「無償の愛に感涙しました」竜とそばかすの姫 ゆうすいさんの映画レビュー(感想・評価)
無償の愛に感涙しました
美女と野獣のシーンやストーリーにかなり寄せて、
オマージュとも言えるのですが、
実際は、アンチディズニーかと。
ディズニーならヒロインが救うのは美しい王子様。
そして結ばれてメデタシメデタシ。
ディズニーなら、竜の正体は、隠された秘密を持ったしのぶ君だったかも。
この作品のベルが救うのは、王子様ではなく、
世間から切り離され見捨てられた少年達。
ディズニー自身が見知らぬ王子様といきなり恋をして、ハッピーエンドになる平面的なお話を自虐する映画もありますが、
ディズニーの作られた見せかけな幸せを揶揄してるように思えました。
美女と野獣は、ベルと王子に心の交流はありますが、、
ベルが竜の為にラブソングを作って、竜の心が和らぎ、
上空で顔を向かい合わせ、本来ならキス、という所で、ベルがハッとして、そっと抱きしめるシーンが秀逸。
アンベイルされた鈴の歌に皆が涙を流すのは、
鈴の無償の愛に触れたからでしょう。
私も自然と涙が溢れました。
クジラは母性の象徴だし、
鈴は母から受け継いだアガペーの体現者。
鈴がいきなり自分のコンサートに現れた竜に心奪われたのは、鈴自身に母に見捨てられたと思った寂しさ、ネットの誹謗中傷に傷ついた過去の傷があるから、
竜のただ強いだけでは無い闇に、無意識に気付いたのでしょう。
鈴が飼っているワンコが前足が切断されている所、欠けたマグカップを愛用している所に、鈴が傷ついた物に心惹かれてしまう描写があります。
鈴は共感力の強い子で、だからこそ彼女の歌が自分の為に歌われてると感じると、Uの世界でコメントされたのでしょう。
虐待をする父親の所に会いに行くのは、鈴1人でなくては、竜は勇気を貰えなかったし、竜自身が受身では無く立ち向かわなければ解決にならない状況だし、
虐待の父親が、鈴の気迫に負けたのと
自身の正義を振り翳すジャスティスが、自身を曝け出しても、なお強さを放つ鈴に負けた事はリンクしていました。
鈴の父親も忍君も、鈴に立入過ぎず傍らで見守り、だけど必要な場所では強く後押しするという理想の癒し方でした。
作品全体が愛と優しさに溢れていました。
何故、何故、と意味が分からないから、この作品は駄目だという意見が散見されるのを見ると、悲しくなりました。
私には、Uの世界で、表面だけ見て誹謗中傷をするコメントにリンクしてしまいました、、
一つだけ難を言えば、カミシンが小さな窓から見えるような見えないようなビルから、遠征の川を思い出すのは、ちょっと都合が良過ぎるような。
まあ、2回目を見たら、それもどうでも良くなりましたが、、