クライ・マッチョのレビュー・感想・評価
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馬と車
クリント・イーストウッドは馬が似合う。そんなことはわかりきっていたのだけど、この年になってもものすごく様になっていてすごい。冒頭、イーストウッド演じる主人公がメキシコに入り、車を走らせている横を、数頭の馬が平行して走っているシーンがすごく良い。馬と一緒に同じ方向に走っているのが、なんというか、馬とともに生きてきた男の姿っぽい感じがあっていい。物語は、少年と老人の疑似家族的な関係構築の話だが、馬と車が媒介となって進んでいく。
車が駄目になったり、盗まれたりするので、何度か車を乗り換えていく。少年は時々、車を運転したがるが、未成年なので主人公はそれをさせない。代わりに、馬の乗り方は教えてやる。同じ脚本家の『グラントリノ』は車の継承の話だったが、今回は馬の乗り方を継承する話になっている。何かを継承する時に、運ぶものである乗り物を用いるのが、この脚本家は好きなんだろう。そして、それがイーストウッドにとても合っている。
イーストウッドの楽園
2021年。クリント・イーストウッド監督。2年前に見た作品をブルーレイで再見。アメリカ南部でかつてロデオで名をはせた男は今や孤独な老後を送っている。解雇を言い渡された元雇い主から、メキシコから息子を連れだしてほしいと依頼された男は、いやいやながらその依頼を遂行しようとするが、、、という話。
依頼遂行の過程での邪魔とその克服、やがて判明する依頼のもう一つの意味、それとはまったく関係なく依頼遂行の過程で寄り道として生まれる人間関係、次世代への継承。すばらしい。悪人も100%悪人ではなく、正直者も100%嘘をつかないわけではない。白黒入り交じった人間(特に主人公と元雇い主)を光と陰で描く。カウボーイハットは深い影を作り出すための小道具なんだなあ。「楽園」として描かれているメキシコの老婦とその孫たちの家庭には男がいない。それがなんともイーストウッドらしい。老婦が営む料理屋に夕日が差すなかで二人は静かに踊る。静かに舞い上がったほこりと煙が光りのなかをたゆたう。エンド。これが楽園でなくてなんなのか。
なによりも(本当になによりも)90歳を超えた監督自身が出演していることがすばらしい。劇中のどこかでなにかに挫折して怪我を負う(そこから再度立ち上がる)という過去作が多いので、まさか激しいアクションがあるのかと思ってはらはらするが、それはなかった(ファイティングポーズをとる場面はある)。その代わり、かつて「マディソン郡の橋」で60歳を超えてはにかむ姿が絵になるということを証明してみせた監督だけに、90歳を超えてなおはにかむ姿が生き生きと描かれる。これがすごい。生きる映画史!
人生とは居場所をみつけること、か
枯れに枯れた男がメキシコ→アメリカへ若者とロードムービーな作品ですが、何故かなぜなのかずっと枯れきった男を観ていたい観ていられる作品でした。
若者は間違える選択をできる自由があり、それを押し付けもせず、ただただレット・イット・ビーで、それも心地よかったです。
全編にわたるイーストウッドの老人の歩き方だけでも観る価値ありまくり。
少年は親の愛情を知らなかった。 旅の途中でマイクと少年は心を通わせる。 少年はマイクを初めてできた友達だと思った。 旅の途中で知り合った家族。 マイクはそこが自分の居場所だと思った。
動画配信で映画「クライ・マッチョ」を見た。
2021年製作/104分/アメリカ
原題:Cry Macho
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2022年1月14日
マイク(クリント・イーストウッド92才)は
メキシコからひとりの少年をテキサスまで連れて来いと命じられる。
恩人の頼みだった。
恩人は少年の父親。
少年のメキシコ人の母親とその手下が妨害してくる。
少年は自分の言うことは聞かないが、
自分の所有物だという理屈だ。
少年は親の愛情を知らなかった。
旅の途中でマイクと少年は心を通わせる。
少年はマイクを初めてできた友達だと思った。
旅の途中で知り合った家族。
マイクはそこが自分の居場所だと思った。
テキサスまで少年を送り届けたマイク。
少年はこれからどうするのか?
