竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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サマウォをもう一度、は捨てていけ
テレビで囃し立てるのに合わせるが如く私の期待も高い位置から視聴に至った。
夏、仮想現実、「ぼくらのウォーゲーム」と「サマーウォーズ」を彷彿とさせるこの組み合わせには胸を踊らせざるを得ないだろう。
しかし物語序盤には世界観に没入できずにもどかしさが残る中、竜との出会い。
正直、竜の何処に惹かれたのか皆目検討がつかない。
主人公の周りを取り巻く友人達は幼馴染みを除いては申し訳ないが「君達は主人公にとってなんなんだ?」と思ってしまうほど薄っぺらい関係に見えた。
劇中の主人公の立ち位置を考えれば近しい立場の者も居るだろうがそこをストーリーで感じることは無くて残念だ。
終盤に当たっても、結果助けた。帰ってきて大団円。
…え?おしまい?
スケール大きく出た割には、なんとも潔すぎる幕引き。
この終わりで良いのか、と感嘆では無い溜息が出てしまった。
他レビューの方が書いてたがミュージックビデオ。
これは言い得て妙だな、と思ってしまった。
好きな監督だからこそこのような感想を抱いてしまうことが非常に悔しい。
雰囲気は良いが、全体的に散りばめられたご都合主義感がぐぬぬ。
予告でみて割と面白そうだったので観賞。
つまらなくはないけど突っ込み所等のせいでいまいち物語に入り込みづらい作品でした。
ストーリーとしては大筋やどのように物語を運んでどこに着地したいかは伝わって来ますし、
盛り上げたいだろうシーンでは割と盛り上がる感じもあり、なかなか楽しめます。
が、いかんせん気になる点が大きく足を引っ張ってしまっている印象を受けました。
気になる点はいくつかあり、一つは声とキャラの相性。
違和感を感じるキャラが多く、これがなかなか没入感を妨げます。
中盤には大体慣れましたが、中には一部最後まで慣れないキャラも。
そしてもう一つ、一番気になった点がタイトルにも書いたご都合主義感。
節目節目での物語の展開に対して説得力が薄いというか、伝わってこないのが致命的です。
全体的に、ある出来事がありその上でこの結果がある・・・といった流れではなく、
この結果を起こしたいのでこの出来事を起こす、というような雰囲気があり、
脚本上の都合に応じて無理やりキャラクターを動かしている印象を強く受けました。
とは言いながらも好きなシーンもありまして、
中盤からちょこちょこあるカミシンが出てくるシーンは全部良かったと思います。
むしろここをメインにおいてストーリーを作っても良かったのではと思うくらいにはすきです。
物語の説得力を重視してしまう方にとってはは少し怪しい感じはありますが、
細かいことは気にせず作品の雰囲気を重視します!という方はお勧めできるかと思います。
サマーウォーズの次に
題材の類似性からサマーウォーズが思い出されるためか、比較されて酷評される方が多いようですね。
ただサマーウォーズの頃がSNSが本格的に普及し始めた時期だとすると、今は世界中に浸透し良いこと悪いことがある程度認識されている時期になっていることから、ネット世界を舞台にするのであれば扱うテーマは自ずと変わるだろうなと思います。端的に言うと、サマーウォーズがネット世界の可能性を見せるものであったのに対し、本作はネット世界の現実と希望を提示するものです。
舞台、人物設定として
・主人公は母親を自然災害によって亡くしており、自分は残された犠牲者意識に苛まれている。
・トラウマにより母親から教わった歌を人前で歌えなくなる。
・父親をはじめとして幼馴染や同級生と関わることに難しさを感じ、コンプレックスになっている。
・唯一の親友から誘われた仮想空間で、アバターを介して歌を歌い自己実現を図る。
・ライブを行おうとしたところに、自警団に追われた竜が乱入してきて興味を覚える。
・竜は突然現れ、非常に暴力的であることから嫌われており、自警団によって正体を晒されようとしている。
