ファーザーのレビュー・感想・評価
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「老い」の疑似体験できる秀逸な一本
・見たこともない女が、自分の娘を名乗っている
・知らない男が部屋でくつろいでいる
・パリに行くはずの娘が何故か「そんなこと知らない」と言い出す。
もしかして自分の資産を奪おうとしてる?
ボケ老人のレッテルを貼って施設に送ろうとしてる?
さまざまな疑惑に苛まれる。。。
そして、夜の寝室に忍び込んだ娘が、
ついに老父の首に手を!!!
サスペンス風な展開で見る者を引き付けながら、
最後に、
「老い」
「介護」
「親子」
深い深いテーマを投げかけてくる秀作。
こんな映画もあるのか?!
してやられたな、というのが正直な感想。
アンソニーホプキンスの名演は勿論、
娘アン役もすばらしかった。
アイデア一発
「認知症の人からは世界はこう見えている」って話なの。
観る前にそれを聞いてたから、あんまり驚きがなかったの。
知らないで観たら「そうだったのか!」と思ったろうな。
時系列が混乱してるんだけど、これは認知症の人が思い出すことが、時系列を無視してくるからなんだろうね。
奥さんの旦那さんが酷いことを言ってしまって、それが深く心に刻まれたんだなとか、色々と勉強になった。
身近に認知症の人が出たら「そうか、世界がこう見えてるなら混乱するよな」と少しだけ心に余裕ができるかも。でも、自分は結局、怒っちゃうとは思うけど。
そして、いつか自分もこうなるかも。そのときに気付けるといいな。気付けないから認知症なんだろうけど。
アンソニーホプキンス、さすが✨
アンソニーホプキンスの名演✨完全に視点がホプキンス演じる認知症の老人なので、見ている方もどんどん混乱してくる。認知症の人はこんな認識で暮らしていたら、さぞ辛いだろうな、と。今まで介護する側の苦労、悲しみを中心に描いた映画は多かったけれど、この映画のように認知症の人の視点で描かれた映画はなかった。もちろん認知症の方の症状もそれぞれなので一概には言えないが、時間感覚、人を認知する感覚がズレてくると言うのは本当に恐怖なんだろうと思う。
ただ私はもう少し救いのある未来を感じさせて欲しかった。
言い方悪いけどある意味ホラー
見ていて浮かんだ言葉はこれだった。 あらすじを知った上で覚悟してたけれど…。 現実がどれなのか?誰が本当の家族なのか?周りが嘘をついている?では誰が嘘をついているのか…? 終盤までそれが延々と続き、少しずつ真実が見えてくる。 でも、これはあくまでも私がこの映画を見た真実であって、主人公の真実ではない。 「私達には現実でないことでも、彼らには現実だから」と、介護関連の記事で読んだことがある。まさにそうなんだなぁと感じた。 正直、誰から構わずお薦めする映画ではない。私には苦しかった。
混乱、怒りや悲しみ、そしてその理由
忘却とか混乱というものを、なるべく主観的に表現しようという意志を感じました。それ故に難しくて複雑な気がしますが、見ていて訳わからんとなることこそが、この忘却と混乱の本質なのかもしれない。 細切れに、なおかつそれが連続する内容の時間軸や真実味が実に曖昧で、見ていて不安になるしイラついたりするかも─。でも、時に怒ったり、時に意味不明だったり、時に泣き出したり…奇異に思えるような言動には確かな理由があるということを気づかせてくれる。 それなりに理由や意味が分かってくると、意外と幻想的な作品にも思えてしまったけれど、現実社会で実際にその渦中に入ってしまうと難しさしかないのかも─。 ファンタジーとかサスペンスに見えてしまうようなところを、アンソニー・ホプキンスの名演で、心が悲しい現実に引き戻されるようだった。 革新的で優れた作品でしたが、そこには確固たる悲哀がありました。
mille-feuille
重層的な演出はアカデミー賞俳優達のなせる技あっての出来映えであり、映画的表現の新たなページを開いた功績は大きいと思う。 好き嫌いがハッキリ分れる作品ではあるが、それでもジャンルとしての確立は成し得たであろう。 大変優秀な作品であった。
