竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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「表現の力はすばらしい!」と感動し、泣きました。
始まってすぐ、Uの世界の発想力、美しさ、面白さ、そこに、
なんて美しいクジラ!とベルが登場して…。
あまりの表現のすごさに…、美しい映像に…、感動して泣いてしまいました。
私も、仕事として絵を描き、物語を考えていますが
この冒頭の映像だけで、表現のすばらしさに、
「生きてて良かった、人間の想像力、そして表現力って、なんてすごいんだ!」なんて
大きい感動にひたっていました。
この映画の大事な流れは、しっかり伝わりました。
・鈴が亡くなった母を否定したまま過ごしていた。
けれど、自分も母のように見知らぬ子供を救いたいと、
しかも自分にリスクがあっても、救わずにいられないんだという気持ち。
救えたことで、母をやっと肯定し、そして自分の存在も肯定できるようになった。
自己犠牲でも救うことが素晴らしい!ということではなく、
一刻を争う事態に、正確な判断をするのは難しく、
救助行為事態は褒められたものではなくても、
「子供を助けたい」という、母の強く優しい気持ちまで否定するのは、違うのではないか。
その母の思いを鈴は、やっと肯定できた。
・50億人の仮想世界のスケールの大きな世界と、
現実世界の各々がかかえる、一見、小さくみえる問題。
ネットを利用する人々は、現実世界で、やっぱり大なり小なり問題を抱えていて
ネットの世界を逃げ道にしたり、はけ口にしたり、または救いにしていたり…。
けれど、やっぱりその問題を解決するためには、
現実社会で、勇気を出して行動しないといけないんだというのが伝わった。
でも、ネットを否定しているわけではなくて、細田監督がずっと言っているように
ネットを肯定しているのが、Uの世界の表現で伝わってくる。
ネットはなんて可能性が広がる面白い世界なんだろうと、伝わってくる。
現実社会で勇気を出すためにも、まずは主人公の鈴のように、
ネット世界で行動を起こすのもいいんじゃないかと。
・50億人の前で、鈴が正体をさらす、映像のすごさ。
たくさんの光の前に、宙にうかんでいる鈴。表現がすごい…。
・歌がすばらしい!歌っているベルの映像をずっと観ていたい!!
現実世界の背景の絵がすばらしい!
それと対比になるUの世界の表現がすごい!(何度も言い過ぎかな><)
・カミシンとルカちゃんの駅のシーン。
他の場面が重めだったので、癒されて良かった。
劇場でも、笑っている人が多く、劇場が和んだ。
・なぜ鈴は、父と関係が悪くなっていたのか…。
なぜ鈴は、竜にすぐ惹かれたのか…。など、細かく描かれず
「ん?なんでだ?」と展開が進んでしまう部分もありましたが、
逆に、その部分は、みている人が「想像するのを楽しむ」という部分。
「鈴と父は、こういった理由で喧嘩して仲が悪いんですよ」と情報をあたえてしまうと
観ている人は、考えることをしない。
「母が亡くなって、父と子の関係が悪い」だけだと、なんでろう?
鈴の気持ちは?父の気持ちは?と観ている人は考えることができる。
これは、現在のネットでの誹謗中傷問題にも関係してくるのではないだろうか。
人は与えられた情報のみで判断し、悪者と決めつけたたいたり…。
またそれが、ジャスティスのように正義だと思い込んでしまう怖さ。
人が、自分で考えられなくなった怖さ。
情報を手に入れただけで、最強の武器を手にしたかのように攻撃する怖さ…。
映画を観終わって、口コミはどうなんだろうと検索すると、
びっくりするような酷評が目立ち、本当に驚きました。
こんなにすばらしい表現をしている映画なのに、酷評が目立つなんて…。
ネット世界の…、いや、人の「思いやりのある想像力」の欠如を、
本当に怖く感じます。
大きい声で言いたい!
「すごく良かった!表現の力はすばらしい!」
ただ、ただ一つ。
やっぱり皆さんが言うのように、最後の展開には「?」と思いました。
きっと鈴に、鈴の母のように現実社会で「自分にリスクがあっても、たった一人で子供を救う。」という行動をさせたかったんだろうけど、鈴が一人で、虐待父のいる東京に行くのも違和感があるし、家を探し当てるのも無理があるし、虐待父がああやって引き下がるのも、現実とはかけ離れているように感じるし、虐待の解決が「ぼくも闘う」と子供が気持ちを強く持つということにしてしまうのも違うと思う。
ただ、「鈴が母と同じ行動を取ったことで、母を肯定し、成長することができた!」という流れのみを重要とするなら、このシーンは成功だと思うけど、「虐待の解決」という部分を重要とみるなら、このシーンには違和感が残るなー。
こんなもんかぁ…
□冒頭の大迫力のBelleのライブシーンは、バーチャル世界のトンマナを全て塗り替えられる名作かもしれないと思った。
Belleのキャラデザはとてもよかったと思うし、あのレベルの歌唱シーンを連発されたら完敗だった。
最先端のグローバルトレンドを意識した楽曲に、しっかりと"聞いたことがない"要素を加えて、未来のヒット曲というイメージを形成していたと思う。
□近未来SF的なディティールの詰めに関してはかなり消化不良である
→現在のSNSやVRプラットフォームにおいてまだ環境が整っていないバーチャルライブ体験が、どう描かれるのかについても期待が高かったし、バーチャルライフとリアルライフがどのようにバランスし、人間にどのような変化をもたらすか、とか結論としてバーチャルライフって良いものなの?とかどう描かれるのかとか気になっていた。
これについては、かなり甘かったかなと。
生体情報によって、1人の人間が複数のアバターを持つことはできない。アバターはAIが画像を読み込んで自動生成されていたが、どんなUIになっているのかとかもっと描いてほしかった。
あの耳につけるガジェットは簡単に手に入るものなの?「U」がどういう時間軸で世の中に浸透したのか、かなり謎だった。テレビのニュースになったり、おばちゃんたちが知ってるレベルなの?プラットフォームがどういう運営になってるのかとかもチョロっとでいいから情報として欲しかった。
□主人公の変化が描かれてなさすぎる
幼い頃に母を亡くしたことを引きずっている=かけたコップや、曲作りは母からの影響
だが、人前で歌えないほどシャイだし、曲を作ってることとかは「U」を始めるまで誰も知らなかった?
