「こんな映画を作るとは・・・お可愛いこと」かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナル よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな映画を作るとは・・・お可愛いこと
前作は劇場でゲラゲラ笑いながら観ていた。(今とてつもなく恥ずかしいことを書いているという自覚はあります)
しかし、前作から2年ぐらい間を置いた続編。
この間に僕は最も破ってはならない禁忌を犯してしまったのです。
そう、「漫画原作を全て読破する」「アニメを第一期・第二期全て見る。(なんなら第三期早くしてほしい)」この二つのタブーを犯しました。
結果今回は拷問のような2時間を過ごしました。
やはり、事前知識?は入れないほうがよかった。
いやハマってしまったものは仕方ないのだが。
この映画の問題点は明らかに一つ。
“ギャグのために行われるキャラ崩壊”
これに尽きます。
そもそもかぐや様の原作を読んでわかりましたが、かぐや様は“ギャグ漫画”ではなく“コメディが少し強いラブコメ漫画”であるということ。
これを頭に入れておけば白銀父が全裸監督になるという事がいかに原作を冒涜してるかお分かりでしょう。
さぁこの調子で各キャラのキャラ崩壊箇所を書いていくことにします。
早川
合コン編での迫り方がただのエロセクシーになっていた。
確かにギャグとしては面白い(くすりとも笑いませんでしたが)のかも知れませんが早川が本当にお馬鹿のように見えてしまいます。
原作の早坂は会長の好みの女性のタイプのリサーチを行い巧みな話術で会長をオトそうとしていました。
藤原書記
役者さんの再現度はピカイチだと思います。
本当に怪演。それを監督が台無しにするという(
まず序盤、ミコちゃんが「(生徒会は堕落しているので)藤原先輩を見習ってください!」と言った時に後ろでペスのちんちん(犬の芸)の絵を出す。
いや、藤原書記は少しおバカなところはありますが、政治家の娘らしく狡猾な立ち回りといくつかの偶然でミコちゃんから尊敬の念を獲得することに成功したのです。
このバックボーンが全く足りない。
しかもそのペスのちんちんの絵をミコちゃんがガン見するという悲劇。
伊井野ミコ
このキャラ崩壊が本当に許せない。
そもそも、ミコちゃんは裁判官の父の影響から過剰に秩序正しくあろうとする人物である。
この信念があるから、たびたび校則を破る石上と衝突を繰り返すのである。
それが映画では信念などは関係なく本当に石上の事を嫌っていて、しかも石上の回想に繋げるためか「だってあんな事をしたんですよ?因果応報です!」というセリフを言わせている。
このセリフを聞いた時本気で頭がクラッとした。
ミコちゃんは石上のしたことを知りながら不当に処分が長引いているとして職員室に抗議に行ったほどである。
つまりこの子は校則の前では誰に対しても平等であり、感情論で石上に対して因果応報なんて言葉を吐く筈が無いのである。
お話の筋運びを簡単にするために石上にヘイトを持つ一年生キャラ全員を集めたようなキャラに改変されていて本当に腹立ちを覚えた。
話に深く関わってくるわけでもないからなぜ登場させたのか理解に苦しむ。
これなら登場させないでほしかった。
石上優
まず佐野勇斗さんの演技が素晴らしい。
佐野さんの名演もあって体育祭編までは普通に見れた。(体育祭編も物申したいことはあるがそれは後にしたい)
この石上でひどいのは文化祭編。
文化祭では子安先輩の後をずーっとちょこちょこちょこちょこ。まるでストーカーである。
原作では体育祭の後から子安先輩に地道に話しかけ続けある程度距離を縮めた上で一緒に回りませんかと誘うのだ。
時間がなかったのはわかる。
なら、描かないでほしかった。
あんな石上は見たくなかった。
体育祭の成長なんてまるでなかったような振る舞いだ。
・白銀会長
そもそも見た目からして違う。
いや、実写化だから見た目が多少違うのは当然なのだが、原作では切れ長の冷徹な目で勉学もトップで隙がないように感じるからこそ徐々に見せていく優しさや弱さにキュンとして読者も会長の事を好きになっていくのだ。
しかし、平野さんは顔が優しすぎる。
もう少しメイクとかで工夫できなかったものか。
後、クールを履き違えている気がする。
四宮かぐや
何か惜しい。
本当に何か。
あえていうなら品?だろうか。
普段がもう少し品のあって日本を牛耳る巨大財閥の御令嬢といった感じが出れば良かったのでは。
そして、最後簡単に海外進学を許すとは四宮グループもずいぶん簡単なものになったんだな。(時間の都合もあるのかも知れないけれども、ならば文化祭で終わりにしておけばよかったのだ)
まぁ上記の改変は時間の都合もあろうが、体育祭編で石上の過去をいかに藤原書記とはいえ軽々しく人に話す描写はどうなんだろうか。
原作の、後輩のためを思って口を閉ざすかぐや様はそこにはいなかった。
・体育祭編について
体育祭編は僕がかぐや様を読んで本当に感動したお話である。
だからこそ、ここまで綺麗になんの味もしない無味無臭エピソードにされて怒りがおさまらない。
リア充に対する恨みつらみは今まで石上自身が現実から目を背けていただけで、ちゃんと見れば良い人たちであるというメッセージが何一つ伝わらない。
このメッセージが伝わらないのにはもう一つ訳があると思う。
それは応援団の描写。
本当にただ単にウェイ系としてしか描かれていなくて掘り下げが浅い。
原作のような目が描かれないという表現方法は無理にしてもそこをどう演出するかというのが監督の腕の見せ所では無いのだろうか。
さらに、石上が途中応援団のステージから逃げる描写が本当に無理だった。いや、時間ないのはわかるけど。
唯一いいところがあるとするならば過去編で四宮が石上に目をつけるきっかけのエピソードぐらいだろうか。
文化祭編はもうとってつけたようなものだったんで可も不可もありませんが、その後の恋愛頭脳戦(笑)がチープでチープで、そもそも原作でも恋愛頭脳戦要素は文化祭編でお亡くなりになったのだから、実写版も潔く終わっておけば良いものを。
オリジナル要素の寒さは健在。
良かったところを挙げるとするならば、文化祭で沢山のハート型のバルーンが夜空に上がるところが綺麗だった事と、エンディングのダンスくらいではなかろうか。
特にエンディングはジャニーズアイドル、坂道アイドル、スターダストアイドル、元アイドル2名が揃ってるだけあって圧巻のパフォーマンス。
とりあえずファイナルになってくれて良かった。
本日の勝敗
僕の負け(原作のパラレルワールドとして実写版を楽しむ事ができなかったため)