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漁港の肉子ちゃん : 特集

2021年5月31日更新

「明石家さんまプロデュース?私の映画じゃない……」
そう思った“あなた”にこそ、全力で伝えたい本作の魅力
【これ、むしろ“映画ファンこそ”見るべき良作です!】

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「明石家さんま、劇場映画を初プロデュース」――。アニメーション映画「漁港の肉子ちゃん」に関するそれらのニュースを見て「あぁ、企画モノね。見ないわぁ…」と思ったあなた! その気持ち、よーくわかります。

でも、ちょっと待った! 映画.comからのお願いです。この映画だけは、そうした偏見を捨て、先入観なしで観てみてください。そうすれば物語、映像、テーマ性の深さ…そのいずれもクオリティの高さに驚かされるはず!

映画を愛するからこそ、話題性やキャスティングばかりが騒がれる作品とは距離を置いてしまう…という人も多いでしょう。「漁港の肉子ちゃん」は、映画好きのあなたにこそ観てほしい、確かなクオリティとアニメーション&映画への愛とリスペクトにあふれた一本です!

こちらの特集では「漁港の肉子ちゃん」の“本当のすごさ”を紹介していきます。


【予告編】 全力で笑って、全力で泣いて、全力であなたを想う──感動のハートフルコメディ

【最速レビュー】調べれば調べるほど溢れ出す映画愛
そして、随所に散りばめられた名作へのオマージュ!

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かくいう筆者も実際に本編を観るまでは懐疑的な思いを抱いていました…。「さんまプロデュース? 正直、仕事じゃなきゃ観ないなぁ…」と。だが、編集部の指令を受け、試写に足を運び、観て驚愕&まさかの感涙! そして鑑賞後に作品に関する様々な情報を調べてみて…その完成度の高さに納得!!


●制作は、あのSTUDIO4℃! 背景まで繊細で美しいアニメーション

まず、映画を観て目をみはるのが映像の美しさ! タイトルからもわかるように、小さな港町を舞台にしている本作ですが、海や山、青空、星空などの風景が鮮やかに描かれています。その美しさも当然! 制作はあのSTUDIO4℃。「鉄コン筋クリート」「海獣の子供」の木村真二が美術監督を務めており、シーンごとに異なる表情を見せる海や、少し寂れた、しかし人情あふれる人々が暮らす街など細部にいたるまで繊細で美しい描写はもはや工芸品の域!

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原作者の西加奈子は、震災前に訪れた宮城県石巻市と女川の漁港にあった1軒の焼肉屋をきっかけに、本作の原作となる小説を書いていますが、3.11を経た現在、制作にあたってスタッフ陣は東北のいくつかの漁港を巡り、そこで見た風景を元にオリジナルの港町を構築したといいます。メガホンを握ったのは、長く劇場版「ドラえもん」シリーズに携わり、多くの大人の観客たちを泣かせてきた渡辺歩。脚本にはドラマ「凪のお暇」などで知られる大島里美を迎え、確かなスタッフ陣が質の高いアニメーションと物語を作り上げています。

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●これってもしや「トトロ」? あなたはいくつ気づく? 名作オマージュ&リスペクト

映画の序盤、豪快にイビキをかきながら眠り、お腹をボリボリと掻く肉子を見て、娘のキクコが「トトロ…?」とつぶやく様子が描かれますが、本編中、いたるところにジブリ作品、とくに「となりのトトロ」へのオマージュが散りばめられています。

劇中の場面写真が公開されて、既に話題になっていますが、肉子とキクコが雨の中を並んでバスを待つ姿は、サツキとメイが父親を迎えに行ったバス停でトトロに遭遇するシーンと同じ構図。ちなみに本作の総作画監督・小西賢一はスタジオジブリの一期生であり「耳をすませば」「もののけ姫」などの名作に参加、高畑勲監督の最後の作品「かぐや姫の物語」では作画監督を務めています。

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ジブリと言えば、登場人物たちがおいしそうに食事をする描写も魅力のひとつですが、本作にも焼肉やフレンチトースト、パスタなどおいしそうな食事が次々と登場し、肉子やキクコたちがこれでもかというくらい幸せそうな表情でかぶりつく姿が描かれており、こうした部分にもジブリの芳香が…映画を観終わったら、お腹がすくこと間違いなし!

ちなみに親子で協力してフレンチトーストを作ると言えば、ダスティン・ホフマン主演の名作「クレイマー、クレイマー」! 随所にこうした名作へのオマージュ、リスペクトが見られ、映画ファンの心を巧みにくすぐる映画愛にあふれた一作となっています。

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●原作は直木賞作家!? まさかの感涙……笑って泣ける「家族」の物語!

