「隣人の裏切り」ホロコーストの罪人 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
隣人の裏切り
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こんなストレートな表現は、かえって新鮮で怖かった。
連行されたユダヤ人目線で物語が進む。
前半はボクシングを楽しみ、家族を大事にする普通の日々、そして結婚式など、主人公の幸せの描写。
それが後半、突然の暗転。
友や信頼する自国の警官たちに騙され、裏切られる。
何の説明もなく連れていかれて、戸惑っているうちにそのままガス室送り。
命令はナチスだが、連行を主導したノルウェー人の秘密警察の連中……特に副署長は、戦後もそのまま警察の仕事をしていたとのこと。
ノルウェーが国家として責任を認め謝罪したのが2012年とはいえ、この警察副署長が戦後に死刑ならなかったのが、理不尽に感じられてならない。
ナチスへの協力者は数が多すぎたからだろうし、当時のナチスに逆らうのは困難であったという事情は考慮されたのであろうが。
調べてみると、ナチス占領下の国家公権力者は、ほとんどユダヤ人狩に積極的に関与していたらしい。
保身の裏返しとともに、どこか差別的意識があった可能性が高い。
そんな自らの過ちを認め、二度と繰り返さない、裏切らないということの必要性を説いていた。
だからきっと、この映画はノルウェーで作られたことに意味があるのだろう。
だからこそ、エンドロールで語られた内容を踏まえて、ラストに「今どうなっているのか?」「繰り返さない努力をしているのか?」といったことを映像として見せてほしかったとは思いました。
そこが物足りなさにも感じました。
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