スプリーのレビュー・感想・評価
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承認欲求というモンスターに飲まれた若者
SNSでバズることは、一部の人にとって人生を棒に振っても欲しいものになったのかもしれない。恐ろしい時代だ。本作の主人公は、数年間動画投稿を続けたものの、全く注目されずない屈辱を経験し、ライドシェアで載せた客を殺害するところをライブ配信することを思いつく。しかし、実際に殺してみてもあまり再生数が上がらない。それどころかフェイク扱いされてしまう。彼の行為はどんどんエスカレートしていく。
作中、韓国の女性DJや黒人女性のコメディアンなどのインフルエンサーが登場する。彼女たちはバズるだけの光るものが確かにある。主人公にはそれがない。この映画の背景には持たざる者の苦しみがある。承認欲求が誰かをモンスターにしてしまう。殺人までいかなくても、承認欲求にとらわれておかしくなる人はSNSにごまんといえる。この映画を見ている自分もいつそれにとらわれるかわからない。気をしっかり保ってSNSをやろうと思った。
サクッと見られるが意外と奥深い
徹頭徹尾、独特なノリと感性に彩られた作品だ。全てのシーンを自撮りや固定カメラなどで記録した映像、さらにはリアルタイムで交わされるチャット画面にて完結させながら、いっさいの展開上の緩みや齟齬が見当たらない。主人公がかなりサイコパスへ振り切れようとも観客が興味を失わないのは、こういった作り手の技術やセンスがうまく機能しているからなのだろう。一方、ストーリーはというと、車で人をさらうという「ヒッチャー」を思わせる内容。かと思えば、序盤から人気者への”憧れ”がじわじわ”執着”へ変わるスコセッシの「キング・オブ・コメディ」的なテーマ性が際立つ。憧憬の対象がなぜかコメディアンという点でも両作は共通しており、さらにこの移動する舞台ともいうべき乗合サービスがすなわちタクシーの現代版である点も含め(「タクシー・ドライバー」)、作り手のこだわりを読み解くにはスコセッシ作品との比較検証が不可欠に思えてならない。
退屈な映画
スプリーというフリーのドライバーになって、客を乗せながら殺しの実況を延々と垂れ流す映画。
ただ映画中にもあるように、配信内容がつまらないとあったが、本当にそれでつまらない配信を永遠と見せられ、映画が非常につまらない。(製作者の意図したことかな?)
…うーん、最後も、本人にとっては嬉しいことなのか、…よくわからない(笑)。
普通の顔した普通の青年がいちばんヤバイという映画ですね。
承認欲求モンスター…
題名はスプリーというライドシェアアプリ。ドライバーのカートは客を乗せながら、撮影をし、自らのSNS視聴数を増やすことに躍起になる。殺人を犯してまでも。。かなりグロいシーンもあるが、その方が反響もあるわけで。現実にこんなモンスターが出てきそうで怖い。
スプリー
SNSを題材にした作品。
皆さん、SNSやってる人多いと思うけど、やってる理由も人それぞれ。
承認欲求を満たす為、自己満足、自分の記録用として、流行りだからなんとなくなど色んな理由があると思う。
コメント来ると嬉しいよね。次も投稿したい楽しいって思える。この作品は承認欲求に呑み込まれた少年の話。
そう遠くない未来、この作品みたいな事があるかも知れない、あったらゾッとする。と思いながら鑑賞。
ただ、話に大した山場もなく少し退屈。
B級だなぁと思い観てました。
※批評には個人の価値観が含まれています。ご了承ください。
分からなくもない
92本目。
ミッション・ポッシブルを観たいと余裕をもって電車に乗ったけど、やたら停車時間が長く間に合わず。
早起きしてるのに、ちょっとイライラ。
で渋谷に移動し観賞。
観たかったから、まあいいかとは思ったけど、正直いい気分のする作品ではなかった。
まあ、分からなくもないんだけど。
意外な傑作
ウーバーは、日本ではウーバーイーツのほうが有名になってしまったが、アメリカではどちらかというと白タクのことである。白タクといってもネットで管理されていて、登録された個人ドライバーをGPSで現在位置を把握して、呼んでいる客の場所に近いドライバーを紹介する。ライドシェアやカーシェアリングの一種と言っていいと思う。ドライバーと客の双方で評価をし合うシステムを導入していて、それによってドライバーも客も自ずから行儀がよくなる訳だ。2009年に起業された会社だが、すでに年間の売上は1兆円を超えている。ただ、コロナ禍のおかげでライドシェアは減少し、代わって日本と同じようにウーバーイーツの需要が増えているようだ。
