ファーザーのレビュー・感想・評価
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見なければ良かった、てのが・・正直な感想。
ここんところのアカデミーはイかれてると思う。
・・もう来年以降、アカデミー戴冠云々で作品は選ばないと思う。
(*今迄もそうだったけど・・)
今年も、見ない選ばない!て思ってたけど・・
アンソニーホプキンス卿だけは!(主演男優賞の)我が師匠の作品だけは見たい!と。
昨日、スクリーンへ出掛けた。
(*武漢肺炎で苦しむ映画業界に、お金を使いたかった!)
表題通り、見なければ良かった!
こんな内容だったなんて。・゜・(ノД`)・゜・。
先日もレビューしたけど?
秘密のキッスなり、アンノウンなりインターステラーなり、絶対に内容に?前情報に触れないでおいた方が良い映画が有る(ほとんどの作品がそうでしょうけど)?!
でもね?
この作品がこんな結末なら?こんなテイストなら?最初に教えといて欲しかった!
湊かなえさんの告白を知らずに読んでしまった時の、あの感じ!あの感じが本作にも!
不穏な始まりから?ミステリーなりサスペンスなりに行くのか?と思ってしまった!
始まって十分で、帰ろうか!と思った。
DVDなら間違い無く止めてた。
(長男だから我慢出来た、次男三男なら危なかった!)
元は?舞台劇。
キッチンやエントランスや窓の外の景色やら、伏線は数多で、脚本も劇伴も良い!
素晴らしい映画だ!
でも、何度も言うがこの、淡々と進むオチ無しなのは、ちょっと無理だった!すまぬ。
劇場公開¥1300円水準にて〜
オススメ度】☆②
90分長く感じる度】☆⑤
高齢の母が居る身として思うところ有った度】☆④
重記ですが?
淡々と粛々と話しが進みます。
思った通りのオチになると思います。
それを?
斬新だ!逆に新しい!と取るか?
なんぢゃコラ!と取るか?
果たして!!!!!!!!!!
誰もが経験する物語
記憶の実体験
「また認知症の映画か、もうこの手のテーマの作品をどれだけ観てきたろう」と思いながらも、評価が高かったので久々に劇場鑑賞しました。
しかし、今まで観てきたこの手の作品を振り返ると、大半は第三者目線からの作品だった筈で、本作の様に認知症の本人目線からの作品は恐らく初めて観た気がします。
観ていてそれに気付いた時に、メチャクチャ面白くもあり恐くもある作品となりました。
冒頭からスクリーンに映し出される画面が凄く凝っていて、観客が徐々に感じる違和感が、主人公の疑念とシンクロして行く感覚があり、これってサスペンス映画なのか?と思える位、誰かに騙されているのか自分が狂っているのかの判別がし難く「ああ、認知症ってこういう感覚でなって行くのか」と凄く説得力を感じました。この辺りの演出力は凄いです。
昔からよく見ているヨーロッパ映画に描かれる都会にあるちょっと上流の家って、我々日本人から見ると大体同じ様に見えて、最初の違和感は間取りや各部屋が、絶妙なカメラワークでよく分からなくなっていました。
飾っているインテリアや絵画もカメラが動く毎に絵や置物が違うモノの様に見えて来て、私は特に絵が好きなので無意識に見ていたのですが(1枚を除いて)毎回別の違う絵が飾られている様な気がしたかと思うと、急に娘の顔(役者)が変わったり、主人公の家だと思っていたら娘の家だったりと、主人公と同じ混乱を観客にも追体験させる構成は見事でした。
自分を守ってくれている記憶という名の壁が、少しずつ少しずつ壊れて行く様が、主人公(観客)の恐怖に繋がって行くという、この構成(アイデア)だけでも作品価値があると思いますが、更にアンソニー・ホプキンス含め役者の名演もあり記憶に残る作品となりました。
沈黙
アンソニー・ホプキンス無双が堪能出来る、圧巻の作品です。
前から気になっていた作品を鑑賞しました。
緊急事態宣言の都内では2館のみの上映との事で渋谷の「Bunkamuraル・シネマ」で鑑賞。
平日にも関わらず、その日の上映回分のチケットは全て完売との盛況ぶり。
で、感想はと言うと、凄い。凄いね。
圧巻のアンソニー・ホプキンスの演技力に圧倒された。
まさしくアンソニー・ホプキンス無双w