人間は必ず老いる
不覚にも後半睡魔に襲われてしまったので、ところどころ、抜け落ちたところがあった。単に痴ほうになった老人の生活を描くのではなく、老人の頭の中の再現をしている脚本の妙があって、観ている側も混乱していく。 痴ほう症の追体験をしているようだ。アンソニー・ホプキンスは「羊たちの沈黙」での演技が強烈で、今作も痴ほう症とはいえサスペンスミステリーのような雰囲気になるのはアンソニー・ホプキンスの演技ならでは。 それにしても、介護の仕事ってめちゃっくちゃ大変というか、人間そのものへの深い愛情がなければ、やっていけない仕事だと思った。人間は必ず老いる。そのことを含めて人間を愛しているか否か、ってところを突きつけられる。
これは中高年向け恐怖映画だ
どこで辻褄合わせが来るのかという不条理なエピソードが延々と続く。話を追う限り主人公は何も悪くなく、周囲の誰かが何か企んでるいるようにも見えてくる。理不尽なのは周りなのか、自分なのか、なぜみな自分に苛立っているのか、昨日ここで起こったことは幻なのか、訳が分からなくなってくる。こんな中に毎日いたら誰でも気がおかしくなってしまうに違いない。 認知症が決して「ノンビリとボケていく」ものではなく、とてつもない恐怖と不安の中に放り出されるものだと実感、そう遠くない将来自分にも訪れるかもしれないと考えただけで戦慄の走る映画だった。あの勇猛なフロスト中佐が、不敵のレクター博士が、幼児のように咽び泣くラストシーンは、アンソニーホプキンスの俳優人生の集大成としての「演技を超えた何か」と自身の未来への悲観が混じり合ってしばらく席が立てなかった。
今となっては懐かしいような
認知症の父親を演じたアンソニー・ホプキンス。 ㊗️アカデミー賞主演男優賞‼︎ しかし、ごめんなさい、アンソニー様。 よく知る世界なので客観的に観ることができません。 認知症の初期から中期にある記憶の混濁。何にも無くなって久しい今となっては、この頃のことが懐かしいような。 現実には何にも残らない。 喪失感しかない。
斬新かつ洗練された演出と圧巻の演技。
ずーーーっと観たかった映画です。 ようやく鑑賞できました。 すごい映画でした。そして素晴らしかった。 まず、アンソニーホプキンス、健在。見事。 圧巻です。 強さ、脆さ、戸惑い、悲しみ、怒り、意固地 不信、怖れ、当惑、自慢、見栄、悲しみ、 退行、子供、大人、親、男・・・ などなど、人間(男性)の全ての感情と 心情を演じたのではないでしょうか? 登場人物が少なく、シチュエーションも 限られているのにこれほど厚みのある作品 となっているのは、この演技で生まれる 説得力が大きく貢献していると思います。 もう、語るだけで、表情が変わるだけで ストーリーに画面に色がついていく感じ でした。演者の力でこんなにも観る側の 心情が揺さぶられるなんて。 さらに本作は虚実ないまぜに展開して いきます。 まるで夢の中にいるような。。。 虚でも実でも説得力を与えるのは演技 ですね。 さて、本作ですが、予想の斜め上を行く 内容でした。これまで認知症の親子を描く 物語はあったと思いますが.まさか認知症を 患った人の視点で描かれた作品があったで しょうか?認知症の方がなにを思ってその 行動に出るのか?は.完全には解明されて ないだろうと思います。しかし、作中の アンソニーの行動には全て理由があります。 彼の頭の中が描かれているのです。 多分、記憶と現在の境目が朧げになって しまうという認知症の症状から想像したの だと思うのですが、その描き方が見事なのです。 誰かわからなくなる、 何のこと言ってるかわからない 徘徊する など、認知症の方が行う行動の動機付けを、 その人の過去の経験や性格とうまく結び つけてますすごいと思いました。 あぁ、そういうことなのか?と思って しまいます。 (本当にそうなのかもしれませんが) またその行動を映し出す際の視点が認知症 本人です。ここがどこかわからない。 昨日ここにいたはずなのに。 怖くて、人が信じられない。 