老人ホームみたいなとこで職員でいますが、入所者は不老不死の薬を使わなかった、使えなかった人とかなので当然入所者さん達は普通にお婆さんとかで亡くなっていくし。。なんか、職員に不老不死の人がいるところへ、普通に寿命で老いて死ぬと分かってて入所したがるだろうか??と、映画の設定に奇妙な感じがしました。
そして今回の映画でクライマックスのように感じた部分ですが、実は主人公が17歳の時におそらく未婚で産んだ赤ちゃんがいましたが、幼すぎる母親だからか母性を感じるよりも一人で育てなくては!という怖さから、なんと出産した病院を飛び出して実の子を置き去りに、捨てていて、
まぁ、実際問題、自宅でこっそり産むのでない限り、出産で入院する時に名前住所電話など絶対に明かしてるはずなので、病院から逃げ出したとしても全く追われず見つからずにいるのは無理だと思うんですが、何故赤ちゃんを育てたおそらくおばあちゃん?主人公の母親とか誰か親族とかは主人公をそのままにしていたのか??どういう状況だったのかそこは全く描かれずにちょっとモヤモヤしましたが。。
とりあえずその赤ちゃん、男の子ですが、世の中に出回った不老不死の薬は使わず、また主人公は実年齢では85歳の時に子どもを産み、なぜかこの二人はいつのまにか気が合い、時々一緒にいるんですが、
結局、
見た目30歳の母親(実年齢90歳)
17歳で産んだ息子、実年齢73歳
85歳で産んだ娘、実年齢5歳
の3人が同じ時を過ごします。
異父兄妹で、母親は同じ兄妹だから
73歳のおじいさんと5歳の女の子は気が合ったのか。。と、
73歳の兄、5歳の妹のペアに驚愕。
2人の母親は見た目30歳。。
で、色々あって彼は気づいて、
73歳のおじいさんが30歳の女性に「母さん!」と言うところが、「不老不死の薬を親だけ使って子が使わないとこうなるんだ。。」、と考えさせられました。
結局主人公は90歳までは見た目30歳でいられますが、薬の効果がきれたのか、135歳では見た目80〜90歳くらいの普通のおばあさんになります。
少しずつ老ける普通の人と、人生の最後のほうで急激に老けるのと、どっちが幸せなんだろうか、、と考えさせられる映画でした。
派手ではないがしっかりSF
不老不死の医療技術が開発された世界でその技術を最初に受け入れた女性の人生を描いた作品。映像に派手さはないけど良質なSF映画でした。
ヒロインの芳根京子さんはとても美しく、脇役のベテラン俳優の演技が素晴らしかった。
【”様々な死への抵抗、甘受の姿。” 中盤から終盤にかけて、観る側に誰もが避けえぬ重いテーマを投げかけてくる作品。名優の存在感が素晴らしき作品でもある。】
ー ”不老不死” 古くは、始皇帝が魅了された人類永遠の願い・・。
だが、その実現は果たして人類にとって、本当に幸せな事なのであろうか・・。ー
■感想
1.序盤
・17歳で男の子を産んだリナ(芳根京子)だが、産み落とした子を見ても、表情には嬉しそうな気配が余りない。戸惑いの表情だ。
『リナの第一の別れ:17歳』
・18歳になったリナは、相変わらず虚無的な表情をしているが、エマ(寺島しのぶ)のプラスティネーション(簡単に言うと、生き生きとした外見のミイラです・・・)と言う仕事に惹かれて。
ー 時代は近未来なのだろうか・・。リナが飛び入り参加するコンテンポラリーダンス(大駱駝艦か、もしくはリメイク版「サスペリア」を思い出してしまったぞ!)
邦画は、SF描写が苦手なのかなあ・・。世界に誇る”ジャパニーズアニメ”があるからかなあ・・。序盤は、イロイロと由無し言を考えながら鑑賞・・。ー
2.中盤
・会社を追われたエマの弟、アマネ(岡田将生)が後を継ぎ、不老不死のクスリを作り出し、彼は今やプラスティネーションの第一人者となっているリナと結ばれる。
一方、エマは、不老不死研究を拒否し・・。
『リナの第二の別れ:30歳』
そして、リナとアマネは30歳で、不老不死の身体に・・。
だが、50歳になったアマネの細胞の一部がクスリに不適合と分かり、彼は急速に老い、生を終える。
『リナの第三の別れ:50歳』
3.終盤
・経済的に、アマネの開発したクスリを打てなかった人を受けれている”アマネの庭”がある鄙びた島に舞台は移る。
・そこに、住む多くの老人たちの中に、リヒト(小林薫)の明るい妻(風吹ジュン)の姿があった。リヒトは献身的に末期癌の妻を看病するが、リナが運営する”アマネの庭”への宿泊は、頑なに断る。彼が、不老不死施術をしていない事も明かされる。
ー 殆どの人は、ここでリナとリヒトの関係性が分かるであろう。
そして、この物語は一気に面白く、奥深いモノになって行く。ー
・リナがアマネの冷凍精子により授かった5歳の娘ハナの生き生きとした表情。リヒトもハナとは、仲良しだ。ハナは長寿の印である亀をペットとして飼っている。
・リヒトが壊れたカメラや舟を直した際の言葉。”ちゃんと修理すれば、動くんだ・・。”
そして、リヒトの舟に乗って一緒に沖に出たリナに対してのリヒトの言葉。
