劇場公開日 2021年1月15日

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「「燃ゆる女の肖像」主演女優の表現力!「Swallow」との共通点も」恋する遊園地 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「燃ゆる女の肖像」主演女優の表現力!「Swallow」との共通点も

2021年1月15日
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リュミエール賞主演女優賞受賞作「燃ゆる女の肖像」の公開で日本での認知度もさらに高まったノエミ・メルラン。前作で女性同士の恋愛に身を焦がす画家マリアンヌを演じた彼女が、今度は遊園地の巨大な遊具に恋する主人公ジャンヌに扮する。マリアンヌが知的で意志の強さを秘めた芸術家だったのと対照的に、ジャンヌはピュアでイノセント、気の弱さや脆さも感じさせる未成熟な女性。かけ離れた両キャラクターをどちらもナチュラルに演じたメルランの表現力に恐れ入る。

人間に対するような愛情や性的欲求を物に抱く指向を「対物性愛」と呼ぶそうだが、昨今の多様性尊重の流れに沿い、変わった性癖の人物としてではなく、困難や障害の多い恋愛を貫こうとする普遍的なラブストーリーとして描いている点も好ましい。特殊な癖を題材にしながら普遍的なテーマに昇華するという意味で、異食症の女性を描いた「Swallow スワロウ」にも共通する。「恋する遊園地」が長編監督デビューとなったゾーイ・ウィットック(兼脚本)、今後の活躍も楽しみだ。

高森 郁哉