とんびのレビュー・感想・評価
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父の姿
子育てしている男なら皆持つ感情を言葉少なに纏めるあたり、小説読んだ時に感じた印象と重なった。
お前が海になれ、の名言は忘れられない。
子供の背中を温める手が溢れるような世の中になって欲しいものだ。
私の子育てにも影響したこの小説を大切に撮ってくれた製作陣に感謝です。
昭和の香りがプンプンする作品
役を選ぶって本当に大事、親を選べないって本当に不幸
いやぁ、もちろん安田顕さんのことですよ。
登場してきてお顔を拝見するたびに『変態仮面』を思い出して、つい笑っちゃったです(笑)
いえ!安田さんが変態って言ってるわけじゃないの!
あれはまさに役者生命を懸けた名演技だったと思うです。
しっかし、よくオファーを引き受けたもんですよね(笑)
何かの拍子で騙されたとか?ドッキリみたいな?
いや、安田さんのこと、もっと知りたくて、いつもの如くWikipedia先生にぷち師事したです。
そうすると…
>自他ともに認める「変態キャラ」で、酒に酔うとすぐ服を脱ぎたがることから「ヌーディスト安田」の異名を持つ。
だって。
安田さん!もう弁護の余地ないよ!あンた最低だよ!←誉め言葉
あンた心底変態だよ!リアル変態仮面だよ!
来るべくして来たオファーだよ!
代表作のトップに来るのは、もう『変態仮面』でいいよ!
とか、そんなこんなは、まあいいとして、久しぶりのハートウォーミング系の映画です。
こういうベタな人情物って割と好きなんですよね。割と避けていますけれど。
で、主演の阿部寛さん。
私的に阿部さんベスト作品と思っているのは『自虐の詩』なもので、序盤にいつちゃぶ台返しが出てくるかヒヤヒヤしながら観てたです、はい。
そして薬師丸ひろ子さん。
人の好いオバサンを演じさせれば日本随一の女優さんになられたですよね。
あの“頼子ちゃん”がですよ。
主に女優さんって、コケずにキャリア積むと大化けするからすごいです。
大島優子さんも、化けてくれるのかな?
で、自虐の詩
私、離婚歴が二度あるんですね。二度目の時は三人の娘と暮らしていました。
長女とは色々わだかまりがあって、もう長らく会っていないし、もう会うこともないと思うです。子供はふたりおりますので、私既におじいちゃんなんですよね(笑)
二女も昨年めでたく結婚をし、今年の9月上旬が出産予定日です。
一番大切な時に家庭を投げ出してしまったのに、未だにパパ(笑)と呼んでくれるです。
今は東京で仕事を頑張っているです。
そんな二女が帰ってきて、会ってくれるたびに涙が溢れそうになるです。
この映画観ていたら、そんな二女のことを思い出して、また泣きそうになってきたです。
三女も彼氏さんと同棲中ですので“できちゃった婚”は必至と思うです(笑)
みんなみんな幸せをつかんでくれて、パパ(笑)本当に嬉しいです。
でも、私、やっさんみたいな素敵な父親だったかというと、全く自信がないです。
親を選べないって、子にしてみれば、本当に不幸でしかないです。
やっさんみたいな父親になりたかったです。
私…死期を悟った時には、後悔しか脳裏をよぎらないはずのクソ人生ですよ。
あかん…
また涙が…
で、映画のお話、お話。
阿部寛さんの、徐々の老けメイクが素晴らしかったです。きちんと歳重ねていたです。
奥さんとの悲劇の死別を除けば、誰一人不幸になることもなく、とても優しいお話でした。
たまには、こういうのを劇場に観に行くのもいいかも。
私の腐りきった性根を癒すにはいいかも。
エンディングテーマソング・ゆずの「風信子」(風信子?なにそれ???と思って調べてみると“ヒヤシンス”と読むんですね、またひとつ新鮮な学びの喜びナイス)も、とても優しくて美しい曲でナイスでした。
総じて、とても優しい気持ちになれた映画でした。
悲しみを全て呑み込む「海」になっても・・・ヤスの背中に涙する。
阿部寛の演じる市川安男と言う男は、妻・美佐子の喪失から一生立ち直れなかったのではないか?
