劇場公開日 2021年4月2日

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「久しぶりに良かった内容。今週迷ったらお勧めな一本。」サンドラの小さな家 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0久しぶりに良かった内容。今週迷ったらお勧めな一本。

2021年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年54本目(合計120本目)。
今週は全般的に本数が少なく(コロナ4波問題?)、その中でもこれをチョイスしました。

原作は herself ですが、これは多くの方が書かれている通り、「家を建てる」ということの DIY(Do it yourself)の考え方と、「自分自身を取り戻す」という2つの意味があるのだと思います(これに関しては意訳も仕方がないかな…。「彼女自身」というタイトルでは何が何かわからない)。

 シナリオとしては、いわゆるDV夫から逃れるために自分の家を作るという内容で(タイトル通りなので、ネタバレでもない)、ストーリーとしてはわかりやすいほうです。テネットに代表される「時間ずらし描写」もないですし、意味もなく「大人の営み」の表現もない上、登場人物は実質3名(サンドラと、その2人の子供と、しいて言えばDV夫)といえるので(ほか、家を建てるためにお願いしてきてもらったボランティアもいますが、彼らはほとんどストーリーに関係しない)、「登場人物が多すぎて理解できない」という類型はまずもって存在しないと思います。

 サンドラが家を秘密裏に立ててめでたしめでたし…と思ったら…そんな簡単に映画って終わらないですよね。ここから先はネタバレなので実際にご覧になってください。
でも、それでも自分の意思を貫くというのは男性でも女性でも難しいことだし、ましてDV夫に追い回される社会的弱者である女性が…となると一苦労で、こういう「社会的弱者をみんなが助け合ってうまく解決に導くストーリー」というのは、史実に着想を得ていなくても見ていて良いものですね。

 採点対象は下記の0.2のみですが、大きな傷と言い難いので、5.0まで切り上げています。

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 (減点0.1) 序盤に「特定の電話番号」をそのまま伝えるシーンが登場します。しかもこの番号は「098」から始まるもので、日本では実際に存在するか、今後存在しうる番号です(市外局番098は、那覇市や宜野湾市など)。

 もっとも、「その番号に実際にかけてみよう」という人がいるとも到底思えませんが、日本では有名な「サザエさん事件」(新聞の四コマ漫画に、特定の電話番号を載せたら、たまたまそれが実在する電話番号で、「人気漫画に乗じて宣伝するとは何事か」という苦情電話が殺到したという事件)があるのも事実。もっとも、当時と今とではそのあたりの考え方も違うとは思いますが、DVD化されるときにはここは一桁か二桁、伏字にしたほうが良いのでは…と思いました。

 ※ 今回はイギリス映画でしたが、アメリカ映画では、ドラマや映画などで「自由に使ってよい、架空の電話番号として予約されている、映画・ドラマなどで自由に使ってよい番号」というのがあり、それはイギリスもそのようなものはあると思うのですが…。

 (減点0.1) 「家を建てる」という内容上、行政に対する空き地使用申請や登記といった話が結構多く登場します。ただ、その説明がほとんどなく、「登記」にいたっては、「知っている人もいるが、具体的に何か」と言われるとなかなか説明がしづらいです(専門的には司法書士で、宅建や行政書士でも若干は扱う。行政に関する手続きは、行政書士が行う手続き)。妙にマニアックな展開になっており(ただし、字幕だけが)、もうちょっと平易な字幕にできなかったのかな…とは思います。

 ※ ただ、行政書士や司法書士といった概念があるのは、日本や日本の影響を受けた一部の国のみで、「弁護士」しか法律職がない国も多いです。
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yukispica