恋する遊園地のレビュー・感想・評価
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「燃ゆる女の肖像」主演女優の表現力!「Swallow」との共通点も
リュミエール賞主演女優賞受賞作「燃ゆる女の肖像」の公開で日本での認知度もさらに高まったノエミ・メルラン。前作で女性同士の恋愛に身を焦がす画家マリアンヌを演じた彼女が、今度は遊園地の巨大な遊具に恋する主人公ジャンヌに扮する。マリアンヌが知的で意志の強さを秘めた芸術家だったのと対照的に、ジャンヌはピュアでイノセント、気の弱さや脆さも感じさせる未成熟な女性。かけ離れた両キャラクターをどちらもナチュラルに演じたメルランの表現力に恐れ入る。
人間に対するような愛情や性的欲求を物に抱く指向を「対物性愛」と呼ぶそうだが、昨今の多様性尊重の流れに沿い、変わった性癖の人物としてではなく、困難や障害の多い恋愛を貫こうとする普遍的なラブストーリーとして描いている点も好ましい。特殊な癖を題材にしながら普遍的なテーマに昇華するという意味で、異食症の女性を描いた「Swallow スワロウ」にも共通する。「恋する遊園地」が長編監督デビューとなったゾーイ・ウィットック(兼脚本)、今後の活躍も楽しみだ。
ロマンティックな映像美がとても良い!が…
ミニシアター系のイメージだったので、さほど大きくは期待せずに何となく観始めたが、なんのなんの、映像・音楽ともに期待を大きく上回るほどの仕上がりで、のっけからグイグイ引き込まれる。
なんときれいな色使い。こんなにロマンティックな映像で描かれている作品は、他にそう思い浮かばない。
ただし、ストーリーは実話から着想を得たとのことだが、ハンパないほど奇想天外なぶっ飛び系。それでもこれも強引ながら、まさに現代における多様性の範疇内!?としておこうか。ほんまかいな…(笑)
家族と観るにはちょっと気まずいシーンが多いが、恋愛だけではなく家族愛もしっかり描かれているところなんかも、本作の奥深さを大いに感じるところだ。
ところで、本作は男性向け?女性向け?どのあたりの層に刺さる?
あまり胸を張っては言えないが、個人的にはとても好きな作品ではある。
感想
官能的で幻想的なシーンが多くて、ファンタジーぽかった。
機械を好きになると言う話がそもそも非現実かもしれないけど、この話の発想の元は、エッフェル塔と結婚した人の話らしいからほんとにある話。
人に例えると簡単にわかる、人の恋愛に他人が口出すなってことを忘れて、機械を好きになるのはおかしいとつい言ってしまう。
機械を好きになると言うのは共感できないけど、私の共感はいらない。
人が人を好きになると言う時、他人の共感がいらないのと同じように。
この映画の場合は、共感だけじゃなく理解も難しい。
ジャンボと意思疎通できるので見やすい。
真面目に恋愛としてみた時、もし両思いじゃなかったら…。振られることもあるかもで、他にもジャンボを好きなライバルとか出たり。
エッフェル塔なんてライバル多そうとか考えた。
途中機械を怖く感じた。
最後、明るい感じで終わってよかった。
エンディングの歌がこの映画の雰囲気を変えていい感じに終わった。
ノエミ・メルランさんは燃ゆる女の肖像で知って、その映画では体が見えないように配慮されてたけど、この映画ではやたら脱いでた。
この映画の雰囲気を哲学的にしすぎないように、恋愛と意識させるために、露出や官能的なシーンが多かったのか。なんなのか。
マイノリティーは生きづらいだけ 覚悟さえあれば自由です
息を吹きかけて物をふくくらいは許せるけど、唾つけて物ふくのはやめて欲しいな
きったねぇ
あんな事する人、久しぶりに見た
冒頭から気分悪う
監督のゾーイ・ウィットックは、エッフェル塔と恋に落ち、実際に結婚したアメリカ人女性の新聞記事を読み、そこから本作の着想を得たという
スターウォーズのランド・カルリジアンは女性アンドロイドを愛していたし
探偵ナイトスクープではマネキンを愛する女性が話題になった事がありました
このあたりは思考が人間だったり、造形が男性だったりするので理解できる
しかしエッフェル塔や遊具となると、さすがに理解の範疇を超えてしまいます
最近のナイトスクープでは信号機に恋する女性もいましたねえ
対物性愛(オブジェクト・セクシャリティ)といって建物などの“物”に心や温かみを感じて愛情を抱き、性的に惹きつけられるとか