アンは高齢になった父親のアンソニーに認知症の兆候が見え始めたのを心配し、ヘルパーを付けようとしたが気難しいアンソニーは難癖を付けてはヘルパーを追い出す始末。しかし、アンソニーの病状は悪化の一途を辿り、記憶が失われていくだけではなく、自らが置かれた状況すら把握できなくなっていった。
今まで居た者が、今まであった物が突然消え、また現れる…。困惑するばかりのアンソニーは苛立ちを募らせ、アンはそんな父親を懸命に支えていたが、気力と体力は消耗するばかりであった…
と言うのが大まかなあらすじ。
高齢の父親、アンソニーと娘のアンが主軸となり、登場する人物もごく少数で構成されていて、それぞれに当たるウェイトが非常に高く重い。
特にアンソニー・ホプキンスがほぼ出ずっぱりで役柄が物凄く難しく、並みの役者では演じきれないと言うのは素人目にも分かる程難解。
日常の普遍的な事を不変にしながらも変えていくと言う、微妙な心理描写の流れが細かい。
アンソニー・ホプキンスが名優であると言うのは今更ながらですが、この作品で2度目の「アカデミー賞」の主演男優賞を受賞したと言うのも頷けます。
(個人的に今回のアカデミー主演男優賞はアンソニー・ホプキンス押しでしたが、作品を観ていなかったので一抹の不安はありましたが、作品を鑑賞して改めて納得。)
アンソニーの目の前に様々に現れる人物達の行動と言動に「これが本当なのか?嘘なのか?」と戸惑い、何処かで「これが全員がよってたかってアンソニーを騙している演技だと良いのに」とか、実はファンタジーとかタイムリープとかだったら良いのにと思ってしまう。
これを現実とし、受け止めるにはあまりにも辛い。
その思いが淡々と切なくも徐々に実感としていく。
まるで真綿で首を絞められる様な現実を認識していくのが辛いんですよね。
まるでサスペンスホラーな感じで、でもサスペンスホラーだったら、もしかしたらその方が救いがあるかも?と感じてしまう。
ラストのアンソニーの泣き崩れる演技にはこみ上げる物があります。
また、他の演者達も流石の一言で、アン役のオリヴィア・コールマンは勿論ですが、個人的には男性役のマーク・ゲイティスが何処か作品をミステリアスに感じさせるのが良いんですよね♪
認知症と言う、他人事ではなく、家族にも自分自身にもいつかは訪れるかもしれない恐怖と不安に怯えるのはとても分かるし、またそれが実は実感の無いまま自身がそうなっていると言うのは切なすぎる。
時間と記憶が混迷しながらも、曖昧になった現実が徐々に答えとして導き出され、またアンソニーのいろんな喜怒哀楽がより観る側に突き刺さるんですよね。
個人的には重くどっしりと感じで、「ノマドランド」や「ミナリ」と並べてもアカデミー作品賞のノミネート作としては遜色がないが、エンターテイメント性は皆無なので観る側にある程度の覚悟が必要。
でも、アンソニー・ホプキンスの圧巻の演技は唯一無二なので映画好きなら観る価値はアリアリだし、かなりネタバレが厳禁な作品。
静かにゆっくりと突きつけられる現実の重さに作品の良質を感じられます。
重い作品ではありますが、名優の演技をたっぷりと堪能出来るお勧めの作品です。
是非是非!
Everything all right?
認知症の父親目線で描く、認知症体感型映画。
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急に知らない人が家の中に入ってきたり娘であるはずの人が全く知らない人になってたりするのは、あーこれは認知症だからかと納得がいくんだけど、それだけじゃなく時間空間までがぐちゃぐちゃ。
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見てる側もいつの話か、果たしてこの目の前の人物は本当に存在しているのか、今このおじいちゃんはどこにいるのか全てが何となくでしか認識できない。今まで認知症の人の話はあったけどここまで体感させられるのは初めて。
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いつかは自分の親も自分自身もなるかもしれない認知症、こんなに怖くて一人ぼっちなことはないんだと。自分がこうなった時には、周りの大切な人を悲しませないために早めに優しくしてくれる介護の人がいる施設に入れてください、とここに遺言を残しておく(笑).