バーチャルライフに居場所を求めた理由として、ある程度うまくいかないと日常は描かれてたけど、そこまで絶望的な状況ではなさそうだし、心に闇を抱えてそうなかんじでもなさそうで、Belleというアーティストが何を歌ってるのかとか、なんでバズったのかとかが薄くて疑問が残る。
アバターが可愛くて歌上手いってだけ??詞曲が本人ならもうちょいなんかあってもよさそうだったのに。ラブソングなんて書いたことないやとか言ってたし。
バーチャルライフにおいてスターになったことで、スズは自信を持つことができたなら、リアルライフのほうでもその変化を描いて欲しかった。周りのみんなが気づいていたということは、Belleとしての活動をしていて、スズという女の子は良い意味で変わった部分があったのだろうか。
□結局のところメインテーマなんなん?てなる
→要素が散漫的で、恋愛なのか、成長なのか、インターネットがもたらす光と闇なのか、伝えたいメッセージがなんなのか
よくわからなかった。
□一番首を傾げちゃったシーン
→物語のクライマックスといえる、スズが自分の素顔を晒して歌う場面とそれによる展開はさすがに理解不能でしたね。
なんで小学校にみんな集合?
スズは身の回りの人にBelleであることがバレたのにノーリアクション?
なんでBelleと竜の関係をみんな知ってるの?竜は世の中的には悪と考えている層も多いはずなのに?
歌い終わって、ビデオチャットが繋がって「やったぁ」ってなるの本気で意味わかんなかった。なんも解決してなくないから東京行くんだよね?このまま東京まで車で行く?ってなってるのに夜行バスに未成年を1人で乗せたの?
東京着いてからは場所の特定とかサポート体制なくなるのなんで?Mapとかあるっしょ。家に子供2人は軟禁されている可能性はなかったのか?部屋番号とかわかんなかったよね?で、結局児童虐待の何を解決したの?竜は結局世の中的に善なの?悪なの?どうなったの???
モヤモヤが残りました。
??「ハハッ!! ボク達の真似をするのは100年早いよ!!」
良い点
・歌が良い
歌いだすタイミングはともかく、歌は良いです。
・相棒のヒロちゃん
かなり良いキャラしてます。
今作で唯一。
・竜当てゲーム
竜が誰なのか探る分析や痕跡探しは面白かった。
これ竜とのアレコレをメインテーマにするなら、ここもっと掘り下げてほしかった。
悪い点
・テーマがバラバラ
今作では「U」、「すずの成長」、「竜」、「恋愛」、「社会問題」というざっくり5つのテーマが存在してます。
上手くすべて纏められるならいいんですが、あっちへフラフラこっちへフラフラとテーマがとっ散らかってて物語としてかなり薄味になってしまってます。
どれが主題になってるのかわからないので、登場人物の行動に説得力がありません。
「U」内でのサクセスストーリーか、すずの成長物語か、「U」を通しての恋愛モノか、竜を巡るストーリーか、どれか一本に絞るべきでした。
取り敢えずしのぶくん等学校の友人たちは、ヒロちゃん以外オミットしよう。
あとおばちゃんズも要らない。
・キャラに魅力が無い
先述したようにテーマがバラバラなためすずの行動に説得力が無く、他キャラの掘り下げもしないためキャラに魅力を感じない。
テーマを盛りすぎてその分キャラを増やしたからだろう。
しのぶくんとかその友人たちいる?
竜かしのぶくんかどっちかでいいよね?
・「U」がメインの舞台なのに掘り下げない
この映画の肝って「U」っていう仮想空間のハズなんだけど、まったく掘り下げられない。
そのため「U」に魅力を感じず、映画そのものの魅力低下にもつながってる。
世界50億人?やってるはずなのに全く掘り下げられないから、この世界で発生するサクセスストーリーもトラブルもまったく説得力無いんだよね。
・○ィズニーの猿真似
キャラデザが○ィズニーの人ということからもわかるけど、序盤と中盤あからさまに○ィズニーを真似した展開するんだよね。
急に歌いだすとか。
そこは丁寧に描写すべきだろ。
すずが「U」の中でのみトラウマに関係なく歌えるんだぞ。
何故歌おうと思ったのか、歌うまでの過程とかかなり大事だと思うんだが。
○ィズニーらしくミュージカルしたいだけちゃうんかと。
あと○女と野獣ね。
すずが竜に惹かれる過程や理由が言葉なり映像なりで描写されてないから、すずがあそこまで竜に構い、そして○女と野獣するのか意味不明。
マジで○ィズニーっぽいことがしたいだけってのが透けて見えるわ。
・キャラの行動に説得力が無い
上でも何度か説明してるけど、なんでそんな行動をとるか意味不明なんよね。
なんの脈絡もなく急に歌いだす。
特に惹かれた描写もないのにやたらと竜を構うすず。(竜はただの破壊者で反抗する正当性は一切無い)
世界50億人に素顔を晒すという危険な行為をヒロちゃん以外止めない。(そしてそれを勧める鬼畜幼馴染)
おばさんズが頼もしくすずを助けに行くと言った割に全く役に立たない。
素顔を晒したあとの謎の感動の大合唱。
竜にラブソング送ったのに竜とは恋愛関係にならずリアル世界のイケメンしのぶくんと良い感じに。
虐待家庭に高校生の小娘一人だけ送り出す大人と友人たち。
……は?
本当に不思議なんだけど、この映画の関係者ってこんな脚本が出来た時に、誰も止めなかったのか?
これがおもしろいと思ったの?
マジで?
良かったのは歌ぐらいで、今回星2つけてるのも歌だけの点みたいなもの。
未来のミライやバケモノの子でも思ったけど、細田監督って魅力的な、或いは人間味のあるキャラ作るの下手よね。
映画の中のキャラたちは、映画を成立させるためのただの記号としての存在でしかない。
脚本は別の人に頼んだ方が良いよ。マジで。
途中から分析しながら
映画館で流れる程度の予告だけ確認し、まともにストーリーも確認せずに視聴。アニメ好きだし細田作品はまあまあ好きなので、期待はあった。
観ながら、私が成長しただけか?と思いはじめた。細田作品てこんなつまんなかったっけ?数年前のバケモノの子を映画館で見たっきりの細田作品。あの時はとても感動した。(現在高3)
今回。まず、声優がひどい。主人公、歌は惹かれるものがあるが、普通の演技がひどい。え?とかうわぁ!とか、感動詞が多い役だったのが災いして、実力と技術がないと難しい役だったのだと思う。演技がワンパターンすぎ。すぐに主人公に飽きてしまった。感情移入もできるはずなく、言動もイマイチ不愉快で、最後まで主人公を好きになれなかった。
本業の声優以外がアニメでキャストを務めることには私は否定的ではない。最近見た中では、ジョゼも主役二人は俳優だったが、本当に上手ですんなり作品に入り込めた。
ほかのキャストも、本業声優と俳優の差が歴然すぎて違和感がすごかった。名前は忘れたが正義の味方気取りのヒーローマンは、感情が豊かで、あぁ絶対本業だろうなと思っていたらやっぱり森川さんだった。さすがです。ツダケンさんも。宮w野w真w守も。
実力派声優揃いのアニメで耳が肥えたのか、俳優がやっていた役は総じて棒読みで、それも作品に入り込めない要因だった。ざんねん。せめて主人公は声優さんにしよ。
唯一俳優で良かったのは染谷将太。ずっと本業さんかと思ってた。素晴らしい。バケモノの子も彼の演技が良かったから面白かったのかも。りらちゃんも可愛かったです。
次にストーリー。半分過ぎたあたりから、こりゃダメだと思って自分の好みにリメイクしていました。暇人!