その先の描写はない。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
雰囲気は渋くて良い映画
夕焼けに染まったテキサスの大地を車で走るところや、メキシコの荒涼とした砂漠、木でできた味のある飲食店など、雰囲気は渋くて良かった。
ストーリーは出来が悪い。息子が連行されるのを止めないくせに、部下に尾行させて連れ戻そうとする雇い主の妻。なぜかやたら親切にしてくれる飲食店の女店主。主人公マイクの人生を立て直すのに手を貸してくれるほど情に厚いのに、血のつながった息子は妻に対する交渉に利用する雇い主など、全体的に違和感がある。もやもやしながら観ていると、ラストも淡白に終わってしまってあっけなかった。
どうやら「強さ」をテーマにしているようだがそれも伝わってこない。いったい何が描きたかったのか。イーストウッド監督にしては中途半端な映画だった。彼ほどの監督がそういった違和感を覚えないはずが無いと思うのだけど。
さすがイーストウッド
最初はね、うーんこれはまさかの駄作??
イーストウッドももう枯渇したのかな?と思ってしまったが見ていくうちに引き込まれていく、、なんだこれ
だんだんと感情移入していくんだよね、イーストウッドはもうこの少し偏屈爺さんの役が合っている、これに少年が交わるともうちょっとした事で涙腺にくるんだわ
ストーリーはすごいわけじゃないのになんかハラハラする
それはイーストウッドがこれ劇中死ぬんじゃない!?
って常に思わせてくるからね笑
今作はなかなか幸せなエンドだったのでとてもよかった!
☆☆☆★★ 《御大の老いらくの恋》 予告編を観た瞬間から、「あ?こ...
☆☆☆★★
《御大の老いらくの恋》
予告編を観た瞬間から、「あ?これはイーストウッド御大の集大成の作品になりそうだ!」…と思った。
これには一応は原作があるものの。予告編から醸し出される雰囲気が『パーフェクトワールド』であり。『グラン・トリノ』や、最近の『運び屋』を想起させる。
更には、今では落ちぶれてしまった元ロデオスターとの設定から『ブロンコ・ビリー』を。ロードムービーでもある事から、イーストウッド最高傑作の1つ『センチメンタル・アドベンチャー』を…と言ったように。長年イーストウッドを観て来たフアンからすると、「嗚呼!これをもってイーストウッドは伝説に、、、」等と、ついついセンチメンタルな気分に…
………あららら、、、とんでもなかった💧
イーストウッドはまだまだ【引退】等する気はなさそうだった。
それどころか、ますますお盛んなのを見せられるこっちは、一体全体どんな気持ちでスクリーンを見つめて行けば良いのやら^^;
基になった原作をどれだけ忠実に映像化されているのか?は、原作未読の為に今ひとつ分からないのですが。単なる原作未読の身から観て(おそらくは)こんな物語ではないんじゃなかろうか?…と。
尤も、原作そのものを忠実に映像化していたのならこちらの見込み違いって事になりますけども。
…って事で!(どんな事だよ!ですけど)
流石に今回のイーストウッド御大作品には。往年の作品群に見られたような人間賛歌であったり、人生の深み等が滲み出て来る何時もの人物像とはちょっと無縁な主人公だったのが残念。
(それでも、あの皺くちゃな御大の顔がスクリーンに映るだけで、大いなる反則なんですよね)
これは最早脚本上の問題でしょうかねえ。
wikipediaを確認したら、どうやら完成するまでの道のりこそを映画化した方が遥かに面白くなりそうな感じで、イーストウッド御大も、どちらかと言えば雇われ監督みたいな雰囲気がするし…と。
何となくですけど。御大自らは、仕事をしていないと、身体も心もドンドンと衰えてしまうから…ってところがひょっとしてあったのかも…と穿った見方をしながら観てしまった。
もう一つ考えられるとしたならば、共演したメキシコ人女優のNatalia Travenにあるのかも?
御大を相手にして、老いらくの恋の相手になるのだけれど。歳は召されてはいたけれど、凄く素敵な女優さんだった。
御大って元々共演した女優さんと…
本来ならお好きだものなあ〜(^^;)
御大!今回は今ひとつ、、、いや、今3つくらいだったけれど、次回はバシッと頼みますよ!
