「終わり良ければ?映像は凄いし言わんとすることは(最後まで見たら)わかります。でも……」竜とそばかすの姫 ヨヨ23さんの映画レビュー(感想・評価)
終わり良ければ?映像は凄いし言わんとすることは(最後まで見たら)わかります。でも……
前評判はある程度調べていましたし、「面白くなくてもVR技術とか考察できればいいか」ぐらいの気持ちで見てきました。
確かにVR世界の「U」に関する描写や、現実の美術風景は素晴らしい映像だったの一言です。
主人公の歌や今流行りの場面展開に用いる間奏もいい感じでした。
これらが映画館で見てきて良かったと思える点です。
が、見せ方の問題というか物語の展開がはっきり言って悪いです。
技術的な考察をしながら観ましたので最後まで観れましたが、物語に関しては没頭するようなことはできませんでした。
むしろ他の方が言っていらっしゃるように苦痛に感じる部分も多数……というか良い場面と悪い場面の方がほぼ同じくらいか、悪い方がちょっと多いと思います。
それも物語の展開的に辛いというより、「ツッコミ所が多かったり人物たちの理解が難しい」という冷めてしまう意味での苦痛でした。
一応、登場人物たちや物語で言いたいことはわかるっちゃわかります。最後まで耐えられ……ゲフン観れば。
序盤に提示された主人公のトラウマや、物語の節々に散りばめられてた伏線なんかは最後の最後で回収されますし、「理屈に合わない矛盾した行動でも主人公が一歩を踏み出す」という成長?理解?の展開も振り返ってみれば「まぁ良いよな」と考えられると思います。
多分ですが、以外にも高評価のレビューが多いのはこの最後の場面の点が印象に残っているのではないかと。
しかし。しかしです。
それでも物語が無理やりだったり、抽象的過ぎたり、リアリティとしてあり得ないような人物・政治・行動になってたり、ツッコミ所が多すぎりゃしませんかね……?
特に終盤の「冷静に考えるとイケメンが自覚の無いダメDV男へと成り下がるアカンやつ」はもうちょっとこう……主人公への理解や配慮とか加えてほしかったです。あの場面だけだと何も考えず自分のエゴだけで勝手に言って無遠慮に行動しているように見えましたし、考えていたとしてもそれはそれで軽々しすぎ。
冷静に見直せばいい感じにリアリティが出るような設定・展開になったりできそうな所が多く、どこかで聞いた「細田守監督は監督に向いていない。演出家向き」がかなり悪く出ている映画だと思います。
少なくとも「アニメ映画」として観たからこそファンタジー要素としてスルーもできましたが、「SF映画」として観ると酷評の嵐でしょう。「U」の世界も映像美と想像の設定、いわゆる演出だけ。根幹とも言える仔細の技術的設定は崩壊しています。
「U」世界も現実世界も映像だけは「これぞ映画館でしか味わえないアニメ映像」という体になってたのでまだ楽しめました。
しかし物語に関しては……主張はわかりますし同意もそこそこできますが、「大筋として難あり」でしょう。
身も蓋もないことを言えば「脚本が悪い」です。