「2度目の視聴」竜とそばかすの姫 トキさんの映画レビュー(感想・評価)
2度目の視聴
先週の土曜日に視聴してから今日に至るまで熱が冷めず本日2度目の視聴。
2度目見て気付いた事は、この映画は誹謗中傷被害の社会問題を取り上げている一方で、少なくとも「批判」と言う行為に対してはかなり肯定的だと感じた。
それを感じさせる最大の要因は鈴の親友のヒロだった。
彼女は物語序盤から学校の人気者のルカや忍を批判し、称賛しかない作品には結局コアなファンしかいない証拠。 裏表のない賛否両論こそが人を叩き上げ本物を生み出すと言う様な発言をしていた。
ならばリアルな評価でも意見が真っ二つに分かれた本作は、ある意味では細田監督の狙い通りであり、細田監督の価値観で言う本物なのではないかと感じた。
少なくても自分としてはこれまでの作品の酷評が細田監督自身を鍛え上げ、監督自身が納得した作品が産れた様に思えた。
ならば本作を監督の価値観から本物と評価するなら、最大級の賛辞は⭐︎5の評価ではなく半分の⭐︎2.5だと感じたので、大好きな作品だけどあえてこの評価にしました。
作品自体が批判もウェルカムもスタイルなら、言わせてもらうと好きな立場の自分から見ても脚本的に穴だらけで受け付けられない部分も多いです。
主人公がネットで個人特定すんな。 忍、お前バスケ上手い以外特に活躍しとらんし無責任やん。
50億人からそんな都合よく竜の正体見つかるのか? 大人達は何故鈴を1人で行かせた?
DV親父が鈴見て腰抜かす意味がわからん。 少なくとも自分にはDV親父の正体がジャスティンとは思えなかった。
けどその一方でアニメーション作品トップクラスの映像と音楽に鳥肌が立ち、30年前に自分の美女と野獣を描きたいと言っていた細田守の夢が叶った瞬間に立ち会えたのは光栄な事だと思えたし、
鈴の母の行動には正しくないとしてもやっぱり批判的な言葉は浴びせたくないし、何より母と同じ様に一時はルカの為に自分の恋を諦めちゃったり、他人の為に結局自分も危険な道に飛び込んじゃう泣き虫で優しい鈴が大好きです(笑)
過剰な正義は時に悲劇を産むけど、少なくとも身近な誰かを確実に救えるのはネットの書き込みではなくリアルな行動だと言う事もまた事実だと思います。
この作品は鈴や鈴の母だけでなく、周囲の大人達にもあえて間違った善行を行わせながらも、その誤った善意を優しさで肯定的に受け止めようとしてる様にも感じました。
正直自分が好きな作品が酷評だらけでモヤモヤしてたけど、批評も受け入れられたら随分スッキリしました。けど誹謗中傷は駄目。
ラストのシーンでも賛否両論はあるけど、自分としてはネット世界で素顔を晒しても危険じゃなくなった、今はまだファンタジーの世界で鈴達が幸せに暮らしてるのを祈ってます。 ブログみたいな気持ち悪いレビューすいませんでしたm(_ _)m
評価2.5だけど、個人的にはこれ以上にないくらい価値観を刺激された作品でした。 Blu-rayも出たら定価で速攻買わせて頂きます。 ではでは。