「誰が地球を撫でてるの?」テスラ エジソンが恐れた天才 pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
誰が地球を撫でてるの?
個人的には非常に面白かった!
レビュー評価がかなり低いようなので、そんなにエキセントリックな造りなのか?はたまたコミカルに振ってあるのか?と心配だったが、減点要素はまったく無かった。どこにもおフザケは無く、終始真面目な造りであった。(パロディとユーモアはあります。)
星5でもよいが、5に値する素晴らしい作品群と比べたらやや弱いという事で4.5くらいにしておく。
普段、印象に残ったフレーズをレビュータイトルに使う事が多いのだが、本作は心に残るフレーズが非常に多く、選考に迷った。
それにしても、ルール・ザ・ワールドの歌詞があまりにもピッタリなのには驚いた。まるで、この映画のために作詞したんじゃないか?ってくらい合っていた。字幕の翻訳の仕方も良かったのだろう。ここが1番賛否両論、いや、否定的意見の方が多い場面であろうが私は肯定派。
口惜しさや諦念など、やるかた無いテスラの複雑な想いを投影し、締め括っていたと思う。
So sad they had to fade it.
ここまで収まりの良い詩があるならば、こういう演出で幕を降ろす手法もアリかもしれない。
「たられば」シーンのエジソンとのやり取りも面白かった。
もしも本当に、エジソンがああやって懐の広いところを見せていたならば!
エジソンとテスラが親友同士として、タッグを組んでいたならば、いったい人類史はどう変わっていただろう!
詮ない仮定の話ではあるが。
一緒に観た息子は、中1の時に学校での研究テーマでテスラを選び、半年ガップリ四つに組み合っていたので、知識面には問題無し。非常に面白く鑑賞出来たようで良かった。
テスラが構想していた「世界システム」が実現した世界では、作中にてエジソンが手にしていたスマートフォン、アンが駆使するインターネット、ニコ(ニコラ)が歌う通信カラオケシステムなども正にその象徴となるであろう。
今から100年も前に、テスラの頭の中では、すでに携帯電話やインターネットが登場していたのだ。
しかし、それはユーザー側視点での話。技術視点ではまるで違う。現在のワールドワイドウェブは、地球を網羅する海底ケーブル、軌道上を巡る人工衛星、はたまた光回線といった固定回線やWiFiなどのモバイル回線に頼ったものに過ぎない。科学は未だ、テスラの頭脳に描かれた世界を実現出来てはいないのだ。
ところがなんと!2007年にMITが電磁共振による無線送電に成功した!
具体例を挙げるなら、2m以上離れた電球にワイヤレスで送電出来るって事だ。ノートパソコンならもっと遠距離でも可能だから同室内に置いておくだけで充電出来る。
この技術が進歩すれば、バッテリー切れの心配がない携帯電話や電気自動車が開発されるに違いない。
リニアモーターカーの技術も格段に進むであろう。
(WiTricityで検索すれば、トヨタや三菱、古河電工などが着々と研究を進めている事がわかる。)
子供とそんな会話を楽しむ時間を、この映画は与えてくれた。
本作が低評価となる最大要因は「鑑賞に必要な基礎知識を観客が有している事が前提」という部分かと思う。不親切な映画ってわけだ。「誰もが泳げると思っていた」とエジソンに言わせたからには、監督自身も配慮の必要はあるか。
まぁ鑑賞前に、下記の基礎知識程度を仕入れておくと各シーンの意味も楽しめるのではないかと思う。
・ニコラ・テスラの人生史概略
・エジソンとテスラの確執エピソードについて代表的なものを一通り
・テスラを襲っていた強迫観念
(真珠・卵・ビリヤードの玉など、丸くてツルツルしたものを異常に嫌う。
晩年、レストランでは毎回ナフキンを18枚用意させ、食器を徹底的に拭く、等)
・J・P・モルガンの概略
(ジョン・ピアモント・モルガン氏。JPモルガン&カンパニー。JPモルガンチェース等の基礎知識)
・直流・交流の違い、及び、直流モーター・交流モーターの仕組み
・テスラコイル(高周波/高電圧発生共振変圧器)の仕組み(なんとなくで大丈夫)
・「世界システム」の構想(なんとなくで大丈夫)
・ロングアイランドのウォーデンクリフタワーについて(テスラが終盤に大規模停電引き起こしていた、例のアレ)
テスラが実現させようとしたのは「大気中から比較的簡単な装置で電力を取り出し、世界中のどこにでも瞬時に電力を送る事が可能なシステム」だ。
こんな事が可能になれば、原子力発電所は不要になるし、メタンハイドレードのような不確実な危険に手を出す必要もない。
膨大なエネルギーを日々消費し続けている現代人にとって、どれだけ素晴らしい発明である事か!
ウォーデンクリフタワーを再び自分の手で!と考える研究者は、世界中に少なからずいるようだ。
いつの日か、テスラの夢を実現してくれる未来の後継者が現れるかもしれない。
苦渋の人生を送った孤高の天才、ニコラ・テスラの業績が報いられる日が、いつかきっと訪れるだろう・・・
今晩は。
ご無沙汰しております。良く御存じですね。
弊社は、先達の先見の明ありき会社です。
因みに、技術陣に”テスラはどうなんだ!”と聞くと、弊社のコンプレッサをテスラに収めている事業体は対トヨタの関係もあり、”マアマアです・・”などと自民党みたいな答えしか返って来ませんが、車の型を作っている事業体の管理者に聞くと(当然、テスラの車を購入して調べてます。大丈夫かなこのコメント・・)”ガタガタです。性能だけを追求して、外観(特に、ボデー、塗装)は日本の市販には遠く及ばないとの事。けれど、北米ユーザーは細かい所は気にしないので、驚異的な存在になるかと思います。
それにしても、イーロン・マスク、週に200h働いている割には、奧さんを次々に変えているじゃないか!と社長が言ってます・・。
研究と性欲は同時進行できるんじゃね!と言ってます。では。
ゆうさん
コメントありがとうございます♪
軒並み不評な本作、同意見の方がいらしてとても嬉しいです〜。
(別件ですが、ゆうさんのレビューにて銀英伝がすでに3章まで出ている事を知りました。
当方、35年前に「本当に続編が出るのかわからない銀英伝OVA第一部全26巻」を予約購入した愚か者ですwまだ子供でしたので親に頼み込んで人生初のローンを組みました(笑)
原作小説の3巻が刊行された頃から愛読しています。
新作は1章しか観ていないので、2〜3章、早速鑑賞したいと思います〜。情報ありがとうございました^ ^)
あたくしの簡略なレビューに共感有難うございます 云わんとしていることが詳しく書かれていました pipiさんのレビューに何故映画見た当時気付いてないのか今となってはナゾですが…