クライ・マッチョのレビュー・感想・評価
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馬と車
クリント・イーストウッドは馬が似合う。そんなことはわかりきっていたのだけど、この年になってもものすごく様になっていてすごい。冒頭、イーストウッド演じる主人公がメキシコに入り、車を走らせている横を、数頭の馬が平行して走っているシーンがすごく良い。馬と一緒に同じ方向に走っているのが、なんというか、馬とともに生きてきた男の姿っぽい感じがあっていい。物語は、少年と老人の疑似家族的な関係構築の話だが、馬と車が媒介となって進んでいく。
車が駄目になったり、盗まれたりするので、何度か車を乗り換えていく。少年は時々、車を運転したがるが、未成年なので主人公はそれをさせない。代わりに、馬の乗り方は教えてやる。同じ脚本家の『グラントリノ』は車の継承の話だったが、今回は馬の乗り方を継承する話になっている。何かを継承する時に、運ぶものである乗り物を用いるのが、この脚本家は好きなんだろう。そして、それがイーストウッドにとても合っている。
雰囲気は良いものの
老いてもヒーロー
闘鶏
メキシコ大好きおじさん映画
ウエスタン
クリント・イーストウッドらしい作品
ちょっと気難しそうで、でも本当は優しい人で、そういう役柄がお似合いのクリント・イーストウッド監督&主演作品。
恩人に頼まれ、その恩人の息子をメキシコからアメリカに連れて行くマイク。
恩人の息子のラファエルと闘鶏のマッチョ、メキシコで出会った食堂のマルタ、その2人と1羽との交流を通して新たな人生がスタートするというストーリー。
ちょっとヨボヨボぽかったイーストウッドなんだけど、このマイクは老いていてもカッコ良く見えました。
カウボーイハットがホントお似合いだし。
メキシコのロケーションもきれいで、人の優しさに暖かい気持ちで観終われるラストでした。
観て良かったです。
ダンスが身近にある日常ってステキだなぁと今作を観ても思いました。
イーストウッドの楽園
2021年。クリント・イーストウッド監督。2年前に見た作品をブルーレイで再見。アメリカ南部でかつてロデオで名をはせた男は今や孤独な老後を送っている。解雇を言い渡された元雇い主から、メキシコから息子を連れだしてほしいと依頼された男は、いやいやながらその依頼を遂行しようとするが、、、という話。
依頼遂行の過程での邪魔とその克服、やがて判明する依頼のもう一つの意味、それとはまったく関係なく依頼遂行の過程で寄り道として生まれる人間関係、次世代への継承。すばらしい。悪人も100%悪人ではなく、正直者も100%嘘をつかないわけではない。白黒入り交じった人間(特に主人公と元雇い主)を光と陰で描く。カウボーイハットは深い影を作り出すための小道具なんだなあ。「楽園」として描かれているメキシコの老婦とその孫たちの家庭には男がいない。それがなんともイーストウッドらしい。老婦が営む料理屋に夕日が差すなかで二人は静かに踊る。静かに舞い上がったほこりと煙が光りのなかをたゆたう。エンド。これが楽園でなくてなんなのか。
なによりも(本当になによりも)90歳を超えた監督自身が出演していることがすばらしい。劇中のどこかでなにかに挫折して怪我を負う(そこから再度立ち上がる)という過去作が多いので、まさか激しいアクションがあるのかと思ってはらはらするが、それはなかった(ファイティングポーズをとる場面はある)。その代わり、かつて「マディソン郡の橋」で60歳を超えてはにかむ姿が絵になるということを証明してみせた監督だけに、90歳を超えてなおはにかむ姿が生き生きと描かれる。これがすごい。生きる映画史!
人生とは居場所をみつけること、か
少年は親の愛情を知らなかった。 旅の途中でマイクと少年は心を通わせる。 少年はマイクを初めてできた友達だと思った。 旅の途中で知り合った家族。 マイクはそこが自分の居場所だと思った。
動画配信で映画「クライ・マッチョ」を見た。
2021年製作/104分/アメリカ
原題:Cry Macho
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2022年1月14日
マイク(クリント・イーストウッド92才)は
メキシコからひとりの少年をテキサスまで連れて来いと命じられる。
恩人の頼みだった。
恩人は少年の父親。
少年のメキシコ人の母親とその手下が妨害してくる。
少年は自分の言うことは聞かないが、
自分の所有物だという理屈だ。
少年は親の愛情を知らなかった。
旅の途中でマイクと少年は心を通わせる。
少年はマイクを初めてできた友達だと思った。
旅の途中で知り合った家族。
マイクはそこが自分の居場所だと思った。
テキサスまで少年を送り届けたマイク。
少年はこれからどうするのか?
