「昭和の頑固親爺は寡黙な方がいい」とんび tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
昭和の頑固親爺は寡黙な方がいい
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「良作」ではあるのだろうが、今一つ響かなかった。
理由の一つは、父親のキャラクター。一本気で喧嘩っぱやいが、どこか憎めず、皆から愛される人柄として描かれているが、この「憎めない」とか「愛される」といったところが、どうにも腑に落ちない。昭和の時代だろうが、広島だろうが、実際にこういう人間が身近にいたら、とてもやっかいで、面倒くさいはずで、そう思うと、映画の世界に入り込むことができなかった。
もう一つの理由は、構成の悪さ。主人公が「生まれてこなければよかった」と思い悩んでいると思ったら、そのすぐ後に、自分の父親に「生を与えてくれてありがとう」と感謝したり、物語の最大のポイントである母の死の真相が、終盤を待たずして、あっさりと息子に明かされたりと、どうにも語り口がすっきりしない。やはり、入社試験時の息子の作文のエピソードは、クライマックスの泣かせどころで使ってほしかったと思うのである。
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