「アニメの強烈さと3DCGの自由さを駆使した、スポーツ映画の傑作。」THE FIRST SLAM DUNK かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメの強烈さと3DCGの自由さを駆使した、スポーツ映画の傑作。
原作者の井上雄彦が伝説の自作を映像化。
【ストーリー】
並いる強豪をやぶり神奈川代表となった湘北高校バスケ部、ダークホースとして勝ち上がり、2回戦の相手となったのは史上最強メンバーを揃えた、インターハイ三連覇の常勝王者・岩手県代表山王工業。
ガードからセンターまで、インターナショナルレベルのレギュラーを取り揃えた山王を相手に、難しいゲームをメイクすることを要求されるのは、スピードとドリブルとセンスあるパスで相手を翻弄してきたトリックスター・宮城リョータ。
そのプレースタイルには亡き兄ソータの面影がひそんでいた。
前半を互角で折り返すも、後半山王のツーマンを用いた激しいゾーンプレスにプランの頭を潰され、1点も取れないうちに20点もの差をつけられてしまう。
速攻主体のラン&ガンも、足を止めたハーフコートバスケットでも、まったく太刀打ちできない湘北だが、名うての策士として知られる監督・安西は、リョータによる突破を試みる。
「強い相手の前ではいつでも心臓がバクバク言ってる。だけど、平気な顔して戦うんだ」
ソータの言葉に従い、リョータはクイックネスとドリブルスキルで鉄壁のプレスを打ち砕く。
90年代に物凄いブームを巻き起こし、いまだに熱いファンを獲得しつづけるスラムダンクの、CGでの映像化。
ゼロ角度からのスリーポイントショット、ペイント内でねじり込むようなスピンムーブ、舞うようなドリームシェイク、地味ながら的確なバンクショットにレイアップ、シルクの様なフィンガーロールに相手の虚をつくダブルクラッチ、長身ディフェンダーのブロックをあざ笑うかのように飛び越えるスクープショット、フェイダウェイにミドルジャンパー、そしてパワフルなスラムダンク。
そしてラストに桜木がリムに当てずにスウィッシュで決めるブザービーターの、ボールのバックスピンと軌道の美しさ。
当時のNBAレベルの超高度な技術戦を繰り広げる湘北と山王の熱い戦いに、毎週熱い視線を注いでいた方も多いはず。
それを本当の試合のように、間を多用したモノローグや止めの演技なんて生っちょろいディレイ演出はほぼなしで撮っています。
プレスコ(演者によるセリフ先撮り)での自然なタイミングの会話、優秀なCGアニメーターによる的確な演技、キャラクターのモーションは元プロなどを集めて違和感なく高度な技術を表現、それらのピースを掛け合わせて元々原作が持っていたリアルさを引き出しています。
カメラワークはコート内にカメラ位置を想定したものが多く、必要な情報を枠内に収めながら寄り引き流し振り、トリックやスーパープレイを映像で見せて、観客をプレイヤーの1人として試合に参加している気持ちにさせてくれます。
原作を知らずとも、バスケ好きなら見て絶対に納得する傑作ですよ。
コメントそして他のレビューにも共感ありがとうございます。
スポーツは好きで野球・カーリングをよく見ますが、バスケットボールは
ほとんど知りません。
かせさんのレビューは専門的ですね。
勉強になりました。
おはようございます。
「ブラッドショット」へのコメント有難うございます。
確かこの作品が公開されたのはコロナ禍最中だった事を思い出します。で、今作。公開されて9カ月が経ちますが現在でも映画館で掛かっている大ヒット映画ですが、それも納得のアドレナリン全開映画でしたね。私は公開日翌日に観て、それ以降数回観ていますよ。では。
かせさん、コメントありがとうございます。
>スラムダンクといえばNBAの写真をモデルに使う許可を取得していて
へー。そうなんですか。
最初から「世界」を意識して描いていたということ
なのでしょうか。すごいですね。
原作者の熱意とこだわりを感じられます。・_・