確かに患者本人の頭の中はこうなのかも しれません。ここの演出がサスペンス タッチで描かれているんですね。 確かに、患者当人には毎日がホラーかも しれません。認知症、なった本人が一番 辛いのだろうなぁと思いました。 なりたくてなったわけじゃないんですから。 認知症の人の行動によくここまで裏付け、 ストーリー付けができたなって感心します。 認知症本人の描き方が見事ですから、 介護する家族の辛い心情も痛いほど 伝わってくるんです。 日々の辛さ、もどかしさ、伝わらない 愛情や献身、思いがけず投げかけられる 否定発言、、、そして、優しさと感謝。 いっそ殺して・・・なんて考えてしまう ほどに気持ちボロボロ 体もボロボロになっても愛情を消すこと はできないし消えない・・・ それがビシビシと伝わってくるのです。 (オリヴィア・コールマン、名演です) なりたくてなったわけではない認知症が 大きな障害となり家族の中に横たわり ますが、完全に忘れているわけではない 家族の記憶の存在、そして変わらぬ愛。 親子の愛情賛歌です、本作。 信じたい、なくならないものがあることを。 そう願いたい、そうありたい。 傑作です。
認知症の主人公の日常生活をサスペンス風に描く、なんとも絶妙な味わいが感じられる作品です。
認知症の老人と、世話をする娘
どう転んでも重そうな作品だよなぁ…と、
なんとなく観るのを躊躇っていた作品です。
予告編を見たときは
徐々に頭の中が壊れていく男
その悲哀を描いた人間ドラマか? との印象でした。
けれど です。
そんな単純な内容のお話ではありませんでした。
◇
認知症の男 から見た出来事 と
周囲の人々 から見た出来事
両者の間に起きる 「認識のズレ」
そのズレを重ねつつ、
巧みにずらしながら再生する… と表現すればいいのか。
両方の認識には当然 「ズレ」 があるため
同一の出来事のはずなのに
スクリーンの中で起きる出来事が一致しないのです。
微妙に。
私の場合
今作中で起きていることを整理しようと
すればするほど 訳が分からなくなっていくのでした。 とほほ
その展開の匠さには
もう拍手するしかありませんでした。 はい。
※ …などと言えるのも
観終わって帰宅して、あれこれと
考える時間ができたからこその感想です。
観ている最中は、もう何が何やらな状態でした。
観ている最中は、この
「いったい何が正しい事なのか?」
という疑問に対する正解が
分からない状態のまま話が進むわけですが (…私の場合)
このような状態は
認知症の人にとって日常の事なのかもしれない
そう考えたら…
何となく切ない気分になってしまいました。 しくしく…。
もしかすると
この作品の監督の思惑どおりに
手のひらで転がされたのかもしれない…
そんな気がしないでもないです…。
◇ あれこれ
繰り返し登場するキーワード
・何度も気にする腕時計
・パリの人間は英語を話せない連中ばかり (←偏見?)
何かの象徴であるかのようにも感じましたが
それが何なのか分かりません…。
※フランス人は、英語を話せてもフランス語しか使わない
と、昔聞いたような気がします…
本当でしょうか …?
作中で詳細が語られない下の娘のこと
・会いたいのに長いこと会っていない
・画家として世界を舞台に活躍している
この主人公が原因で、「大怪我を負ったか亡くなった」
というコトなのでしょうか。
だからその話はタブーになっている… とかなのか?
◇ 最後に
ラストの
主人公が幼児退行して母を呼ぶ場面。
じわじわと心に沁みてきます。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
老い老い老い
老いの切なさとチャーミングさのたまらない感じが素晴らしいアンソニー・ホプキンス。 「愛 アムール」を思い出しました。あのジャン=ルイもチャーミングで切なかった。 もし認知症の人の認識がこの映画の通りなら、自分だったら怖いし、お世話の相手だったら優しくしてあげたい、と思う。 て、ゆーか、切なくてすごいいい。 「あ、言っちゃった!」って口を抑えるシーンは最高!