他の方も仰っている通り、ツッコミ所が多い。
Uの設定がすごくいいだけに、全然生かされてない気がした。Uの非現実感と田舎の夏を、CG作画とアナログ?作画で対比しているのはよかったけど、行き来が激しすぎてストーリーが中途半端になった感。
キャラも要素も多すぎて、回収しきれてない。母が自分を取り残して死んだ葛藤、離れた父との距離(なんであんな優しい父ちゃん拒むんかわからんかったが)、ベルと現実の自分との乖離、幼馴染への恋心(これ要ったか?)、竜の存在。
竜が出てきた時点でなんか、お腹いっぱいでした。竜出てきて、あぁ、そういやタイトルにおったわ……って疲れた。
ここからあくまで私の好みの話なので、ふーんって読み流してほしい。
まず、要素を極限まで削る。あんなにキャラいらない。魅力的なキャラたちでストーリーが生きる手法はサマーウォーズで十分。
タイトルに沿うなら、竜との特殊な絆の紡がれ方を繊細に描いて欲しい。本編では竜との距離の近づけ方が急すぎて、「あなたを助けたいの!」とか急に言い出す主人公がウザくてたまらんかったし、ディズニー臭がすごかった。それにすぐ絆される竜もワケワカメ。
せっかく映像も音楽も美しいのに、紆余曲折が雑すぎるから全然感情移入できなかった。
歌も多すぎ。歌に比重寄せすぎたのか?歌がテーマなのはわかるけど、あんなに頻繁に歌ってたらレア感がないし、ここぞ!というときだけ歌って欲しかった。おかげでラストのアンベールされて歌うシーンは頬杖ついて見てたわ。
竜の正体も序盤でわかったし、種明かしされていきなり虐待。!?あ、そうですか……みたいな。ここだけ子供向けではないのね。
そこから場所特定するのがご都合すぎるし、主人公が一人だけ高知からはるばる東京まで出向いて?女子高生ひとりが生身で何ができるんですか……現実じゃできないことを可能にする仮想世界、がテーマなんでしょ?そのテーマ自体も不完全燃焼な感じがしたし。
結局、竜の少年を抱きしめて終わり。良かったねと言えばいいのか。
とにかく、私好みではありませんでした!もちろんこれを絶賛する方も多いと思います。
ただ偏屈な私には退屈でした。一個前に見た映画がシンエヴァだったので余計、比べて見てしまいましたね。あれは一番基準にしちゃいけない映画なのに、、
まぁ、受験勉強の息抜きとしては悪くないかなという感じです。映画代も溜まりまくったdポイントを当てたので損した感じもないし。
後半に感動した矢先に・・・
母を理解するプロセスはすっごくいいと思ったんです
始まってから水がテーマなのかなと思ってたので深層心理とトラウマの向き合い方が素敵だなぁと思ったんです
その後、一人で走り出す主人公
「一人で大丈夫かなぁ?」
はぁ?????????
えっ、後ろの皆さん今までの流れ見てましたよね
子供に暴力を振るう男の元へ子供一人行かせて大丈夫じゃないでしょ
おとんも何誇りに思ってんねんそんな場合じゃないだろ
やっと付き合えるじゃないでしょ君も
見守ってる立場なら一人で行かせんじゃないよ
暴力振るわれたんだぞお前の好きな子
そんで最後はそこだけ無駄にリアルというか
なんにも解決してないのによくみんなで歌って終わり!にできましたね
お母さんのエピソードはすっごく好きなんです
あとカミシンは自分もかっこいいと思うよルカちゃん
親御さんもカミシンが来たら喜ぶと思うよ
長いPVを観た気分
始めに、私にはハマりませんでした。
映像は、最近のアニメの一定レベル。歌は、上手いがそれ止まり。音楽は、特に印象的な使い方では無い。ストーリーは最初30分の不安が的中して最後まで面白くない。込めたい多数のテーマとかは分かるし、VRMMOの世界観を使いたいのは分かるが世界観や規模、現実世界との関係性などが大事だと思うが特に説明もなく最後までぼやけた感じで設定に入り込めない。顔を出しちゃうのはネットリテラシー的にはかなりアウトで危機管理が足りない。ラストのあの場面で、女の子ひとりで東京に行かせる大人や周りの無責任さ。あとは、ディズニーの『美女と野獣』のオマージュかなと思ったくらいでした。主人公の声優さんも大体は良かったが、要所で感情がどこに向いたセリフなのか理解できなかった。1900円で観ましたが500円くらいの価値でした。サマーウォーズとかは、良かったので期待してただけに残念でした。
タイトルなし(ネタバレ)
(あらかじめ申しますと責任は取れません。あくまで個人的な感想です)
自分は二回観て二回とも面白く感じました。序盤の展開は主人公の歌とともに「U」の世界の説明がはいると展開としては唐突ではありましたが一気に「U」の世界に引き込まれるような印象を受けました。また主人公の歌に合わせて「U」のロゴが映るなど演出もあっていて観ていて心地よかったです。劇場で主人公の歌を聴くと映画館の臨場感もありますがストーリーによるキャラクターの心情の経緯から歌への印象がかなり良い意味で変わりますしとても感情移入しやすかったです。主人公の言動に関してはこういうことかな?と主人公の心情に関する推察をリアルタイムですると自分はそこに違和感を感じませんでした。むしろ共感できました。また、個人的に竜と主人公の関係性は恋愛感情と切り離して観ると、全体的に違和感なくむしろ気持ちよく観ることができました。ただ終わり方に関してはそういう風に終わるのかと少しモヤッとは感じました。
難しく考えすぎなんじゃない?
