「山王戦の熱狂を浴びれる新しさと素晴らしさ」THE FIRST SLAM DUNK たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)
山王戦の熱狂を浴びれる新しさと素晴らしさ
小学生の時に学校で読んだバイブルを引っ張り出すように、懐かしくも新しい記憶を連れてくる。皆が熱を持ちつつも秘匿性高く綴る理由もよく分かる。
ある程度流れている情報だけ書くと、宮城リョータが主人公で、山王戦を描いていること。SLAM DUNKを読んだ人なら言わずと知れた伝説の試合だ。そこに「THE FIRST」をぶつけてくるのだから、自信がないはずがない。本作の脚本/監督は原作者である井上雅彦さんだからこそ描ける視点であり、呼び起こすモノになっている。ぼんやりとした記憶の中に新たなビジョンとなって映し出される試合は、スリリングであり、迫力が増している。
では、なぜ3DCGなのか。それは、きっと表現の幅を今改めてやる理由に繋がってくるだろう。アニメ化までしたSLAM DANKが今となって再び動くのだから、その分の進化は必要不可欠といえる。始まる前の酷評を見ると期待値の高さとのギャップは看過できないものだった。しかし、こうしてスクリーンで観ると、ボールのテンポや立体的な試合感が感じやすかった。新たに作られた音楽や漫画的な演出も相まって、確かに今までないSLAM DUNKを構築している。同時に、宮城リョータのポジションから広がる試合の空気を噛み締められる。キャラを生かすのではなく、生きているキャラに魂が宿る。そんな感覚だ。今動き出しても、同じように語り継がれるであろう作品になったのは確かだ。
私が大ファンの10-FEETが主題歌「第ゼロ感」を歌い上げて作品を締める。ファンながら大変光栄なことだ。終了後の劇場内に流れた緊張感のほぐれと熱い感情、キャラに対しての懐かしさ…それぞれ抱いている中で曲がドリブルする。ターゲットは絞っているからこそ撃ち抜かれる強いシュートは、見事に色褪せない作品になると私は確信する。
ps.世代の父の方が熱く話していた。さすが。笑