一度観ただけなので細かいところは違うかもしれません。登場人物はみな、現実ではコンプレックスや障がい、悩みをかかえています。仮想空間は言わば現実世界の負担から解放される、もう一人の理想の自分で生活できる世界になります。人種や民族、世代を超えて一つの世界で平和的に暮らすことのできる世界を実現できる可能性があるのが仮想空間です。サマーウォーズが提示したのがこの可能性だったのに対し、本作はその理想のはずだった世界で起こるネットいじめやセーフティネットから外れてしまっている少数の人々の救済です。大きく見れば世界は救われたかもしれませんが、より個人にフォーカスすると世界は残酷であり、それでも人々によって助け合えることが示されます。
残念ながらアバターがないと本心を伝えることができない、本音を吐き出してしまうとすぐに炎上してしまう、ということが現実のあちこちで起きています。前半は細田監督らしくその様子をコミカルに描いていました。また規範意識が強く現れすぎた結果、そこから逸れる言動はすかさず批判されてしまいやすくなっています。「あなたは誰?」とその背景を探り、分かり合おうとすることは少なくなっています。主人公が終盤にとった行動は、現実の世界と仮想空間双方の事態の解決を図る極端な行動でしたが、周囲がそれを認め支えることで世界の在り方を理想的に示します。仮想空間であっても人とのつながりは、言わずもがな大切であり、テクノロジーを介することでより多くの人が繋がり幸せになる世界を作り上げることができるのではないかという点は、常に一貫していると思います。
脚本について否定的な意見が多いようですが、私自身の意見としては良い点でもあったかと思います。それは、同じ劇場内にいた中高生や20代前半と思われる比較的若い世代の人達は概ねよい印象を抱いているように感じたからです。説明をあえて省くことで、自分を重ね感情移入しやすくなっていたのではと思いました。現実の若い世代は非常に繊細で傷つきやすくなっています。そして、親世代は幸せとは何なのかと迷い自信を失っています。誰もが自分を投影しやすいように練られた脚本と言えなくもないのかなと思います。展開についていけず、後から考えるとそういうことだったのかなと思うこともありましたが、考えながら観るのが好きなので、私はOKでした。
一つ細田監督にお願いしたいのは、本作の歌やサマーウォーズの数学など、一芸や才能に依らずに自己実現を図る主人公を軸とした作品も作っていただけないかということです。でもそれだとキャラクターが弱くて大衆向けの作品には向かないでしょうか。難しいですね。
考察では消えない違和感
細田守監督作品は未来のミライちゃん以外鑑賞したことがあり、Huluでも何度も観る程好きな作品が多いです。
人の繋がりやあたたかみを描くのがお上手で、観た後はやさしい自分と向き合える、そう感じていました。
本作はエンタメとしては面白いと思います。
ただ観賞後にやさしい自分とは向き合うことはできませんでした。
演出やサントラは魅力的な場面も沢山ありましたが、
突っ込みどころがいくつも出てきてしまい、素直に見ることができませんでした。
・Uの世界でのキャラデザが豊かでもっと観ていたかった。
・カミシンの演技がずば抜けて良かった。
・忍君との関係を疑われた際の炎上〜火消しまでの見せ方がゲームっぽくイキな演出で魅力的でした。
・竜の弟君のクリオネのコメント、歌を口ずさむ様子は何か引き込まれるものがありました。
×母を亡くした主人公が歌えなくなってしまう過程にもう少し尺があっても良かったと思いました。
×主人公のセリフに「あぁ!あぁ〜」が多すぎて変だなと思ってしまいました。色んな場面で転びすぎて、表現方法の雑さを感じてしまいました。
×どうしてあんなに優しい父に対してあそこまで距離を置くのか、理解できませんでした。
×最後に主人公が素顔をUの世界で晒し歌った後に、またアバターの顔に戻した意図がわかりませんでした。
×美女と野獣をあそこまでオマージュする必要はあったのでしょうか。何か意図があるとしたなら知りたいです。
×50億人のうちの1人を見つけ出すまでの流れがあまりにご都合主義すぎではないかと、、、
×主人公のフォロワーの増え方、支持を集めるまでの展開が急すぎで、そんなわけないでしょうと思ってしまいました。いくらなんでも歌が上手い人は沢山いて、主人公が頭一つ出て皆を注目させるには努力の過程をもっと見せる必要があったのではないかと。
×Uでの経験が実世界での主人公に影響を与えたのはわかるのですが、歌いたくても歌えない潜在意識をUの世界では取っ払える仕組みがわからない。
一緒に観に行った知人も矛盾を沢山感じていたらしく、互いに考察を交わしましたが、解消されませんでした。
岡田斗司夫チャンネルで解説してくれないかなぁ。。
現代版美女と野獣?