「あんなに好きだった」
「命を懸けて愛した」
その妻を失ってしまった!!
ヤスの心には慟哭がある。
(ヤスは自分で気がついていないかもしれないが、
(アキラを心の底では、恨んでなかっただろうか?
(妻を奪った存在なのだから・・・)
ヤスさんは酒に酔い、酒を飲み、そして酒に呑まれる。
彼の寂しさが、居た堪れなく悲しい。
ヤスは片翼をもがれた飛行機、
だからいつもバランスがとれない、
だから喧嘩早くて、
殴り、殴られて、
撃沈する。
片翼のヤスがなんとかバランスをとって父親として飛び続けられたのは、
身近な人々の優しさ。
友だち夫婦が、
その父親の和尚が、
飲み屋の女将が、
職場の同僚が・・・
みんなして
《アキラを育てた》
《アキラを守った》
令和の今なら考えられないこと。
和尚の言葉、
『ヤス、おまえは海になれ!!
すべての悲しみを飲み込む、海に』
その言葉に、
同じくチカラ付けられる私もいた。
多くの母を早くに亡くした子供へ!!
そして早く妻を喪った夫へ!!
この映画には、慟哭がある。
(阿部寛は、男の背中で悲哀を演じて秀逸だった)
阿部寛のヤスさんがみれた
懐かしき昭和
知らないうちに、Amazon プライム・ビデオのラインナップに上がってた。
今日は妻が遅番なので、一人で夕飯食べながら観ている。
『ベイビーブローカー』とはまた別の視点から、親と子と社会の関係を描いている。映画の作りはベタだけども、こっちの方が私にはしっくりくる。
飯が涙でしょっぱい。
感動する場面は随所にあるのだけど、自分的にいちばん泣けたのは、ヤスが実の父親“寝たきりで意識もない)に「ありがとう」と呟く場面だった。
私も、父親に心から「ありがとう」と言えたのは、父が棺に入ってからだった。
まあ、父と息子なんて、現実はそんなもんだと思う。
しかし、終末部の蛇足はいただけない。原作にもない。北村匠海の老人メイクなんて見たくもない。
資本主義の正しい姿
とてもストレートな映画でした。実話を元にした様な印象を受けました。捻りとかはあまりない展開で、先が読めるけれど、登場人物の純粋さがその退屈さを埋めてくれている脚本でした。
きっと古き良き昭和という感じで、皆同じ感想なんだろうなと思ったので違う視点を。
この作品は、今の資本主義と能力主義が蔓延している世の中では感じ得ない幸福に溢れていたと思います。
主人公は運送会社で働いていましたが、今だと薄給で過労の弱者として描かれる可能性が高いと思います。でもこの作品にほそういった部分が一切なかったですよね。中古住宅を購入して、地方の場末の?居酒屋で飲み明かしていましたが、幸せに溢れたとても豊かな人生でした。
この感覚を失ってはいけないんだと強く思います。
いつからから日本ではメディアの煽りでお金が絶対的な価値となっています。そして芸能人ですら自殺する世の中になっています。上も下も苦しいんです。それは幸せの定義が狂っているからだと思います。
この映画は、お金ではなく、家族や周りの人を愛することを純粋に追求した話が展開されました。そこに上下はなく、本当の人間賛歌と幸せの本質があったと思います。
是非心を綺麗にするためにも、色々な方にこの映画を見て欲しいと思います。
一つだけ心残りは「ありがとう」を言うシーンがなかったことですね。ここまでストレートだったので、最後に真実を知った子供が、それまでの全てを持って「ありがとう」と言うシーンが欲しかったです。
父のついた優しい嘘
尺が足りない
重松清氏のベストセラーの映画化ですが、過去に2度TVで連続ドラマ化されており、この父と息子が歩んだ半世紀を描くには、TVでは十分な尺だったのが、2時間強の映画ではやや浅薄になってしまった気がします。
物語は、無器用で無骨で逞しい昭和の男と、その息子との長年に亘る確執と対峙、そして宥和を辿ります。