監督は理解してこの作品を作ったとは思えない
性的に惹きつけられるというセンセーショナルな部分で観客を引きつけようとしている
遊具の潤滑オイルを使ったエロいシーンの妄想って世俗的ですよね
エッフェル塔と結婚した女性と実際に会って真剣に語り合ったとは思えない
意味無く裸のシーンも多かった
自分の価値観で分かったつもりになっただけですよ
いろんな意味で残念な映画です
ナイトスクープでマネキンを愛した女性はその後、結婚してマネキンに見向きもしなくなったそうな
ヒロインにもそのチャンスはありました
言い寄ってくる男性との初体験
この時に男性が愛のあるセックスをしていれば変わったかもしれない
行為そのものより、ちゃんとハグしてあげる方が愛を感じるものです
もちろんシナリオありきで遊具への愛に走るためのシーンですが、あまりに酷いと思いました
一応、ことわっておきますが
彼女が男性と交際する方がよくて、遊具を愛する事が悪いといっているわけではありません
ただ、マイノリティーは生きづらい
男性を愛せれば、その方が楽だろうと思うだけです
左利きを右利きに治すくらいの気持ちです
高橋一生と岸井ゆきのの”恋せぬふたり”というドラマが始まりました
愛に対するマイノリティーのドキュメンタリーで少し紹介されていた、アロマンティック・アセクシャルの話です
ポルノまがいのフェティシズム映画
なんともロマンティックな邦題に騙されてしまった。
冒頭から必然性のないヌードシーン、早くも違和感が漂う・・。内容はポルノまがいのフェティシズム映画。ただ女性監督なので官能的ではあるが卑猥さは希釈されているようです。
アメリカ精神医学会の診断基準では性的精神病理としてのフェティシズムとは
・長期にわたる、生命のない対象物に対する強烈な性衝動、妄想、行動が持続、反復する。
・性衝動、妄想、行動により著しい苦痛、または社会的、職業的な障害を引き起こしている。
・対象物は衣服や性具に限らない。
とされている。
主人公は明らかに病的に思えますがマイノリティ側は病理ではなく多様性の問題と言うのでしょう。劇中でも他人に迷惑はかけていないという擁護論もあり面倒な話です。
映画は状況説明にも力を注ぐ、育った環境は母子家庭、母親は悪い人でもないが酒場勤めと言うこともあるのだろう男を家に連れ込んだり性には奔放、そんなこともあり主人公は人付き合いが苦手、心の癒しは子供のころから通った遊園地の遊具というのも単純明解。
何故というか、あえてこのようなテーマを選んだのだろうか、LGBTはじめマイノリティの性の多様性を叫ぶ声は大きくなっているもののまだまだ世間からは色眼鏡で見られがち、そこで人ではなく遊園地のマシンに暗喩、ファンタジーぽさの力を借りて多様性認知のアピールということでしょうか。
遊園地ものなのでファンタジックかといえば滴り落ちるオイルなどシュールな映像表現が性的なものを匂わせすぎなので気味の悪さの方が先んじています、稀有な作品とは思いますが倒錯ものは苦手です。
他人に迷惑のかかる恋愛は嫌い
もっとファンタジー感があっていけるかなと思ったんですがダメでした。
性欲というリアルは盛り込むのに客を乗せる大型遊具が夜な夜な誤作動しているのに作業員は色ボケでまともに点検していない、という印象が抜けず安全とは…と白けてしまいました。あの描写全てが彼女の妄想という見方が正しいのかもと終わった後に思いましたが、見てる最中はひたすらモヤモヤしたのでこの評価です。
性的指向は自由ですが対象が何であれ真昼間に半裸で縋り付いてたら普通に警察案件だし、動いてる遊具に飛びつくのも非常識です。
作中で「(機械が好きだからと言って)その事で誰かに迷惑をかけたか?」というような台詞があるんですがかかってるように思えましたし「恋愛で追い詰められてたら周りの赤の他人に迷惑かけても責められない」という描写が嫌いなので「恋愛の対象が何であるか」よりもそう言った描写が性に合わなかったです。
不安を機械で埋めることはできるのか
物語の導入の仕方がとても面白かった。
ホラー映画かのような雰囲気で何度も機械との交流を観客に信じさせる演出がされていたように思う。
人生の孤独は、感情を交わす仲間と歩むことで消化するものという価値観から、
もしかしたらモノからのアフォーダンスに救いを求める世の中になるのかもと暗示させる。
救いがない…
脱ぎっぷりの良さ!!