本作品はSNSでバズらせたい若い男が思い悩んだ挙句、仕事にしているライドシェアで乗ってきた客を手にかける様子をライブで配信するというトンデモ設定ながら、主演したジョー・キーリーの演技が抜群で、最後まで面白く鑑賞できた。
アカウントからすると主人公のカート・カンクルは1996年生まれで、24歳の設定だと推測される。気力も体力もセロトニンの分泌量も人生でピークを迎えるくらいの年齢である。セロトニンは神経伝達物質で、分泌量が少ないとキレやすくなる。老人がキレやすいのはそのためだ。カートは人生で一番キレにくい年齢だ。
実際に作品中では常に冷静であり、冷静なまま残虐な行為をやってのけるところが恐ろしい。SNSでバズらせるのは人生を賭してでもやるべきことなのか、その辺が理解不能である。将来はユーチューバーになりたいなどという意味不明な夢を言う子供もいることだし、SNSを抜きには何も語れない時代になったのだろう。
カートが理解していなかったのは、SNSでバズるにはそれなりのオリジナリティが必要だということだ。極端なことをしてみても、そこにオリジナリティがなければ受けないし、フェイクだと疑われる。オリジナリティを獲得するには天賦の才があるか、長年の努力をするかのどちらかしかないが、カートにはそのどちらもない。商品もないのに金だけもらおうとするのは商売として成り立たない。獲得したリアリティが使えるのは一度きりだ。
それにしても、SNSでの共感を求める行動が極限に達したらこうなってしまうという想像力は大したものである。近い将来にこういう事件が起きるのではないかという警鐘を鳴らしている作品にも思えた。そのあたりのリアリティを支えたのは主演もさることながら、被害者たちの見事な演技である。特に黒人であること自体を笑い飛ばしてみせるコメディエンヌのジェシーを演じたサシーア・ザメイタがよかった。意外な傑作だ。
センスは感じるが駄作
2021年映画館鑑賞43作品目
5月17日(月)イオンシネマ石巻
ライドシェアがまずわからなかった
どうやらいわゆる認可されている白タクみたいなものだ
その白タクの運転手がユーチューバーなんだけどいまいち受けない
悩んだ末に思いついたのは乗客を殺す一部始終をライブ配信するというぶっ飛んだモノ
ラーメン屋で全裸になるバカッターやバイトテロが今では可愛らしく感じる
後部座席の手前に常備しているペットボトルの水に毒を入れる手口
映画の中の設定では芝居でもドッキリでもなく本当に殺しているわけだがネットを観てる方は「フェイク」だと書き込み誰も信用しない
バズること間違いなしと自信満々のアイデアも当てが外れガッカリ
古い付き合いのボビーや韓国系女性や黒人女性がインフルエンサーなんだけど激しく嫉妬する主人公
まずはライブ配信でボビーの自宅に訪れ殺害
しかし韓国系と黒人は殺すことができず
殺されたのは白人のみ
ホームレスは誰一人轢かれなかった
おバカ映画の監督だからといってそれほどバカではなくなんらかの配慮を感じた
B級映画で調子に乗っている黒人が殺されたりすることはわりとあるがこれにそれはない
韓国系は逮捕されるだろうけど殺意はない事故的なものだから過失障害で一年未満の服役か
韓国人は優れた民族らしいから韓国系の弁護士なら無罪を勝ち取れるかもしれない
黒人女性はコメディアンで演じている役者もコメディアンらしい
言っていることは殆どが下ネタで日本のメディアなら「アメリカのマチャミ」として紹介するだろう
韓国のマチャミは今どうしている
主人公は両親も殺してしまう
たしかにこいつはサイコパス
生きる価値がないゴミクズ
でもあっさり黒人女性に退治されてしまう
いやいやまだまだ死んでませんよーってのがほしかった
これだけ堂々とネットで殺人を何度もしているのに警察がさっさと逮捕しないのが不思議なくらい
作品内容は脚本的にB級どころかC級
映像のセンスはわりと良い
ポスターもなかなかの出来だ
惨劇はたった1日間の出来事ってのはホラーではわりと重要なのかもしれない
ネットでも映画は観れる
だけど逆に映画館で全編ユーチューバーの動画みたいなものは観たくない
そりゃ現代劇ならネットが登場するのは当たり前だけどここまでくると自分はやっぱりこういう作りは好きじゃない
映画館ではなるべくネットから離れたいのだ
だったら『るろうに剣心』みたいな時代劇を観れば良かったんだけど
体は大人、頭脳はクソガキ、その名は迷探偵カート!