2022年1月15日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン6
二人と一羽のマッチョ
クリント・イーストウッド監督はどちらかといえば好きではない。しかし、人生を悔いるジイサンの終活系作品は好きだ。具体的には「グラン・トリノ」「運び屋」そして本作だ。
細かい形は違えど人生の終わりに何かをなそうとするという意味では同じような作品だ。
そしてこれら作品の中でイーストウッドが演じた役柄にはイーストウッド本人の影がチラつく。
イーストウッド本人から始まって本作を含めたいくつかの作品が一本に繋がった大作のようにも感じる。
お隣と異文化交流をし、クスリの運び屋をして、知人の息子をメキシコまでさらいに行く。未来を守り、過去を悔いて、そして今回は、未来に伝えようとした。
自分の持っているものを伝え残し育む。過去作に出てくるような悔いの残った男を新たに作らないために若者に人生を説く。
物語としては、むかしマッチョだった男と、マッチョになりたい男と、今まさにマッチョな男(ニワトリ)のロードムービーのような交流だ。
マイクとラファの関係性、距離感が近付いていく様子が丁寧で、お互いがお互いに歩み寄るパートがちゃんとあるのもいい。
それが次第に親子のように、食堂のマルタも巻き込んで家族のようになっていく様子は傑作の風格さえある。
暴れ馬をなだめるシーンではそれが最高潮に達する。どうやったのかと問うラファに対して「一緒にやったんだ」と返した瞬間はちょっと涙ぐんでしまった。
マッチョとは、一人で強く生きられることではなく、誰かと寄り添い支え合える者のことかもしれない。少なくともマイクはそう考えたように思える。盗みをしながら闘鶏場に一人で生きることでは決してないのだ。
昨今の作品は、イーストウッドの遺言のようにも感じて…
全く知らなかったクリント・イーストウッド
作品だったが、キネマ旬報でも評価が高く
(選定委員第4位/読者第9位)、
TV放映を機会に初鑑賞。
しかし、一流の監督らしからぬ
ディテールの甘さとつなぎの粗さを感じて
なかなか没入出来ず、
残念ながらイーストウッド監督作品としては
余り買えなかった。
まず、母親の人物像が極端過ぎて、
息子の葛藤に深みを与えていないし、
寒村の食堂女性経営者から
最終的に好意を受けるものの、
初めは反権力的思想からだとしても
それが愛情へ昇華する彼女の心持ちへの
演出を感じない。
更には、幾つかの場面で、何故か都合良く
警察側からは見つけられない設定や、
息子が車のオイル漏れを見つけるシーンの
下手な演出等々、
余りにも稚拙な前提と演出による展開が
連続する脇の甘い作品に思えた。
この作品、解説にあるような
“人生のやり直し”がテーマだとしても、
関係修復が充分では無い中で
父親に息子を届ける設定も疑問だし、
主人公と女性経営者との関係も
「マディソン郡の橋」のように、
その当事者の思索に
充分に焦点が当たっていないのでは
テーマの上滑りにしか感じない。
従って、キネマ旬報第4位選出も、多分に
イーストウッドのネームバリューの賜物
だったのかなあ、と思わざるを得ず、
一流の監督作品としては詰めの甘さを
感じるばかりの作品だった。
ただ、「グラン・トリノ」と同じように、
自らがその年齢でリアルタイムに感じた
人生の摑みを
若い世代に伝えようとの意図が
見え隠れしているようで、
昨今のイーストウッド作品は、
まるで彼の遺言のようにも感じている。
タイトルなし
クリント・イーストウッドらしい作品ではあるが何か物足りない。形だけで大事な物を詰めていないような感じ。
万人に観せる映画用に練った物語ではなく自分の頭の中だけに留めておくべき空想を映画にしてしまったような内容だった。
とても優しい作品
大スタークリント・イーストウッドが90歳代で監督主演を張った作品だから、面白いとかつまらないとか良いとか悪いとか、そんな目線で観るべき作品ではないのかもしれない。
ストーリー・映像ともに特筆するところはなかったが、老若男女誰でもほのぼの鑑賞できる作品といったところかな。
なんなのマジで