とにかく、いろいろな意味でふり切れた映画でした。
先ずジャンヌ役のノエミ・メルランの脱ぎっぷり!
フランス人はあんまり、ブラジャー着けないんですよね?そう、着けてない!
辺りをうかがって、サッとTシャツを脱ぐと、小ぶりですが形のいいおっぱいがポロンですf(^_^;
ジャンボと愛し合うシーンはエロチック・ファンタジー。画面いっぱいに裸の彼女が黒いオイルにまみれます。真っ白い肌に粘度のある真っ黒なオイルがとろ~りと、不思議なエロチックさです。同じフランス映画『アデル、ブルーは熱い色』を思い出しました。
そして、お母さん役のエマニュエル・ベルコ…見たことある女優さんだなぁ…なんと、『バハールの涙』の独眼の戦場記者役の人なんですね。真逆の役所で、あっちは戦場にいるんだから、女の片鱗も見せない(いつ死んでもいいように、確か、下着はラ・ペルラ=フランスでは最高のブランドを身につけていましたが…)。こっちはセクシー爆弾、エロ炸裂って感じで同じ女優さんとは思えない。おまけにカトリーヌ・ドヌーブの新作『ハッピー・バースデー』では、セリフの多い、少し病んでる長女役も演じてます。
物語はジャンヌが遊園地の新しいアトラクション、ムーブ・イット=ジャンボを人と同じ様に好きになってしまうが、新任のマネージャーがジャンヌにちょっかいをかけてくるのだが、迷惑そう。自分でも人でもない遊具を愛するなんて、異常だと、頭では理解しているけど、行動が…伴なわない。
やがて母に告白するも、理解を得ず、最後は人気の出なかったジャンボは取り壊しになる。
次から次に男を替える母に嫌気がさし、人ではなく物に恋をする…ちょっと大袈裟ですが判らなくもない。
機械なのにどうしてジャンボに意志が有ったのか?
新任マネージャーはどうしてジャンヌを好きになったのか?(単に裸を盗み見しただけで好きになるとは思えない)
色々と細部を気にしなければ、かなり面白いと思います。
ジャンボに萌ゆるジャンヌ😁
「未知との遭遇」的な深光景を放つ遊園地のアトラクションの予告編に興味を持ちの鑑賞…
そのアトラクションに恋をする女性という奇想天外のストーリーに前半はやや居心地の悪さを感じておりましたが
真夜中の遊園地に忍び込んでみたくなる感情が中盤から湧き上がり…段々とその不思議な魅力に引き込まれて行きました
内向的な変わり者、主人公ジャンヌ
その母親との関係が森を抜けたちょいとサビれた立地にある遊園地の雰囲気に妙にマッチしているのが中々面白い
母親の新恋人が人間味豊かな人物であった事が救いだ!
この母娘の関係が今後、上向きに引き上がって行くに違いないと…無邪気な笑顔で悪ガキから逃げる3人を見ながら確信出来たなぁ⭐︎⭐︎
…今だに脳裏にオイルがこびり付いてる様な後味感が消えない…昨夜もジャンボが夢に💦
おい!アンタが萌えてる?な
異種独特な体感観を試しに行ってみませんか?
