「責任感のない大人が作った雰囲気社会風刺映画」竜とそばかすの姫 ふさんの映画レビュー(感想・評価)
責任感のない大人が作った雰囲気社会風刺映画
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社会問題つまみ食いセット。
前片足のない犬や母の死、トラウマを抱えた少女、児童虐待、知的障害、クラスにおける女子同士のいざこざ、ネット社会での批判など、「細田守が想像した範囲」の社会問題をかけるだけ全て描写して、ありえない方法で秒速解決していく胸糞映画。
実際に同じような問題に直面したことがある人が見たらあまりの安直さに怒りを覚えるかもしれない。
アニメ映画だから、と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、細田守本人はここの映画で描かれている問題全て、自分で体験したことはないのだろうか?
社会問題が起こる背景や世界観がリアルな分、解決パートが雑すぎて気持ちが付いていかない。要素詰めすぎだし、深掘りできないのならいっそ触れないほうが良かったようなテーマばかり。
最後のシーン、主人公が一人で東京に行き、周りの大人が誰もついていかなかったこと、
子供に暴力をふるう成人男性が女子高生の凄みにやられて逃げ出すこと、全ての描写がご都合展開すぎる。違和感てんこ盛り。
この表現で観客が感動する!と思ったのであれば、もはや細田守本人の人間性に恐怖を覚える。随所随所に感じる大人としての責任感のなさには心底がっかりした。
「様々な社会問題が起きていることだけは知っているけど、具体的な解決策は知らないし興味ないです。アニメはアニメなんで、解決パートはアニメらしく綺麗に描きます!」みたいなスタンスを貫く、雰囲気社会風刺映画だった。
歌や表現が綺麗なことに関しては良かったのかもしれないが、私としては上記不快感が強すぎたためただのトラウマフラッシュバック映画となった。
人生の中で辛いことが多い人は観ないほうがいいと思う。
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