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認知症の義理の父にあまりにも酷い言葉をなげかける夫は嫌なやつに感じるけど、面倒を見てくれている娘へ、明らかに妹の方が大切という態度をとったり何となく頭が悪いとか馬鹿にしてたり、認知症だからしょうがないんだけど、夫の言ってることも分からなくはないんだよな。
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顔に深く刻まれた皺が全てを語る
さてさて、アカデミー賞番狂わせのアンソニー・ホプキンスですよ。あのレクター博士ですよ。今回改めて思ったのは、アンソニー・ホプキンスという役者はどこか危険なオーラをまとっているということ。
年齢も役柄も違うのに、ある瞬間にふとレクター博士に見えてしまう。画面に彼が出てくるだけで、空気が張り詰め気がおけなる。
しかし顔に刻まれた深い皺の一つ一つに人間らしさを感じる。冷たさもありつつ温かさも共生しているという不思議な二面性を含んでいる。"怪演"ではないが間違いなく"名演"と呼べるアカデミー賞納得の演技です。
この映画は当事者としての一人称視点、相手としての二人称視点、部外者としての三人称視点全てで巧みに構成されている。
一人称視点のときは認知症という混沌とした世界に落とされ混乱する。「これは思い違いなのか?」「あれはいつ聞いた話だ?」などと状況を自分の事のように考えなければならない。全てが曖昧なのでミステリー要素が絡む。
二人称視点のときには、認知症の娘という視点で、「こいつは何を言っているのか?」という疑問と「何をしでかすつもりだ」というスリラー的な不安が襲いかかる。
娘の恋人や、ヘルパーで描かれる三人称視点では世間から見た認知症患者への正直な気持ちがぶつけられる。「自分勝手だ。」「演技じゃないのか。」
世間の不快感が容赦なく主張されるがどこかで共感している自分もいる。
全てが曖昧で不確定。『メメント』の名と共に「難解だ」と言われているのをよく目にするが、それは少し違うのではないか?と個人的には思う。
この映画が複雑な構造をしているのは認知症を疑似体験するためであって、ミステリーやスリラー要素があっても根幹にはやはりドラマが存在しているし、「難解だ」とは感じなかった。逆に混乱するからこそ、ラストシーンまでの全てがしっくり来るというか。
そんな不確定要素を映像に落とし込んだ稀有な映画体験でした。
切ない…
認知症の父親アンソニーと介護に悩む娘アンのお話
父親アンソニーの知覚した世界のお話なので時系列やら登場人物やらがめちゃくちゃに進むので観てる側も混乱しやすいけどアンソニー本人も混乱しているのが伝わるのがとても辛い
アンソニー本人も辛いけど娘だって辛い
だから娘の選択を否定できない
どうにもできないんだから…
突然だけどうちの曾祖母と私のお話
幼児の頃会う度に『どちらのぼっちゃん?』と聞かれた
母曰く曾祖母の中で私は生後7日付近でとまってるらしい
だから走り回る幼児が誰かわからない
説明するとその場は理解するみたいだけどまた忘れるの
姉のことは覚えているのに
だからとても悲しかった
でも毎日生後7日の私の健康を祈っていたらしい
いつも気にしていたとだいぶ後になってから聞いた
映画を観てたら思い出してボロボロ泣きました
周囲も辛いけど本人も辛いんだよね
自分ではどうしようもないんだから
どうしようもないけどちゃんと向き合わないといけない話
良い映画だったとか面白かったとかアンソニーホプキンス凄いよねで済ませていけない映画なんだと思いました
認知症は、本人にとってミステリー
認知症をテーマにした作品は、これまでたくさんあったと思う。しかし、それらは常に、家族や第三者からの視線で描かれており、今回の様に、認知症となった本人の視線になっている作品は少ない。都合の良い思い出に書き換えることで、現実とは食い違う記憶やその都度、忘れていく現実を描いている作品は、斬新と言える。