そして「燃ゆる女の肖像」でも独特な雰囲気を表現したノエミ・メルラン
今回もオイルまみれのアートフルな斬新なシーンで見せて!魅せても!くれました
今後フランスを代表する個性派女優に進化してくれる事でしょう!
個人的には、「アメリ」みたいなコメディ作品の彼女を観てみたいなぁ😊
黒いオイル
遊園地で働く自閉症気味の女性がムーブイットと呼ばれる絶叫マシンに一方的に恋してしまい、上司、母親、母親の彼氏らを巻き込んで荒唐無稽な騒動を起こしていくファンタジー作品。人間が嫌いというわけではなく(上司とは肉体関係があった)変わり者レベルだったヒロインが、ジャンボと名付けたアトラクションに恋したきっかけは、アトラクションの上で足を滑らせ宙づりになった時にジャンボが助けてくれたから。これがファーストコンタクトだがジャンボになぜ感情(のようなもの)があるのか、この点に一切触れてないので、そのあたりが最後まで理解に苦しむ作品であった。まぁ、フランス映画らしいと言えばそれまでですが・・・
人間の愛に共鳴する機械のオーガズムを表現する映像は・・・・
昔、「母原病」という本が売れました。
母親の過干渉による子供の神経症だったような気がしますが、ジャンヌの場合は性的に奔放な母親に対する反動が原因なのかなと思いました。価値観が違い、なにかと気が合わない母娘。ただ、血は争えないなと思ったのは、感情の起伏が激しいところ。母親役のエマニュエル・ベルコは何度か見た気がしましたが、「バハールの涙」ぐらいしか共通する映画はありませんでした。もしかしたら、小学校の同級生の萩原くん(かっちん)の色っぽいお母さん(スナックのママ)が似ていたので、アタシの潜在意識を呼び覚ましたのかもしれません。
ノエミ・メルラン出演映画は4作品目でした。
遊園地の遊具に恋する描写はいったいどんなものなのか?予告編ではなんだか手術室のライトのような感じでした。電動遊具の光に照らされて、一人で裸になって「にょもにょも」するのかなぁぐらいは想像できましたが・・・JUMBOの流す黒い液体にまみれる妖艶な美しい姿態に酔いしれました。ノエミ・メルランの脇毛やうぶ毛まではっきり見えました。感謝感謝。燃える女の肖像も良かったですが、こんなにも倒錯した愛情を表現するノエミ・メルランにヤラれてしまいました。
最後はトントン拍子にエンディングに向かってしまい、ちょっと拍子抜けでした。JUMBOが超重綱ロボットに変身して, 地元の不良どもにお仕置きするのかなと思ったんですけどねぇ。
ともかく、この映画に恋したのは一観客であるアタシであることは間違いないのでありました。
理解はできない。でもとやかく言う権利もない。
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遊園地で働き始めたジャンヌは、遊具のミニチュアを作るのが大好きで、ついには新しいアトラクション「ムーブイット」に恋してしまう話。
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この話、実際にエッフェル塔と結婚した人を元に作ったそうで、代物性愛者って言って世界に数十人はいるらしい。
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正直この映画を見ても私はものに恋する気持ちは理解できない。でもこのアトラクションに恋することが他の人と違うジャンヌの個性で当人からしたら当然のことだと考えれば、ジャンヌの気持ちは理解できるし誰にだってそういう個所って1つはあると思う。
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例えば私だったら、「年間300本近く映画を見てること」。私にとっては1日1本映画を見ることは普通のことだけど、大多数の人からしたら異常なことなんだろうと思う。
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でも逆に言えば、インスタとかSNSを何時間も見てることは私にとっては異常。だからってその人達を責めようとか気持ち悪いとは思わないし、逆にそこまで人の事に興味があることはすごいことだと思う。
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ジャンヌだって、アトラクションが好きだからこそ掃除を丁寧にするし、皆が知らないアトラクションの魅力をわかっててすごいことだと思う。
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マイノリティの理解はできなくたって、ちょっとは自分に置き換えれば少しはその人に寄り添える。ちょっと個性的な自分の習慣は?趣味は?言動は?絶対誰にだってある事だし、それがない人って全く魅力がない人だと思う。
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マイノリティの人はいつだって多数派の人に責められるけど、マイノリティの人が多数派を責めたことはあるんだろうか。
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ジャンヌのお母さんはジャンヌのことを責めたけど、実はジャンヌのことを1番理解してたのがお母さんの新しい彼氏だったことが、結構よかった。
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人間の持つ「愛」に対しての概念を越えてくる新感覚恋愛映画!!
