「子供たちに群がる大人どもの闇をもっと掘り下げてくれないか。」SNS 少女たちの10日間 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
子供たちに群がる大人どもの闇をもっと掘り下げてくれないか。
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もちろん企画自体の意義はあると思う。まったくダメなドキュメンタリーとは言わないが、ただ作りをての姿勢には疑念が拭えない部分がある。というのも、このドキュメンタリーが、ネット上の子供たちへのセクハラ問題を扱いつつ、問題を掘り下げる気があるようには思えないから。
これだけの仕掛けを作っておいて、作り手は何をしたかったのか。クソみたいな大人たちが子供たちに群がってくるという現実を可視化することはできた。ただ、それも知ってる人にはもはやおなじみのクソでしかない。じゃあ、彼らの闇は何なのかでも、なぜこういう自体を止められないのかでも、子供たちをどうやって守ればいいのかでもなく、この作品の作り手は、クソどもを見つけ出して晒すという“おしおき”以上のことを考えていないように見えてしまう。
子供に群がる連中の行為を、本作ははっきりと犯罪であると説明している。じゃあ、犯罪者どもを見つけて警察が捕まえれば解決する問題なのか? いや、むしろ一線を越えなくても、ここで晒されている性犯罪者たちの嗜好にどこか惹かれてしまう人間(主に男性)は絶対にいて、男性側としてはその心の奥底に潜むものこそ探ってほしかった。常に正義の側に立っているという作り手の意識が、作品として物足りないものにしてしまった感は否めないと思っている。
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