自分もSNSをやってますが、フォロワーにこんなに執着する奴には初めて会いました笑
全体的にバカだなぁが先走ってしまいます。殺す動機も適当になって目に入ったインフルエンサーやノリノリな奴らをひたすらに殺していくけれど、殺し方に面白みは無く、淡々と殺していきます。
主人公カートはとりあえずクズです。今まで見てきた映画の中でもトップクラスに不快でした。自分勝手な行動しかしないし、迷惑しかかけてないしで大部分は微妙な作品です。まぁインフルエンサーもその他関わりのある人物も大して好感は持てなかったので、これが善人ばかりの登場人物だったらカートに思いっきり中指を立てれたと思います。
殺人ライブで何故バズと思ったのか?と思いましたが、日本・世界には大量の狂ったYoutuberがいます。そういうのもあってYoutuberにはあまり良い印象はありません。画面上に語りかけてくるやつが友達なら特に抵抗なく見れるのですが、底辺YouTuberだったのでひたすらさむかったです。ラストの主人公死亡はニンマリして見れました。School Days以来の主人公が死んでホッとした作品です。
でもこれだけ不快にさせられるのはある意味この作品の長所だと思うので、不快になりたい方は観に行ってみてください笑
鑑賞日 5/9
鑑賞時間 18:25〜20:00
座席 B-5
アホな殺人鬼
シェアドライバーのカート(ジョー•キーリー)はSNSのフォロワーを増やしたい一心で乗客を殺し、その様子をライブ配信するという事を始める。
SNSをバズらせたかったが、フェイク、とか、退屈、とか、反応が悪く、カートはどんどんエスカレートしていくという話。
子供の様な単純な理由で殺人を続けるアホに何も共感できず、面白くもなかった。
失敗した
映画館で観賞 1700円も払って損しました。レンタルで新作で借りてもまだ高い。 ポスターに騙されました ダークウェブ、サーチは見ましたが
これは まったくハラハラもせず 怖くもない
正直無駄なシーンが多い 配信のリアルも表現してる様だがまぁー長い長い それのせいでテンポが悪く 終始ただのライブ配信を金払って大画面で見てるだけ 今年で見た映画でワースト1かもww
SNSに取り憑かれた男の結末
主人公のカートは日本で言うところのウーバータクシードライバーのような仕事とユーチューバーを兼任してるよう立場。(厳密に言うとYouTube動画に拘ってるわけではないが)
YouTubeの方の動画再生数に強くこだわり、どうしたら再生数を稼ぐ事が出来るかという思いに取り憑かれている。その結果殺人ライブ配信が再生数を稼げるのではないかと辿り着き、乗車客を殺し、そして同じく動画活動をトップクラスのユーチューバーの1人を殺し最後のトップクラスには返り討ちを喰らうといったストーリー。
まぁ端的にいうとSNSに取り憑かれて結果暴走しサイコ化し最後は哀れな結末を迎える男の話である。
あまり素人ユーチューバーの動画などを見ることはないが稀に警察官を揶揄ったり、一線を越えた動画を撮って捕まるニュースは目にした事がある。まさにそのものである。この作品ではそれが殺人ライブなだけだ。