恋愛に対して多様性が求められる現代ではあるが、なかなかぶっ飛んだ作品が誕生したものだ。
実話ベースとはいうが、どこまでの表現がモデルの話に近いかは不明である。
フランス映画によくあるファンタジー・ラブ・ストーリーのような、浮遊感、ファンタジーテイストではなく、リアルに人間の相手は人間じゃないといけないのかということを追求した作品でもあるのだ。
今までも人間が機械に恋をするという設定の作品は多く製作されてきてはいたが、人型だったり、人工知能のような、あくまで人間的なプログラムがされてきたものがほとんどだった。
コンピューターが恋をする『エレクトリック・ドリーム』やスマホが恋をする『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』、ホアキン・フェニックス主演の『her 世界でひとつの彼女』なんて作品もあったりするが、基本として人間的感覚をもっているし、ある程度の意思疎通を図れたわけだ。
形が何であっても、その中にある人間性というものを知らず知らずのうちに、求めているのわけで、意思疎通ができても動物と人間との恋愛映画がほとんどなく、あってもあくまで人間と動物という地位の中の格差が発生していたりする。
今作は機械の中の人間性ではなく、機械そのものに恋をしているという状態が画期的なところではあるし、あえてゴリゴリの機械であることが、人間のもつ「愛」に関しての概念を覆されている。
そもそも、それが「愛」なのか、新しい恋人が常にいるような母親と一緒に生活していることで、人間のもつ「愛」が何なのかわからなくなっている主人公が、あえて人間的感覚の全くない機械に救いを求めた結果なのではないだろうか。
となると、今作の一番の解決方法としては、周りの人たちの「人間らしさ」に触れることではないかとも思うのだが、そう思うことこそが、人間としての目線からの概念というものに縛られていることでもあるような気もする。
『燃ゆる女の肖像』の中でも、社会的概念に反した愛を体現していたノエミ・メルランが今作にも出演していることで、これを LGBTQの恋愛映画と比べがちな風潮ではあるが、これを多様性恋愛映画と捉えてしまったら、秩序が崩壊してしまう。
社会的概念を覆すことは、時に大切なことではあるが、社会的概念の中で守られていることがあるのも、また事実であり、それは踏み越えてはいけない秩序であったりもするのだ。
性別や年齢、格差、国籍なども越えた「愛」はあっても、常に人と人という概念によって、自由とは言ったところで規制されている。この秩序を踏み越えることは、あらゆる基礎を分解してしまうような危険な領域である。
それを思いついたとしても、ひとつの作品として仕上げたことには、表現者としては評価できる点ではある。
私たちの秩序の中にある概念では、「物」を本来の意味で愛するということを理解しようとするのは難しいだろうが、制作サイドも、それを理解していないで、あくまで設定的なおもしろさから制作したものだとしたら、これは秩序の中の概念の覆しであり、それは人間目線であり、主人公の抱えているものをメタファーとしてみせた作品ということだろう。
私たちのもつ「愛」の意味がどこまで通用するかを試されているようでもある。
美しい映像と音楽が良かった!