映画を観た余韻に浸りつつ、その余韻を共有したくレビューサイトを見てみると批評が多い?何で?思わず登録をしてレビューをば。
これは作品の品評ではなく、観た後にコーヒーでも飲みながら、こんな所が良かったよねと吐き出すような感想です。ネタバレを過分に含みます。
映画を見る前に主題歌のPVを観て、テンション上がる。
歌単独だと響いてこなくても映像と一緒だと印象も評価も上がる。
アニメや映画の歌は映像ありきで良くも悪くもなるし、逆に良い作品には良い歌や音楽は必須。
そういう意味でも映画館に足を運ぶ前から期待は高かった。
ストーリーは非常にシンプル。
幼少の頃にお母さんを亡くした鈴。お母さんは、増水で中洲に取り残された子供を助けようと川へと飛び込み、子供は助かるけど、結局自分は亡くなってしまう。
鈴は音楽が好きだけど、そのショックで歌う事ができなくなってしまう。
思いを吐き出そうと書き殴っても、それは形に、歌にならず。
でもUと出会って、もう一人の自分を手に入れることで、歌うことが出来るようになる。
その世界で、同じように傷ついたAsの竜と出会い、ひかれる。
あなたは誰?
これはこの映画の予告からも再三鈴が呟くメッセージ。
黎明期のMMO経験があるから共感する部分もあるのだろうか。匿名性の高いもう一つの世界で、気になる存在。ひかれるプレイヤーに、あなたは誰?と問いかけるのはそれほどおかしな事ではないように思える。
そして、ついには竜の存在突き止める。彼を救うために自らアンベイルを受け入れる事。それはありし日の川に飛び込んだ母の姿と重なって。ずっと、何故自分を残して見も知らぬ子供を救おうと思ったのかが理解できなくて、でも、その瞬間に、きっとそれは理屈ではないのだと理解する。
そしてそれは歌に乗って、多くの人々が共感をする。涙する。
あなたは誰?これはベル自身にも再三向けられた言葉でもある。彗星の如く現れた新進の歌姫。その正体は?
Uでは、誰もがあたらしい世界で新しい自分を手に入れる事が出来る。
アンベイル、強制的にアバターではなくその人の本来の姿、オリジンを暴くその光は、Uの世界でのもう一人の自分を殺す事でもあり、裁きでもある。
にも関わらず、その光を自ら受け入れた鈴の姿は、自らをかえりみず川に飛び込んだ母と重なる姿でもある。
そしてUの世界のベルは死すかと思われたが、結果として人々に受け入れられ、Uの世界にも受け入れられる事になる。
鯨は、Uの世界を管理するAIのもたらした演出だし、ベルの自己表現の一環でもあり能力でもある。
まぁその辺りの解釈は人それぞれだろうから置いとくとして、鈴が竜にひかれ、自分を顧みず救いたいと思い、自らアンベイルを受け入れる一連の流れはシンプルだし分かり易い。
そして、歌う事が鈴にとってかけがえのない自己表現であり、自分を曝け出して、それでも歌うその姿に共感し思わず涙が溢れる。
諸々の世界観の整合性や、竜をリアルで助けに行く所の妥当性の考察や、そうした一切合切が蛇足。脚本の作り込みが甘いと指摘もあるが、これ以上ディテールをごちゃごちゃにしても意味が無いよね。
古き良きアニメ、特にSFや特撮物を、リアリティーが無いと酷評する人が居る。それこそ、ドラえもんにリアリティーが無いと言い、キャプテン翼にそんなシュートを打てる奴はいないとダメ出しをする。それはナンセンスだ。
映画冒頭の鯨に乗って唄うベルの姿は、時系列だと本編の後だと考えられる。
多くの人々がベルのオリジンを目にして、冴えない、何処にでもいる女の子だと皆が知っている。それでも、ベルはUの世界で新たな自分を手に入れた、最も有名なAsの一人だと説明をされている。でも、それは仮初なんかじゃ無い。
Uとは、仮想現実の中で仮初の自分を手に入れる事ではなく、Uを通じてその人が秘めていた才能や能力を開花させるアプリである事。
それは、視聴者へ向けたメッセージとも取れる。
冒頭のUを説明するナビゲーションと、最後でもう一度繰り返されるUの説明。十分に伝わる内容ではなかったろうか。
あなたは誰?それは視聴者へと向けられたメッセージでもある。
映画のテンションとしては、冒頭のベルが歌うシーンがクライマックス。見終わった後に、もう一度あのシーンが見たいと思うほどには。
レコ直のランキングで1位を獲得し、サブスクでも一気にランキングをあげてるのは、きっと同じように映画を観た後に余韻に浸りたいと思う人がいっぱいいるからなのだろう。ある意味、レビューのポイント以上にこの映画の評価を見定めるバロメータになっている様に思える。
まぁ歌が好評を博したのに本編はイマイチだった作品もあるんだけどね。
そんなこんなで、主題歌を大音量でリピートしたくなる位には、この映画は良い映画です。
2022.9.24 追記。ホームスピーカーで家で試聴するも、劇場程の感動は得られず。やはり、大画面+高音質スピーカーに勝るものは無し。
美女と野獣のオマージュなので一連のストーリーの流れはわからなくも無いが、終盤の流れは仮想現実の世界でリアルを晒す事への動機付けがメインであって、そこに現実世界での妥当性を論ずるのはやはりナンセンスに感じる。
時系列としてはUの世界で有名になる⇨リアルを晒す⇨OP。OPではUの世界で最も成功した人の一人としてbellが紹介されている。
子供の頃母を亡くし唄う事が出来なくなった鈴が、仮想世界で唄を取り戻す話だと思うのだが。
母の心情を理解し過去を乗り越えるため、Uの世界のbellのアンベイルという擬似的な死を乗り越える為の動機付けとして兄弟を救う話があるのであって、それ以外は蛇足でしかなく、なしては映画と言う尺の中ではこれ以上掘り下げるのも難しい。動機付けとしてはやや弱い事は否めないが、現実的にあり得ないと言ってる方達は単に読解力が無いだけの様に思える。
ネット恋愛の経験
それがあるか無いかで、感情移入の差が段違いだと思うこの作品。男性は病んでる一匹狼な最強荒らし、それでも仲良くしてくれるヒロインと、心の闇を労り合うのは、泣けてくる程センセーショナルな作品だった。好きなシーンは駅の告白のところ笑、場内でも笑い声が聴こえてきてなんとも微笑ましく、ジブリの系譜を感じる。後半、竜があんな簡単に見つかるところは、手抜きなアニメって感じだった。その後、あっさり忍のとこに戻り、竜と忍の三角関係泥沼フラグが見えて終わるのは、少し嫌な気持ちにさせられる…笑
あ、これディズニーだ!