まぁストーリーはあってないようなもの。こちら側もライブ配信の視聴者視線で見ると意外と楽しめたかな。カートの最初の行動は作品内の視聴達と同様嘘だと思ってたし、やるなら早くやれよなんて煽るような気持ちも生まれてしまった。
まぁそんなような声を形となり配信者に伝わる事で過激な行動を時には生んでしまうのかもしれない。
動画配信の視聴者気分としてみれる目新しい作品で個人的には楽しめた。
なんだ、これ。ひどい出来。
いやーな予感はしていましたし、予告編で観ていた限り主人公の
キャラクターが大嫌いなタイプだったのでやめようかなぁと思いつつ、
「SNS」観賞後に系列同じだから観ておくか
・・・・くらいな気持ちで鑑賞。
えー、つまらないです。観なきゃよかった。
今のネット時流・・・特にSNS系に振り回される人達・・・への
皮肉を散りばめたサイコ系のホラー(?)なんですが、
なんだろ・・・怖くないし、ゾクゾクもゾワゾワもしない。
主人公が単なるお馬鹿さんにしか見えず、お馬鹿さんが一人で騒いでるだけ
なんです。
視聴者獲得のために色々やるわけなんですが。。。
そこになんらドラマがないのです。
ワーギャー騒ぎながら犯罪を重ねていく。
刹那もなければ劇場感もない。かといって「時計じかけ〜」みたいな
退廃感もない。世間も警察も騒がない・・・なんもない。
いろんな面でなんもない(笑)
しかし、なんでしょうね。意図的にOUTな現場を見せないのは配信動画を
意識しているのでしょうか?
・・・だからかな、なんともチープに見えるのです。
見せないにしても、もっと他の映像やストーリーで物語自体を厚くできる
のでは?と思うのですが、うっすいのです。
本当に質の低い素人動画を観ているように、ちっとも盛り上がらない。
ラストのアレもとってつけたような話だし。
なんでそれをやらなくちゃ?なの?
そういうことにしておけば話がまとまると思ったのでしょうかね?
くだらないサイコホラー崩れの学生映画。
あ、画面の作り方は、今風でよいんじゃないですかね?
残念すぎる一作。
先に観てたら、また評価も違ったかもってことで★3.0
え〜こっちを期待してきたのに、まさかの裏切り。
他の方のコメントにもありましたが、SNSを観てからこちらを鑑賞するとフガフガになります。順番誤った〜!
ヤラセじゃなくてほんまだったのよね?ラスト観たらどっちか分からなくなった。
とにかく怖くない
SNSのフォロワー数を上げるって、素人にとっては大変なことだと思う。ましてや動画だと余計に。でも、個人的にはそもそもフォロワー数を上げるということに興味がない。だから本作のカートがフォロワーを増やすためにそこまでのことをしでかす感覚がピンとこなかった。
しかも最初の方の殺人は薬入りの水を飲ませるだけだから、死んだのか眠っているだけなのかがわかりづらかった。あんなのフェイクだ!なんて批判を浴びるうちにエスカレートしていくのだが、それでも正直あまり怖くない。それはカートが終始笑顔で乗客を殺していくからかもしれないけど。
そしてクライマックスもそんなに盛り上がらなかった気がする。別に特殊能力があるわけじゃないし、クライマックスの場所も盛り上がる要素があまりないところだったし。この映画がショボいよ!
