「SNSの闇を描いた、なかなかエッジの効いたドキュメント作品です。」SNS 少女たちの10日間 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
SNSの闇を描いた、なかなかエッジの効いたドキュメント作品です。
上映前から、いろんな意味で話題の作品を観てきました。
で、感想はと言うと、なかなか凄い作品です。
面白いかどうかと言えば、面白いけど、人の恥部に触れる様な猥雑な感じの面白さで、観ていておっかなびっくりな面白さと言うんですかね。
フジテレビの「ザ・ノンフィクション」で際どいテーマの回とTBSの「野球戦力外通告 クビを宣告された男達」を足して、そこに深夜番組のアダルトテイストを入れて、こねくり回した様な感じって言うんでしょうかw
幼く見える成人女性3人を未成年と言う設定でSNSへ登録して、どういった事が起こるかを検証すると言う内容で、一応ドキュメンタリー。
でもそのドキュメンタリーであると言うのがタチが悪いw
スタッフ以外で女の子に帰らんでくるの大人達がどいつもこいつも「ド」を幾つ付けたら良いか分かんないくらいの変態野郎ばかり。その変態遭遇確率99%w
もう、その変態っぷりに口があんぐり。
よくもここまで自分の欲求と性癖をおおっぴらに出来るのか、信じられないぐらい。
ネットと言う閉じられた空間に見えて、広大に広がる社会で自身を解放すると言うのは分かるけど、相手がどんな素性なのかなんて分からないし、誰に見られているかも分からない。ましてや証拠も残るのに、何故ここまでオープンになれるのかが正直分からんw
それぐらい超絶ストレートですw
撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋に、幼い顔立ちの18歳以上の3人の女優が集められ、それぞれが12歳の女子という設定にし、SNSで友達募集をかける。
その結果、女の子達にコンタクトが山程来て2000人以上のコンタクトが成人男性。
それも中年のオッサン達が大多数w 中には老人も含むとなると完全に犯罪予備軍の温床になってる。
もう欲望の展覧会とばかりにいろんな要求を女の子達に求めてくる。その欲求にクスリとしながらも口あんぐりで唖然とし、中には同性ながらに赤面する様な小っ恥ずかしいものがオンパレード。
スタジオには精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家による万全のケアがされているとは言え、いくら検証の為とは「やり過ぎじゃね?」と思えるぐらい。
撮影は10日間にわたり続けられ、撮影されているとは気付かず、何も知らずに卑劣な誘いを仕掛けるオッサン達が赤裸々に未成年に対する容赦ない欲望をぶつけてくる。
会う事を要求するなんて序の口で「〇〇を見せろ!」「〇〇の写真を送ってこい!」と聞くと「お前、普段の表の顔はどんなんやねん!」と言いたくなるぐらい。
中には「こういう事をしているのを家族にバラすぞ。だから俺の言う事を聞け」と言ってくる奴もいる。もう犯罪確定で有罪決定w
こういう文章が証拠に残って、それがどこでどの様に回るか分からないのに何故証拠を残そうとするのかが謎と言うか、怖くならないんだろうか?ちょっと不思議。
とにかく時間が経つ毎に欲望は超特急でエスカレートしていく。人の裏の顔なんて興味本位で見るもんじゃないとばかりに観る側の心が削られていきゲンナリしていきます。
先程「変態遭遇確率99%」と書きましたが、中には「嘘だろ?」と疑いたくなるぐらいの純な奴もいたw
本当に相手の事を思い、相談に乗っていた事が嘘の様に清々しいw
勿論、ネットの全てが欲求を曝け出す所ではないと言うのは分かっているが、余りにもその比率が大き過ぎるので、ちょっと感動しましたw
舞台となるチェコ共和国は歴史のある街並みでネット犯罪的な物には無縁の様にも思えますが、実はネット依存が思った以上に広がっているとの事。
だからこそ深刻でもあると思うけど、これを炙り出そうとする所が凄いw
そんなの炙り出したら、地下道のゴ○ブリの如く、ウジャウジャと出てくるのは分かっていると思うのに炙り出しちゃった。で、ウジャウジャ出てきたとw
クライマックスは会う事を要求した者達と会い、それぞれの大人達がしどろもどろになったり、顔面蒼白になったりするのが野次馬根性丸出しで不謹慎ながらも面白い。
また、スタッフが過度に欲望をむき出しにした者に「御宅訪問」をした時の身勝手な屁理屈には口あんぐりどころが怒り心頭。
「親の教育が悪い!」なんてどのクチが言うんだろう?と思いつつ「だったら、お前の親もお前に対しての教育が悪かったんだな。天罰落ちろ!」言いたくなります。
感想は凄いと書きましたが、それはいろんな意味で凄いと言うだけで、一言で言うなら「胸糞悪い」w
多分、大多数の人達がそういう感想だと思うし、これを観て「感動した!」と言うのは多分皆無w
そういう作品じゃないと言うのは重々承知してますが、インターネットは便利だからこそ、怖いなあと思うし、反面教師とし考えて気をつけようと思います。
でも、よくよく考えたら、社旗的通念や道徳があったとしても、これを「撮ろう!」言い出した監督やスタッフが一番ゲスいかもw
映画でやるべき作品ではないかもですが、映画だからこそ出来たとも言えます。
でも本来はCS放送の番組とか「Netflix」なんかが一番合っていそう。
兎にも角にも、なかなかエッジの効いた作品で「毒」が多い感じですが、腫れ物に触る様に扱うのではなく、きちんと取り扱えば「薬」になる作品かと。
とは言え、なかなかな「劇薬取り扱い注意」な作品。
コロナで三度目の緊急事態宣言で映画館も上映自粛の中、大手のシネコンは殆ど休館。
小~中規模の映画館も休業を余儀なくされて動向が気になる中で上映されている事を知り、鑑賞しました。
今のこの御時世で映画館に行く事を懸念される方もおられるかと思いますが、映画関係者はいろんな意味で本当に大変。
特に劇場公開されたばかりで休館になると、映画館も映画制作サイドもかなりのダメージを受ける。
なので、個人的には映画界の応援も込めて、劇場で足を運びました。
で、話を戻しますがw、「人の振り見て我が振り直せ」と言うか、「壁に耳あり障子に目あり」を教訓として教えてくれる有難い作品w
興味があれば是非是非な刺激的な作品です。