「スカーレットが炎上中のこのタイミングで初見」竜とそばかすの姫 ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
スカーレットが炎上中のこのタイミングで初見
軽い気持ちで見たけれど…これ
名作じゃね?
序盤から世界観に没入し、内向的な主人公に感情移入し、ミュージカルパートでもしっかり心を掴まれました。
わりと好きです。自分は。
もちろん問題点がないわけではないけど…
でもそんなものを上回るくらい加点の要素の方が多かったなと。
これまでは竜を除く全ての細田作品を見てきたけども、スカーレットを見終えたこのタイミングで見てみると、色々合点がいく部分がありました。
まず、細田作品は常に新たな映像表現にチャレンジしてきたという事。
特に龍はそれが顕著に出ています。
2Dで描かれる現実世界と、3Dのアバター「U」の世界。
この2つの世界を行き来しながら「歌」で繋ぎ止める。
細田作品の中でもまさに過渡期にあった作品だったなと思います。
「歌」のストーリー的必然性。
作画の違いの必然性。
それらが有機的に機能していたからこそ、竜は1つの作品としてまとまり得たんじゃないかと思いました。
ただ、スカーレットはそれを更に表現を推し進めた結果。
CGに偏重した世界に一部2Dキャラが混在する世界になっていて。
更に「歌」や「ダンス」が記号にしかなっておらず、明らかに分離してしまっている。
この点が竜が一定の評価を保ち、スカーレットが酷評されてという今の状況を産んだのではないかと思いました。
竜を見た事で、細田守の作家性を再確認でき。
スカーレットの先進性と、問題点のどちらも知ることができた気がします。
今回のスカーレットの興業的失敗を経て、細田守監督が今後どう舵を切るのかはまだ分かりませんが。
自身の作家性を活かせるフィールドに戻ってきてもらえたら良いなと切に願います。
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