ファーザーのレビュー・感想・評価
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美しい密室劇。
ほとんど密室劇。アンソニー・ホプキンスとオリビア・コールマンが実の親子のようにかみ合っている。認知症の老人との会話が噛み合うわけないのだが、老いた父親と中年の娘の間に生まれる世界共通・普遍的な関係性が見事に再現されている。なのに全く陳腐でなく心地よい。決して大富豪ではないのだが、英国テーストの設えの舞台としてのインテリア・小物も効いている。オケイジョナリーに挿入される窓外を見やる横顔のシーンは「日の名残り」で演じた老執事へのオマージュか・・・。
見ているうちに自分までが不安になってくる。今見ているものは幻視か幻聴か、誰の主観の映像なのか。時間経過も渦巻いて理解しようという気が失せてくる、認知症患者の疑似体験。そして、アンソニー・ホプキンスの身のこなしに魅せられ、救われる。機嫌のいい時にはタップダンスまで始めてしまうのだ。
認知症患者が増える高齢化社会へ警鐘を鳴らす、といベタな社会派映画ではない。そういった症候群をモチーフに、格調高いエンタティメントが創られた。そして最後に泣いてしまう。
認知症を認知症の視点で描いてるから 時系列がおかしかったり 同じ人...
認知症を認知症の視点で描いてるから
時系列がおかしかったり
同じ人の名前が違くなっていたり
とにかく視聴者も、主役のアンソニーと同じ
不安感や訳がわからない謎で包まれます。
娘婿の名前や自分の部屋がわからなくなっても
クラシックや絵画を愛し高尚な様が見える程
まともな人間扱いされないシーンが悲しくて。
認知症とはなんと残酷で悲しい病気なのだろう。
ラストのアンソニーの木に例えたセリフが悲しかった
映画のありかた
この映画は認知症になったアンソニーの目線、もしくは頭の中に見えている画像で描かれている。時間軸も設定もあちこちなアンソニーの目線は、幻視、過去の出来事、妄想。その事を踏まえていないと、混乱してくる。
当事者の目線から描かれているという意味で画期的な映画作りなのかもしれない。
か、しかし、見終わった後は、改めて思った。
私は、ふつーの映画が、好きなんだ‥
固定観念から抜け出せないかもしれないが、流れている画面、ストーリーを主人公の身になったり、反目したり、はたまた画面に映る調度品や衣装小物風景に目を奪われ、鳥瞰図の様な感じで見る映画。そういう映画が好きなんだ、と、気づかせてくれた。
見なければ良かった、てのが・・正直な感想。
ここんところのアカデミーはイかれてると思う。
・・もう来年以降、アカデミー戴冠云々で作品は選ばないと思う。
(*今迄もそうだったけど・・)
今年も、見ない選ばない!て思ってたけど・・
アンソニーホプキンス卿だけは!(主演男優賞の)我が師匠の作品だけは見たい!と。
昨日、スクリーンへ出掛けた。
(*武漢肺炎で苦しむ映画業界に、お金を使いたかった!)
表題通り、見なければ良かった!
こんな内容だったなんて。・゜・(ノД`)・゜・。
先日もレビューしたけど?
秘密のキッスなり、アンノウンなりインターステラーなり、絶対に内容に?前情報に触れないでおいた方が良い映画が有る(ほとんどの作品がそうでしょうけど)?!
でもね?
この作品がこんな結末なら?こんなテイストなら?最初に教えといて欲しかった!
湊かなえさんの告白を知らずに読んでしまった時の、あの感じ!あの感じが本作にも!
不穏な始まりから?ミステリーなりサスペンスなりに行くのか?と思ってしまった!
始まって十分で、帰ろうか!と思った。
DVDなら間違い無く止めてた。
(長男だから我慢出来た、次男三男なら危なかった!)
元は?舞台劇。
キッチンやエントランスや窓の外の景色やら、伏線は数多で、脚本も劇伴も良い!
素晴らしい映画だ!
でも、何度も言うがこの、淡々と進むオチ無しなのは、ちょっと無理だった!すまぬ。
劇場公開¥1300円水準にて〜
オススメ度】☆②
90分長く感じる度】☆⑤
高齢の母が居る身として思うところ有った度】☆④
重記ですが?
淡々と粛々と話しが進みます。
思った通りのオチになると思います。
それを?
斬新だ!逆に新しい!と取るか?
なんぢゃコラ!と取るか?
果たして!!!!!!!!!!