他の映画作品の予告編で見てからずっと気になっていた作品。
しかも、私の大好きなサマーウォーズと同じ仮想現実世界で繰り広げられる物語と言う事で期待値爆上がりでいざ鑑賞!
こ、これは、現代版美女と野獣?
途中何度か「これディ○ニー映画だったっけ?」と頭を抱えた。
サマーウォーズと同じく一人の少女の成長物語ではあるものの、爽快感がない。
それは恐らく作品のゆったりしたテンポに比べて人物描写が唐突過ぎるから。
どうして、ベル(鈴)が竜にそこまで興味を持つのか、どうして、兄弟に会いにわざわざ高知から東京まで行ったのか。
なんとなくは解るけれど、その行動に説得力がない。
また、ネットトラブルや虐待などテーマが沢山ありすぎてとっ散らかっている印象。
少女の成長物語でまとめて欲しかったかな。
とは言え、映像の美しさと歌の力強さに涙が止まらず、必死に鼻啜るのを抑えてました。
私は、昔、虐待されていた子どもを上手く助ける事ができなかったので、恵の言葉を聞く事もとても辛かった。
鈴と向き合った時の台詞も色々と唐突だなとは思ったけれど、最終的には前を向いてくれて良かった。
そういった感傷を抱えている方には響く作品かも知れません。
ネックだった声優さんもそこまで違和感なく見れたので良かった。
ライバルはサマーウォーズ
一度レビューを消しました。
それはシンプルに、2回目の鑑賞で感想がガラッと変わってしまったためです。
まずいえるのは、やはり私は細田守監督のテイストが好きなんだということ。
しかしながら、今作の表現がサマーウォーズに似ているために、やはりそこと比べてしまって批評があれているのも実感できます。
なので、このレビューでは、サマーウォーズとどう違うかを確認しながら批評したいと思います。
先にいまいちなところから。
まず、第一に対人関係の密度。
正直、サマーウォーズをイメージしている限りでは対人関係の薄さ、並びに接点の描写があまりに少なすぎるための違和感や整合性のなさは否めません。
友人との関係もそうですが、お母さんつながりの5人の女性との関係も、正直だいぶ強引だったと思います。
しかし、ここは主役がいったい誰なのかを把握しておく必要があると思います。
サマーウォーズはなつきとケンジがいるものの、実際のところは陣ノ内家が主役と言えます。
先導役のなつきが現れ、なつきの向かう所に陣ノ内家の親戚が集まって、各人物の間柄、友好関係、確執がそれぞれ描写されていき、それをまとめている大家主の栄ばあちゃんが亡くなる、遠回しに殺されてしまう事から、陣ノ内家の弔い合戦が始まります。
家族の描写をしっかりするために、親戚一同が集まって栄おばあちゃんの誕生日を祝うという展開が、各キャラの誘導であり描写するフラグが立っているわけです。
これと比べて、今作の人間関係はあまりに数も少なく、また接点を劇中の中であまり描かないために、話が薄いと言われています。
それは、あくまでも主役は鈴だからです。
恐らく監督の中では、このストーリーは「鈴のひと夏の思い出」というスタンスで描いているのでしょう。
だから、各登場人物との接点が描かれず、あくまでも鈴が登場しているシーンばかりで表現されているのだと思います。
鈴が、果たしてお母さんがいったいなぜあんな事をしたのか。
自分が一体何で竜が気になってしまうのか。
自分が出来ることは何なのだろうか。
これらの心情をなぞっていく(表現するというよりもこちらの方があっているかと思います)ことにより、鈴自身のカタルシスをもたらすシナリオが、今作の大元になります。
まあでも、そうは言っても地味ですね。
サマーウォーズと比べた地味さが、恐らく批判に移り変わってしまっているのでしょう。
また、今作のシナリオでの先導役は、誰でもない鈴自身です。
劇中では鈴の友達のヒロちゃんがいて色々やってくれるわけですが、結局は鈴=ベルの歌声、ミステリアス/カリスマ性、それと対になるかのような鈴自身の引っ込み思案な性格からくるギャップ。
この鈴/ベルのキャラクター性そのものが先導役であり、しかしながら一目でわかる先導役のキャラが見つけにくいというのも、今作であまり爽快感を感じない原因の一つではないでしょうか。
2つ目は、話の規模。
サマーウォーズのシナリオは、言わずもがな結構規模がでかいです。
実質陣ノ内家&世界中のアカウントVSラブマシーンなわけですから。
それに比べると、あまり内容が言えませんがとにかく話のすぼまり方が極端です。
どれくらい窄まるかというと、瓢箪の出口のような狭さを感じると思います。
結局、ここの理由も鈴が主役だから、に繋がっていきます。
今作は、サマーウォーズと違い、自身の葛藤や困難そのものが巨大な敵となります。
それは、ベルではなく、一個人として鈴がどうやったら目の前のあの問題がクリアできるのか、という所にシナリオ全体も鈴自身も執着しているからにすぎません。