この爺さんなんなのマジで。最高なんだけど。
「グラントリノ」「運び屋」と併せて遺書三部作って感じ。
まだまだやれるとは言えない歳だろうけど、まだまだやってほしい。
イーストウッド御大、ありがとう。
マッチョな心
クリント・イーストウッド監督
主演・製作のロードムービー
テキサスで孤独に暮らす
ロデオ界の元チャンピオンの
老人マイクは
恩がある元の雇い主から
メキシコで、前妻と暮らす息子を
連れて来て欲しいと頼まれ
13歳の息子ラフォを探しに
国境越えをする。
母親が原因で荒れた生活を
していたラフォは
闘鶏用のニワトリを
マッチョと名付け
ストリートで生活をしていた。
父親の事を伝え
国境を目指す二人だが
警察や追手に追われながら
ある街に辿り着く
未亡人のマルタという
女性のお店で休憩することになり
マルタの優しさに
居心地の良さを感じ
車が故障中という事もあって
牧場で野生馬の訓練を手伝う
マイクとラフォ
そんな流れで進行してゆく物語。
公開時91歳(現在は93歳)の
監督 主演だが
目の輝きが確認できたり
存在感がありました。
年老いた自分を 自然のままに
表現されていて素晴らしかったです。
ラフォ役の若手俳優さんも
しっかりとした演技で好演。
雰囲気の良い
ロマンスもあったりで
こういった作品も好きです。
主題歌?
カントリーミュージックも
渋さがあってステキでした。
「荒野の用心棒」
「夕陽のガンマン」等
西部劇が似合う俳優さんの
イメージがありますが
「ダーティ・ハリー」シリーズの
アクション物があったり
「マディソン郡の橋」では
ラブロマンスも
その他
マット・デイモンの「ヒアアフター」
トム・ハンクスの
「ハドソン川の奇跡」
「運び屋」他
後半は、監督としての
作品も沢山ありますね。
まだ、観ていない作品が
多くあるので 鑑賞したいです。
大したカウボーイとしての実力
クリントイーストウッド扮するロデオの名手マイクマイロは、酒に溺れ落ちぶれたカウボーイをしていた。そんなマイクマイロにメキシコから13歳の息子を連れて来て欲しいと依頼があった。しかし息子はモンスターだと母親は言った。
クリントイーストウッドはもうじいさんの様相だね。旅が進むにつれ、ふたりに友情めいたものが生まれたものの車盗まれちゃったね。やっぱりメキシコはそういうところなんだね。それにしても良く慣れてる鶏マッチョだな。ましてやカウボーイとしての実力も大したものだ。メキシコの人情も最高だね。
最後の鶏の雄叫びはいいね
いい映画だった。少年と老境の男との短い旅。
男は言う、人生は選択だと。
少年は言う、前に進む、と。
だよね、結局自分の人生の責任は自分にある、誰のせいでもない。
主人公も波乱万丈の人生を経て、最後に居場所を見つける。
少年も、これから自分の人生を歩むのだ。
老境でも、こんないい映画作って、演技もできるクリントイーストウッドは
やはり、すごいね。
主人公を演じるには齢をとりすぎ
主人公はイーストウッドではなく、他の役者にさせた方が良かったのでは?
メキシコのギャングの元妻から息子を誘拐させる、という物騒な任務をさせるには齢をとりすぎで動きがスロー過ぎる。
(同様のことは、「アイリッシュマン」のデ・ニーロ、パチーノ、ペシの3人の主役にも感じたが、皆、好きな役者なので、彼らを見たい気持ち半分、作品の魅力が削がれている気持ちも半分)
例えば、「ミスティックリバー」の主演3人(ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコンなら60過ぎ)でも、本作の主役を演じることもできただろう。とかね。
最初は、「グラン・トリノ」みたいな映画かと思ったが、また違うな。
疑似親という以外にも、2人とも「居場所」が無く、それを探すロードムービー、というかな。
あとは、「少年の成長を描く物語」とすれば、父親、母親と対峙させる必要があると思うが、最後までそれは無し。
それは消化不良感が否めない。
まあ、良く言えば「観客の想像の余地を残す」とも言えるが。
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