「「ユダヤ人とは?」についての説明が欲しい」ホロコーストの罪人 運だぜ!アートさんの映画レビュー(感想・評価)
「ユダヤ人とは?」についての説明が欲しい
ヒトラー・ナチス関連の映画は毎年必ず新作が公開されます。過去の悲惨な出来事を忘れないために映画として記録並びに記憶するためです。でもドイツ人が観たらどういう気持ちなのか考えてしまいます。いつまでたっても「戦争犯罪人」のレッテルを貼られ続けています。つまりナチスはそれだけ多くの憎悪を今でも生み出している証拠です。
ただ私たちアジアに住んでいると、ユダヤ人がヨーロッパにおいてどのような立場だったのかが明確にわからないのです。そしてユダヤ教とは、ユダヤ人とは、さらに人種とは何かがいまひとつ明確につかめないのです。肌の色によって差別偏見ではなく、ユダヤ人と言うのはどういう人なのかと言われると説明がつかないのです。
海外旅行へ行った際、真っ黒い服を着て、大きな帽子をかぶって髭もじゃな人をユダヤ人と教えてもらったことがあります。
ですから、本映画の中に出てくるユダヤ人の人たちが普通の「白人」つまりノルウェー人に見えてしまって、いまひとつ心を寄せることができなかったのです。もちろん戦争は反対です。拷問も反対です。何より許せないのは女性と子供に暴力を振るうことです。これは人間として最低の行いだと思っています。
結局本映画はナチスの悪夢が今でも続いていると言うこと、二度と繰り返してはいけないと言う事を訴求していると思うのです。ただですね、最終的な映画の着地点が不明瞭なんです。主人公は生き残るんですよね。それは良かったと思うんです。
あれだけ愛していた奥さんと再会しますか、結局離婚して彼はその後に2度結婚するとテキストが流れました。ここがゲンナリしてしまうんです。作りとしてです。最近の映画の傾向でエンディングで、テキスト説明が入ることが多いです。できるのならテキストではなく映像で表現してほしいのです。文字なら本を読めばいいのです。
もし本当にナチスの悪夢が今でも続いているのであれば、主人公の彼が精神的な問題を抱えて人生を過ごしていたと言う事は描いて欲しかったですね。奥さんと別れるのも、2度結婚するのもうまくいかなかった理由は、すべてナチスドイツの悪夢が原因だったとか。またノルウェー人は今でも反省しているとか。などなど。
うーん、評価がなかなか難しい映画ですね。
『運だぜ!アート』のluckygenderでした