なんて疲れる映画なんだ
褒め言葉。 オープニングはあまり面白くない話から始まる、なんだもしかしたらこんなのが続くの?と思ってると、あれ?あれ? 話がよくわからない?この人は誰?と混乱してくる。 理解しようと頭を整理しながら見るとよけい何がなんだかわからない。 認知症目線がこんなにホラーのような展開になるとは思いませんでした。 アンソニーホプキンスはさすがの演技で、イライラさせられたり悲しくなったり見てるこちらが振り回される。 それが家族の視点でいつのまにか見ていたり本人の視点になったりで感情がぐちゃぐちゃになる。 舞台背景も見ていくとなんとなく分かっていく作りがとても優れていました。 終わった後ぐったりしてしまった。
美しい密室劇。
ほとんど密室劇。アンソニー・ホプキンスとオリビア・コールマンが実の親子のようにかみ合っている。認知症の老人との会話が噛み合うわけないのだが、老いた父親と中年の娘の間に生まれる世界共通・普遍的な関係性が見事に再現されている。なのに全く陳腐でなく心地よい。決して大富豪ではないのだが、英国テーストの設えの舞台としてのインテリア・小物も効いている。オケイジョナリーに挿入される窓外を見やる横顔のシーンは「日の名残り」で演じた老執事へのオマージュか・・・。 見ているうちに自分までが不安になってくる。今見ているものは幻視か幻聴か、誰の主観の映像なのか。時間経過も渦巻いて理解しようという気が失せてくる、認知症患者の疑似体験。そして、アンソニー・ホプキンスの身のこなしに魅せられ、救われる。機嫌のいい時にはタップダンスまで始めてしまうのだ。 認知症患者が増える高齢化社会へ警鐘を鳴らす、といベタな社会派映画ではない。そういった症候群をモチーフに、格調高いエンタティメントが創られた。そして最後に泣いてしまう。
ぐるぐる
時系列が目まぐるしくこれでもか!ってくらい前後して狂いそうな感覚に陥る。
アンソニーと同じように、「え?昨日そう言ってたでしょ?」「その人は誰?」「なんでここにいるの?」という言葉を発しそうになる
この映画で認知症の恐怖感をこんなにも体験できるとは思わなかった!
内装がアンソニーの家と、アンの家で全く違っているのに、そこにさえも視聴者の私がぼんやりとしか気が付かないのだからアンソニーが気がつく訳がない。
私の祖母が認知症だが、アンソニーが過ごす毎日を見ながら、こんなに怖い思いをしているのかと思うと、ボロボロ泣いていた。
結局何が本当かなんて最後の最後まで分からないままで、これもこの映画の面白さであり、実際に認知症の方が経験している事なのだろう。
あとは、娘のアン。
アンの気持ちを思うとやるせない気持ちになる…
私の母が祖母の面倒を見ているが、そこに重ね合わせてしまってこれまた号泣。
アンにとっては最愛の父だけど、アンの配偶者にとってはお荷物である…
この立ち位置の複雑さ。表現は出来ないと思う。
経験してみないと、理解は出来ない!!
そしてアンソニーホプキンス、米アカデミー賞主演男優賞を受賞しているのが頷けた!!🙌
史上最高の演技!表情や声色の変化佇まい全て本物!
ほんとに見て良かった!!!
認知症を認知症の視点で描いてるから 時系列がおかしかったり 同じ人...
認知症を認知症の視点で描いてるから 時系列がおかしかったり 同じ人の名前が違くなっていたり とにかく視聴者も、主役のアンソニーと同じ 不安感や訳がわからない謎で包まれます。 娘婿の名前や自分の部屋がわからなくなっても クラシックや絵画を愛し高尚な様が見える程 まともな人間扱いされないシーンが悲しくて。 認知症とはなんと残酷で悲しい病気なのだろう。 ラストのアンソニーの木に例えたセリフが悲しかった
終始、心 思考が居心地悪かった。起こる場面場面を繋げようとする俺の...
終始、心 思考が居心地悪かった。起こる場面場面を繋げようとする俺の思考。どれが真実?妄想? そして自分を正常だと思っていたが… ちょっとおかしいなぁ〜と疑いだす。いや完全に俺おかしい。そして気づく、はまった!この映画の罠に〜!
親子2人の演者が素晴らしい。特に娘役の繊細な演技がとてもグッときた。
映画のありかた
この映画は認知症になったアンソニーの目線、もしくは頭の中に見えている画像で描かれている。時間軸も設定もあちこちなアンソニーの目線は、幻視、過去の出来事、妄想。その事を踏まえていないと、混乱してくる。 当事者の目線から描かれているという意味で画期的な映画作りなのかもしれない。 か、しかし、見終わった後は、改めて思った。 私は、ふつーの映画が、好きなんだ‥ 固定観念から抜け出せないかもしれないが、流れている画面、ストーリーを主人公の身になったり、反目したり、はたまた画面に映る調度品や衣装小物風景に目を奪われ、鳥瞰図の様な感じで見る映画。そういう映画が好きなんだ、と、気づかせてくれた。
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