結局あのシナリオ構成の都合、あくまでも助けられるのは一握り。
それを助けるためにUの世界で助けを求めても、結局危険を招きかねません。
そのために、Uのベルとしてではなく、一個人として等身大の鈴として助けに行った。
という解釈になるものと思われます。
逆に、この行動をすることによって、鈴の中にあるお母さんの行動理念と一致し、気持ちも察することでカタルシスに繋がるきっかけになるわけです。
この時点で、だいぶシナリオの構造上、ライバルにサマーウォーズが浮かび上がりやすいのは言うまでもありません。
ただ、あくまでもシナリオの中心は鈴。
逆にいいところもあります。
特に今作で目を引くのは、millenniumparadeの楽曲と、それを中心に構成されたミュージカルシーン。
今作は、巷では日本版ディズニーと言われているくらいに歌唱シーンが多いです。
それに合わせて、ベルが様々な姿をして歌うさまはまさにディズニー。
これらの表現は明らかに手書きの2Dでは真似できないシーンです。
PVなんかでも見られますが、ベルがクジラの上に立って進んでいく中に花びらがバァっと飛んでいく様は、劇場で見たときはいたく感動しました。
曲も非常に低音が強く、劇場の音響にもよるでしょうがかなり壮大さを感じられる曲調です。
私は2回目にはIMAXで視聴したのですが、初日に見た映画館と比べて低音の響きや量感が非常に強く感じられ、壮大さがより増したおかげでとても楽しめました。
また、今作はVtuberに使われているLive2Dの技術もあちらこちらの登場人物に使われています。
アバターの表情や顔つきを見て、「明らかに2Dでもなく3Dのようなモデリングでもない」動きがみられて、正直最初はLive2Dで動いているとわかりませんでした。
今作ではアバターであるアズのキャラがそれこそ大量に出てきます。
それを手書きや3Dのモーションで書いてしまうよりも、シーンに合わせて顔や手などが連動して動いて合わせに行く方が作画作業としても楽だったのかもしれませんが、こういう斬新な手法を取り入れるのも実験的で非常に面白いですね。
もっと言えば、Live2Dであっても使い方を間違えなければ映画にも流用できるといういい例になったのではないでしょうか。
今作は結構今のトレンドを抑えていて、Youtubeのような配信、Vtuber、動画を編集した切り抜きや音MADみたいなものや、ライブ動画、アダルトなサイトへの誘導、スーパーリンクの貼り付け、ビデオカメラ通話、ネットによくある特定行為など。
また、スマホゲームのPVPのような表現もあり、こういう時事的なものが入っていると、不思議と関心がわき、また数年後に見返すと懐かしみを感じられます。
人物描写は確かに薄いものの、その分シナリオ全体のテンポは非常にいいです。
今作では演出面も強化されていて、喋っている登場人物に対して重ねるように小さい声で話すシーンがちらほらと見られ、時短ないしボリュームの密度を上げた演出が取られています。
シナリオ運び自体が全体的に速いため、途中で遊ぶシーンも入れたりするくらいにはサクサク進みます。
人物のリアクションも、所謂ステレオタイプな表現。
こういう感情の時はこうだよね、こんなこと言われたらこうなっちゃうよねといった様が実にわかりやすいです。
監督はこういうわかりやすい描写が非常にうまく、そもそも下積みの頃に原画や演出を多く携わっていたため、その点における演出力は高いのだと思われます。
人の感情の動きとか、深堀したキャラクター性が見える演出は少ないものの、全体的にサッパリとして話運びが早いのは、逆にいいことだと思います。
ガンダムやエヴァの映画は、決して嫌いというわけではないものの、まあだいぶコッテリとしたシナリオや言い回しなので疲れてしまう事もあります。
それが夏の映画として見れるかと言えば、正直きついですね…。
そういう点も含めると、やはり細田守監督の作品は「夏に向いている」作品なのだと感じられます。
いいところ
3DやLive2Dを使った最新の映像表現
鈴が自身の中の疑念とぶつかり、カタルシスを迎え成長していく物語
シナリオ全体のテンポの良さ、わかりやすい感情表現
いまいちなところ
鈴中心のために他人との接点、人物描写も希薄
話の規模の終息が地味すぎる
こんなに点数高いのに批判が強いのも珍しいですが、とにかくこういう映画は自分の目で確かめたほうがいいです。
レビューで図るより、自分の感性に任せて見に行った感想を抱く方が絶対おすすめです。
シナリオは合うあわないがあるにせよ、この演出は絶対に映画館で見るべきだとも思います。
ぜひ足を運ばれますことを。
ツッコミどころ完備
取り敢えず 「未来のミライ」からV字復活…かと思ってたらL字だったわ。テーマが見えない。すずちゃんを救いたかった?何から?彼女は何に気付いたのかしらん?
