「仮面を被って見えたもの」竜とそばかすの姫 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
仮面を被って見えたもの
クリックして本文を読む
Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作は未読。
「君の名は。 」以降、歌と物語、画の美しいビジュアルの親和性を追求したアニメ作品が増えた気がするが、本作もその流れを汲んだ一本だろう。
ベルの歌は、ストーリーや映像との親和性がかなり高いものだった。すずの心情に寄り添ういい歌詞の楽曲ばかりだったため、強く印象に残る。
高度に発達した情報社会における家族の絆を描いたのが「サマーウォーズ」ならば、本作は匿名性の海の中で如何にしてアイデンティティを見出し、少女が成長していくのかを追う物語だった。
広大なネット空間と田舎町の対比は「サマーウォーズ」と共通ながら、同作では家の中で全てが完結していたのに対し、本作では主人公の成長の先に、故郷を飛び出し遠く離れた都会で苦しむ兄弟を助けに行くクライマックスを提示したことで、一歩踏み込んだ着地を試みているのが面白い。
正直、この展開は唐突で、短絡的のきらいはあるが、ベルとしての活動や竜との関わりを通して幼い頃に亡くした母親の真意に近づいていくすずの成長の終点としては、誠に理に適っている気もして、意外と納得のいく結末だと思った。
[鑑賞記録]
2022/09/11:Amazon Prime Video
2022/09/23:金曜ロードショー
*修正(2025/11/21)
コメントする
