劇場公開日 2021年9月17日

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「未練たらしい男のラブ・ストーリー」レミニセンス bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0未練たらしい男のラブ・ストーリー

2021年9月19日
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鑑賞方法:映画館

ヒュー・ジャックマン主演による、壮大なる近未来サスペンスと思いきや…、内容としては、究極の未練たらしい男による切ないラブ・ストーリー。クリストファー・ノーランの元で、脚本を担当してきた、弟のジョナサン・ノーランが製作を手掛けたということで、もっとSFとデジタル・ワールドが融合し、時空を超えたサスペンスを期待していたのに、ちょっと拍子抜け。

舞台は、海面上昇により水没し、残った陸地を巡っての戦争も起き、荒んだ世の中へと変容した近未来。その水に覆われた大都市風景の映像は、かなり細かなところまで、リアルな映像で迫ってくる。

ストーリーは、そうした世の中で、人々は嘗ての豊かだった時代に思いを馳せ、その記憶を時空間映像として映し出すレミニセンス(記憶潜入)によって、一時の安らぎを求めていた。また、レミニセンスによって、瀕死の容疑者の記憶に入り込み、事件発生時に記憶をたどり、事件解決に導く役割も果たしていた。

そのエージェントを務めるのがヒュー・ジャックマン演ずるニック。そして、その前に現れた美しく謎の女性・メイから、レミニセンスによって過去に遡って失くしたカギを探して欲しいと依頼され、それを機にニックとメイは恋に落ちていく。

これまでのヒュー・ジャックマンのイメージは、強くて、逞しい男。しかし今回は、謎の美女・メイに翻弄され、失踪した彼女を、形振り構わず探そうとする、やや未練たらしく、女々しい男を演じている。

ストーリー展開としては、わずかに残る陸地の地主の財産に、ギャングや汚職景観が絡むサスペンスとしの楽しみもあるが、どちらかと言うと、ニックとメイによる究極のラブ・ストーリーの色合いが濃くなっている。

メイ役のレベッカ・ファーガソンは、スクリーンいっぱいに妖艶な美しさを振りまいていた。また、汚職警官役のクリフ・カーティスは、ギャング、テロ、麻薬の売人等、様々な作品で、悪役ボスの顔として地位を固めている。また、ニックを助けるエミリー役のタンディー・ニュートンの献身的な愛が、印象的なラストシーンへと結びつく。

全体的には、クリストファ・ノーラン監督を継承するような、時空を超えた、複雑で摩訶不思議な世界観が展開を期待していたので、スケールが小さく、内容的にも、今ひとつの印象だ。

bunmei21