歌が上手な子を起用したのは分かる。ミュージカル仕立てでディズニー寄り?と思ったら歌詞が聴こえてこない。アレンジが前に出過ぎ。ここはちゃんと歌詞を聴かせなきゃ説得力に欠ける。歌ってる時の映像が回想シーンだなんて手抜き?もったいない。仮想空間の映像美を期待したのになぁ。それから…しのぶ君必要?どんな闇を抱えてるのよ?って期待したら普通に幼なじみだった。もうちょっと絡んでもよかったんでない?憶測炎上は瞬で自力で火消ししたけどこれからどうするんだろ?身バレしたし…ねえ?そう言えば…Uの世界はその後…?あー聞いちゃいけなかったか そうか。ご想像にお任せしますしますってヤツね。声優さんの起用には文句はありませぬ。田舎ぽい朴訥な感じが出ててよかったのではないでしょうか?(褒めてないな) 「未来のミライ」よりマシの☆3です。観といてよかったデス。
【考察】忍君にはお母さんが乗り移っている!
◆ ストーリー
内向的な女子高生鈴は友人の勧めでスマホアプリ<U>に登録する。<U>は登録者数50億人を超える巨大SNSで、会員たちはバーチャル空間でアバター(仮の姿)で交流を楽しんでいます。
<U> 内での鈴は歌姫ベルとなり一躍人気者となります。バーチャル空間での初ライブ中に突如竜と言う名の獣人が乱入してきます。彼はネット世界で言う荒らし行為を働いていてバーチャル空間では暴力行為を振るい、暴れまわっています。
なぜ竜は暴力的なのか、なぜ竜は時折寂しそうな眼をするのか、そんな竜をベル(鈴)は放っておけずそのあとを追っていきます・・・。
◆ 本当に恐ろしいスマホ依存
子供は父性と母性の両方の影響を受けて育ちます。鈴には母親がいません。幼い頃に川の事故で亡くなりました。鈴の父親は物語中父親らしいところが一つもありません(影が薄く、出てきても同じセリフしか言わない)。ですから鈴が内向的に育つのも不思議ではありません。
(※もう一つ父性・母性の影響の例を挙げると、エヴァンゲリオンのシンジ君。彼も母親を早くに亡くしていますし、父親も厳格過ぎます。その影響を受けて彼も内向的な性格に育ちました。)
性格が内向的で塞ぎ込んでいると、自分の枠組みから中々抜け出すことが出来ずに他者との関りを失い、どんどん自己肯定感が低くなっていきます。
私は鈴も自己肯定感が低い子だと思います。両親の影響に加えて <U> 登録初日にベル(鈴)の歌がバズってフォロワー数が爆増しますが、鈴は「たくさんの人が自分を批判している!」と大慌てします。大きな成功体験よりも、ネガティブな出来事にフォーカスするのは自己肯定感が低い証拠です。
自己肯定感が低いと、お酒、ギャンブル、ゲーム、スマホと言った簡単に手に入る刺激や快楽にドップリハマってしまい、そこから中々抜け出せなくなります。
家に閉じこもってゲームばかりしている自己肯定感が低い人がある日突然外の世界に出て「よし!就職するか!」とはなりませんからね。
私は鈴が歌がバズって、フォロワー数が爆増し、ファンの承認欲求などによる “一時的な” 興奮・快感・熱狂 ―― いわゆるドーパミン的幸福の中毒になり、<U>から抜け出せなくなっていく・・・・という展開になると思っていたのですが、実際はそんな展開にならなりませんでした。これには全く予想を裏切られました。
◆ つながり・愛による幸福=オキシトシン的幸福
鈴の周囲にはいつも人がいます。親友でありよき理解者のヒロちゃんや、所属している地域の歌唱サークルのマダム達、そして何かと気にかけてくれるイケメン男子忍君。
人間はリアルに人とつながっていると幸福を感じます。この時脳内からはオキシトシンという物質が分泌されています。友情による結びつきや、地域コミュニティに所属している帰属意識によりオキシトシンが分泌されるのです。
ギャンブル、お酒、スマホ、ゲームなどのドーパミン的幸福は幸福感が直ぐに切れてしまいます。一方でオキシトシン的幸福は低減しません。例えば、去年政府から特別定額給付金として10万円貰えるというニュースが流れた時や実際に貰えた時は興奮して喜んだものですが、いまだにあの時の10万円うれぴ~~~~~~~!!!!!とその幸福感が持続してる人はいませんよね?(むしろ「おかわりはまだか!」ともっと!もっと!の状態になっている人もいると思います。)