誰もが経験する物語
舞台劇の映画化ですが、その原作者が自ら監督をするといった力作です。
オスカーを受賞したアンソニー・ホプキンスは、認知症によって崩れていく父親を
ものの見事に演じ、さすがの演技力に感服しました。
父親の行動に右往左往する娘役のオリビア・コールマンも負けじと素晴らしい演技で
この作品をグッとレベルの高いものに仕上げてくれました。
この作品は個人的にも我が家での出来事に近しい内容だったので
とても苦しく、とても心に刺さり、ラストシーンは心が落ち着きませんでした。
この映画は誰もが経験するかもしれない物語であることをしっかりと感じてほしいです。
記憶の実体験
「また認知症の映画か、もうこの手のテーマの作品をどれだけ観てきたろう」と思いながらも、評価が高かったので久々に劇場鑑賞しました。
しかし、今まで観てきたこの手の作品を振り返ると、大半は第三者目線からの作品だった筈で、本作の様に認知症の本人目線からの作品は恐らく初めて観た気がします。
観ていてそれに気付いた時に、メチャクチャ面白くもあり恐くもある作品となりました。
冒頭からスクリーンに映し出される画面が凄く凝っていて、観客が徐々に感じる違和感が、主人公の疑念とシンクロして行く感覚があり、これってサスペンス映画なのか?と思える位、誰かに騙されているのか自分が狂っているのかの判別がし難く「ああ、認知症ってこういう感覚でなって行くのか」と凄く説得力を感じました。この辺りの演出力は凄いです。
昔からよく見ているヨーロッパ映画に描かれる都会にあるちょっと上流の家って、我々日本人から見ると大体同じ様に見えて、最初の違和感は間取りや各部屋が、絶妙なカメラワークでよく分からなくなっていました。
飾っているインテリアや絵画もカメラが動く毎に絵や置物が違うモノの様に見えて来て、私は特に絵が好きなので無意識に見ていたのですが(1枚を除いて)毎回別の違う絵が飾られている様な気がしたかと思うと、急に娘の顔(役者)が変わったり、主人公の家だと思っていたら娘の家だったりと、主人公と同じ混乱を観客にも追体験させる構成は見事でした。
自分を守ってくれている記憶という名の壁が、少しずつ少しずつ壊れて行く様が、主人公(観客)の恐怖に繋がって行くという、この構成(アイデア)だけでも作品価値があると思いますが、更にアンソニー・ホプキンス含め役者の名演もあり記憶に残る作品となりました。
沈黙
どんな予備知識を持って見るかでかなり捉え方の変わる作品だと思う。
少なくともポスターの雰囲気と文句は信頼しないほうが良い。
祖父母、親、そして自分自身がいつかこうなることを誰もが想像しつつも、誰も受け入れられないという現実。
95歳で耳も頭も親よりしっかりしてるんじゃないかってレベルのうちの祖母は奇跡の存在なのかなと、感謝しつつも恐ろしくなる作品だった。
Everything all right?
認知症の父親目線で描く、認知症体感型映画。
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急に知らない人が家の中に入ってきたり娘であるはずの人が全く知らない人になってたりするのは、あーこれは認知症だからかと納得がいくんだけど、それだけじゃなく時間空間までがぐちゃぐちゃ。
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見てる側もいつの話か、果たしてこの目の前の人物は本当に存在しているのか、今このおじいちゃんはどこにいるのか全てが何となくでしか認識できない。今まで認知症の人の話はあったけどここまで体感させられるのは初めて。
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いつかは自分の親も自分自身もなるかもしれない認知症、こんなに怖くて一人ぼっちなことはないんだと。自分がこうなった時には、周りの大切な人を悲しませないために早めに優しくしてくれる介護の人がいる施設に入れてください、とここに遺言を残しておく(笑).
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認知症の義理の父にあまりにも酷い言葉をなげかける夫は嫌なやつに感じるけど、面倒を見てくれている娘へ、明らかに妹の方が大切という態度をとったり何となく頭が悪いとか馬鹿にしてたり、認知症だからしょうがないんだけど、夫の言ってることも分からなくはないんだよな。
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顔に深く刻まれた皺が全てを語る
さてさて、アカデミー賞番狂わせのアンソニー・ホプキンスですよ。あのレクター博士ですよ。今回改めて思ったのは、アンソニー・ホプキンスという役者はどこか危険なオーラをまとっているということ。
年齢も役柄も違うのに、ある瞬間にふとレクター博士に見えてしまう。画面に彼が出てくるだけで、空気が張り詰め気がおけなる。
しかし顔に刻まれた深い皺の一つ一つに人間らしさを感じる。冷たさもありつつ温かさも共生しているという不思議な二面性を含んでいる。"怪演"ではないが間違いなく"名演"と呼べるアカデミー賞納得の演技です。
この映画は当事者としての一人称視点、相手としての二人称視点、部外者としての三人称視点全てで巧みに構成されている。
一人称視点のときは認知症という混沌とした世界に落とされ混乱する。「これは思い違いなのか?」「あれはいつ聞いた話だ?」などと状況を自分の事のように考えなければならない。全てが曖昧なのでミステリー要素が絡む。