前半は物語の契機となる事件と専ら父親の人物像をひたすら描きます。時代背景は、塵芥と埃と汗の臭いが漂う、荒々しくも熱い情に満ちた高度経済成長期の昭和であり、舞台は、瀬戸内海に面した田舎の港町の、町の人々皆が家族のような、深く温かい情愛溢れる世界です。殊に広島弁の野卑なやり取りが耳に心地良く響き、喜怒哀楽が諸に現れる情の厚さを実感させてくれます。標準語では決して喚起しないシチュエーションです。
息子役が子役から北村匠海に入れ替わったところから父と息子の話に集約されて、漸く物語が佳境に入り一気に空気が濃密になるのですが、如何せんそれまでに周囲の人々に関わるエピソードがそれなりの尺で挿入され、本作の本質が散漫になってしまいました。
本作の核になるのは、あくまで父と息子の物語であり、小説ならば話に膨らみが出てきますが、映画ではただ間怠こしく感じます。
徹底して二人にフォーカスし凝縮していくべきでしょう。
特に前半の息子のキャラクター設定が希薄であり、父と息子の間の葛藤と、歳月の経過による互いの相剋の描き方が茫洋とした感がして、その分、ラストに向けての二人の反目と息子の嫁を交えた衝突・対峙と和解という、観客にとってのカタルシスの快感が十分に得られないように思います。
時空が行ったり来たりしても、役者の容貌や声色に変化や老いが出て来ず、時の経過が感じられないために混乱することも、物語のベクトルが見えないことに拍車をかけています。
更に人間ドラマゆえに人物の寄せカットが多くなるのは、ある程度已む無いですが、それにしても人物のカットが多過ぎて、物語の重要な要素と思われる広島の港町の情景、土俗性豊かな風景のシーンが殆どないので郷土色が希薄になるのは残念でした。
父子愛
古き良き時代
感動を暴力で濁してしまう
不器用な愛情と憎めないキャラクター
海のシーンは泣けた
背中、ホントに広くて大きかった
北見の最終上映日。
ついつい、見逃していた……けど……、観て良かった。
『ザ・邦画』の系譜っていう感じの作品。
阿部寛さんはとっても上手くて、ビックネーム過ぎて、どうかなー、配役……。もっとメジャーではない役者さんでもいいのでは?と思っていたけど……(そもそもが、阿部寛さんありきで作られた作品だとパンフレット)で知った)。
観おえて……阿部寛さんで良かった。
銭湯のシーン、背中が広くて大きかった。一途な役がよく似合う(ルックスが良すぎだけど)。
『カバチたれよったら、シバき倒してやって下さい』。
北村匠海さんが、杏さんの子供の背中にそっと手を置くシーン。
(阿部寛さんの子供の)旭くんも、杏さんの子供も、『ボッポ』、汽車の模型で遊ぶシーン。
『(人生)山あり谷ありの方が、景色が綺麗に見えるものよ』という薬師丸さんの台詞。
安田顕さんが『夕なぎ』で、杏さんをけなす場面。
海辺、砂浜の家族のシーン(2世代)。
全てが名シーンでした。
是非とも小説を読んでみようと思いました。
映画館では数少ない(5人)観客のうち、老齢のご夫婦が鑑賞されていましたが、時々、笑い声など穏やかな声をあげられて観ておられました。
言葉も風景も
広島での町で(ほぼ同時代に)育ったので、なおさら。
東京の倉庫に置かれてあった段ボールに『いりこ』と書かれていたのも。
『糸』の監督さんだったんですね。
観ながら思ったのは、(関係ないかもけれど)『感動を食べていく』存在なんだなーと。
無骨な男の子育て人生
無骨な男親、その周りの人達の助けの中で成長する少年の人生を昭和30年代から丁寧に描いてる。
監督の丁寧さは垣間見えるのだが、この物語を2時間弱に収めることにより、どうしてもキャラクターたちへの感情移入が薄く終盤の盛り上がりも弱く感じた。
やはり連続ドラマ的に作り込んだ方がこの原作には合ってて、キャラクターたちの心情が深く描けもっと共感を得たんじゃないかと思った。
映画として面白いのだが、原作の良さを最大限に活かせたかという点に於いては、足りなかった様に思えた。
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