歌は説得力があり、歌い手も文句なしに素晴らしい。誇張なしに100点。映像も特に仮想世界内は縦横無尽でこれもまた素晴らしい。新しいディズニープリンセスの誕生です。
パンフレット見て気付いたけど、Belleのキャラクターデザインはディズニーの有名デザイナーによるものでした。キャラだけでディズニー感をここまで溢れさせるとか、本当にとんでもない才能。
ネガティヴに言うならば、細田守監督じゃなくても作れる映画。ポジティブに言うならば、ネットヴァーチャル世界の最先端ミュージカル映画で、細田守監督の真骨頂であり新領域の開拓。
個人的に腑に落ちない点として、Uの世界がここまで魅力的ならば、もっと現実の世界のあちこちに濃い影を落としてくるはずって所ですね。電脳コイルみたいに、自治体に使われたり、公共機関のサービスがあったり、国家や省庁の縄張り争いがあるだろうし、色々と現実世界を侵食してくるはず。四国の田舎だから!で説明がつくかもしれない。渋谷はとんでもないことになってるかもね。
映像、音楽が素晴らしい
30代♀、18歳♀、12歳♂の親子で観に行きました。
内容が現実とバーチャルを行き来する為、SNSとは無縁のスポーツ少年にとっては、イマイチ内容を理解出来なかったようでした。
親世代としては、現代社会における10代のバーチャルと現実の境界線を超えての物語となる為、映画としては丸く収まってるものの、SNS上に顔出しをする事でのリスクを考えてしまいましたが、フィクションの映画として観るのであれば、胸を締め付けられる箇所が多々ありました。
まるでディズニーの世界観…リアリティあるファンタジーを感じさせる映像に、映像にふさわしい楽曲、歌声とその映像に自然と涙が溢れました。
水や星、空や光、本当に綺麗だな〜と、圧巻です!
普普通に良い映画でした
ひさびさの細田作品。
未来の二の舞かなぁと心配しましたがとても良かった。
映像美、音楽などとても良かったし、敢えて美女と野獣のような演出を入れつつも全く違った展開にするなど、解りやすくも期待を裏切るような展開などを効果的に取り入れていて見所が多かった。
年寄りには少しわかりづらい?
音楽良くて、けっこうストーリーも良くて、途中涙することもありました。
けど、ややごちゃごちゃした画面が、年寄りや年配な方にはわかりづらいかもです。
高知が舞台とのことで、高知ではけっこう動員が多いようです。
そうですね。厳しくいくと
1.龍とそばかす姫 というタイトルの割には、なんか龍の正体があっさり
2.金持ちでパソコンも出来る親友役は、ちょっと都合良すぎだろ
3.そもそも龍はなぜ、城を造れるほどの力があり、また取り巻き君達もなぜいたのか?
4.特別な薔薇の意味もよくわからん
5.クジラもどういう意味なのかちょっとわからん
とこまやかにいろいろありますが
全体的には飽きずに楽しめたし(目は少し疲れたけど)
歌もよかったし
楽しめました。
ずっと心に残るほどではないし
観たから人生変った、というほどでも無いかな。
詰め込みすぎなのかな
多くの方の言うように、音楽、映像が素晴らしくそれだけで一見の価値のある映画です。
そして殆どの方の言うように、脚本はもうちょっと頑張って欲しかった。
色々な要素を詰め込みすぎてどう言うものを描きたかったのか、おざなりな印象でした。
ディズニー映画の美女と野獣をオマージュして、ベルと竜が惹かれ合うという描写があるのですが。表面上(ビジュアリティ)のみのオマージュに見えてしまい、残念でした。
美女と野獣をモチーフにして、SNSに絡めて描くのであれば、野獣は誰で、魔法が解けるとはなんなのか、みたいな、ストーリー上にまで至るオマージュも見たかった。
また、終盤の事件としてDVから少年を救う、というのが、ありますが、
竜が立ち向かう、と言う解決方法になってしまったのは残念でした。
今まで一人で立ち向かってたから暴力を受け続けていたので、立ち向かわなかったからダメだったとか弱かったと言う話ではないはず。
ここでは竜ではなく、お父さんが変わる展開があって欲しかった。
『U』の通り、自分が変わり、世界が変わり、やり直せる、というロジックを現実世界に反映できるような、そんな解決方法なら良かったな、と思いました。
歌は素晴らしいが全体的に独りよがり
幼い頃に母親を亡くし歌うことができなくなった少女すずが仮想世界Uのベルとして歌姫になり、凶暴な怪物として知られる竜と出会い……という話を美女と野獣をモチーフにミュージカル調の演出で描いた作品。
なのだが、表題にもある通り本編を彩る音楽は素晴らしいものの、肝心のその本編(脚本)は人物の感情の導線が雑で、感情移入が難しい。ただでさえ主人公すずの時点で少々煩雑な人物設定であり、ここに仮想世界などさらに煩雑な設定が加わるというのに、本編ではミュージカルをやっているため、正直歌うよりも先に説明することがあるだろう、と思わずにいられない。
登場人物たちの感情の導線や変化、交流、とくにベルと竜の関係性に関してすら互いの感情の変化やそのきっかけすらなく歌と映像で強引に演出しようとしているため、本来それらが結実してカタルシスとなるべきストーリーの後半にゆくにつれて登場人物たちと見ている側との感情のギャップがひどくなっていく。有り体に言えば「いや君たちいつそんなに仲良くなったの?」的な気持ちが常にどこかに残る。
そういう意味で、監督の独りよがりをひどく感じてしまう作品だった。
また仮想世界Uについても違和感を覚える点が多い。
私は本編の設定など予習はせずとくに情報を持たない状態で観たのだが、その状態だと仮想世界Uは非常にふんわりした世界という印象を抱く。Uという世界の描写は基本的に無数のアバターが仮想世界を飛んでいるところにベルがストリートライブをしているというのが大半なので、この世界においてUとはどういう役割を持った世界なのかがよく見えてこない。
サマーウォーズのOZではまず主人公らがプログラム関連のバイトをしていたり、各種公共料金やインフラの管理一本化などの利便性、またそれこそ現代におけるSNS、動画配信サイトなどの役割を一手に引き受けた世界として分かりやすく、そこが壊されることでの現実世界への影響も非常に分かりやすく描かれていた。
しかし現在、SNSも動画配信サイトなども存在すると描写されているこの映画の世界で、この世界の50億人ものユーザーの人々は何を求めて何が目的でUにアクセスしているのかよく分からない。
竜が出没している闘技場なる場所もあるらしいので、各種アクティビティは充実しているのだろうが、それなら台詞ではなくそれを楽しんでいる人々の映像で描写してほしい。
また竜とそれを敵対視する人々の描写もハテナとなる部分が多い。
闘技場なる場所でその凶暴なファイトスタイルから嫌われる竜についてはまだいいのだが、それを敵対視しているのは公式の運営でもないただの自警団的な集団であるはずなのに、アバターから本人の姿をUの世界に描画するという、いわゆる身バレを強制的に行える手段を認められているというのは変な話だ。またその身バレがUの世界においてとても恐ろしいことのように描かれているが、それを一方的な権限で、フォロワースポンサー多数の有名人とはいえ、ただのいちユーザーに行えるUという世界が50億人に受け入れられているというのも不思議である。それってクソゲーすぎじゃない?