二人称視点のときには、認知症の娘という視点で、「こいつは何を言っているのか?」という疑問と「何をしでかすつもりだ」というスリラー的な不安が襲いかかる。
娘の恋人や、ヘルパーで描かれる三人称視点では世間から見た認知症患者への正直な気持ちがぶつけられる。「自分勝手だ。」「演技じゃないのか。」
世間の不快感が容赦なく主張されるがどこかで共感している自分もいる。
全てが曖昧で不確定。『メメント』の名と共に「難解だ」と言われているのをよく目にするが、それは少し違うのではないか?と個人的には思う。
この映画が複雑な構造をしているのは認知症を疑似体験するためであって、ミステリーやスリラー要素があっても根幹にはやはりドラマが存在しているし、「難解だ」とは感じなかった。逆に混乱するからこそ、ラストシーンまでの全てがしっくり来るというか。
そんな不確定要素を映像に落とし込んだ稀有な映画体験でした。
切ない…
認知症の父親アンソニーと介護に悩む娘アンのお話
父親アンソニーの知覚した世界のお話なので時系列やら登場人物やらがめちゃくちゃに進むので観てる側も混乱しやすいけどアンソニー本人も混乱しているのが伝わるのがとても辛い
アンソニー本人も辛いけど娘だって辛い
だから娘の選択を否定できない
どうにもできないんだから…
突然だけどうちの曾祖母と私のお話
幼児の頃会う度に『どちらのぼっちゃん?』と聞かれた
母曰く曾祖母の中で私は生後7日付近でとまってるらしい
だから走り回る幼児が誰かわからない
説明するとその場は理解するみたいだけどまた忘れるの
姉のことは覚えているのに
だからとても悲しかった
でも毎日生後7日の私の健康を祈っていたらしい
いつも気にしていたとだいぶ後になってから聞いた
映画を観てたら思い出してボロボロ泣きました
周囲も辛いけど本人も辛いんだよね
自分ではどうしようもないんだから
どうしようもないけどちゃんと向き合わないといけない話
良い映画だったとか面白かったとかアンソニーホプキンス凄いよねで済ませていけない映画なんだと思いました
赤ちゃん返りする主人公を自分自身の視点から描いた作品は斬新
認知症患者を客観的に描く作品はあまたあれど、意識が混乱している認知症患者目線で描く作品は斬新ですね。
そのため、話の内容を理解するには集中してスクリーンを見る必要があります。
ただし、話の結末を観客に委ねているわけではなく、簡単にわかる構成になっています。
はっきり言えば、一見の価値はあれど、再度見たいとは思わない作品でした。
メメントのようでメメントではない、怪奇映像
認知症の父を描いたドラマ映画…なのだが、メメントの叙述トリックも感じられ、ミッドサマーのような心をかき乱す描写もあり、もしかしてサスペンスホラーなのかとドキドキしてしまった。
メメントでは記憶を失い続ける男に対し、悪意を持った人間が働きかけることでサスペンスドラマになった。ミッドサマーでは精神が弱った主人公が生贄を求めるコミューンに滞在することで不協和音のあるホラーになった。この映画でも同様に主人公に問題があるのだが、この2作、特にメメントとは全く異なり、何も事件は起こっていない。事件は主人公の頭の中だけで起こる。ただそれだけなのに、恐怖・悲哀・同情心を呼び起こす怪奇性があった。
そしてその怪奇性は観客を主人公、アンソニーに同調させる。つまり、アンソニーが感じている「奇妙なこと」を観客にも味わわせてくるのだ。それが最後までずっと続き、何が起きたのかさっぱりわからない。ラストシーンでは私も怖くなって泣いてしまうかと思った。
で、ひとつオススメしたいことなのだが…メメントではちゃんと観れば何が起きたか理解できるし、解説記事や順方向再生を使えば観なくても理解可能だ。おそらく、この映画でもきちんとした筋があって、アンソニーだけがそれを理解できていないということなのだろう。オススメしたいことは、アンソニーの外側で何が起きていたのか、アンたちの言動の真実を調べない、ということだ。
理解できたならば映画をメタ的に楽しめた、理解できなかったら映画をそのまま楽しめた。それでいいのではないか。どうしてもメタ的に楽しみたい!と言う方は、出演者数から推測してみるとよいと思う。
訳がわからない…ことが、辛い。
色んなレビューに書かれてますが、確かに前情報全く無しで見たら訳わかんない映画でしょうね^^;
「認知症」を題材にした映画です。
↑この前情報、大事です。
正直、見てるこちらも、???となる場面が多くて、ストーリーに筋が見えない。が、それこそが大切な部分であり、辛い部分でもあります。
おそらく、主人公のアンソニー自体も、もう途中から訳わからないと分かってたんでしょうが、本人のプライドがそれを許せず分かってるフリをしてしまうんでしょうね。
うちの祖母も、飼ってた犬も、認知症だったので、認知症関係者からすると、見ていて辛い…最後の介護士とのシーンは寂しく辛かったなぁ…少し泣きそうになってしまったです!
アンソニーホプキンスの演技の素晴らしさは健在だったが、現実との境目...
アンソニーホプキンスの演技の素晴らしさは健在だったが、現実との境目が曖昧過ぎて、頭の中なのか現実なのかわからない部分が不安にさせる演出だった。
コールドソングで始まる演出は素敵だった。
当事者の視線
怖かった。不思議だった。あんな終わり方とは。アンソニー・ホプキンス。オリヴィア・コールマン。救いを求めたくなるが、目を逸らしてはいけないテーマ。名作戯曲を劇作家自身が映画化した力作。当事者の主観がリアルにあんな世界なのだとしたら。ダメージ食らった。
全258件中、181~200件目を表示