「さんまプロデュース」というニュースと“肉子ちゃん”という文言のインパクトもあって、本作を笑い一辺倒のコメディだと思っている人もいるかもしれませんが、さにあらず! 原作は「サラバ!」で直木賞を受賞し、これまでにも北村匠海、小松菜奈、吉沢亮といった豪華キャストで実写化された「さくら」や向井理、宮崎あおいが夫婦役を演じた「きいろいゾウ」など、著作が映像化されてきた人気作家・西加奈子の同名小説。

“笑い”は本作を構成する重要な要素ではあるけれど、それだけではありません。その大きな体からあふれんばかりの肉子の愛情や優しさ、子どもと大人の微妙な境界線上にいるキクコのモヤモヤとした言葉にできない感情や周囲の人々とのつながりが、丁寧に優しく描き出されており、深みを備えた感動作に仕上がっています。

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「普通が一番ええのやで」――。いわゆる世の常識から見た“普通”とはかけ離れた人生を送ってきた肉子は、豪快に笑いながらキクコにそう語りかけます。ありふれた当たり前の日常が崩壊してしまった“いま”の時代を生きる私たちの心に、肉子の生きるさま、そして満面の笑みが深く突き刺さります! 先入観を捨て、色眼鏡を外して、この温かく深い物語に没入して観てみてください!


なぜ明石家さんまはこの映画を作ったのか?実は本作
初めて語られる“さんまの人生”そのものかもしれない

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お笑い界の巨匠・明石家さんまはなぜアニメーション映画のプロデュースをしようと考えたのか? いや、2018年に、ジミー大西の半生をドラマ化した「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」(NETFLIX配信)をプロデュースしているから、プロデューサーの立場で作品を世に送り出すこと自体は想定できます。ただ、その作品としてなぜ西加奈子の小説「漁港の肉子ちゃん」を選んだのでしょう?

本作の製作・公開が最初に発表された際のリリースには、本屋で偶然、西加奈子の著作を手に取り、その後もいくつかの作品を読む中でこの作品と出合ったことが記されており「すごく良い感動的な作品なので、映像として残したいと思い、(映像化の)オファーをしたところ西さんがすぐOKしてくださって」というあっさりとしたコメントのみ。

なので、ここからはあくまでも筆者の“推論”として、さんまさんがこの物語を製作した理由について、考えていきたいと思います。

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いきなり、結論から入ります。「漁港の肉子ちゃん」は、明石家さんまの人生そのものなのではないか――? ※あくまで推論です。以下、その理由の考察です。

さんまさんは、「自分の人生と重ね合わせてしまうのか、とにかく僕は昔から、親子の愛情の物語に弱いんです」とコメントしています。

「生きてるだけで丸儲け」は言わずと知れた、さんまさんの座右の銘です。本作の主人公・肉子は、まさにこの言葉を体現したような存在。男を信用しては騙され…ということを幾度となく繰り返し、時に「目ん玉が飛び出るような」借金を押し付けられても、常に笑顔を忘れることなく、全力で生きています。

「命があっての物種」――言葉ではそう思えても、それを実際に人生に落とし込むのは大変なことですが、肉子はまさに「生きてるだけで丸儲け」。全力で笑って、全力で泣いて、全力で想う。陽気な大阪弁を繰り出し、いつも全力の肉子ちゃんの姿は、さんまさんと重なります。

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そしてもうひとつ、本作を貫く大きなテーマは「家族とは何か?」ということ。映画の中で、肉子が働く漁港の焼肉屋「うをがし」の店主・サッサンは、「自分が望まれて生まれてきたのではない」と周囲を気遣って生きるキクコにこう言います。「迷惑かけたって大丈夫だ。俺はおめぇに遠慮なんてしねぇ。他人じゃねぇんだ。俺はお前を家族としてちゃんと怒る」。

さんまさんの“家族”への愛情の深さは、いろんなところで語られています。実の娘であるIMALUさんへの思いはもちろん、前妻である大竹しのぶさんの連れ子であり、直接の血の繋がりのない長男・二千翔さんにも深い愛情を注ぎ、いまも“父親“として深く交流を持ち続けているのは知られた話です。映画の中で描かれる、DNAを超えた本当の“家族”の姿から、さんまさんは「これは自分の物語」だと感じたのかもしれません。

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「もしかすると『ここにいたい』と思った場所が、その人にとって故郷となるのではないか。そんなことに、気づいてもらえる映画になっているとうれしく思います。」と渡辺歩監督は話します。

これはあくまでも推論です。ただ、この映画の企画が、“お笑い芸人のプロデュース作品“という次元ではない、エンタメ界のトップランナーとして全力で走りつづけるお笑いモンスター・明石家さんまの知られざる人生が映し出された物語なのかもしれません。

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