しかも違反とかチートを使っているとかならともかく、ファイトスタイルが批判されているとはいえUの仕様上に則ったプレイングをしているだけの竜にそのペナルティを課そうというのは、明らかに職権乱用というか権利の私物化で、そんな人にそんな権限が与え続けられている『U』という世界とそこに暮らす人々とはなんなのだろうか。
そうした実像の見えないふんわりした『U』の世界、上記の身バレ関連などから危機や事件をシナリオ上に都合よく起こすため何かと『便利』に使われているという感が否めない。少しばかり語弊を承知で乱暴な言い方をしてしまうと昨今の異世界アニメでよく言われる「原作者が現実の物事を描けないから便利な異世界を舞台にしている」という評価における「便利な異世界」そのもののように感じる。そこに暮らす人々の生活が見えてこないのである。
これに関しても、やはりシナリオ上の要点をあまり描写せず歌と映像でごり押しているというのがあると思う。本当に、歌うより先に説明するべきことが多々あると思う。
ついでに言えば炎上案件や反社会的行動で嫌われているユーザーならともかく、ポジティブな意味で有名なユーザーもひっくるめて異様に『身バレ』を恐れている点や、そのわりにネット上に明らかに児童虐待が疑われる映像が流れていても警察などが動かないこと、さらにPCの前で平然と横暴な振る舞いをする、「ネット上に虐待の証拠映像が流れる」ことに無頓着で無警戒な、誰もがVRの仮想世界にダイブできるという時代なのにやたらと昭和のデジタルオンチなオヤジ然としたムーブをする虐待父など、あまりにも現実世界とネット世界が乖離した、それらを『二分化』して考える視点は個人的に、十年前にサマーウォーズを制作した監督にしては少々前時代的と感じざるを得なかった。
さらには本編開始一時間、登場回数でいえばたった二回目のシーンで、竜の正体やバックグラウンドがほとんど分かってしまうのもどうかと思う。あまりにも露骨なのであえてなのかとも思ったが、そのわりに後半の正体が判明するシーンはやけに引っ張る。
そこも含めて煩雑な設定をミュージカル調の映画にまとめるには、色々と脚本を作る力が不足しているように感じる映画だった。
特筆される「歌と映像」の「映像」に関しても、確かに美麗ではあるが監督がこの十年で作ってきた映像に対してさして新しいものを生み出したという印象はなく、モチーフや作り方などいつもと同じことをしているという感じは否めない。そういう意味でサマーウォーズを超える作品にはなれなかった……というのが個人的な感想である。
ただしそんな本作、主人公すずを取り巻く様々な環境やネットの負の側面の中でルカちゃんとの交流や彼女の意外な想い人やその告白シーンなどに関する描写、演出はほどよく瑞々しくとても爽やかだったため、監督はあまり重いテーマは取り扱わずこうしたある種ポップな作風に今からでも舵を切り直した方がいいのではないかと思う。そも時をかける少女もサマーウォーズも、大部分はそうした軽さの中にひとつまみのシリアス要素や切なさが私としては好きだったのだが、おおかみこども以降は明らかに配分を間違えているというか、「テーマの高尚さ」という呪縛に囚われ続けているように思えてならない。
サマーウォーズの次に
題材の類似性からサマーウォーズが思い出されるためか、比較されて酷評される方が多いようですね。
ただサマーウォーズの頃がSNSが本格的に普及し始めた時期だとすると、今は世界中に浸透し良いこと悪いことがある程度認識されている時期になっていることから、ネット世界を舞台にするのであれば扱うテーマは自ずと変わるだろうなと思います。端的に言うと、サマーウォーズがネット世界の可能性を見せるものであったのに対し、本作はネット世界の現実と希望を提示するものです。
舞台、人物設定として
・主人公は母親を自然災害によって亡くしており、自分は残された犠牲者意識に苛まれている。
・トラウマにより母親から教わった歌を人前で歌えなくなる。
・父親をはじめとして幼馴染や同級生と関わることに難しさを感じ、コンプレックスになっている。
・唯一の親友から誘われた仮想空間で、アバターを介して歌を歌い自己実現を図る。
・ライブを行おうとしたところに、自警団に追われた竜が乱入してきて興味を覚える。
・竜は突然現れ、非常に暴力的であることから嫌われており、自警団によって正体を晒されようとしている。
一度観ただけなので細かいところは違うかもしれません。登場人物はみな、現実ではコンプレックスや障がい、悩みをかかえています。仮想空間は言わば現実世界の負担から解放される、もう一人の理想の自分で生活できる世界になります。人種や民族、世代を超えて一つの世界で平和的に暮らすことのできる世界を実現できる可能性があるのが仮想空間です。サマーウォーズが提示したのがこの可能性だったのに対し、本作はその理想のはずだった世界で起こるネットいじめやセーフティネットから外れてしまっている少数の人々の救済です。大きく見れば世界は救われたかもしれませんが、より個人にフォーカスすると世界は残酷であり、それでも人々によって助け合えることが示されます。
残念ながらアバターがないと本心を伝えることができない、本音を吐き出してしまうとすぐに炎上してしまう、ということが現実のあちこちで起きています。前半は細田監督らしくその様子をコミカルに描いていました。また規範意識が強く現れすぎた結果、そこから逸れる言動はすかさず批判されてしまいやすくなっています。「あなたは誰?」とその背景を探り、分かり合おうとすることは少なくなっています。主人公が終盤にとった行動は、現実の世界と仮想空間双方の事態の解決を図る極端な行動でしたが、周囲がそれを認め支えることで世界の在り方を理想的に示します。仮想空間であっても人とのつながりは、言わずもがな大切であり、テクノロジーを介することでより多くの人が繋がり幸せになる世界を作り上げることができるのではないかという点は、常に一貫していると思います。