エッフェル塔と結婚した実話ベースのストーリー。
本作は遊園地のアトラクションに恋をしたジャンヌの物語。
映像がなかなかエモい。
アトラクションの照明が美しく、ジャンヌと会話するシーンがファンタジー過ぎる(笑)
ホラー映画の雰囲気もあって作品に引き込まれてしまった感じ。
主役のノエミ・メルランさんが美しい。
彼女が作ったアトラクションのミニチュアも素敵。
機械オイルと愛し合うシーンも美しい。
白と黒のコントラストが印象的。
全体的にこじんまりした作品だったけど自分好みで良かったです( ´∀`)
#05 変わった物語
どんな客層をターゲットに作ったのか?
フランスならこういう恋愛もありなのか?
それとも単純に親子愛のあり方を描いたのか?
マネージャー役の男性がかわいそうだった。
お母さんの恋人みたいな心の広い人間になろう!って言うのが主旨のような気も。
妄想クイーン
小さい頃から通っていた遊園地で働き始めた女の子が、新設されたアトラクションに恋愛感情を抱き巻き起こる話。
夜の遊園地で1人、清掃作業をする中で、そのアトラクションに見入り、触れ、話し掛け、名前をつけて妄想し、思いが溢れて行くというストーリー。
ポップな恋愛ファンタジーなのかなと思っていたら、結構ディープに病んでる感じになって行く。
そののめり込み様といったら、もし相手が人間だったらサイコキャラになりそうな程。
モノに対する愛着と人に対する愛情はやっぱり違うとしか思えない自分の理解を超えちゃっている、というより理解不能。
ユベール尊敬するわw
その理解出来ないところは別としても、ドロドロならドロドロで、ポップならポップだみせてくれたら良かったのにと感じてしまった。
規則的に回るアトラクションと不規則な感情がシンクロしたとき
もう設定が魅力的じゃないですか。それが実話に基づいた話だと知ってより深みが増し、何から何までが初めて経験する映画体験ばかりで、非常に面白かったです。
遊園地のアトラクションに本気で恋をするというお話。もともと遊園地が大好きで、ミニチュアでアトラクションを作ることが大好きだった主人公のジャンヌは、実際に遊園地の夜間スタッフになる。新たにその遊園地に導入された「ムーブイット」という新アトラクションのライト、ボディ、オイルに惹かれたジャンヌは、そのアトラクションを「ジャンボ」と名付け、語り掛けると、アトラクションも光を放って反応しだすというファンタジーのような恋の話。
そのアトラクションは前後にも揺れながら回転するというようなアトラクションなんですけども。とはいえ機械ですから、ある種規則的に回り続けるんですけど、ジャンヌの気持ちも取り巻く登場人物の気持ちはその時々の感情に合わせて不規則で、対比になっているような気もしました。恋するアトラクションがジェットコースターや自ら回転数を変えられるコーヒーカップでは感じられない意図的に選ばれたアトラクションだと思います。
アトラクションとの官能的なシーンがR-15指定になる理由なんですけども、これが見たことのない映像で。恋する感情が高ぶっている様子を、オイルが染みていく様子で表しているのが自分にとっては新しかったです。
フランスでは少しずつ流行り出しているんですけども、主人公は基本的にノーブラなんですよ。これも母親の「恋人を作りなさい」「結婚しなさい」「私みたいになってはいけない」という強迫観念にも似たような感情から解き放たれたいというのを表しているのかなと思いました。実はこの作品は、母親の子離れの話でもあって。それを誘うキャラクターも魅力的でした。
「燃ゆる女の肖像」でも好演していたノエミ・メルラン。今後も覚えておきたい女優の一人です。
正直、夜間にアトラクションが動き出したとき他の従業員は気づかないのかとか、遊園地の経営状況とか、フィクションラインぎりぎりのところを言っているので、そこが気に障るとのれないかもしれません。あと、幸せ貯金の伏線が回収されなかったように思えるのも・・・。買い取るかと思いました。
オープニングとエンディングがジャンヌと母親のドライブシーンで対になってるんですが、オープニングの方が二人ともハイテンションなのにエンディングの方が心が通い合っているように見える、そんなところまで行き届いている素敵な作品でした。
全21件中、1~20件目を表示