「芦田愛菜の駆ける姿に惚れ惚れする。」メタモルフォーゼの縁側 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
芦田愛菜の駆ける姿に惚れ惚れする。
芦田愛菜という人は、演技力だけでなく身体能力も凄まじいようで、如実に現れているのがこの映画で何度も登場する走るシーンではないか。BLにハマっているオタク系という設定からか、普段のシーンでは多少姿勢が悪く演じているのだが、宮本信子演じるお婆ちゃんとBL仲間になってからは、好きなものを語り合う喜びがはち切れんばかりで、とっととっとと駆けていく。惚れ惚れするような体幹とフォームとスピードだ。その時の、まるで別の生き物にでもなったかのような躍動感が、観ていて本当に気持ちがいい。そういえばアニメ作品だが『海獣の子供』でも芦田愛菜は駆ける役ではなかったか。
宮本信子に関してはやや分が悪いというか、セリフはセリフっぽく、キャラクターは類型的に演じてしまっているように見えて、それはそれで技術があるから成立しているのだけれど、芦田愛菜に限らず最近の若い役者はセリフとセリフのすき間にニュアンスを込めることに長けていて、W主演なだけにどうしても古いタイプの演技に見えてしまう。とはいえ、芦田愛菜や古川琴音といった今後の映画界を担っていくであろう才能の輝きが見られて満足だし、またふと見直すときに宮本信子の手堅い名女優っぷりに改めて感心するような気もしている。
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