脚本について否定的な意見が多いようですが、私自身の意見としては良い点でもあったかと思います。それは、同じ劇場内にいた中高生や20代前半と思われる比較的若い世代の人達は概ねよい印象を抱いているように感じたからです。説明をあえて省くことで、自分を重ね感情移入しやすくなっていたのではと思いました。現実の若い世代は非常に繊細で傷つきやすくなっています。そして、親世代は幸せとは何なのかと迷い自信を失っています。誰もが自分を投影しやすいように練られた脚本と言えなくもないのかなと思います。展開についていけず、後から考えるとそういうことだったのかなと思うこともありましたが、考えながら観るのが好きなので、私はOKでした。
一つ細田監督にお願いしたいのは、本作の歌やサマーウォーズの数学など、一芸や才能に依らずに自己実現を図る主人公を軸とした作品も作っていただけないかということです。でもそれだとキャラクターが弱くて大衆向けの作品には向かないでしょうか。難しいですね。
考察では消えない違和感
細田守監督作品は未来のミライちゃん以外鑑賞したことがあり、Huluでも何度も観る程好きな作品が多いです。
人の繋がりやあたたかみを描くのがお上手で、観た後はやさしい自分と向き合える、そう感じていました。
本作はエンタメとしては面白いと思います。
ただ観賞後にやさしい自分とは向き合うことはできませんでした。
演出やサントラは魅力的な場面も沢山ありましたが、
突っ込みどころがいくつも出てきてしまい、素直に見ることができませんでした。
・Uの世界でのキャラデザが豊かでもっと観ていたかった。
・カミシンの演技がずば抜けて良かった。
・忍君との関係を疑われた際の炎上〜火消しまでの見せ方がゲームっぽくイキな演出で魅力的でした。
・竜の弟君のクリオネのコメント、歌を口ずさむ様子は何か引き込まれるものがありました。
×母を亡くした主人公が歌えなくなってしまう過程にもう少し尺があっても良かったと思いました。
×主人公のセリフに「あぁ!あぁ〜」が多すぎて変だなと思ってしまいました。色んな場面で転びすぎて、表現方法の雑さを感じてしまいました。
×どうしてあんなに優しい父に対してあそこまで距離を置くのか、理解できませんでした。
×最後に主人公が素顔をUの世界で晒し歌った後に、またアバターの顔に戻した意図がわかりませんでした。
×美女と野獣をあそこまでオマージュする必要はあったのでしょうか。何か意図があるとしたなら知りたいです。
×50億人のうちの1人を見つけ出すまでの流れがあまりにご都合主義すぎではないかと、、、
×主人公のフォロワーの増え方、支持を集めるまでの展開が急すぎで、そんなわけないでしょうと思ってしまいました。いくらなんでも歌が上手い人は沢山いて、主人公が頭一つ出て皆を注目させるには努力の過程をもっと見せる必要があったのではないかと。
×Uでの経験が実世界での主人公に影響を与えたのはわかるのですが、歌いたくても歌えない潜在意識をUの世界では取っ払える仕組みがわからない。
一緒に観に行った知人も矛盾を沢山感じていたらしく、互いに考察を交わしましたが、解消されませんでした。
岡田斗司夫チャンネルで解説してくれないかなぁ。。
現代版美女と野獣?
他の映画作品の予告編で見てからずっと気になっていた作品。
しかも、私の大好きなサマーウォーズと同じ仮想現実世界で繰り広げられる物語と言う事で期待値爆上がりでいざ鑑賞!
こ、これは、現代版美女と野獣?
途中何度か「これディ○ニー映画だったっけ?」と頭を抱えた。
サマーウォーズと同じく一人の少女の成長物語ではあるものの、爽快感がない。
それは恐らく作品のゆったりしたテンポに比べて人物描写が唐突過ぎるから。
どうして、ベル(鈴)が竜にそこまで興味を持つのか、どうして、兄弟に会いにわざわざ高知から東京まで行ったのか。
なんとなくは解るけれど、その行動に説得力がない。
また、ネットトラブルや虐待などテーマが沢山ありすぎてとっ散らかっている印象。
少女の成長物語でまとめて欲しかったかな。
とは言え、映像の美しさと歌の力強さに涙が止まらず、必死に鼻啜るのを抑えてました。
私は、昔、虐待されていた子どもを上手く助ける事ができなかったので、恵の言葉を聞く事もとても辛かった。
鈴と向き合った時の台詞も色々と唐突だなとは思ったけれど、最終的には前を向いてくれて良かった。
そういった感傷を抱えている方には響く作品かも知れません。
ネックだった声優さんもそこまで違和感なく見れたので良かった。
ツッコミどころ完備
取り敢えず 「未来のミライ」からV字復活…かと思ってたらL字だったわ。テーマが見えない。すずちゃんを救いたかった?何から?彼女は何に気付いたのかしらん?
歌が上手な子を起用したのは分かる。ミュージカル仕立てでディズニー寄り?と思ったら歌詞が聴こえてこない。アレンジが前に出過ぎ。ここはちゃんと歌詞を聴かせなきゃ説得力に欠ける。歌ってる時の映像が回想シーンだなんて手抜き?もったいない。仮想空間の映像美を期待したのになぁ。それから…しのぶ君必要?どんな闇を抱えてるのよ?って期待したら普通に幼なじみだった。もうちょっと絡んでもよかったんでない?憶測炎上は瞬で自力で火消ししたけどこれからどうするんだろ?身バレしたし…ねえ?そう言えば…Uの世界はその後…?あー聞いちゃいけなかったか そうか。ご想像にお任せしますしますってヤツね。声優さんの起用には文句はありませぬ。田舎ぽい朴訥な感じが出ててよかったのではないでしょうか?(褒めてないな) 「未来のミライ」よりマシの☆3です。観といてよかったデス。
【考察】忍君にはお母さんが乗り移っている!