その先の描写はない。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
雰囲気は渋くて良い映画
夕焼けに染まったテキサスの大地を車で走るところや、メキシコの荒涼とした砂漠、木でできた味のある飲食店など、雰囲気は渋くて良かった。
ストーリーは出来が悪い。息子が連行されるのを止めないくせに、部下に尾行させて連れ戻そうとする雇い主の妻。なぜかやたら親切にしてくれる飲食店の女店主。主人公マイクの人生を立て直すのに手を貸してくれるほど情に厚いのに、血のつながった息子は妻に対する交渉に利用する雇い主など、全体的に違和感がある。もやもやしながら観ていると、ラストも淡白に終わってしまってあっけなかった。
どうやら「強さ」をテーマにしているようだがそれも伝わってこない。いったい何が描きたかったのか。イーストウッド監督にしては中途半端な映画だった。彼ほどの監督がそういった違和感を覚えないはずが無いと思うのだけど。
さすがイーストウッド
☆☆☆★★ 《御大の老いらくの恋》 予告編を観た瞬間から、「あ?こ...
☆☆☆★★
《御大の老いらくの恋》
予告編を観た瞬間から、「あ?これはイーストウッド御大の集大成の作品になりそうだ!」…と思った。
これには一応は原作があるものの。予告編から醸し出される雰囲気が『パーフェクトワールド』であり。『グラン・トリノ』や、最近の『運び屋』を想起させる。
更には、今では落ちぶれてしまった元ロデオスターとの設定から『ブロンコ・ビリー』を。ロードムービーでもある事から、イーストウッド最高傑作の1つ『センチメンタル・アドベンチャー』を…と言ったように。長年イーストウッドを観て来たフアンからすると、「嗚呼!これをもってイーストウッドは伝説に、、、」等と、ついついセンチメンタルな気分に…
………あららら、、、とんでもなかった💧
イーストウッドはまだまだ【引退】等する気はなさそうだった。
それどころか、ますますお盛んなのを見せられるこっちは、一体全体どんな気持ちでスクリーンを見つめて行けば良いのやら^^;
基になった原作をどれだけ忠実に映像化されているのか?は、原作未読の為に今ひとつ分からないのですが。単なる原作未読の身から観て(おそらくは)こんな物語ではないんじゃなかろうか?…と。
尤も、原作そのものを忠実に映像化していたのならこちらの見込み違いって事になりますけども。
…って事で!(どんな事だよ!ですけど)
流石に今回のイーストウッド御大作品には。往年の作品群に見られたような人間賛歌であったり、人生の深み等が滲み出て来る何時もの人物像とはちょっと無縁な主人公だったのが残念。
(それでも、あの皺くちゃな御大の顔がスクリーンに映るだけで、大いなる反則なんですよね)
これは最早脚本上の問題でしょうかねえ。
wikipediaを確認したら、どうやら完成するまでの道のりこそを映画化した方が遥かに面白くなりそうな感じで、イーストウッド御大も、どちらかと言えば雇われ監督みたいな雰囲気がするし…と。
何となくですけど。御大自らは、仕事をしていないと、身体も心もドンドンと衰えてしまうから…ってところがひょっとしてあったのかも…と穿った見方をしながら観てしまった。
もう一つ考えられるとしたならば、共演したメキシコ人女優のNatalia Travenにあるのかも?
御大を相手にして、老いらくの恋の相手になるのだけれど。歳は召されてはいたけれど、凄く素敵な女優さんだった。
御大って元々共演した女優さんと…
本来ならお好きだものなあ〜(^^;)
御大!今回は今ひとつ、、、いや、今3つくらいだったけれど、次回はバシッと頼みますよ!
2022年1月15日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン6
二人と一羽のマッチョ
クリント・イーストウッド監督はどちらかといえば好きではない。しかし、人生を悔いるジイサンの終活系作品は好きだ。具体的には「グラン・トリノ」「運び屋」そして本作だ。
細かい形は違えど人生の終わりに何かをなそうとするという意味では同じような作品だ。
そしてこれら作品の中でイーストウッドが演じた役柄にはイーストウッド本人の影がチラつく。
イーストウッド本人から始まって本作を含めたいくつかの作品が一本に繋がった大作のようにも感じる。
お隣と異文化交流をし、クスリの運び屋をして、知人の息子をメキシコまでさらいに行く。未来を守り、過去を悔いて、そして今回は、未来に伝えようとした。
自分の持っているものを伝え残し育む。過去作に出てくるような悔いの残った男を新たに作らないために若者に人生を説く。
物語としては、むかしマッチョだった男と、マッチョになりたい男と、今まさにマッチョな男(ニワトリ)のロードムービーのような交流だ。
マイクとラファの関係性、距離感が近付いていく様子が丁寧で、お互いがお互いに歩み寄るパートがちゃんとあるのもいい。
それが次第に親子のように、食堂のマルタも巻き込んで家族のようになっていく様子は傑作の風格さえある。
暴れ馬をなだめるシーンではそれが最高潮に達する。どうやったのかと問うラファに対して「一緒にやったんだ」と返した瞬間はちょっと涙ぐんでしまった。
マッチョとは、一人で強く生きられることではなく、誰かと寄り添い支え合える者のことかもしれない。少なくともマイクはそう考えたように思える。盗みをしながら闘鶏場に一人で生きることでは決してないのだ。
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