劇場公開日 2021年4月23日

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「承認欲求というモンスターに飲まれた若者」スプリー 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5承認欲求というモンスターに飲まれた若者

2021年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

SNSでバズることは、一部の人にとって人生を棒に振っても欲しいものになったのかもしれない。恐ろしい時代だ。本作の主人公は、数年間動画投稿を続けたものの、全く注目されずない屈辱を経験し、ライドシェアで載せた客を殺害するところをライブ配信することを思いつく。しかし、実際に殺してみてもあまり再生数が上がらない。それどころかフェイク扱いされてしまう。彼の行為はどんどんエスカレートしていく。
作中、韓国の女性DJや黒人女性のコメディアンなどのインフルエンサーが登場する。彼女たちはバズるだけの光るものが確かにある。主人公にはそれがない。この映画の背景には持たざる者の苦しみがある。承認欲求が誰かをモンスターにしてしまう。殺人までいかなくても、承認欲求にとらわれておかしくなる人はSNSにごまんといえる。この映画を見ている自分もいつそれにとらわれるかわからない。気をしっかり保ってSNSをやろうと思った。

杉本穂高