ストーリーは、自分が認知症とは気づかずに、これまで通りの生活をしようとする父・アンソニーと仕事を抱え、夫からの厳しい態度に疲れ果てながらも、懸命に介護をする娘・アンとのヒューマンドラマ。しかし、認知症を患った父にとって、死んだ娘のことも生きていると信じ、娘の夫や介護士の顔も刻々と忘れていく日々は、全ての出来事がミステリーであり、不安そのものであったろう。そんなアンソニーの不安が、リアルに伝わり、怖ささえ感じる。
自分の父も一昨年他界したが、晩年は認知症を患い、母も手を焼いた。
自分の思い通りにならないと、母に声を荒げる。
外出する時は、ジャケットにエナメル靴を履きダンディーを装う。
施設に入ってからは、自分がなぜここにいるのか理解できず、母を探した。
そんな父とアンソニーの描写があまりにも似ていて、自分の父親を観ているようだった。自分も還暦を過ぎで、次第に物忘れも気になり始め、いつかそうなる日が訪れるのかと思うと、不安になってくる。
主演のアンソニー・ホプキンスは、今年のアカデミー賞で、前評判の高かった、昨年亡くなったチャドウィック・ポーズマンを抑えて、この作品で主演男優賞を受賞したが、この作品を観てそれも納得した。特に、ラストシーンの赤ちゃん返りして、「ママー」と嘆くシーンは、人の原点回帰を、まざまざに見せつけてくれた。役名が『アンソニー』というのも、製作のウィットに富んだ設定であると感じた。
但し、アンソニー・ホプキンスは、これだけの名演技と台詞を覚えたのだから、今後も認知症に陥ることなく、これからも私たちを楽しませてくれる演技を見せてくれると期待できる。
赤ちゃん返りする主人公を自分自身の視点から描いた作品は斬新
メメントのようでメメントではない、怪奇映像
認知症の父を描いたドラマ映画…なのだが、メメントの叙述トリックも感じられ、ミッドサマーのような心をかき乱す描写もあり、もしかしてサスペンスホラーなのかとドキドキしてしまった。
メメントでは記憶を失い続ける男に対し、悪意を持った人間が働きかけることでサスペンスドラマになった。ミッドサマーでは精神が弱った主人公が生贄を求めるコミューンに滞在することで不協和音のあるホラーになった。この映画でも同様に主人公に問題があるのだが、この2作、特にメメントとは全く異なり、何も事件は起こっていない。事件は主人公の頭の中だけで起こる。ただそれだけなのに、恐怖・悲哀・同情心を呼び起こす怪奇性があった。
そしてその怪奇性は観客を主人公、アンソニーに同調させる。つまり、アンソニーが感じている「奇妙なこと」を観客にも味わわせてくるのだ。それが最後までずっと続き、何が起きたのかさっぱりわからない。ラストシーンでは私も怖くなって泣いてしまうかと思った。
で、ひとつオススメしたいことなのだが…メメントではちゃんと観れば何が起きたか理解できるし、解説記事や順方向再生を使えば観なくても理解可能だ。おそらく、この映画でもきちんとした筋があって、アンソニーだけがそれを理解できていないということなのだろう。オススメしたいことは、アンソニーの外側で何が起きていたのか、アンたちの言動の真実を調べない、ということだ。
理解できたならば映画をメタ的に楽しめた、理解できなかったら映画をそのまま楽しめた。それでいいのではないか。どうしてもメタ的に楽しみたい!と言う方は、出演者数から推測してみるとよいと思う。
訳がわからない…ことが、辛い。
当事者の視線
いつか通る道が眼前に現れる映画体験。
いつかおそらくこの道を通る。
今の暮らしが成り立たなくなる時はきっと来るのだろう。
上映中、老後のことを考えた。はじめて真剣に考えた。今、たまに届く年金額の通知を思い返し、今の職場が定年後も雇ってくれるだろうかと考えた(笑)
一人で暮らす父はいつ主人公のようになってもおかしくはない。
現実に起こるだろうこと、あまり見ないようにしていることを2時間だけだが直視した。
アンソニー・ホプキンスのほとばしる情熱が、狂気もはらむかに見える情熱が、我々の眼前に通るだろう道を示してくれた。
怖くなった、正直。
自分の先行きが怖くなった。
ラストシーン、主人公には死に向き合う意識が残されていた。
うらやましかった。
それさえも失くなってしまうこともあるのかも知れない、そのことに気付いたら余計に怖くなった。
めったにない映画体験になった。
ある意味ホラー
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