オキシトシン的幸福は低減しません。オキシトシンは赤ちゃんを抱っこしている時などにも分泌されます。例えば10日間連続で赤ちゃんを抱っこしても赤ちゃんはかわいいです。11日目に突然「赤ちゃんキッッモ!!!」とはなりません。
私は人とのリアルな繋がり、オキシトシン的幸福が鈴(ベル)の精神を健全に保っていたのだと思います。
◆ イチ推し!忍君!
忍君とは鈴のクラスメートで、学校中の人気者!イケメン!女子の憧れ!スポーツ万能!の男子です。しかし私は彼の魅力はそんなところではないと思っています。
忍君は何かと鈴のことを観察していて、微妙な変化に気づき「何かあった?何かあったなら言ってよ」と気にかけて声を掛けてくれます。多くの世の男性はこの辺り鈍感で観察眼がありません。(よく言う恋人が髪を切っているのに気づかないというやつです。)
学校イチのヒロイン、ルカちゃんも忍君を「よく気づくお母さんみたいだね」と彼を評します。
また、忍君は鈴がベルであることをいち早く見抜きます。男性でありながら、この観察眼の持ち主である所が彼の最大の魅力なのです!
さらに物語の最後で難事件が解決して、少し大人になった鈴に忍君はこう言います。
「これでもう鈴のことを見守らなくてよくなった、これからは対等に付き合えるな。」
2人はまだ友達同士の関係で恋愛関係には発展していません。このタイミングでこのセリフは暗に、
「懸案事項も無くなったことだし、僕は君に安心した。これからは恋愛対象として踏み込んでいくからね。」
と言っているように聞こえます。もうね、キュンッッッッッッッッッッッッッッッキュンッッッッッッです!!!天才です!!!巧です!!!策士です!!!!!!!!!!!!エロいです!!!!!(?)
◆ 大人はアテにならない
鈴の父親は影が薄く、出てきても同じセリフしか吐きません。地域の合唱サークルのマダム達は鈴に「幸せってなに?」と問われるとみんな「えっと、えっと・・・!」と慌てふためくだけで閉口してしまいます。サークル内で一番年長者のお婆さんも「この年になっても幸せなんて分からないわ」と穏やかに答えます。(ここめちゃくちゃ意外でしたね。)
物語最大の山場となる、鈴が一人で高知から東京の見知らぬ子供を救けに行くシーン。ここはかなりネット上でも賛否があるところですが、影の薄い父親が娘を信じて送り出すのは最大の功績だったと思います(現実的であったかは置いといて)。父性とは規律、規範を示すなどの他に「断ち切る」ものですからね。これが機能しないと子は地元や家にへばりつくようになってしまいます。(もし仮に鈴の父親が黙って飛び出して行った鈴に憤慨して「子供のお前のすることじゃない!!今すぐ戻ってこい!!」なんて展開になったら・・・恐ろしい事になっていたでしょうね。)
◆ 人とのリアルな繋がり
映画作品に置いて繰り返されるセリフは重要なキーワードとなります。物語の冒頭で巨大SNS <U> の広告コピー「現実はやり直せませんが、あなたも <U> でもう一度やり直してみませんか?」というセリフが作品中3度は出てきます。
しかしながら、<U> 内で人生をもう一度やり直すことが出来た!というようなシーンは一度もありません。重要なキーワードに見せかけたミスリードなのか、あるいは無機質な機械音声のそれは不気味な悪魔のささやきかもしれません。物語の比重もバーチャル空間での内容よりはリアルな繋がりの方に重きが置かれています。
物語最大のトラブルも人とのリアルな繋がりによって乗り越えていきます。ここがこの作品の肝だったように思います。ご時世的に我々の日常生活はどんどん人とのリアルな繋がりは薄くなっていく一方で、ネットの方が重くなりつつあります。ですが、ここで、今一度、リアルの繋がり、その大切さを見直す時だと私は思いました。
※ 今回の感想は下記の書籍で読んで得た知識をもとに書きました。
『父滅の刃』『精神科医が見つけた3つの幸福』『察しない男説明しない女』
惜しい!!