”俺は、妻に会って初めてこの世に生まれた意味を知った。貴女もそろそろ、自分の人生をキチンと生きてみたらどうだい、母さん・・。”
◆今作の白眉のシーンである。
それまで、母の存在、行いを頑なに拒否してきたリヒトが初めて息子として母に語る言葉。
リナの涙が頬を伝う。
実に沁みるし、生きている意味って何だろう、と考えさせられるシーンであろう。
小林薫さんの真骨頂が発揮されているし、それに応える芳根京子さんの涙と目のみで演技する凄さ。
ーーーー
・時は過ぎ、リナは"ある選択"をし、総白髪である。
美しき成人になったハナ(中村ゆり)が、島の海岸で老いた母に、優しく寄り添う姿。
周囲には、ハナの子供達と思われる小さな子から大きな子(芳根京子)までが、賑やかに海岸を走り回る姿。
ー 滅びゆく命と、新しき命を象徴するシーンであろう。ー
◆燦燦と降り注ぐ陽光と、大空に向かって手を差し上げるリナの姿。
そして、そのリナを演じる現代邦画界の至宝と言っても過言ではない、大女優さんの姿。
見事なラストである。
<”生と死とは何かであるか”という重いテーマを、様々な点から考えさせられる作品。
様々な人々が死と不老について語るドキュメンタリータッチのシーンも効果的で、今更ながらに、生と死を深く考えさせられた作品である。
私論であるが、不老不死のクスリなど要らないと思う。
劇中でも、ラジオで流れるが、出生率は低下し、自殺率が上がるのは必然だ。
それよりも、全ての人が人生の末期を安らかに迎えられる世の中にする事が、必須であろう。
古きモノは、新しきモノに変わって行くのが、世の定め。
そして、徐々に変化、進化して行けば良いのである。>
前半はお見事‼️後半はやや失速気味でした
【原作について】(映画鑑賞前の覚え書き)
ケン・リュウさんの作品は初めてでしたが、静かで優しい感じがどこかカズオ・イシグロさんのようでもありました。非現実的な設定はSFといってもおかしくないのに、いつの間にか我々がよく知っている現実世界の出来事のようにスーッと同時代的な感覚で物語世界に導かれているのです。
映画ではどう表現するのか、とても楽しみです。
さて、今度は映画の話。
公開初日に我慢できず、夕方の業務を月曜日に先送りして定時退社、映画館へ直行しました。
リナのボディーワークスの才能について、ダンスから見出されるという流れは映画オリジナル。
これが見事にハマってました。
その後のボディーワークスの実演の場面のアイデアはそれだけで何かの〝特殊◯◯◯賞〟みたいなものを受け取っていただきたいほど映像的にもパフォーマンス的にも魅了されました。芳根京子さんの衣裳と鋭いキレのある動きがもう映えまくり。ミラーニューロンという神経反射の会話ともうまく繋がっていました。
半面、後半への展開は原作に基づく予備知識がないとやや唐突な感じは否めません。
丁寧に向き合えば、色々なテーマを内包する物語なので難しいのは確かです。
例えば……
・不老不死の施術が新たな格差や分断を生んでしまうという社会全体へ波及する課題
・死と生が対極なのか、一体的に包含されるものなのか、という哲学的な問いかけ
・〝死なない〟という人類が誕生して以来、初めて迎える人生や概念への向き合い方や戸惑い
・いつまでに何を成し遂げる、という人生の目標自体が意味を成さないかもしれない(目標・目的を持たないことが目標・目的という論理も成り立ってしまう)
原作の短編小説では敢えて具体的に語らない部分ですが、映画として作り上げる時にはある程度、解釈のヒントのようなものを示して欲しかったかな、と私は感じました。
正解などいうものはないけれど、そういうことなのかと思わせたり、いや、それは実はこうなんだよ、みたいに鑑賞者それぞれが自分なりに納得できるような描写が少し物足りなくて、映像表現以外の曖昧さが結局は観る側に丸投げされて放置されたままのような淋しさが残りました。
不思議な世界観
最近芳根京子が好きすぎる。。そのため仕事はフレックスで午後からにして、朝イチで鑑賞。
不思議な世界観。前半の遺体保存も後半の不老不死も。死ぬとは何なのか、人の死への恐怖、死ぬからこそ生があるのか、自分がもし老いない体を得ることができたならどうかetcいろんなことを考える。
老いない体を得たい気持ちも、死を選択する主人公の気持ちもどちらもよくわかる。やはり人生は有限だからこそ人は何かに夢中になれるし、輝いていられるのだと思う。
芳根京子素敵だった。さまざまな年齢を演じているのもありいろんな魅力が見れてよかった。最初のカッコいいダンスや雰囲気のある演技から、途中のキリッとした大人の感じ、後半の優しい感じ、孫になった無邪気な感じ。どれもこれも美しくてかわいくて好きですねぇ。。
子役のはるちゃんもかわいらしかったー。あと、こういう世界観だからこそ倍賞千恵子さん、吹雪ジュンさん、小林薫さんから出る年齢の重みと温かさがぐーっと染み入ります。素敵でした。
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