本来もっと怖くなる話なのかもしれないけど、結構退屈だった。フォロワー数を上げることにピンとこないからではなく、脚本が今ひとつってことなのかな。
これじゃフォロワー増えないよ
ライブ配信を題材、というのは今どきだが、いかんせん編集が...。
特別何か凄いことが起こることもなく、途中ウトウトしてしまいました。映画そのものがフォロワーが増えない原因を見ているようでした。
SNS中毒者に半笑いで警鐘を鳴らすハイテンション・スリラー
みなさん、採点が辛いなあ(笑)。
多くの方と同様、『SNS 少女たちの10日間』から、連ちゃんで鑑賞。
僕はそれなりに楽しめました。
ホラーというよりは、スリラーであり(あえて残虐シーンはカットされている)
スリラーという以上に、ブラック・コメディである。
『XYZマーダーズ』とか、『Drギグルス』とか、『シリアル・ママ』とかのSNS版だ。
おそらく、監督の感性と適度にシンクロできたのは、自分は「承認欲求」というものに拭い去りがたい忌避感があって、SNSで「いいね」が欲しい感性を心底から小ばかにしていて、YouTuberみたいな手合いを常日頃より蔑んでいるからだろう。
主人公のカートが「なぜ殺人鬼に」の部分の説明が弱いという人もいるだろうが、YouTuberというのは、そもそもそういう輩であり、おんなじくらいに幼稚で、歪んでいて、甘ったれで、正邪のバランスがくるっている。そのなかには境界超えちゃう人も「実際に」いてちっともおかしくない。そういうもんだ、それくらい気持ちわるい存在だと僕は感じている。
SNSではしゃいでる連中は、YouTuberも、映え中毒も、弁当ママも、ネトウヨも、ツイフェミも、アベガーも、みんな承認欲求に食いつぶされた、カート・カンクルなのだ。
……と思っているから、自分はカートのキャラクターを、「いいね乞食のカリカチュア」として、きわめて素直に受け入れることができた。
ライドシェアもまた、SNSと同様に、現代的な人と人とのつながり方のありようの一面である。日本人は、半額の白タクが隣にとまってても、みんな敢えて正規タクシーの列に並ぶみたいな国民性なので、今後簡単に普及するとも思えないが、どこに行くにも車で移動するしかないアメリカでは、かなり便利なサーヴィスなのだろう。
カートは、このSNS中毒とライドシェアの運転手という、現代の「つながり方」を体現する申し子である。この「善意」の鎖に、「悪」が紛れ込むとどうなるのか、が本作の主眼ということになる。
映画としては、人殺しライドシェアというのはお話の「前提」であって、そこに至る過程はあえて描かれない。「いいね」欲しかったら、それくらいふつうにするよね、くらいのノリ。
最初からふいっと、いとも簡単にカートは一線を踏み越える。
ここで人の命は、まさにゴミのようだ。
チャンネル視聴者数人分くらいの価値しかない。
カートは、MTV感覚で、次から次へと獲物をしとめてゆく。
ただウケるために。
ちょうど、ガイ・リッチーの『スナッチ』とかに近いテンポ感であり、眉をひそめるようなネタをひたすら打ち出すバッド・テイスト・スタイルは『メリーに首ったけ』のようだ。ここに『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のような「SNS画面」の導入が行われ、いかにもリアルなSNS配信の感覚が表出される。
この映画の素材は、ほぼすべて「作中人物の配信した内容」だけで成り立っているのだ。
多くの人が困惑するだろうことに、この映画は実は「カートがいかにくるっていくか」を順を追って描写する作品ではない。中盤以降、最初は被害者後補として登場した黒人女性コメディアン、ジェシーが、しだいに作中で幅をきかせはじめ、映画を半ば乗っ取ってしまう(ちょうど影響力のない配信者が、インフルエンサーに押しのけられるように)。
ジェシーは、SNSで成り上がって、いまやいっぱしの芸人となっているという設定だが、監督の視線は必ずしも彼女に対しても融和的ではない。ラストで彼女がやらされることを考えれば、監督はこのキャラクターのことも、内心けっこう小ばかにしているのではないだろうかと思う。
つまり、監督はカートもバカにしているし、ジェシーもバカにしている。
被害者として出てくる右翼演説家も、いかにものキャリアウーマンも、くされはてたパリピも、生意気な少年YouTuberも、コリアン系DJも、みんなバカにしている。
たぶん、この映画がアッパーで、ハイテンポで、ハイテンションでご機嫌なノリでありながらも、どこか「不快」な臭気を常に放っているのは、監督の登場人物への「蔑み」が作品全体からにじみ出てるからではないか。
まあ、同じくらい「僕も蔑んでいる」ので、個人的にはめっぽう楽しい映画ではあったが。
なお、後半に入ってカートのチャンネル「レッスン」の視聴者数が増え始めると、画面下部におけるコメント演出がきわめて盛んに展開されるのだが、よほど肝要なもの以外、字幕として扱われないので、大半なにが書き込まれているのかわからない(笑)。 たぶん、結構カートを煽ってきてると思うんだけど……ネイティヴはあれで追えてるの? なんかうまいやり方ないのかなあ?
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