主人公のネットの中の世界 ベルのデザインが良くて 見惚れてしまっていました。
つかみは良かった けど 竜というキャラが出てからは置いてきぼりに・・・
竜にどんな目的があるのか、竜がどんな犯罪?
を犯したのか全くわからないまま 一億 2億の数の人々に恨まれて 正義を名乗る謎の組織に追われています。主人公もなぜかよくわからず竜というキャラに興味を持ち 執着します
そして追われている竜を助けよう!って雰囲気になります 終盤も主人公が一人で現地にに突っ込んで何故か解決できたらしい雰囲気醸し出して戻ってきます。そんな感じです、
ベルのデザインと設定は良かっただけに 惜しい!!って感じでした。
ここのレビューを読んでハードルを下げに下げて
観に行くのが正解。
あれ? 思ったほど悪く…ない…?
いやいや、やっぱグダグダだわ。多くの方のおっしゃる通り、脚本が粗い。見知らぬ他所の子に共感するまえに、鈴が自身の親子関係を見つめ直したり、父親との関係がなぜあそこまで拗れたのかの描写がなければ、最後の「おかえり」シーンのカタルシスは皆無です。
書きたい所だけを勢いで書いた印象。それも正解なのでしょうが、興行作品ならばその骨折りを厭うてはいけません。同級生カップルの恋愛模様はザックリ切り落とし、鈴とお父さんの父子関係に時間を割くべきでした。それを惜しんだせいで、鈴が薄っぺらいのです。
誰かを愛したり守ったりするまえに、自分を愛せなければ人を助けることなど出来ないはずです。10代の少女がですよ。ともあれ、映像と歌はやっぱいいいんだな。
あと、いつディ◯ニーに訴えられるか正直ハラハラしてます。オマージュのレベルかな?これ、あまりにもパクりすぎててやばいんじゃ……。
タイトルなし
音楽や映像はいいのですが…
まず観ていて話の進み方が早いという印象がありました。その上そこは重要なのかと聞かれると悩んでしまうような部分に時間をかけているという感じ。特にかみしんが顔を真っ赤にしながらるかに話しかけに行くあの駅のシーンはもう少し時間短くても良かったのでは?
それと観ていていくつか疑問点が
・なぜそこまで父親に当たりが強いのか
ここは詳しい主人公の心情が語られないため観ている側も違和感を覚えるレベルです。
・竜、心開くの早くない?
あれだけ人を寄せつけない印象を抱かせておいて案外あっさり主人公に心開いちゃうんだ…と思いました。
・ジャスティンの存在感が雑
結局そこまで重要なオチはないのにやたらデカく爪痕残してくる
・トモとケイの父親の存在感も雑
主人公を殴ろうとする描写、殴れず尻もちをつく描写はまだいいとして、最後なんであんなに恐がって逃げたのでしょうか?上手くいきすぎじゃないですか?あれだけ頑固で最後の難関みたいな存在感出しておいてあっさり引いてしまうんですね
・しのぶは必要なのか
ここは正直本当に分かりませんでした。ただ作品において華を加えたかったのでしょうか、ヒロインがいればヒーローもいて欲しいものですが、でもそれってケイだけでいいのではないでしょうか。
・しのぶや合唱隊はなぜすずがベルだと気付いたのか
ここは大きく触れられていないので理解が追いつきませんでした。
・かみしんとるか、ベルのことめちゃくちゃ語ってたのにすずがベルだったこと案外あっさり受け入れてる
ここももう少し心情が知りたかったですね。
・ベルのライバル歌手との対峙が案外少ない
あの歌手、重要人物なのかと思っていたらそうでは無いみたいで驚きました。しかし最後ベルに声をかけるのは胸熱でしたね。
・匿名インターネットでの匿名コメントに色が無さすぎる
味方になるか敵になるかが極端すぎてむしろ気持ちが悪いレベルです。
正直主人公の母が生前助けた子供があとでなにか大きな手がかりになるのではないかと最初考えていましたが全くそんなことはなかったのでここも驚きましたね。特に重要ではない人物にもフォーカスをかなり当てていくのは良いのか悪いのか…といったところです。
それでも音楽や映像は流石でした。とても美しく透明感が癖になりますね。
感動の波状攻撃
お前がっ!・・・泣くまでっ!・・・殴るのをやめない!