◆ ストーリー
内向的な女子高生鈴は友人の勧めでスマホアプリ<U>に登録する。<U>は登録者数50億人を超える巨大SNSで、会員たちはバーチャル空間でアバター(仮の姿)で交流を楽しんでいます。
<U> 内での鈴は歌姫ベルとなり一躍人気者となります。バーチャル空間での初ライブ中に突如竜と言う名の獣人が乱入してきます。彼はネット世界で言う荒らし行為を働いていてバーチャル空間では暴力行為を振るい、暴れまわっています。
なぜ竜は暴力的なのか、なぜ竜は時折寂しそうな眼をするのか、そんな竜をベル(鈴)は放っておけずそのあとを追っていきます・・・。
◆ 本当に恐ろしいスマホ依存
子供は父性と母性の両方の影響を受けて育ちます。鈴には母親がいません。幼い頃に川の事故で亡くなりました。鈴の父親は物語中父親らしいところが一つもありません(影が薄く、出てきても同じセリフしか言わない)。ですから鈴が内向的に育つのも不思議ではありません。
(※もう一つ父性・母性の影響の例を挙げると、エヴァンゲリオンのシンジ君。彼も母親を早くに亡くしていますし、父親も厳格過ぎます。その影響を受けて彼も内向的な性格に育ちました。)
性格が内向的で塞ぎ込んでいると、自分の枠組みから中々抜け出すことが出来ずに他者との関りを失い、どんどん自己肯定感が低くなっていきます。
私は鈴も自己肯定感が低い子だと思います。両親の影響に加えて <U> 登録初日にベル(鈴)の歌がバズってフォロワー数が爆増しますが、鈴は「たくさんの人が自分を批判している!」と大慌てします。大きな成功体験よりも、ネガティブな出来事にフォーカスするのは自己肯定感が低い証拠です。
自己肯定感が低いと、お酒、ギャンブル、ゲーム、スマホと言った簡単に手に入る刺激や快楽にドップリハマってしまい、そこから中々抜け出せなくなります。
家に閉じこもってゲームばかりしている自己肯定感が低い人がある日突然外の世界に出て「よし!就職するか!」とはなりませんからね。
私は鈴が歌がバズって、フォロワー数が爆増し、ファンの承認欲求などによる “一時的な” 興奮・快感・熱狂 ―― いわゆるドーパミン的幸福の中毒になり、<U>から抜け出せなくなっていく・・・・という展開になると思っていたのですが、実際はそんな展開にならなりませんでした。これには全く予想を裏切られました。
◆ つながり・愛による幸福=オキシトシン的幸福
鈴の周囲にはいつも人がいます。親友でありよき理解者のヒロちゃんや、所属している地域の歌唱サークルのマダム達、そして何かと気にかけてくれるイケメン男子忍君。
人間はリアルに人とつながっていると幸福を感じます。この時脳内からはオキシトシンという物質が分泌されています。友情による結びつきや、地域コミュニティに所属している帰属意識によりオキシトシンが分泌されるのです。
ギャンブル、お酒、スマホ、ゲームなどのドーパミン的幸福は幸福感が直ぐに切れてしまいます。一方でオキシトシン的幸福は低減しません。例えば、去年政府から特別定額給付金として10万円貰えるというニュースが流れた時や実際に貰えた時は興奮して喜んだものですが、いまだにあの時の10万円うれぴ~~~~~~~!!!!!とその幸福感が持続してる人はいませんよね?(むしろ「おかわりはまだか!」ともっと!もっと!の状態になっている人もいると思います。)
オキシトシン的幸福は低減しません。オキシトシンは赤ちゃんを抱っこしている時などにも分泌されます。例えば10日間連続で赤ちゃんを抱っこしても赤ちゃんはかわいいです。11日目に突然「赤ちゃんキッッモ!!!」とはなりません。
私は人とのリアルな繋がり、オキシトシン的幸福が鈴(ベル)の精神を健全に保っていたのだと思います。
◆ イチ推し!忍君!
忍君とは鈴のクラスメートで、学校中の人気者!イケメン!女子の憧れ!スポーツ万能!の男子です。しかし私は彼の魅力はそんなところではないと思っています。
忍君は何かと鈴のことを観察していて、微妙な変化に気づき「何かあった?何かあったなら言ってよ」と気にかけて声を掛けてくれます。多くの世の男性はこの辺り鈍感で観察眼がありません。(よく言う恋人が髪を切っているのに気づかないというやつです。)
学校イチのヒロイン、ルカちゃんも忍君を「よく気づくお母さんみたいだね」と彼を評します。
また、忍君は鈴がベルであることをいち早く見抜きます。男性でありながら、この観察眼の持ち主である所が彼の最大の魅力なのです!
さらに物語の最後で難事件が解決して、少し大人になった鈴に忍君はこう言います。
「これでもう鈴のことを見守らなくてよくなった、これからは対等に付き合えるな。」
2人はまだ友達同士の関係で恋愛関係には発展していません。このタイミングでこのセリフは暗に、
「懸案事項も無くなったことだし、僕は君に安心した。これからは恋愛対象として踏み込んでいくからね。」
と言っているように聞こえます。もうね、キュンッッッッッッッッッッッッッッッキュンッッッッッッです!!!天才です!!!巧です!!!策士です!!!!!!!!!!!!エロいです!!!!!(?)
◆ 大人はアテにならない
鈴の父親は影が薄く、出てきても同じセリフしか吐きません。地域の合唱サークルのマダム達は鈴に「幸せってなに?」と問われるとみんな「えっと、えっと・・・!」と慌てふためくだけで閉口してしまいます。サークル内で一番年長者のお婆さんも「この年になっても幸せなんて分からないわ」と穏やかに答えます。(ここめちゃくちゃ意外でしたね。)
物語最大の山場となる、鈴が一人で高知から東京の見知らぬ子供を救けに行くシーン。ここはかなりネット上でも賛否があるところですが、影の薄い父親が娘を信じて送り出すのは最大の功績だったと思います(現実的であったかは置いといて)。父性とは規律、規範を示すなどの他に「断ち切る」ものですからね。これが機能しないと子は地元や家にへばりつくようになってしまいます。(もし仮に鈴の父親が黙って飛び出して行った鈴に憤慨して「子供のお前のすることじゃない!!今すぐ戻ってこい!!」なんて展開になったら・・・恐ろしい事になっていたでしょうね。)
◆ 人とのリアルな繋がり
映画作品に置いて繰り返されるセリフは重要なキーワードとなります。物語の冒頭で巨大SNS <U> の広告コピー「現実はやり直せませんが、あなたも <U> でもう一度やり直してみませんか?」というセリフが作品中3度は出てきます。
しかしながら、<U> 内で人生をもう一度やり直すことが出来た!というようなシーンは一度もありません。重要なキーワードに見せかけたミスリードなのか、あるいは無機質な機械音声のそれは不気味な悪魔のささやきかもしれません。物語の比重もバーチャル空間での内容よりはリアルな繋がりの方に重きが置かれています。
物語最大のトラブルも人とのリアルな繋がりによって乗り越えていきます。ここがこの作品の肝だったように思います。ご時世的に我々の日常生活はどんどん人とのリアルな繋がりは薄くなっていく一方で、ネットの方が重くなりつつあります。ですが、ここで、今一度、リアルの繋がり、その大切さを見直す時だと私は思いました。
※ 今回の感想は下記の書籍で読んで得た知識をもとに書きました。
『父滅の刃』『精神科医が見つけた3つの幸福』『察しない男説明しない女』
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