「「おう、俺は三井。あきらめの悪い男…」」THE FIRST SLAM DUNK 八丁堀の旦那さんの映画レビュー(感想・評価)
「おう、俺は三井。あきらめの悪い男…」
原作漫画のリアタイおじさんです。もちろん大フアンです。でも映画館で鑑賞する事を断腸の思いで、あえて自重していました。
なぜかと問われれば…んなもん間違いなくゴリなみに号泣するに決まってるからだ!いい歳して恥ずかしいわ!自宅で一人、家族シャットアウトしてサブスクで鑑賞して、思う存分号泣しました。
で、ようやく落ち着いたので感想を。…井上先生、命削りすぎですよ。一部ファンから苦情が挙がった、カットした名シーンも個人的には納得出来て、どんだけ長い時間かけてマッシュアップした作品なのかがよく判りました。
原作作成時に宮城リョータをもっと描きたかったという後悔からなのか、リョータ目線で進行させたのも理解できるし(これが原作漫画とは別の新鮮みを与えてくれた)、CGを効果的に使用することに成功していて、一部彩色無し線画のみにすることにより漫画っぽさを演出したり、逆に描写スピードに緩急をつけて漫画では出来なかった表現を演出したり。ボールがゴールする瞬間の、静寂とリングネットのリアルな揺れがとても印象に残りました。
またこんだけ1シーン1シーンの隅々まで凝視したアニメもなかったなー。よく見れば漫画では小さな1コマで描かれているギャグシーンが攻守交代時に差し込まれたり、CGのおかげもあって、重心の掛け方すら把握できるくらい繊細な作画とか。セリフもストリーもすでに完成されている作品なので今更何の批判も無く、私個人としては何ひとつ文句はございません。最高でした。
しかし、この作品。原作完結から数十年たって、どうして今でも人を魅了できる作品なのか。山王戦が奇跡と感動のジャイキリだから、だでは無く、おっさん特有の懐古主義や青春ジュブナイル作品だから、だけでも決して無く。登場人物全員、「バスケットボールに真摯に向き合ってる」それを見てる僕たちが痛いほど理解できて愛しいくらい完成されたキャラクターだからなと。まとめるとそういうことだと思います。
今後井上先生、どうすんですかね。アニメ映画監督としても専業と遜色ない力量だし。でもやらないかな。それに、こんなクオリティに業界全体が引き上げられたら、他のアニメスタジオ辛すぎますって。…ゆっくり「バガボンド」でも届けてくれれば嬉しいですね。
どうでもいいことですが、わが人生に心残り(山王戦アニメ化)だったことがまた一つ、解消されました。今はとても清々しい気分です。