没入感の高い仮想空間の描き方が、歌声が、これでもかと私の涙腺を刺激してくる。
もう大号泣ですよ、後半のライブシーンで、ええ。
本作のキモでもあるライブシーンのクオリティが全方位にすさまじく、乱暴な言い方をすればストーリーなんか知らなくてもこの歌唱シーンだけでも鳥肌が立つくらい、予告編で感じた期待感は裏切られることは無かった。
反面、そこに至るストーリーがやや説明不足に感じたのは残念な点
主人公とそれを取り巻く登場人物たちの関係性や仮想空間"U"について、主人公達が起こす行動の動機や心情の変化、様々な場面での"書き込み不足"が目立つ。
割とデリケートな内容に触れているからこそ、細部までしっかりと書き込んでもらえたら…と、残念に思う。
美女と野獣
面白い映画で賛否両論だと思う。私は少し否定側。
細田守監督の「インターネット」を題材とする映画として、私の知る限り2作目の今作は、
良し悪しはあれど、良作だったと思います。
○まず良かったと思った点
音楽が映画館で聴くべきものだと感じました。音楽はこの物語中で非常に重要なものであり、その設定がしっかりと納得できる程素晴らしいものでした。映画館ならではの身体の中心が震えるような音だからこその臨場感は流石と言うほかありませんでした。
また演出が素晴らしく、現実部分を通常のアニメで、作中に登場する「U」の世界を3Dで描き分けているのが素晴らしいと感じました。さらに言えば、現実のクジラにはフジツボが付いているのですが、それをスピーカーに見立てた発想は非常に面白いなぁと思いました。
○少しイマイチだと思った点
ストーリーが駆け足で、心理描写が中盤から分かりづらかったことです。とは言っても全体の流れは面白かったです。
サマーウォーズは勧善懲悪の特徴が色濃く出て、非常に分かりやすい映画であるのに対し、今作ではネットの匿名性や誹謗中傷を題材として人間模様が描かれています。この作品は現代の問題を内包しており、誹謗中傷をしているキャラクターを軽々しく責めることが出来ず、考えさせられる内容だと思いました。
ただ、場面が変わるのが少し早く、あくまで私の意見ですが、キャラクター同士の関係の変化に関して取り残されたように感じました。
また、この作品の賛否両論になりそうな部分ですが、現実世界の自分の価値というのが薄弱であると感じました。一応、「現実でも勇気を出せばなんとかなる」という風なストーリーであり、主人公のアバターの価値が高いからこそのストーリーですが、もっと自分を労って欲しいと思うようなことがありました。
○総評
長々と書きましたが、レビューの題名とは違って、私はこの映画を誰かに勧めたくなりました。それはインターネット社会を生きる私たちが考え直さなければならないような内容が、この作品にはあるからです。誰かをコメントで叩くことが多い現代、自分は正義を持って叩いているつもりが、周りがヒートアップしているから自分もそれに乗っかっているだけである事がかなり多いと思います。この映画は、その気付きを与えようとしているのだと感じました。
それと、作中に登場した高知駅がもう完成度が高すぎてビビりました。
匿名社会での、、、
今作は、今までと比べて社会へのメッセージが強かったように見えた。
匿名での叩き合いとか、身勝手な正義とか、抑圧されたアイデンティティとか、
そういうメッセージを伝えたかったのかなぁ?
オリジンになって歌うシーンは、感動した。
ただ、主人公の周りの学友たちが全然感情移入できんかった、、、、
でも、そこがリアルなのかな?
みんな自分の思いがそれぞれあって行動してるんかな
んー、、難しい。
最初のmillennium paradeの曲が良かったな。
個人的にはサマーウォーズの次くらいに好き。
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